2009年06月30日

役人のミクロ経済学〜補助金と課税を例に

本ブログでは今まで、ほとんどがマクロ経済学の分野に関する事を
書いてきたのだけど、今日は趣きを変えてミクロ経済学(余剰分析)を書こうと思う。


demand_supply.jpg
まずは、中学の公民分野で習った需要供給曲線についてのおさらい。↑の画像に需要供給曲線の例を出した。(図の簡略化のため、需要も供給も今は直線で書いている)とりあえず何の市場でもいいのだけど、ここでは「缶ジュース」で考えてみるか。

最初に需要曲線に関して見てみよう。価格が下がれば下がるほど、数量が増えるわけなんだけど、これは「缶ジュースの値段が下がれば欲しい人がたくさん出てくる」という事を意味している。一方、供給曲線の方は価格が上げれば上がるほど、数量が増える。これは「高く売れるのであれば、缶ジュースを売りたい人がたくさん出てくる」という事を意味している。このような自由な市場では、需要曲線と供給曲線の交点(均衡価格と均衡取引量)で、価格と取引量が決まるわけだ。

確か、ここまでが中学の公民で勉強した範囲だったような記憶がるのだが、ここではもう少し考察してみよう。
surplus_example.jpg
↑の画像は、缶ジュースを例にして、「需要者側の総余剰」と「供給側の総余剰」を図示したものである。需要者側の総余剰とは、一言で書けば、「缶ジュースを購入した人がどれだけ得をしたのか?」という事である。もう少し詳しく書くと、この缶ジュース市場では均衡価格が88円で均衡取引量が250本であるので、88円の缶ジュースが250本売れるわけだ。ただ、需要曲線を見る限りこの缶ジュースを150円で買いたい人が少なくとも1人はいたわけで、その人にとってみれば88円で缶ジュースを買えるのだから差額の62円分は得をする。そして、140円で缶ジュースを買いたい人、130円で缶ジュースを買いたい人も、それぞれ52円、42円分は得をする。このように、全需要者の買いたかった値段と実際の取引価格の差額分が、上記画像の青い領域「需要者側の総余剰」になるわけだ。

供給者側の総余剰の方も考え方は同じで、この市場には、60円で缶ジュースを売りたい人が少なくとも一人はいたわけだけど、均衡価格が88円であるのでこの人が88円で売れば想定よりも28円余分に儲けられる。70円で缶ジュースを売りたい人、80円で缶ジュースを売りたい人は、それぞれ想定より18円、8円の余分に儲けられるわけで、全供給者の売りたかった値段と取引価格の差額分が、上記画像の赤い領域「供給側の総余剰」になる。

経済学的には、この総余剰が大きければ大きいほど、社会的な便益が大きい(喜ぶ人がたくさんいる)という事なので、なるべくこの総余剰の面積を大きくさせたいわけですよ。今日は役人の視点でこの総余剰について考察してみたい。



さて、我々役人が市場に介入する手段として、よく用いられるのは
「補助金」と「課税」というところでしょうか?最近で言うと、景気対策の一環で行われている「エコカーの購入補助」が補助金の良い例だと思う。そして、同じく車関係で課税となれば「ガソリン」ですかね?という事で、需要供給曲線での総余剰に関して、「補助金」「課税」を施すと何が起こるのかを以下で考えてみたい。


insentive_exsample.jpg
まずは、補助金の方を考えてみよう。↑に補助金導入前の需要供給曲線と、補助金導入後の需要供給曲線を示す。さて、導入前後によって需要側/生産者側の余剰がどうなるだろうか?
まずは、需要側の方から見てみよう。補助金政策の場合は、消費者に代わって一部を政府が払うものであるので、補助金分だけ需要曲線が上方にシフトする。すると、シフトした分だけ需要が増えて均衡価格と均衡取引量が増加するわけだ。その分、需要側の余剰(青い部分の面積)も増加することがわかる。
さて、供給側の方はどうなるだろうか?補助金効果によって、均衡取引量と均衡価格が増加する事により供給側の余剰も増加する事は容易に想像はつくし、実際にグラフもそうなることを示している。
ちなみに、補助金導入後のオレンジの領域が、補助金によって増加した供給側の余剰なんだけど、供給側は何もしなくても補助金政策によってこのオレンジの領域の面積を増やせるわけで、非常においしい展開なわけですよ。つまり、あまり補助金を出しすぎると、業界全体が自助努力しなくなってしまう事に注意が必要なわけだ。

ちょっと話が脇道にそれるけど、補助金政策が失敗する例を挙げておこう。今まで例に出してきた需要供給曲線は、価格弾力性のある場合の例である。価格弾力性とは、グラフ上で言うと需要曲線や供給曲線の傾きが大した事の無い場合の事である。市場の種類によっては、価格弾力性が非常に小さい(需要曲線や供給曲線の傾きが大きい)場合があって、この時の補助金政策は上手く行かない場合がある。
insentive_bad-example.jpg
例えばある地区の「住宅」を考えてみよう。基本的に、缶ジュースとは違って住宅の場合は気軽に買える物ではないし、供給量も少ないので、供給曲線の傾きが非常に大きい。よって、住宅に対する補助金政策の場合は↑の画像のように、補助金によって供給曲線が上方にシフトしても、需要側の余剰はほとんど増えない。
一方、供給側の余剰は需要曲線の上方シフト分だけ増加するわけで、これは結局需要側への余剰増加が無く、供給側へほとんどそのまま補助金が流れてしまう事を意味している。
この手の市場に補助金を突っ込んでも、「供給側を喜ばせるのみ」
という失敗例の代表であるわけですよ。


さて、話を戻して次は「課税」について考えてみる。ここでは簡単のために、缶ジュースに需要側、供給側共にそれぞれ税金32円、8円を課すケースについて考える。
lost-surplus_by_tax.jpg
上記の画像のように、課税後は需要側は32円の負担が出るために、当然課税前よりも缶ジュースの需要が250本から200本に落ちる。一方で、供給側の方も8円の負担により、供給量が200本に落ちる。この時、需要側、供給側のそれぞれの余剰は課税前よりも当然どちらも減り、その代わり今まで余剰領域だった場所に「課税による税収」が出現する。政府はこの面積分の税収が得られるわけだ。
ただ、課税によって均衡取引量が落ちることで、課税前は余剰領域だったのに、課税後は税収にもならない「失われた余剰」の領域が出てくることがわかる。これは、課税によって市場規模が縮小することを表していて、政府が余計な事をするとろくな事にならない代表例であると言えるだろう。(笑)市場に介入する場合は、なるべく「失われた余剰」は小さくするようにするのが望ましい。



と長々書いてしまいましたが、政府の介入(補助金、課税)によって市場がどうなるのかをミクロ経済学で考えると、大体上記のような事態を生じることになるわけです。
おそらく政府機関も、何か市場に介入する政策を打つ場合には、この手の分析を必ずやっているはずなわけで、その辺は適当に決めているわけではないと思う。(先生方が分析結果抜きでいろいろ口を出す事はあるとは思うけど)

ただ、俺の疑問は「どうやって需要供給曲線を算出しているのか?」って事なんだよね。例えば、ある程度の精度の需要曲線は、民間会社が各自のマーケッティングによってそれぞれ持っているとは思うのだけど、政府として何か政策決定する場合に、こういう需要供給曲線のデータなんて持ってるのかなぁ……。
まぁ俺が、そういう関係の数字を扱う部署に異動することはまずないのだが、単純に気になるわ。
posted by きらっち at 19:12| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月29日

7月22日東京でも太陽が欠ける!

【国立天文台 2009年7月22日(水)皆既日食の情報】
http://www.nao.ac.jp/phenomena/20090722/index.html

今回のチャンスを逃すと、日本での次の皆既日食は2035年になるわけなんだよね。そもそも今回は、皆既日食が観測できる範囲が広い上に、観測時間も長くなるので、俺らが生きている間では最良の皆既日食観測条件が揃っているとの事。


ところで、何でまた日食とか月食ってのは、頻繁に起こらないのだろうか?地球が太陽の周りを公転し、月が地球の周りを公転しているのであれば、月の影が地球にかかるなんて事は、それこそ割と起こり得そうな感じがする。と、中学生だった当時の俺は思い、理科の先生に質問した覚えがあるのだが、その先生もわからなかったらしく、結局上手くごまかされた記憶がある。まぁ俺のエピソードはどうでもいいんだけど(笑)、とりあえず今日は日食がレアなのは何故かについて紹介する。


moon_position.jpg
まず、日食の起こる必要条件として「新月」である事は用意に推測できる。ご存知の通り、月は満ち欠け周期は29.53日程度であり、新月になるときは、上記の画像の通り地球と月と太陽が同じ方向に来る時であるので、これは部分日食であろうが、皆既日食であろうが、とにかく新月の時じゃないと日食が起こらない。ただ、29.53日に一回は新月になるのであって、日食になるための異なる必要条件が他にあるのは容易に想像がつく。


次の必要条件は、「地球の公転軌道」と「月の公転軌道」が同一平面状になる時である。これは月の地球に対する公転軌道面が、地球の太陽に対する公転軌道面から最大で5度程度傾くことによる。
moon-earth_orbit-difference.jpg
上記の画像を見て欲しい。この画像の上半分の通り、地球は太陽を公転していて、月が地球に対して公転している。これは公転の様子を上から見た図ではあるんだけど、下半分の図は、地球の公転軸を横から見た図である。ここでは大げさに書いているんだけど、実は月の公転軌道は、地球の公転軌道から5度ずれているわけですよ。地球と月の距離は384400km程度あるのだけど、この5度のズレと38万kmの距離がかなり日食をレアにしているわけで、それを模式的に表したのが以下の図である。
moon-earth_orbital-condition.jpg
↑の画像の通り、地球がAやCの位置にいて、さらに新月の条件が重なると、月の公転軌道と地球の公転軌道が同一平面状に来るので、地球・月・太陽が同一直線状に並び日食の起こる事がわかる。しかしながら、地球が@やBの位置に来た時の新月は、月の公転軌道のズレに起因して、地球・月・太陽が同一直線状に並ばない。よって、この時は月の影が地球にかからないので、日食にはならないわけですよ。
つまり、地球がAやCの位置にいて、なおかつ新月時にしか日食は起きないわけだ。そして、当然AやCの状況は、少なくとも一年に2回起こる。さらに、地球がズバリAやCぴったりの位置でなくとも、AやCに近い位置で新月を迎える場合は、部分日食になる。よって、AとCの両サイド近い位置で新月を迎えられるなら、上手くいけば一年に4回くらい部分日食の観測チャンスがありそうなんだよね。

とは言うものの、日本で観測できるかどうかという事になると、そりゃなかなかそんな観測チャンスはないわけですよ。部分日食ならまだしも、次の皆既日食は2035年9月2日だしね。俺、まだ2035年であれば生きているとは思うけど、可能であれば今回夏休み取ってトカラ列島まで行きたいところなんだけど、現実としては職場の屋上で太陽メガネで空を見てるんだろうな。(笑)
posted by きらっち at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学

2009年06月28日

バルト3国 やはり一番手はラトビアか?

