http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20090428D2M2804228.html
【米GM:「捨て身の再建策」 債務圧縮に銀行団反発】
http://mainichi.jp/select/world/news/20090429ddm008020040000c.html
いよいよ、GMとクライスラーの経営再建に向けた協議が大詰めを迎えてきた。クライスラーはこのままフィアットに合意を取り付けて、破綻を免れるのだろうか?そしてGMの方は、銀行団を説き伏せる事ができるのだろうか?
各社の報道を見る限り、どうもGMの方が状況は厳しそうな感じがするけど、リーマンブラザーズ破綻の時と同じで、最後までどうなるかわからないので、ここ数日は固唾を呑んで彼らの行方を見守ることになりそうだ。GMとクライスラーに部品を卸している日本の中小企業も、気が気ではないのでしょうか?
さて、今日はGMとクライスラーの経営状況を分析する一つの指標として、「在庫日数の状況」を見てみよう。通常は、連結財務諸表等の資料を見るのもいいのだけど、そういう類の物は半期に一度しか公表されないので、月単位で公表されている「在庫日数の状況」でその他の自動車会社と比較してみる。

上記の画像は、アメリカの主要な自動車会社の在庫日数状況を示している。実際の統計では、もっとたくさんの会社があるのだけど、ここでは「BMW」「クライスラー」「FORD」「GM」「ヒュンダイ」「日産」「スズキ」「トヨタ」の8社に絞ってみた。
さて、この画像を見るとGMの在庫日数が2008年9月のリーマンショック以降で急増しているのがわかる。その他の会社も、リーマンショック以降に在庫日数が増加したのだけど、ここ数ヶ月でリーマンショック以前の水準に戻している事が読み取れるだろう。
GMがリーマンショック以前の水準に戻せないのは、需要が減っているにもかかわらず生産台数をそこまで減少させてないものと思われる。これは、GM労働組合の力が強いので、急には生産台数を落とせないという内部事情があるかもしれない。アメリカ政府から公的資金を受けているにもかかわらず、相変わらず在庫を増やしている昨年末の状況だけを見ると、そりゃアメリカ国民から「GMを潰せ!」という声が上がるのもわかる気がする。
【米GM:6工場追加閉鎖 ブランド廃止も−−再建見直し案】
http://mainichi.jp/select/world/news/20090428ddm002020032000c.html
○工場:47→34に削減
○従業員:6万1千人→4万人に削減
○販売店:6246→3605に削減
一応GMの方も「これではまずい」と思ったのか、上記程度の事業縮小は労組と合意できたらしいけど、果たして債券の株式化で、素直に銀行団が「うん」と言うのかどうなのか……。
その点、クライスラーの在庫日数は3月と4月で随分減らしたのが、グラフから読み取れる。果たしてこのまま在庫日数を減らせるのかどうか興味深い。この数字を見て、フィアットが「これなら大丈夫」と思ってくれればいいんだけど。
車みたいな耐久消費財は、乗り続けてればそのうち壊れるわけなので、そのうち販売台数の減少に歯止めがかかるのは間違いない。今は、従業員をクビにして生産調整をしてるかもしれないけど、そのうち在庫日数が少なくなって再び増産する日が来るはずなんだ。実際、スズキの在庫日数は4月に入って急減して30日程度になってしまっている。おそらく、アメリカのスズキは今頃増産体制に入っているのではないだろうか?
このように、どの自動車会社も2009年に入っての在庫調整が上手く行っているので、アメリカの自動車会社の景気は、あと2,3ヶ月くらいで底を打つんじゃないのかな?と、俺は予測している。
【おまけの考察】
上記グラフの「ヒュンダイ」は、韓国の自動車メーカー。このヒュンダイ、実はすごい販売方法でアメリカ市場では注目の的になっている。
【ヒュンダイの新プログラム…米国新車販売に革命か!?】
http://response.jp/issue/2009/0224/article120856_1.html
↑この販売方法、何がスゴイかって、「購入から1年以内に失業や病気で支払いが困難になった場合、車両を返却すればローン残債が免除される仕組み」との事。これで本当に儲けが出るのか半信半疑なんだけど、このおかげでヒュンダイはアメリカ市場で販売実績が伸びているらしい。
今は、そりゃ販売実績は伸びるだろうけど、もう半年くらいして車を返却したりローンから逃げる人がどれだけ出てくるかなんだよな。さぁ、ヒュンダイの快進撃はどこまで続くのか?