http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20100804-OYT8T00728.htm
A【長期金利一時7年ぶり1%割れ、「日本選好」海外資金流入も】
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16638920100804
B【景気拡大下でも利回り最低 米国債 欧州不安で資金流入】
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/100727/mcb1007270505016-n1.htm
いやいや、すごいですよ。ついに、10年物の日本国債の利回りは1%を切りました。日本国内に、ろくな投資先がない事と、Aの記事にあるように海外からも日本国債を買う動きがあるようですね。さらに、米国債についてもBの記事のように利回りの低下が続いています。
基本的にどこの国でも国債は、不景気の度合いが強まるにつれ安全な金融資産として買われます(利回りが低下します)。一方、景気拡大時になると相対的に利子や利回りの大きい株や社債等に資金が流れるために国債が売られます(利回りが高くなります)。つまり、今の日本国債や米国債の利回りは、両国の不況のシグナルと捉える事ができますし、極端に言えば日本国債バブルとも言えます。
【欧州債:独30年債利回り、約3週間ぶり高水準−入札で応札額達せず】
http://bit.ly/boGerD
「日米の国債利回りが低下しているという事は、ユーロ圏もそうなのか?」というと、実はそうでもなかったりします。つい最近、↑の記事の通り、孤軍奮闘でユーロ国を引っ張るドイツでさえ、30年物のドイツ国債が札割れに追い込まれました。いや、これはドイツの景気が良いから投資家が利子や利回りの良い株や社債を買っているからではなく、ユーロ圏への信用不安からドイツ国債が売れないわけで、事態は欧州の方がやばそうですね。もちろん、ドイツの場合は同一通貨であるユーロを使っているギリシャに足を引っ張られている側面はありますが、いずれにしてもユーロ圏の国は不景気・不況を通り越して、恐慌と言ってもいいのではないでしょうか?
さて、ここからは世界経済が最悪の方向で動いた場合に、その後に何が起こるかを予想してみます。まず、ユーロ圏の国の恐慌が収まらないとすると、ユーロの信用不安から米国債や日本国債がますます買われてしまいます。その結果、日本はさらなる円高と日本国債の利回り低下が進むでしょう。おそらく、ある程度円高が進めば政府や日銀の方も現状維持の金融政策を捨てて、さらなる金融緩和をするかもしれませんね。日本は米国やユーロ圏の国と違い、金融緩和においてはまだまだやれる余地を残しているとは言え、本格的な量的緩和みたいな事をやりだすと、海外勢は日本国債を売って実物資産の購入に走り出すんじゃないかなぁ……。
元々、日本国債は海外勢保有者が少ないので、仮に海外勢が日本国債を売り払っても大きな利回り上昇にはならないし、さらに、日本にはまだ量的緩和(日銀による長期国債の買い切り)の手が残されているので、世界的に見れば相対的には非常に安全国です。
もし日銀がこのまま金融緩和しないのであれば、ここで一つ提案してみたいのは「ドル建て日本国債」です。経常収支がしばらく赤字にはなり得ず、しかも大量の米国債を所有している日本が使える有効な手段です。
ご存知のように、日本政府は100兆円以上の外貨準備高の大半を米国債で所有しています。この米国債の利回りはドルで支払われるのですが、これを全て円に換えようとすると円高になってしまうわけで、日本の産業や雇用情勢を考えるとあまりしたくないところです。もしドル建て日本国債を発行すれば、このドル建て日本国債の利回りを日本政府所有の米国債の利回りで支払う事ができるので、日本政府の財政負担はほとんどありません。(現在の10年物の日本国債と米国債の利回りはそれぞれ1%と2.8%程度なので、この差額の1.8%をドル建て日本国債の利回りに充てられます。)しかも、ドル建て日本国債であれば、円高になればなるほど円で見れば実質の負担は軽減されますよね。
「中期的には自国通貨安の要素があまり無い」「自国国債の利回りが低く、米国債の方が利回りが大きい」「大量に米国債を保有している」という条件が揃っているので、ドル建て日本国債は一考に値するとは思うのですが、どうですかね?もちろん、アメリカ政府はあまり良い顔をするとは思えませんし、逆に円安に振れてしまうと実質負担が重くなるのでデメリットもあるわけですが、とりあえず短期日本国債の一部をドル建てで発行してみたらどうかなぁ……。
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