【ラトビア こりゃヤバイんじゃないの?!】(2009/06/06)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29640372.html

【ラトビア問題〜その後の展開〜】(2009/06/14)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29793523.html

【ラトビアに負けず劣らずエストニア】(2009/06/19)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29902626.html

さて、ラトビアシリーズの第4段です。今日は、ラトビアを含むバルト3国の経済&対外債務状況を比較してみよう。


baltic_foreign-reserves.jpg
まずは、バルト3国の外貨準備高を見てみよう。バルト3国の経済規模としては、リトアニア>ラトビア>エストニアであるので、外貨準備高の多さもこの順番通りである。リーマンショック以降、3国とも外貨準備高を減らしているのだが、2008年1月〜2009年5月の最高額と最少額の減少率で見ると、エストニア、ラトビア、リトアニアでそれぞれ、25%,40%,30%となっており、ラトビアの減少率が一番大きい。


baltic_GDP.jpg
そして、次は名目GDP推移を見ていこう。直近の名目経済成長率を見ると、リトアニアが-28.4%と相当な経済の落ち込みようが見て取れる。後でまとめるけど、これ年率換算だと-73.7%だぜ。(驚)一体、リトアニアは実際にどんな状況なんだろう?
どの国も、2008年3Q辺りから総固定資本形成が総崩れであるので、やはりスウェーデン辺りの投資の外資マネーが一斉に引いた事に起因していると推測できる。おそらく外資マネーで、住宅・建築・インフラ関係の投資を主導していたって事なんだろう。2008年の4Qで、バルト3国は政府支出を増やして、何とかしようとした形跡があるっぽいけど、2009年1Qは資金調達ができなくなったのか政府支出も大きく減少させていて、どうにもこうにもならない状況が読み取れる。
いずれにしても経済の失速度合いという視点では、リトアニアが一番やばそうだな。まぁデフォルトを考えた場合の問題は、GDPよりも対外債務の状況だよな……。まぁこれは後で見るとして、次は国際収支の状況を見てみよう。


baltic_BOP.jpg
これまた意外な事に、2009年1Qではバルト3国の経常収支は黒字に転換してるわけですよ。とは言うものの、これは輸出よりも輸入が激減した事と、不景気で株等の利子を海外に払わない事によるもので、典型的な縮小成長に起因するものである。まぁただ、黒字額は大したことがないので、どの国も問題は資本収支の方なんだよな。
さて、その資本収支であるけれど、バルト3国は2009年1Qで資本収支が赤字に転じたわけだ。注目すべきはラトビアで、「その他投資」が大幅赤字になっている。これは、海外からラトビア債券を購入した人が、ロールオーバーせずにそのまま債券を償還したのが主な要因と推測される。つまり先日のニュースの通り、ラトビアの債券の買い手が激減した事が読み取れる。ちなみにラトビアだけでなく、エストニアとリトアニアも同じ傾向が読み取れる。当然、それに連動してどの国も外貨準備高を激減させているわけだ。
いやぁ、これ見ると確かにラトビアは凄い勢いで外資が逃げてるのが読み取れるなぁ……。


baltic_external-debt.jpg
そして、いよいよ対外債務を見てみよう。これを見ると経済規模では、「リトアニア>ラトビア>エストニア」だったけど、全対外債務額を見ると、「ラトビア>リトアニア>エストニア」である事がわかる。やはり、ラトビアが一番外資依存の状況だった事が読み取れる。しかも、ラトビアは2009年1Qの政府債務が激増しているので、やはりバルト3国の中では一番せっつばった状況なんだろうか?ただ、もうラトビアは国債発行できないわけだしなぁ……。さっきの外貨準備高をグラフを見ると、ラトビアの外貨準備高が2009年5月時点で40億ドル程度だったので、すでにラトビアの対外政府債務はリミットまで来てるわけですよ。おそらく、ラトビア政府の債務はほとんどが短期債務だろうから、やっぱり非常にまずい状況かもしれないな……。

そして3国ともに、銀行部門、その他部門では2009年1Qで債務額が減少してるわけで、やはりロールオーバーできなくてどんどん外資の逃げている事が、ここでも読み取れる。ただ、エストニアとリトアニアの政府部門債務は外貨準備高と比較すると、まだ若干の余裕はありそうだな。特にリトアニアは、外貨準備高に対して、短期の対外債務と政府債務の割合が少ないので、おそらくデフォルト危険性という意味では、頭一つ抜いてエストニアやラトビアより安全であるわけか。


baltic_conclusion.jpg
そして、最後にバルト3国の直近の状況をまとめてみる。ここでは、あえて比較対象として「日本」と「韓国」を追加してみました。
さて、ここではGDPに対するそれぞれの対外債務額をパーセンテージで算出した。リトアニアは、経済規模に対して対外債務額は大した事になっていないけど、エストニアとラトビアは外貨準備高も豊富というわけじゃないし、かなり危ないかもなぁ……。




というわけで、とりあえずバルト3国について詳細に調べてみた結果を報告します。ここまで調べているのは、日本では俺が最初だと願いたい。(笑)
posted by きらっち at 23:52| Comment(1) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月27日

そもそも欧州における世界遺産の数が多すぎのような……

【「橋が景観破壊」世界遺産から抹消 独のエルベ渓谷】
http://www.asahi.com/culture/update/0626/TKY200906260050.html

ドイツの話で詳しい資料が無いのでわからないけれど、世界遺産を放棄してまで橋をかけるほうが、住民の便益は大きいという事なんでしょうな。


【『Wikipedia』 ドレスデン】
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%87%E3%83%B3

【グーグルマップ ドレスデン近郊】

大きな地図で見る

さて、Wikipediaによるとドレスデンは人口50万人という事なので、かなり大きな都市であることがわかる。グーグルマップを見ると、ドレスデンはエルベ川の両岸で発展しており、エルベ川南岸に駅があり高層ビル群もあることから、エルベ川南岸がドレスデンの中心部であるように見える。市の中心部辺りには、エルベ川に橋が4本かかっているけれども、これより東側にはエルベ渓谷が続いていて、5〜6km先にようやく次の橋(上記画像では見えていないけれど、これよりもさらに東側)がかかっているのがわかる。おそらく、この間に(Radeberger VorstadtからJohannstadt Nordにかけて)新しく橋を作るつもりなんだろう。

おそらく現状では、交通量に対して橋の数が足りないために、住民は交通渋滞に悩まされているのだろう。新たな橋ができる事により、中心部の4つの橋の交通量(特に一番東側の橋)を分散させたいわけね。


ちなみに俺は、別に世界遺産至上主義でも無いので、あまり感情の入るニュースでも無いのだけど、世界遺産を失う事のデメリットってそんなに大きいのかな?日本の場合は、まだそんなに世界遺産の数がたくさんあるわけでもないので、結構な観光効果になっているとは想うけど、ドイツには30以上の世界遺産があるので、世界遺産取り消しによって、どの程度観光客が減るんだろう?致命的な影響が出てくるのかなぁ……。
ただ、「世界遺産よりも住民便益を選択した例」として後世に残る例になるとは思う。これを逆手に観光客を呼べないかな?(笑)



【参考】
ドレスデンみたいに、人口50万人規模で、大きな川で都市域が分断されている日本の地方都市ってどこかにあるかな?と思って、グーグルマップをいろいろと見ていたんだけど、日本で言うと「新潟市」ってところでしょうか?(都市域が二分されているどころか、信濃川と関屋分水路によって三分されている)
新潟市の中心部(新潟島)には道路橋11本、鉄道橋2本、トンネル1本があり、ドレスデンどころじゃなくすごい状況だぜ。こりゃどこかの橋が通行止めになるだけで、スゴイ渋滞しそうな……。

【グーグルマップ 新潟市近郊】

大きな地図で見る
posted by きらっち at 12:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事

2009年06月26日

海外在庫を増やした日本の自動車輸出?

【トヨタ、5月国内生産41%減の19万台…76年以来最低】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090625-OYT1T00468.htm

この手のニュースは、よく「前年同月比」で○○%増とか△△%減と出されるんだけど、俺にとっては前月比の方がわかりやすくていいんだけどな。まぁ、確かに1月とか8月は休みの日が多い都合上、前月比では正確な状況把握ができないっていう事もわかるんだけどさ。という事で、トヨタの自動車生産台数の推移を見たかったので、↓の通り自分で作成してみました。

toyota_car-product.jpg
このグラフは、トヨタ自動車の乗用車と商用車の生産台数を国内/海外別であらわしている。さらに、国内で生産された自動車の輸出台数も掲載した。
さて、リーマンショック前の水準を見る限り、トヨタは海外生産台数と国内生産台数をほぼ同じく揃えていた節が読み取れる。ところが、2009年に入って、その傾向が崩れてきた。海外生産は、2009年1月で底入れして回復基調に乗ったのだけど、国内生産の方はさらに生産台数を落とし2月〜4月にかけて不振を極めていたわけだ。ところが、日本政府のエコカー購入補助の政策効果が出始めたのか、5月に入って国内生産台数は急回復した事がわかる。自動車は耐久消費財であっていつかは壊れてしまう物なので、このまま需要が激減し続ける事は考えにくい。おそらく政府の購入補助効果は、数ヶ月間くらいは持続するんじゃないかな?

そして一つ興味深いのが、2008年11月と12月。この月は、世界生産台数も国内生産台数も激減していたにもかかわらず、輸出台数はそこまで不調という事でもなかったのがわかる。ただ、トヨタの海外生産も激減しているので、当然海外の自動車需要も激減してたわけですよ。こんな状況で、一体どこに輸出してたのだろうか?
それを示唆するのが、以前↓のエントリーで書いたアメリカの自動車会社の在庫日数である。

【GMとクライスラー、そして米国自動車業界の行方】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/28774386.html

↑のエントリーを見れば、TOYOTAの在庫日数が、この時期増えているのがわかるであろう。おそらく日本から輸出されたトヨタの自動車が、現地工場で生産された自動車と販売層がかぶるので在庫が増えたと推測される。しかも在庫日数グラフを見ると、TOYOTAだけでなく他の日本の自動車会社(NISSAN、SUZUKI)も在庫日数が激増していることがわかる。きっと日産やスズキもトヨタと同様、輸出ペースを落とさなかったことで、逆にアメリカ法人の在庫が激増する事になったのではないだろうか?
意外に日本の自動車業界も、自国の在庫激増を防ぐためとはいえ、海外の現地法人に迷惑かけるのを承知で腹黒い事やってるなぁ。(笑)


ただ、上記のトヨタ自動車の生産グラフを見る限り、やはり日本の景気は2009年2月くらいが底だったのかねぇ。このまま順調に景気回復してくれる事を願うばかり。
posted by きらっち at 06:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月24日

日本の経済状況と対外債務

【ラトビア こりゃヤバイんじゃないの?!】(2009/06/06)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29640372.html

【ラトビア問題〜その後の展開〜】(2009/06/14)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29793523.html

【ラトビアに負けず劣らずエストニア】(2009/06/19)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29902626.html


先日、ラトビア経済危機関係で上記のエントリーを書いたのだけど、ラトビアを含むバルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の最新主要経済指標と対外債務のデータを見つけたので、近いうちにバルト3国の経済状況比較を書くことになります。
東欧ショックが起こるかどうかはまだわからないけど、数字に基づいた深刻なバルト3国の経済状況をお届けできそうです。

さて、バルト3国の対外債務状況を分析する前に、まずは自分の国の対外債務状況を知っておいた方が良いと思ったので、今日はとりあえず日本の最新主要経済指標と対外債務のデータを見てみよう。


japan_int-reserve.jpg
まずは、外貨準備高から見ていこう。↑は、2008年〜現在までの日本の外貨準備高の推移をあらわしている。日本の外貨準備高はおよそ1兆ドル前後で推移していることがわかる。リーマンショック直後、日本から多くのドルを流出していた事が10月の外貨準備高から推測される。ただ、わずか一ヵ月の間に外貨準備高は元の水準に戻ったわけで、日本は全然外貨準備高で困るような状況ではないわけだ。(まぁドル下落による為替含み損で、困っていると言えば困ってるのだが)


japan_gdp_quarter.jpg
そして、次に経済状況を見ていこう。↑が、2008年〜現在までの日本のGDPとGDP内訳の推移を示している。ここでは、今後のバルト3国の分析結果と合わせるために、GDP内訳を「民間最終消費支出」「政府最終消費支出」「総固定資本形成(住宅投資+民間設備投資+公的資本形成+在庫変動)」「財貨・サービスの純輸出」の4種類で分類した。(バルト3国は、何故か在庫変動を総固定資本形成にカテゴライズされているので、それに合わせた)

ここでのGDPは、物価変動を考慮せずに季節調整前の名目GDPであるため、あまり確かな事は言えないかもしれないが、リーマンショック直後の2008年第4四半期は、純輸出以外の全項目の前期比がプラスになっているし、意外にも国内経済は順調だったと言えるかもしれない。しかしながら、輸出関係で大打撃を受けた結果、2009年第1四半期が悲惨な状況になったのはみなさんもご承知の通り。ただ、輸出対GDPが20%もなく純輸出対GDPも1%に満たない日本が、何故こんなにも輸出で打撃を受けたのだろうか?この問いに対して、数字に基づく明確な答えは俺の中ではまだみつからない。
まぁいずれにしても、日本の場合は他の外国政府よりも国債発行ができるし、キャッシュフローも良いため、政府最終消費支出を増やしてGDPを底支えできるのが強みなんだよな。2009年第1四半期を見る限り全ての項目がボロボロの状態なので、ここは政府支出に頼る以外にマクロ経済を支える術は無さそうだよね。


japan_bop_quarter.jpg
次は、国際収支の方を見てみよう。やはりリーマンショックの影響は非常に大きく、2008年第3四半期から証券投資が大幅に赤字。まぁ、通常資本収支が赤字になるのは、外国人による日本への投資額よりも、日本人が外国に投資する額が大きいからなのだが、この時は外国人投資家が日本の株や債券を売り払ってしまって赤字幅の広がる要因になってしまったわけだ。
また、貿易収支の赤字転落と、海外の景気悪化で所得収支が激減した事により、経常収支の方も激減。日本は苦しい事態を迎えることになるのだが、取り急ぎ経常収支が赤字になっているわけではないので、こんな状況であろうともまだ海外からお金を稼げるわけだ。ということで、今後も外貨準備高が減り続ける状況は考えにくい。


japan_ex-debt_quarter.jpg
そして最後は、↑の日本の対外債務推移を見てみよう。まずは、日本全体の対外債務は2兆ドル(200兆円)程度あり、GDP比で考えると40%程度である。

【List of countries by external debt】
http://en.wikipedia.org/wiki/List_of_countries_by_external_debt

ちなみに上記が世界各国の対外債務ランキングなんだけど、これを見る限り日本の対外債務対GDP(ここでは2007年6月末時点で35%)は、世界的には低い値であることがわかる。いや、世界的に見て低いどころか、G7で絞るとずば抜けて低い値であることがわかる。米国100%、イギリス375%、ドイツ160%、フランス212%、スペイン80%、イタリア58%なので、対外債務で日本を見る限りにおいては、財務的に一番日本が健全であるわけですよ。(ただし対内債務になると、日本は凄まじい事になるわけですが。)

さて、対外債務推移の話に戻ろう。↑の画像を見る限り、政府部門に6500億ドル(約65兆円)の対外債務がある事がわかる。この債務が全て国債ではないだろうけど、800兆円以上の国債発行がある事実からすると、大した額じゃないように思えるよね。(笑)
これら6500億ドルが一気に日本から流出する事態は考えにくいわけだし、日本のGDPや国際収支の額から考えられるキャッシュフローを持ってすれば日本政府がデフォルトするとは思えないなぁ……。

そして通貨当局債務(つまり日銀債務)は、2008年第3四半期に激増。まぁ、リーマンショックで現金需要が急増したことによる短期の現金供給でしょうな。そのうち金融が安定化してくれば、日銀債務もそのうち消えるでしょう。

そして銀行部門に関してのみ、リーマンショック後から債務額が増えてるんですよ。しかも短期債務額が大きく増えているので、円高を見越した外国人が日本の金融機関の債券等を購入したのだろうか?
確かに、リーマンショック後に株価が落ちて金融機関の自己資本率が落ちてしまったため、自己資本率を上げるための新しく発行した株や債券を外国人もたくさん購入したと考えれば筋は通るけどね。



さて、今日の話をまとめると、
1.日本の1兆ドルに及ぶ外貨準備高、
2.マイナス成長とはいえ、日本のGDPは500兆円(5兆ドル)
3.リーマンショックにもかかわらず経常収支が黒字を継続
4.対外債務対GDPは40%程度で、先進国の中では非常に低い
この事実からすれば、少なくとも対外債務に起因する日本の経済破綻可能性はほぼ0%のように思える。むしろ、イギリスとかアメリカの方が心配になってしまうわ……。


ということで、近々バルト3国に関しても同じように「外貨準備高推移」「GDP推移」「国際収支推移」「対外債務残高推移」について書きますので、興味のある人は楽しみにしててください。
(やはり、驚くべき数字が出てきます。)
posted by きらっち at 23:55| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月23日

各地方自治体の地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使い道を紹介

ここ一ヶ月の本ブログのアクセス解析を見たところ、グーグルやヤフーで「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」のキーワード検索で本ブログに訪れる人の多い事がわかった。大体、平日1日当たり上記キーワードで7〜8アクセスくらいあって、ほとんどが地方自治体(*.lg.jp等々)からのアクセスである。

おそらく、この「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の一次申請〆切が6月末なので、この交付金を何に使おうか考えている自治体が非常に多いのだと推測される。6月も残り7日なんだけど、地方自治体に情報を提供する意味で、俺が見つけたいろいろな地方自治体の「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の使用例を紹介しよう。ひょっとしたら議会の関係とかもあってもう遅いかもしれないけど、どこかの自治体で何かの参考にしてくれれば幸いです。



【「臨時交付金」活用で理科の教材整備を 文部科学省が地方説明会】
http://eduon.jp/news/other/20090609-000812.html

【佐野市、小中学校にICT整備 国の臨時交付金、12事業を県に申請】
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20090620/162832

文部科学省は「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」に関して、地方説明会をやっていたんだね。確かに、自分達の財源じゃないので、これを上手く利用して学校設備を整えたいのだろうね。
そして、栃木県佐野市は小中学校のパソコンやLAN整備等をするとの事。米百俵の話みたいに、この手の一時的に交付されるお金を子供達のために投資するのは美談になるし、良いのではないでしょうか?


【新型インフルエンザ:修学旅行38校見合わせ 交付金で補てんも /神奈川】
http://tinyurl.com/mbd66w

う〜む、神奈川県。何と言うかタイムリーな話題ではあるけれど、何だか本来の趣旨とは違うお金の使い方になりそうな……。(笑)まぁでも、確かにこの場合の損失補填は誰に請求するわけにもいかないし、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」で補填するのは妙案と言えば妙案。果たして、何校くらいが申請して来るのだろうか?結果が非常に興味深い。


【和歌山県橋本市が追加補正予算案】
http://tinyurl.com/krngt7

【議会:小城市 /佐賀】
http://mainichi.jp/area/saga/news/20090612ddlk41010395000c.html

そして和歌山県橋本市や佐賀県小城市は、公用車としてのハイブリッド車購入、公立学校のパソコン整備や地デジ対応テレビ購入、そしてインフルエンザ用のマスク(7万枚)やゴーグル(200個)購入との事。マスクは数が多いのでまだしも、ゴーグルは誰のために購入したんだろう?医療関係者かな?ちょっと気になる。(笑)


【山形県 景気対策など重点に541億 県の補正予算案内示】
http://yamagata-np.jp/news/200906/18/kj_2009061800340.php

山形県はちょっと変わっていて、、「山形の宝育成事業」「総合ブランド戦略推進事業」「農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業」等々、ただ物を購入するのではなく、新たな事業を立ち上げるとの事。いやぁチャレンジ精神旺盛なのがいいですなぁ。是非とも、その後の山形の発展に寄与する事業になる事を願うばかり。



【来年度も地域活性化交付金を=自民特命委が決議へ】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009061600382

そしてこれはまだ決定事項ではないけれど、自民党の地域活性化特命委員会は、2010年度もこの「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の継続を求める決議をまとめたとの事。やりたいことがあるのにお金が無くて困っている自治体には嬉しい話ではないのでしょうか?取り急ぎ、これは参考情報まで。



(参考エントリー@)【地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例集】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29578381.html

(参考エントリーA)【「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業」 注目の独自地方事業!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29244890.html
posted by きらっち at 00:44| Comment(127) | TrackBack(3) | 仕事

2009年06月22日

民主党は円高推進派?

【2009/04/08 民主党「生活・環境・未来のための緊急経済対策」(骨格)】
http://www.dpj.or.jp/news/?num=15682

ちょっと時間が経過してしまったけど、上記は4月に発表された民主党の緊急経済対策(骨格)である。ちょうど与党の2009年度1次補正予算案に対抗して、民主党としての補正予算案の骨格を出したわけですよ。民主党の弱点として、「財源を具体的に示せない」というのはよく言われるところなのだけど、今回は民主党の言う財源の具体性を考察してみよう。

さて、上記ページ終盤の方の「規模・財源」のところに、

○2年間で約21兆円(真水)の財政出動。
○「天下り廃止等による公共調達のコスト削減」「独法・特殊法人の原則廃止」「国家公務員の総人件費削減」「直轄公共事業の見直し」「個別補助金の原則廃止、一括交付金化」等に財源を確保。
 これを担保するため、民主党は既にNC各部門において国の全ての事業の精査(事業仕分け)に着手済。
○H21年度の措置は、「経済緊急対応予備費」の活用、埋蔵金等により確保。

<参考>「埋蔵金」残高
  「財政投融資特別会計」 =6.5兆円
  「外国為替資金特別会計」=19.6兆円

○現下の経済状況に応じた緊急措置を講じると共に、これを一時的な対策にとどめることなく、国民生活の向上、社会保障制度の抜本改革、内需主導経済への転換を実現するための恒久的な政策へ切れ目なく移行し、その財源は予算の総組み替え(税金の使い方の抜本改革)の本格実施により確保する。


と記載されていて、とりあえず平成21年度の措置として民主党は主に「財政投融資特別会計」「外国為替資金特別会計」を見込んでいたことがわかる。それでは、「財政投融資特別会計」と「外国為替資金特別会計」について考えてみよう。



まずは、「財政投融資特別会計」について説明しよう。これは、国が財投債と呼ばれる債券を発行して調達した資金を、政府系組織に融資して公的事業を行うお金の事なんだ。今は融資利息が財投債の利回りを上回っているので、毎年その差額だけ利益が発生している。ただし、財投債の利回りが融資利息より大きくなった場合は逆に損失になるので、損失が出たときのために、毎年出る利益の一部を損失補填準備金として積み立てていて、それでも余ったお金は国債償還に充てられるとの事。

ちなみにこの準備金、民主党では残高が6.5兆円と書いてありますが、与党の方はこの6.5兆円を「定額給付金の財源(2兆円)」と「基礎年金の国庫負担引き上げ分の財源(2年間で4.6兆円)」(↓が参考記事)として利用したわけです。

【(参考)年金国庫負担2分の1に 年2.3兆円見えぬ財源】
http://www.asahi.com/politics/update/0619/TKY200906190391.html

果たして、民主党だったらどの程度の準備金をどのように使用していたのでしょうか?この辺に関する具体的で数字に基づく説明があればまだまだ民主党支持率も上がるだろうけど、終止与党批判で終わっていて具体的な数字内訳が出せないところを見ると、アピールの仕方としては非常にもったいない気がするなぁ。それこそ、世間からは批判の多い定額給付金の財源にもなっているのだから、「民主党は定額給付金の代わりにコレをやります!」と言えば、随分見直しちゃうのに。



そして、次は「外国為替資金特別会計」について説明しよう。これは、国が為替介入をやるときの財源となるもの。民主党は、外国為替資金特別会計で19.6兆円の埋蔵金があるとの事だけど、これは↓の書類の一番最後の「資金の明細」に出てくる「積立金」の事を言っているのだと思われる。

【平成19年度 外国為替資金特別会計財務書類】
http://www.mof.go.jp/jouhou/kaikei/syokan/gaitame_zaimu19.pdf

外国為替資金特別会計も財政投融資特別会計と同じ理屈で、為替の急変等の非常事態の場合に備えて積立金という制度があるのだと思うけど、果たしてこの積立金って全て円建てなのかな?むしろ、今までの円売りドル買いした分の米国債がほとんどのような。
確かにこれが全て円建てなら財源になるのかもしれないけど、これが外貨建てだったりすると、経済対策の財源にするためには円に換えないといけないわけですよ。当然外貨を売って円に換えるわけなので円高になるのは目に見えている。それも1兆円規模の円を得ようと思ったら、どれだけ円高になるのか果たして民主党はわかっている上で、これを財源にしようと言っているのだろうか?

【外為特会:円高で評価損約24兆円 積立金規模を上回る】
http://tinyurl.com/ly25r2

さらに↑の記事にあるように、リーマンショック後の円高で外国為替資金特別会計は評価損が出まくってしまい、評価損が積立金をも上回っているらしい。この記事は去年10月の時点で書かれたものであるけど、想定レートは1$=95円という事なので、ちょうど現在のレートなんですよ。少なくともこれだけ評価損が出ているにもかかわらず、積立金を切り崩して外貨建て資産を円に換え、さらなる円高のリスクを背負ってまで、経済対策の財源にするべきものではないと俺は思うんだが……。

しかも、去年10月時点でこの事がわかっていながら、民主党は4月の緊急経済対策の財源として「外国為替資金特別会計」を見込んでいたわけで、一体どういうつもりでこれを書いたのかはまったく不明。4月以降は円安になって、含み益が出るのを予想してたのだろうか?(だとすれば、それこそ経済音痴としか言えないわけだが)

仮に積立金が全て円建てだったとしても、これを財源にするという事は円安誘導のための円売りドル買い時の資金が少なくなるわけで、急激に円高が進んだ時に効果のある為替介入ができるかどうかが不透明になる。いずれにしても外国為替資金特別会計に関しては、万が一の為替急変時に使用するべき物なので、経済・金融がまだまだ先の読めないこの時期に使うものではないと思うんだよな。




という事で、今日は民主党の経済対策で財源として挙げられていた「財政投融資特別会計」「外国為替資金特別会計」について、自分なりに考えてみました。
「財政投融資特別会計」に関しては、すでに与党も埋蔵金として2009年度一次補正予算に投入するけれど、民主党の方は「どこに」「どれだけ」使うか全然説明していない点が非常に残念。
「外国為替資金特別会計」については、民主党が「為替レートのリスク管理」と「円換えによる円高」をまともに考えているように思えない点が残念極まりない。

別に俺は民主党が嫌いなわけでもないし、民主党はそれなりに良い事も言っているとは思うのだけど、経済や財源論に関してはあまり深く考えていない節があるので、一抹の不安を覚えてしまうんだよなぁ……。
「政府の無駄遣いを止めた分を経済対策の財源にする」と、もっともな事を言っているけど、GDPを知ってる人であれば「政府支出の総額」が変わらなければ経済成長率には寄与しない事はわかるわけで、俺的には政府支出の増加なくして何がどう経済対策なのか理解に苦しむんだよなぁ……。



(参考エントリー)【前言撤回と基礎知識の重要性】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29519820.html
posted by きらっち at 19:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治

2009年06月21日

3曲目〜感謝の想いを全ての人へ〜

2008年5月に大学の同期が結婚式をやったんだけど、披露宴の余興でこの曲をBGMに新郎新婦のPVを初披露しました。PVだと、ファイルサイズがとんでもないことになるので、ここでは曲の方だけ公開します。曲作りからPV作成まで全て自分でやったんだけど、PVの方は当日の結婚式で撮影した映像を元に、結婚式後の披露宴が始まるまでに、映像編集を終えなければいけないというハードなスケジュールでした。(笑)

新郎新婦の意向で、曲調はアップテンポなポップスに、そして彼らのエピソードを元に多少の脚色を付けて作詞をして、曲そのものはわずか1週間程度で作り上げたわりには、それなりに良くできていたかな。ちなみに歌の方は、同じく大学の同期の「のんたん」に歌ってもらいました。

ちなみに、↓を見ればわかるけど、サビのコード進行はカノンコードです。やっぱ、このコード進行は王道だよなぁ……。(笑)
という事で、この曲に関してはフルコーラスで公開します。もしお時間あれば、コメント欄かメールでご感想でもいただければ幸いです。


thanks-to-everyone.jpg

posted by きらっち at 12:55| Comment(3) | TrackBack(1) | 作曲

2009年06月19日

ラトビアに負けず劣らずエストニア

今日のタイトルは川柳になってるな、こりゃ。(笑)


【バルト三国進出で損失拡大 スウェーデン銀、国家破綻危機響く】
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200906180019a.nwc

【ラトビア こりゃヤバイんじゃないの?!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29640372.html

うむ、やはりスウェーデンはバルト三国への投資で痛い目を見るわけか。実際本ブログでも、↑のエントリーでラトビアの経済分析はしたのだけど、その他の「エストニア」と「リトアニア」に関しては、何も調べていなかったなぁ。最近は、「東欧諸国デフォルトが金融危機2nd-Stageの発火点になりそう」と言われ始めてきているいるし、とりあえず今日は最近のエストニアの主要な経済指標を全て探してこれたので、まずはエストニアのマクロ経済分析をしてみよう。 (ちなみに今現在、朝の5時。「そんな時間があれば寝ろよ」と俺自身も若干思っているのだが……)



estonia_foreign-reserves.jpg
さて、まずは↑のエストニアの1年程度の外貨準備高推移を見てみよう。ちなみに、エストニア通貨「クローン」はユーロとペッグっしているで、それを踏まえておいてほしい。
やはりエストニアも、リーマンショックの影響をもろに受けて2008年9月に一気に外貨準備高を消費してしまった事が読み取れる。その後は、一進一退が続くも平均的にはどんどん外貨準備高が少なくなっていることがわかる。ただ、最悪期の2月は抜け出したのかな?いずれにしても、2009月4月末現在で35億ドルくらいの外貨準備高は確保してそう。
ただ、ラトビアと同じで、今後エストニアも自国通貨防衛のために外貨準備高を消費することになるのだろうか?


estonia_external-debt.jpg
そして、次は↑のエストニアの部門別対外債務の推移を見ていこう。これを見ると結構意外な事があって、実は2009年第1四半期のエストニア政府の対外債務残高は、わずか8億ドルしかないわけですよ。しかも、その全てが長期債務なわけでなので、短期国債すら発行できなかったラトビアとは事情の違う事がわかる。
ただし、エストニアは国内金融機関とその他部門の債務残高が190億ドル程度あって、そのうち89億ドルが短期債務なわけですよ。いやぁ、エストニア政府のデフォルトは大丈夫だろうけど、エストニアに投資している外資が引き始めたら、エストニアの民間部門は壊滅状態になるなぁ。外貨準備高すら35億ドルくらいしかないので、エストニアの民間会社は涙目状態だな、こりゃ。
ちなみに外資会社間債務ってのは、例えばトヨタのエストニア支社がトヨタ本社に借金してるようなもの。まぁ実際エストニアにある外資会社っていうと、最初のニュースみたいにスウェーデン本社の会社が多いのかねぇ……。

という事で、国全部の対外債務の合計は244億ドル。そのうち短期債務は90億ドルって事で、エストニアはこれ以上外資に引かれると大手企業が続々潰れそうな気配が濃厚。ただ、政府債務が少なく全て長期債務なので、短期国債であればまだこれからでも発行できるのかもしれないが……。



estonia_balance-of-payments.jpg
そして、次はエストニアの国際収支の推移を見ていこう。リーマンショック前までは、ラトビアと同じく経常収支が大幅赤字で、資本収支で国を支えていたことがわかる。ところが、エストニア国内の超不景気のために、株等の国外配当金が減り所得収支の赤字幅が縮まった事と、韓国と同様に輸入激減により貿易収支の改善した事により、2009年第1四半期の経常収支は赤字を脱したのだけど、この改善は縮小成長によるものなので、あまり良い傾向ではない。
一方で外資がエストニアから逃げ出して資本収支が赤字の状態に。しかも2009年第2四半期は直接投資も赤字になりそうな勢い。証券投資の方は、それこそ短期的なトレードで買っている人が主なんだろうけど、買収目的の直接投資まで赤字になってしまうと、本気で外資はエストニアを見捨てる気という事なんでしょうか?

いずれにしても、エストニアも外貨準備高を何とかして増やせる状況ではないな。当面は、35億ドルの外貨準備高で何とかするしかないわけで、ラトビアとそんなに状況は変わらないのでは?


estonia_gdp.jpg
そして、心配なのが↑のエストニアGDPですよ。2009年第1四半期のエストニアの経済成長率は、前期比で-14.5%。年率換算で、何と-46.6%ですよ!経済成長率で、こんなすごい数字初めて見たよ。日本の年率換算の-15%が大したこと無いように思えるもんなぁ。(笑)
しかも2009年第1四半期のGDP各支出項目の前期比を見た場合、総固定資本形成が一番ひどいという事は、まさにエストニアの固定資産バブルが弾けたって事なんだろうか?総固定資本形成は、2008年の第4四半期から激減を始めていて、外資の引き始めたタイミングとほぼ符合する事より、やはり今までは外資によるバブルを引き起こされていた事が推測される。
民間最終消費もすごい勢いで縮小してるし、数が小さいので純輸出には期待できないし、大量の国債発行が期待薄のため政府支出に頼るのも無理があるし、エストニアの打てる手はほとんどなさそう。確かに、EUかIMFに泣きついて融資をお願いするのがベストな方法かもなぁ……。



という事で、エストニアの状況をまとめると、

1.政府の対外債務は少ないが、民間部門の対外債務が膨大
2.国全体の短期債務は90億ドルで、外貨準備高が35億ドル
3.2009年1Qの経済成長率は年率換算で-46.6%で国内経済壊滅状態
4.急激な資本収支の赤字により急速な外貨準備高増加は難しい

ってなところかな?この前のラトビアの経済分析では、今回ほど突っ込んだデータがなかったので、エストニアとの比較ができないのが残念なところ。いずれにしても、今後も空いている時間を見つけて「リトアニア」「ハンガリー」「ウクライナ」「ポーランド」「ブルガリア」等々の東欧諸国の経済分析をやろうかと思っているので、随時資料が見つかり次第この場で発表することにします。


願わくば、東欧ショックが起きない事を祈っているのだが、果たしてどうなる事やら。
posted by きらっち at 05:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月18日

恐怖の内閣法制局

【内閣法制局よ、お前は何者なのだ】
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/200906/topic_02.html

いや、別に俺も江田議員と一緒になって内閣法制局を批判したいわけじゃないので悪しからず。「内閣法制局と付き合うのはこういう事だ」という良い例を出したかっただけ。(笑)


霞ヶ関に勤めている方はすでにご存知だろうけれど、内閣で法律を作成したり改正をする場合、まずその法律案を内閣法制局に審査してもらわなければならない。内閣法制局の審査を通った後に、議論の場は国会へと移されるわけだ。

ちなみに余談だけど、内閣立法ではなく議院立法に関しては、衆議院法制局と参議員法制局という組織があるらしい。(俺も行った事ないので、まったくわからないけど)

さて、内閣法制局で法律の審査をするのは「参事官」と呼ばれる課長級の方なのだが、上記の記事にもあるように、彼らは相当に厳しい審査をするので非常に有名。俺も昨年度初めて内閣法制局デビューをしたのだけど、法律案文を見せる前の段階として、改正しようとする法律案の意図を最初に説明したときに、「そんな法律はあり得ない!」「話にならん!」と散々に怒られた記憶がある。(笑)冗談じゃなく、法律1条に1時間以上かかるなんてのはザラで、良い意味で「法律」の重さを実感したわけですよ。
まぁ幸か不幸か、昨年度の俺の場合はいろいろと事情があって実際には法改正しなかったわけで、内閣法制局には数回怒られに行っただけですんだのだが、それこそ実際に法改正をやるとなると、「毎日午前様の生活が続く」とは先輩から言われてたんだよね。あんなのが毎日続くかと思うと、確かに憂鬱になるなぁ……。(笑)


ところで俺は、大学時代から法律なんて物はまったく関係ない世界を過ごしていたわけで、法律は公務員になってから初めて扱う立場になったわけだ。そんな俺が参事官とのやり取りを通して感じた事は、「内閣法制局に通う事はプログラミングと似ている」という事である。
法律で出てくる日本語の使い方なんかは、まさに歴然とした規則があるわけで、自分の組んだプログラム(法律文)をコンパイラ(参事官)がいつもはじいてしまって、なかなかコンパイルする(OKをもらう)事ができないわけですよ。(笑)
非常にやっかいなのが、このコンパイラは文法チェックだけでなくプログラム本体の思想にまで口を出してくるので、文法上は良くても思想の方のデバッグが非常に大変なんだよなぁ……。


ということで、今年度も再び内閣法制局に通おうと思ってるんだけど、果たして今度はどこまで怒られることやら……。(笑)
posted by きらっち at 19:48| Comment(7) | TrackBack(0) | 仕事

2009年06月17日

産業連関表による各都道府県の経済波及効果分析

【成田・羽田の国際線拡大、年9800億円の経済効果 国交省試算】
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20090612AT3S1202K12062009.html

【世界砂像フェスティバル:経済効果96億円 入場収入は3億円−−実行委 /鳥取】
http://mainichi.jp/area/tottori/news/20090609ddlk31040731000c.html

この手の経済波及効果の記事をよく見ると思うんだけど、「どうやって算出してるんだろう?」と思った事ってありません?

今日は上記の記事そのものではなく、経済波及効果を算出するのに使われる産業連関表を使って、地方の産業毎の経済波及効果を考察する。

さて、まずは産業連関表についてだけど、wikipediaでは以下のように説明されている。

数年おきに政府が調査しているもので、それぞれの産業毎の生産構造(どの産業からどれだけ原料等を入手し、どれだけ賃金等を払っているか)や、販売構造(どの産業に向けて製品を販売しているか)をみることができ、経済構造の把握、生産波及効果の計算などに利用されているものである。

wikipedia『産業連関表』


【平成17年(2005年)産業連関表(速報) 生産者価格表 34部門】
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000002568524

【平成17年(2005年)産業連関表(速報) 逆行列係数表(開放型) 34部門】
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/Xlsdl.do?sinfid=000002568535

実際には、上記エクセルファイルが平成17年の日本全体の産業連関表そのものである。詳しい説明は省くけど、産業連関表には様々な種類があるのだけど、「生産者価格表」が基本形のものである。ただ、経済波及効果を見る場合は、通常「逆行列係数表(開放型)」の表を見る。この「逆行列係数表(開放型)」というのは、注目している圏外からの輸入を加味して、圏内に1単位の最終需要がある場合に、どれだけ経済波及効果があるかを調べるのに適したものである。

実際に上記の逆行列係数表(開放型)ファイルを見てみよう。「農林水産業」の列に注目して欲しい。
(農林水産業)1.140839→(鉱業)0.001464→(飲食料品)0.107463
→……→(列和)1.779103
とあるが、これは「農林水産業」が作る10000円の製品やサービスを購入した時、農林水産業に11408円、鉱業に14円、飲食料品に1074円、そして産業全体として17791円の経済波及効果のある事を示している。

さて、これにより「列和」の行で一番大きな値を取る産業が、日本で一番経済波及効果の大きい産業である事がわかるのだが、実際それは何の産業で列和がどのくらいかというと、「輸送機械」で列和が2.815172というのがわかる。つまり自動車産業が作る製品やサービスで100万円の需要があれば、281万円の経済波及効果がある事がわかる。「自動車産業はすそ野が広い」と言われているけど、確かにこのデータが数字でそれを裏付けているわけですよ。


そしてようやく今日の本題。実はこの産業連関表、日本全体のみを対象にしているのではなく、それぞれ各都道府県対象の産業連関表も作成しているんですよ。よって、今日は「兵庫県」「愛知県」「青森県」の3県の産業連関表からそれぞれの都道府県の産業の特徴を考察してみたい。

local-pref_io-inv.jpg

local-pref_io-inv2.jpg

local-pref_io-inv3.jpg
という事で、3県の産業34部門における経済波及効果を↑に示す。何せ部門数が大きかったので、3つの画像に分割しました。今回は日本という国が一つの単位ではなく、都道府県を一つの単位としているので、「県内への経済波及効果」と「県外への経済波及効果」をわけてグラフで示している。(詳しい説明は省くけど、逆行列係数表の「閉鎖型」と「開放型」の列和差分を取る事により県外への経済波及を算出している)

まず2番目の画像を見て欲しい。「輸送機械」を見ると、愛知県にダントツの県内経済波及効果があるのがわかる。これは、自動車という利益率の高い最終製品や中間部品を多量に生産しているからだと思われる。ということは、愛知県の県庁/市役所/町村役場で、いっせいに官用車をプリウスに買い換えるだけで、愛知県の景気浮揚にかなり寄与するんじゃないの?(笑)

一方、輸送機械における兵庫県や青森県の県内経済波及効果が少ないのは、生産しているものが自動車という完成品ではなく、部品中心だからだと思われる。しかも、青森県だけ県外経済波及効果が一段少ないのだけど、これは青森県の作る自動車部品が、青森県内で生産される中間財を中心に生産できる物であると推測される。
同じく2番目の画像で「精密機械」や「その他の製造工業製品」でも、青森県だけが兵庫県や愛知県と比べると極端に県外経済波及効果が小さい上に、県内経済波及効果も低い事がわかる。これも同様の理由であろう。
全体的に鉱工業の多くの部門で、青森県は県外経済波及効果が兵庫県や愛知県よりも小さいので、県内のみで生産が完結する傾向がある物を生産しているという事だろう。

次は1番目の画像の「農業」を見て欲しい。3県とも県内経済波及効果に大差は見られないけれど、県外経済波及効果に関しては、ここでもやはり青森県が一番低い事がわかる。ただし、青森県の産業連関表(生産者価格表)を見ると、上記の鉱工業部門とは違い、青森県は農業生産が盛んで他県にどんどん輸出する一方で、農産物生産による県外経済波及効果が少ないわけだ。
これはつまり、他県の力を借りずに青森県だけで農産物を輸出できる事を意味しているので、効率よく農業で稼いでいるとも言える。「さすが農業王国だ」という事が産業連関表からも読み取れるわけですな。

そういう視点から行くと、兵庫県の農業は県外経済波及効果が大きいので、農産物の生産には県外からの多くの輸入が必要であるわけだ。しかも兵庫県の産業連関表(生産者価格表)を見ると、兵庫県は農産物をほとんど他県に輸出していない。つまり、兵庫県は自分の県の需要しか満たせない上に輸入が多いわけで、農業においては効率の悪い稼ぎ方になっている事がわかる。


このように産業連関表は、それぞれの産業構造や経済波及効果がわかるために、いろいろと活用できる機会があるとは思うのだけど、その原理は大学程度の数学の知識がいるために、完全に理解しようとするのは結構難しいかもしれない。(ちなみにこの産業連関表で、発案者のレオンチェフはノーベル経済学賞を取っている。)

一番上の飛行機路線やイベントでの経済効果も、一般的なお客さんのお金の使い方(お土産に○○円、外食に○○円等々)もモデルとして産業連関表を使って経済波及効果を算出してるんだろうね。


ところでこの産業連関表は、各都道府県と政令指定都市クラスの市でも作成している。また、本エントリーでは産業を34部門にカテゴライズしていたが、実際は100以上の部門表を作っているはずなので、興味のある方は、是非自分の自治体の産業連関表を見ながら何かの役に立ててみてはいかがでしょうか?
posted by きらっち at 12:41| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月16日

長期的な日本のビジネスモデルとは?

【第85回「今こそ『海外投資立国』に針路を取れ!──L型不況は経済・経営の構造転換の好機」】
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/saito.cfm?i=20090528c1000c1

日本は中期的に見ると、まだ円高が進む可能性が高い上に中国等の新興国の輸出が今後も伸び続けるとみられるため、そのうち貿易黒字から貿易赤字国に反転すると見られる。
そして長期的に日本を考えた場合は、人口減少により経済規模が縮小するので大幅に円安へと振れる可能性が濃厚。確かに上記のコラム作者だけではなく、日本経済がおおよそこういう流れを辿りそうだという事は、大抵の経済評論家の総意だとは思う。

まぁ、俺個人的には日本がそこまで輸出依存国とも思えないのだが、確かにリーマンショック後に全世界の需要激減により、日本の輸出産業は多大なダメージを受けてしまい、経済成長率も年率15%のマイナス成長を記録してしまったわけだ。日本の輸出額対GDP(およそ10%台後半)は他の先進国よりも10%〜20%程度低い水準なのに、
何故日本が一番経済成長率が落ちたのかは、俺も根拠ある数字で説明できないので、とりあえずは上記のコラムの通り日本が輸出依存国であるとして話を続ける。


さて、コラムの執筆者の斎藤所長は、人口減少によって内需の規模も縮小するので、日本の経済規模を維持しようとすると、やはり活路は海外に求めるしかない旨を書いている。その手段を、「貿易」でも「サービス」でもなく、「投資」にあるとの事。俺も、いつか日本は投資立国を目指さなくてはいけないとは思うのだけど、「今すぐ」じゃ無い方がいいとは思うんだよ。その理由は以下の3つ。

@まだまだ円高になる可能性が高い
ドルとユーロがどうなるかまだ不透明な部分があり、今後もし世界経済の二番底があるとしたらさらに円高が進むわけで、とりあえず為替レートが安定するまでは下手に海外投資しない方が無難じゃないのかなぁ。最終的に海外投資で儲けたお金を円に換えるのであれば、最も円高が進んだ時点で買収して、その後の円安局面で円に換えるのが一番損をしないよね。

Aまだ日本は貿易黒字を続けられる見込みがある
世界的に「環境」が次の時代の大きなビジネスになると言われているけど、日本の技術は世界でもトップクラスなので、まだまだ貿易黒字を続けられると思うんだ。手元の資金を下手に海外に投資にするよりは、技術開発につぎ込む方が貿易黒字の期間を延ばせるんじゃないのかな?そもそも電気自動車の輸出が大当たりすれば、それこそ10年〜20年くらいはまだまだ自動車でも輸出を引っ張っていけると思うんだよな。

japan_bop.jpg
B投資の一本化へのリスク不安
↑に、昭和60年〜平成20年までの日本の国際収支を示す。これを見る限り経常収支の稼ぎ頭は、平成17年より貿易収支ではなく所得収支であることがわかる。そう、海外からの収入に関しては、すでに日本は投資大国になっているんですよ。ここでさらに一気に投資に舵を切ってしまうと、日本は「投資」一本にビジネスモデルを絞ることになる。このビジネスモデルの一本化って、俺個人的には不安なんだよな。というのも、ビジネスモデルを一本化に絞った国を考えて欲しい。石油価格の暴落やリーマンショックでロシアやアイスランドがどうなったかを知っていれば、ビジネスモデルを一本化する怖さがよくわかるのではないだろうか?
「投資」は汗水流して物作りをするわけでもなく、非常に楽な稼ぎ方ではあるので、この楽を覚えてしまうと、再び「貿易」とか「サービス」に日本のビジネスモデルをチェンジできるのかどうかも不安なんだよなぁ……。



俺の意見としては、完全に投資へと舵を切るは最後の手段にして、サービス収支をある程度の黒字幅を拡大させた方がいいのでは、と思っている。齋藤所長は、サービス収支を伸ばすことは否定的な立場を取っているけど、俺は日本のサービス収支はまだまだ成長の余地と、成長させられる環境があると思っている。
先の国際収支を見ると、サービス収支はまだ赤字なんだけど、年々赤字幅が縮小しているので数年後には黒字に転換できるかもしれないんだよね。ということで、まずは現状の日本のサービス収支の詳細がどうなっているかを見てみよう。

japan_bop-servises.jpg
↑が日本のサービス収支の各項目である。これを見ると「旅行収支」がサービス収支の足を引っ張っている事がわかる。この原因は、日本人が海外旅行でお金を使うからが主因である。さすがに「海外旅行に行くな」と国が国民に命令できるわけではないので、日本人が海外旅行に行くことは止められない。けれども、逆に外人に日本旅行に来てもらえれば旅行収支の改善は可能である。
そういう事情もあって、政府は観光庁を発足させたし、ここ何年かで外人に日本旅行をしてもらうようアピールし続けた結果、外国人観光客の増加によって旅行収支は改善している。円高で今後も確実に外国人観光客が増えるかはわからないのだけど、今後も何かしらの施策を打ち続ける事は旅行収支上からも非常に重要な気がする。

そして、ここ数年で大きく伸びた項目としては「特許等使用料」なんだよね。俺は、これが今後日本のサービス収支を引っ張る事になるのでは、と思っている。「特許等使用料」の項目は、日本の輸出産業や知的財産と大きく関係しているし、この項目は政治であまりぶれるところでもないために、黒字幅が拡大できる環境は整っていると思うんだよなぁ。


ということで、俺の意見をまとめると

@貿易収支とサービス収支でなるべく長期間の黒字確保をねばる。
特に貿易収支に関しては、環境製品や電気自動車に期待。サービス収支に関しては、旅行収支を改善しつつ、特許使用料を伸ばす。

A貿易収支とサービス収支で限界が見えたら、完全に所得収支(海外投資)へと舵を切る。

というスタンスがいいのではないでしょうか?でも、それこそ海外に投資を加速させると、日本の国債を買ってくれる人が減るんだろうなぁ……。(笑)



参考エントリー【そんなに日本はダメなのか?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/28400605.html
posted by きらっち at 00:01| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済

2009年06月15日

日本政府が口を出すべきか否か

【「それも麻生さん」ということ。“鳩の乱”の幕切れ】
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/0906/15/news018.html

今の日本郵政は、すでに政府組織ではなく完全に民間会社という位置付けになっている。ただし、現在のところ日本郵政の株は100%日本政府が保有しているので、政府が「西川社長の再任はダメだ」と言うのであれば、法律的には問題は無いのかもしれない。

ところが、日本郵政は順を追って2017年までに政府の株保有率を30%にまで減らす道筋がすでに出来てしまっている。まさに小泉さんの言う「官から民へ」の途上段階なわけだ。こういう状況の日本郵政に対して、内部委員会では西川社長続投の結論が出ているにもかかわらず、政府が拒否して西川社長を辞めさせるのであれば、結局政府が民間会社「日本郵政」の重要事項を決めてしまう事になり、何のための民営化だったんだ?って事も言えると思うんだよな。



ところでこの問題、イデオロギー的には以下の2つが対立している事になる。

1.政府がスポンサーなのだから、積極的に社長人事に政府が介入すべき
2.政府は民間企業の経営に介入すべきでない

これも時代と共に考え方が変わっていくものなのだろうけど、アメリカなんかを見ると、GMに関しては公的資金注入のかわりに前CEOを辞任させたりしたので、資本主義をリードしていた国が今や社会主義みたいになってるわけですよ。そのGMブランドの一部を社会主義国の中国が買収(まさに資本主義を表すキーワード)しようとしてるので、一体どの国が資本主義で、どの国が社会主義なのか、よくわからない混沌した世界情勢になってしまったよなぁ。(笑)

ちょっと脱線してしまったので、話を元に戻そう。今のアメリカは国を揺るがすほどの経済危機が起こっているので、社会主義化するのは当然かもしれない。以前のGM経営者じゃ、新生GMの再建は無理だと判断したのであれば、公的資金のスポンサー特権でCEOを辞任させる事もやむなしと思う。
ところが今回の西川社長の場合は、別に日本郵政の経営がやばくなったわけでも、日本を揺るがす事態でもない。言ってみれば日本郵政のお家事情に前大臣が文句を言っていたわけで、そこまで日本政府がしゃしゃり出る必要があるのかなぁ……。

確かに、「かんぽの宿」は税金によって作られたものだろうけど、そもそも日本郵政はすでに民間会社なので、「かんぽの宿」は政府の所有ではなく民間会社「日本郵政」の所有物になるって事でしょ?であれば、どのように自社資産を売ろうが、それは日本郵政の判断で日本政府が口を出す問題でも無い様な気がする。
これが数十兆円規模で日本経済にかなり影響する話なのであれば、株主として政府が直接対応するべきなんだろうけど、かんぽの宿に関しては数百億円規模の話であるので、ここまで話が大きくなるような事だったのかどうか……。


ただ、「かんぽの宿を叩き売りする明確な理由」を日本郵政は説明していないのも確かだと思うんだよね。この辺は、是非とも再任後の西川社長の口から発言していただきたい。
posted by きらっち at 19:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治

2009年06月14日

情報理論 誤り訂正符号とは?!

今日は、インターネットや携帯電話に代表されるデジタル通信の要である「誤り訂正符号」(通信路符号化)について説明しよう。

さて、デジタル通信においては、テキストや音声や画像も全て「0」「1」に置き換えられたデータを通信している。例えば、テキストデータの場合、
「a」→「01100001」
「A」→「01000001」
というように、半角アルファベット文字は8個の「0」「1」によって、一意に符号(01データ)が割り当てられている。(この割り当て規則をASCIIコードといって、↓の通りになっている)

【ASCII文字コード】
http://e-words.jp/p/r-ascii.html



さて、今「a」の文字をインターネットで乙が甲に送信したとしよう。この時、実際の通信では「01100001」の符号が甲のPCへと伝送される。ところが、通信の途中でノイズが混じってしまい、甲に届いた符号が「01000001」だったとする。すると、↓の画像をのように、甲のPCでは「a」ではなくて「A」を受信したことになるわけだ。
noise_exsample.jpg
このように通信ノイズがあった時、送信した符号が相手に正しく伝わらないので、非常に困るわけだ。しかも、この手のノイズは(特に無線通信においては)結構あるわけで、ノイズを無視するわけにはいかない。となると、受信側はノイズのあることを前提として、受信符号から正しい符号に戻せるような仕組みが欲しい。
「そんな事できるのか?」と思う人がいるだろう。ところが、多少余計な「0」「1」を付加することにより、ノイズによって反転した「0」「1」を受信側で元に戻せるんですよ。


実際の例を示そう。ASCIIコードは、「0」「1」の数が8個と多いので、今は簡単のために
「a」→「0」
「A」→「1」
としよう。(以下、この規則は受信側もわかっているとする。)この時、「0」を送信して「1」を受信したとする。この時、受信側では正しい符号が「0」なのか「1」だったのかを判断できない。

ここで、送信側の方でもう1つ同じ「0」「1」を重ねるとして、
「a」→「00」
「A」→「11」
とする。ここで、「00」を送信して受信側で「01」だったとする。仮に、たかだか1個の「0」「1」しか反転しないとしても、この時受信側では「00」が「01」になったのか、「11」が「01」になったのか、まだわからない。ただし、ノイズによって反転した「0」「1」のある事だけは検出(誤り検出)できるが、正しい符号に戻すこと(誤り訂正)はできない。


さて、もう少し考えてみよう。
「a」→「000」
「A」→「111」
としよう。ここで「000」を送信して受信側で「010」だったとする。この時、仮に3つの「0」「1」のうち、一箇所しか反転しないとすれば、「010」は「000」だったと推測できる。この時は、誤り検出も誤り訂正もできるわけだ。この場合の概念図を以下に示す。
3bits_relation.jpg
↑の立方体は、「000」「001」「010」「011」「100」「101」「110」「111」の概念図を表している。この図では、立方体のそれぞれの頂点が各符号を表していて、辺でつながれたそれぞれ隣の頂点は一個の「0」「1」が反転している事をあらわしている。
ここで、「000」の隣接頂点「001」「010」「100」は、「000」から一個しか「0」「1」が反転していない。よって、たかだか1個の「0」「1」しか反転しないのであれば、この符号を受信した時に正しい符号が「000」であったことがわかる。
同じように、「111」の隣接頂点「011」「101」「110」を受信したのなら、正しい符号は「111」であった事がわかるだろう。
ただし、もし2つの「0」「1」が反転しているのであれば、受信符号の誤り検出はできるが、正しい符号への誤り訂正はできない。



この事を少し一般的に考えてみると、「誤り訂正」という概念は、以下のような集合図であらわせるわけだ。このように「000」と「111」で、1個の「0」「1」が反転した2つの集合に、共通部分がなければ誤り訂正が可能という事になる。
correction_code.jpg
問題は、今みたいに送るべき情報が「a」「A」の2つではなくて、数百万とか数千万みたいに非常に大きな数になった場合に、誤り訂正のために付加する符号をどう作るか?という事なんだよね。
実は、これは「巡回符号」「CRC符号」というようなアルゴリズムがすでに開発されているけど、話が非常に高度になるので興味のある方はそれぞれ調べてみてください。



いずれにしても、このような技術を使ってノイズで反転した「0」「1」を正しい符号に戻すことにより、多少電波や通信状態が悪かろうが、正しくメールやデジタルデータが相手に伝わるわけですよ。
いやぁ、誤り訂正符号の研究も数学を駆使することになるので、スゴイ面白そうなんだよねぇ。
posted by きらっち at 22:06| Comment(4) | TrackBack(0) | 科学

ラトビア問題〜その後の展開〜

【ラトビア こりゃヤバイんじゃないの?!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29640372.html

↑の6月6日エントリーで、ラトビアの国債応札が0だった事を取り上げて、ラトビアの経済情勢を分析しました。今日は、その後のラトビア情勢をお伝えしよう。



【為替介入でラトビアの金融市場がまひ、翌日物銀行間金利は100%】
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-38494720090610

まずは、良くないニュースからだけど、やはりラトビア政府が外貨準備高を放出してラッツ確保に走り出したため、短期金利が急上昇。その結果、翌日物の銀行間金利は100%になってしまったとの事。これ、常識的にはあり得ない金利でしょ?!(笑)
確かに、ラッツの為替市場の規模は小さいだろうから、国が本気の介入を仕掛ければ、このくらいの数字が出てしまうのかもしれないけど、やはりラトビア政府は相当追い込まれている事を示唆している。


【スウェーデン中銀、欧州中銀から4000億円借り入れ】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090610AT2M1003O10062009.html

そして、ラトビア問題で一番迷惑を被っているスウェーデンにも動きが出てきた。スウェーデンの民間銀行は、ラトビア向けの多額の債権があるので、ラトビアに万が一の事があるとスウェーデンの銀行にも相当のダメージが来る。
このままラトビア問題のほとぼりがおさまるまでは、「保険」の意味で30億ユーロをクローナ(スウェーデン通貨)とのスワップで確保するらしい。


【EU、ラトビアに1600億円融資へ 月末にも、市場の不安を緩和】
http://www.nikkei.co.jp/kaigai/eu/20090610D2M1000510.html

そして肝心のラトビアの方は、EUが12億ユーロを今月末〜来月上旬にも実施との事。とりあえず、この融資によってある程度はラトビアも持ちこたえられるかもしれない。
ただ、先日のエントリーでも書いたんだけど、ラトビアは経常収支の大幅な黒字は見込めず確実な外貨確保が保証されないため、おそらく自立的に復活するチャンスは皆無と言ってもいい。(リーマンショック後に、同じく破綻の懸念された韓国とはこの点が大きく違うところ)つまりラトビアは、欧州の金融正常化をもって、再び外資による投資に期待するしか外貨獲得のメドがないわけだ。

今のこの金融情勢から察するに、ラトビアは数ヵ月後に再びEUから融資を受けることになりそうな……。
posted by きらっち at 06:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月12日

偽造米国債である事が濃厚

【イタリア:日本人?2人拘束 米債券13兆円持ち出国容疑】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20090611ddm041040136000c.html

何だこの事件?!記事を見る限り、「額面5億ドルの米国債249枚等が見つかった」と書いてあるけど、イタリアで1245億ドル分の米国債が見つかるってあり得なくないか?

というのも、アメリカ財務省国債局の対外米国債発行残高HP( http://www.treas.gov/tic/mfh.txt )を見る限り、2009年3月時点での外国所有の米国債の総額は3.27兆ドル程度であり、そのうちイタリア政府とイタリア民間部門の米国債保有残高は166億ドルとなっている事がわかる。つまり、イタリア国内に1245億ドルの米国債があるわけがないんだよね。

しかも上記HPより、外国政府所有の米国債が2.25兆ドルであるので、外国民間部門が所有している米国債は、1兆ドル程度しか流通していないはずなんだ。もしこの米国債が本物だとすれば、その8%程度の額が一度に発見されたことになるので、どう考えても本物の米国債とは思えないよなぁ……。

そもそも、「持ち出した二人が日本人」という事は、この二人のパスポートに根拠があると思われるのだが、まずはこのパスポートが本物かどうかを確認しないとな。どうも、これだけの額となると裏に怪しい匂いを感じてしまうのだが……。



ちなみに、同様の事件は過去にもあったのかと思って、
いろいろ調べてみたら、5年前の↓の記事が見つかったよ。

【偽造日本債券50兆円を所持の5人を逮捕】
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=55676

さぁて、これは何を意味しているんだろうか……。事件の続報を待ちたい。



ただ……。万が一これが本物の米国債だった場合、40%の罰金って事は、500億ドル(およそ5兆円)の罰金でしょ?運び屋は2人とはいえ、当然これは一生かかっても払える額ではないので、まさに生きる不良債権になるしかないわけだよなぁ。(笑)
posted by きらっち at 19:29| Comment(8) | TrackBack(0) | 時事

2009年06月11日

生活保護への税金投入

【生活保護受給、3月は165万人 08年度は13年連続増】
http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009060501000728.html

何せこういうご時世なもんで、当然生活保護を受給する世帯数も増えるのは当然だと思う。しかし、失われた10年を抜けてからリーマンショック1年前までは、景気拡大期だったにもかかわらず生活保護受給世帯が増え続けたわけで、これに関しては「小泉の負の遺産」とかいろいろ意見のある人は多いだろう。

ところで、TVで生活保護の特集なんかをやる場合、被保護者の悲惨な生活実態を見せて視聴者の同情を煽りつつ、「政府は生活保護拡大するべき」というスタンスの番組がほとんどなんだよね。確かに、視聴率を稼ぐという意味ではそういう展開にならざるを得ないと思うんだけど、もちろん生活保護の財源は税金である。そして、実際のところ生活保護にどれくらい税金が使われているかを知っている人って、意外に少ないんじゃないかな?
という事で、今日は生活保護に投入される税金について紹介しよう。



【法令データ提供システム 生活保護法】
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S25/S25HO144.html

↑が生活保護法の全文である。この生活保護法の第73条と第75条に、地方と国の費用負担について定めていて、国が3/4、地方が1/4の負担をする旨が記載されている。さて、それじゃ実際のところ国と地方はどれだけ生活保護に対する支出をしてるかというと、↓のファイルを見て欲しい。

【国・県における国庫支出金の支出状況】
http://www.soumu.go.jp/menu_seisaku/hakusyo/chihou/21data/excel/s-026-1.xls

これは、総務省の地方白書HPにあるデータで、H19年度の国・県の国庫支出金の支出状況をあらわしているエクセルデータである。この中に「生活保護費」という項目があって、都道府県と市町村が合計1.98兆円の支出している事がわかる。このおよそ2兆円は、国が負担する3/4に該当するお金なので、残りの1/4(およそ6700億円程度)は地方の独自財源で支払うわけだ。よって全部で2.67兆円程度の税金負担のある事がわかる。

この数字を大きいと見るか小さいと見るかは人それぞれだけど、
国民一人当たり20500円程度負担してる事になる。



生活保護に関してはいろいろと意見があるのだけど、基本的に手厚い生活保護を主張する人の主張は「かわいそうだから」とか「最低限の文化的生活には程遠い」といった感情論や主観に基づく程度論で主張する人が多い印象を受ける。一方で、生活保護は手厚くなくて良いと考える人は、数字に基づく給付額や「給付額を上げたり給付条件を緩和すると、働くインセンティブが落ちる」という論理的な主張をする人が多いため、双方でまったく噛み合わない議論をしている場面をよくTVタックル等で見かけるんだよね。(笑)

ここでは、生活保護に関する俺の意見はあえて書かないけど、
みなさんはどう思いますかね?


ちなみに、↓の考え方はエンターテイメント的に面白いと思ったなぁ。(笑)

【眼光紙背 働くべきではない人間が働かないことによって、社会全体の生産性が上がる】
http://news.livedoor.com/article/detail/4196823/
posted by きらっち at 20:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事

2009年06月10日

中国の金利政策の行方

ん?突然カウンタが回りまくったのだけど、どこかに吊るされたか?



さて、今日は中国の金利についてある事実を考察する。どうも今の中国を見ていると、中国の経済成長モデルに大きなジレンマを抱えているようにしか見えないんだよなぁ……。



さて、突然だけど中国の1年金利(政策金利)と経済成長率(実質GDP伸び率)の推移は、以下の通りになっている。

     1年金利 経済成長率
2006年 6.12% 11.6%
2007年 7.47% 13.0%
2008年 5.58% 9.0%

※GDPはJETROのHP( http://www.jetro.go.jp/indexj.html )
※中国の政策金利は中国人民銀行のHP( http://www.pbc.gov.cn/english/ )より。

これ、あまりにも金利と経済成長率に開きがあると思わない?実質ではなく名目GDPでの経済成長率だと、何と15%以上の伸びになる。要は、中国人にとっては貯金利子よりも国内投資した方が儲かりそうなわけですよ。おそらく、経済成長率の割には中国の家計貯蓄率は低いんじゃないだろうか?

さて、市場原理からすると、経済成長率が高いという事は、投資して利益がたくさん出るわけで、みんな借金してでも投資しようとする。みんなが借金すれば金利が上がるので、投資を抑える力が働くわけだ。ところが中国の場合は金利が低いままなので、投資を抑える力が働かない事になる。よって、土地とか株等々の値段が上がるわけでしょ?いやぁ、これってある種のインフレ(バブル)を生み出す事になるんじゃない?


ところで中国は、なぜ金利を上げないんだろう?とりあえず投資家目線に立ってみれば、投資家は金利の低い国よりも金利の高い国に投資したくなる。しかも中国はほぼ固定レートなので、為替リスクを考えなくていい上に、先進国に比べると金利がわりかし高い部類の国なので、投資家にとっては非常に都合の良い国なんだよね。(固定レートにする代わりに、米国債を大量に中国政府が購入するわけですが)

ここで、中国政府が金利を上げだとしよう。すると、大量のマネーが中国に流入するわけで、「大量の米国債を購入して為替レートを維持する」か「元を切り上げなければならなくなる」わけだ。当然、元の切り上げは中国の輸出産業にダメージがおよび、輸出立国の中国としては容認できない。ただ、米国債を購入して為替レートを維持するにしても、これは投資を抑える事にはならないので、いずれにしてもインフレ(バブル)は続き、結局物価が上がる事によって人件費も上がってしまうので、輸出産業もそのうち厳しくなると思うんだよなぁ……。



幸い、リーマンショックで全世界の需要が急激に落ちたことによって、中国も消費者物価が今年に入って落ち続けている。

【中国の消費者物価、4カ月連続で下落 5月は1.4%マイナス】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090610AT2M1001K10062009.html

だた、消費者物価の下落が一段落したときに、ここ最近の資源高騰等が重なって、そのうち物価が結構な勢いで上がり出すのではないかと心配。中国国内からスタグフレーションの心配まで出てるらしいんだよね↓。

【中国国家情報センター、スタグフレーションを警告し追加緩和策をけん制】
http://jp.reuters.com/article/treasuryNews/idJPnTK839734220090610



いずれにしても中国は「元の切り上げ」ではなく、「元の維持」という選択を取ってしまったがために、長期的にはインフレとの戦いになるのではないかと思われる。今後は「いかに人件費を高くせずに輸出競争力を維持できるか」が至上命題になるんだろうな。
今の中国のやり方だと、いつか必ず痛い目にあいそうな気が……。
posted by きらっち at 23:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済

2009年06月09日

セブンイレブン ついにEDY導入!

【セブン−イレブンとビットワレット、電子マネー「Edy」の10月全店導入に合意】
http://www.sej.co.jp/corp/news/2009/pdf/060901.pdf

【セブン-イレブンでEdyが利用可能に、10月から】
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0906/09/news038.html


おっ、これは久しぶりにEDYの朗報じゃないですか!実は俺、K-POWERカードでのEDYチャージが使えなくなってからは、EDY決済に対する還元率が大幅に落ちてしまい「今後EDYとどう付き合っていこうか」と考えていたところだったんだよね。

そもそもEDYが使える店舗は、クレジットカードとか他の電子マネーも使えるわけで、EDYを使う強烈なインセンティブが見つからなかったわけですよ。一応EDYも、EDY決裁で提携ポイント(Tポイント等々)のたまるシステムがあるのだけど、還元率がイマイチだったので俺はまったく興味がなかったんだよな。

俺がEDYを使う唯一のインセンティブは、「クレジットカード等で集めたポイントをEDY還元させて、(現金以外で)EDYでしか払えないお店で消費する。」という事だったんだけど、iDとQuicPayに興味無い俺にとっては、現状マックくらいしかEDYのみで支払い可能なお店が無かったんだよね。ここにセブンイレブンも加わるのであれば、非常にありがたい。



EDYは他の電子マネーと違って、立ち位置としては割とニュートラルなので、いろんなお店で導入してもらえる可能性のある点はプラスなんだよね。おそらく、このニュースを見て一番悩んでるのは「WAON」陣営(イオングループや吉野家等々)でしょうな……。元々WAONは後発隊なので、ユーザ獲得はnanacoよりも出遅れているわけだ。すでにイオンではクレジットカードが使えるので、あえてWAONに乗り換えようと思っている人も多くはない上に、ここでWAONにこだわり続けるメリットが見出せないのでは?
ということで、俺の予想では、WAON陣営もそのうちEDY導入せざるを得なくなるんじゃないかと思っている。
posted by きらっち at 11:32| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事