2009年07月30日

投票結果〜その1とその2〜

【派遣によって救われた人もいるのでは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30591746.html

【移民受け入れで本当に治安悪化する?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30732024.html

先日、↑上記のエントリーで「製造業の登録型派遣禁止でどうなる?」「移民受け入れと治安悪化」に対する投票をしてたのですが、投票期間はとりあえず1週間と設定していたので、すでに投票期間は終了しました。ただ、その結果をまだお知らせしていませんでしたので、今日はその発表をしたいと思います。


まずは、「製造業の登録型派遣禁止でどうなる?」についてですが、以下のような結果となりました。

15件 失業者が増える
4件 アルバイト/パート/期間社員が増える
0件 正社員が増える
1件 その他良い効果が出る
3件 その他悪い効果が出る

確かに当初の派遣システムの目的は、医師とか薬剤師みたいに資格はあるけれどフルタイムで働きたくない人達の労働力を掘り起こすためだったような気もしますが、製造業を含む他の業種に拡大した事にはいろいろと議論をする余地があるとは思います。
ただ、派遣であれアルバイトであれ、誰でもできる仕事には代わりにできる人がたくさんいるわけで、そういう職種の雇用は不安定にならざるを得ないわけです。

俺が気になるのは、これだけ雇用が社会問題になっているにもかかわらず、労働力不足の指摘されている農業や介護業には失業者の殺到している状況があるわけでもありません。これは、労働市場にある種の需給ミスマッチが起こっているわけで、この要因をしっかり調査分析してみた方がいいんじゃないかと思うんだけどなぁ……。賃金の低さも一つの要因だろうけど、何故失業者が農業や介護業界に向かわないのか俺も非常に気になります。

ちなみに、この投票に対する「私の選ぶベストオブコメント」は↓です。

人類の発展に生存競争は不可欠です。派遣システムもその一つ。派遣が嫌なら頑張っていい職業につくこと。
(男性/60代/徳島)


そして、次は「移民受け入れと治安悪化」についてですが、結果は以下の通りです。

33件 反対。数字を見て治安悪化を確信した
0件 反対だけど、受け入れざるを得ない
2件 賛成だけど、不安な面もある
1件 賛成。積極的に移民を受け入れるべき
1件 難しい問題。まだわからない

この結果だけを見ると、本ブログの読者の大半は反民主党ですかね?(笑)「2番目と3番目の選択肢にもうちょっと集まるかな?」と思っていたのですが、ここまでワンサイドになるとは私の想定外でした。

投票上のコメントやエントリー上でのコメントにもありましたが、このエントリーでの「日本人、定住外国人、非定住外国人の人口に対する刑事施設収容率」ってのは、危険度を示す一つの指標にはなると思いますが、ここでの「日本人」は全年齢層の人が含まれているため、「生産年齢層」に限って言えば、ひょっとすると日本人の刑事施設収容率が一番高くなる可能性もあるかもしれません。

どなたかのコメントにも書いてありましたが、この手のデータは統計的にいくらでもいじれそうな気がするので、(悪意があっていじるわけではなく、同じ条件での比較が非常に難しいため)注意深く数字を見る必要があるとは思います。

ちなみに、この投票に対する「私の選ぶベストオブコメント」は↓です。

記載されているのはあくまで一般論で、外国人の国籍によっては大きく変わりそう。
(男性/50代/千葉)

データからは国籍別でも数字は出せるのですが、国によって母集団の数が小さいためここではあえて載せませんでした。ご容赦下さい。


という事で、今後も今回みたいな形で、投票結果は一週間後くらいに発表しようと思っておりますので、よろしくお願いいたします。




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posted by きらっち at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 投票結果

2009年07月29日

そもそも景気回復局面までどれくらいかかるのやら……

【デフレ脅威後退、景気回復時にインフレ圧力再浮上も=英財務省筋】
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-10262620090728


England_CPI.jpg

↑は、イギリスの消費者物価指数の推移ですが、イギリスの場合は元々インフレがずっと続いた中で、リーマンショックが起こり一時的に物価が落ちたのだけど、今年に入って再びインフレ傾向が戻ってきたわけですよ。
そんな状況で、すでにイギリスの長期国債は札割を起こしているので、すでに長期金利は確かにどんどん上がる下地はできているわけだ。今はまだ景気が引き続き低迷しているため、イギリス国債の利回りは高騰していないけど、景気が回復してイギリス国債よりも利子や値上がりの見込める株が出てくれば、イギリス国債は投売りされちゃうからなぁ……。

大体、イギリスの場合はこれからどうやって稼ぎ頭の産業を作っていくんだろう?かつては、産業革命によって世界の工場だった時代もあったけど、最近では製造業を始めとして「物」を媒介する産業がことごとく衰退してたわけなんだよね。それを表すのが、↓である。

GDP_eacharea.jpg

ここでは、それぞれの国におけるGDPの中で、農林水産業、鉱業、製造業、建設業、純輸出(実体のある物を取引する産業)の寄与する割合を棒グラフで表したものである。
これを見ると、韓国やドイツはまさに物作り国である事がわかる。しかも、韓国にいたっては純輸出がGDPの10%を越えているわけだ。(ただし、韓国は石油高騰を主要因として2008年に貿易赤字国に転落してしまうわけですが)
それと比較すると、アメリカやイギリスではGDPの中で製造業が寄与する割合がとても低いわけだ。当然、国内で物が作れずその分を輸入でカバーするわけなので、輸入量が増えて貿易赤字になってGDPを押し下げるわけですよ。まぁ製造業を捨てた分、アメリカやイギリスは金融産業やサービス産業(実体のない物を取引する産業)が発達したわけだけどね。


イギリスもアメリカも今まで、金融産業によって海外からお金を集めることで、経常赤字(その主要因は貿易赤字)をファイナンスしてきたわけだけど、リーマンショックでユーロ圏のダメージが非常に大きかったため、イギリスではヨーロッパからお金を呼び寄せる事が困難になり、その歪は↓のようにポンド急落の形であらわれたわけだ。

pond-rate.jpg

対ドルでさえ、ここまでポンド安になっているので、対円で見た場合はポンドの通貨価値が半分くらいになっちゃったわけですよ。確かに最初の記事の通り、景気回復時の長期金利の上昇も心配ではあるのだけど、すでにイギリスは輸入インフレの心配をしないといけないんじゃないのかなぁ……。


と、物価を基点にして、イギリスの現状を考えてみましたが、ざっと整理すると以下のような感じでしょうか?

○ポンド急落(対ドルで30%程度の下落で輸入インフレが心配)
○国債の札割(今のところ利回りの急騰は起こっていない)
○定常的なインフレ(20年で物価がおよそ1.75倍)
○稼ぎ頭の金融産業が崩壊(ポスト金融産業はまだ見つからず)

う〜ん、これはどう考えてもイギリスは厳しいような気がしてきました。景気回復前に国債の利回りが急騰したら、間違いなくイギリスは終わってしまいそうな……。まぁ近いうちに、量的緩和をさらに拡大せざるを得ないでしょう。
果たして、イギリスの中央銀行がどこまでイギリス国債を買い切れるのか?日本にとっては非常に参考になる事例なのかもしれません。



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posted by きらっち at 22:21| Comment(6) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月28日

GDPから見た公務員数の考察A

【GDPから見た公務員数の考察@】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30516486.html

という事で、シリーズ第二回目になります。最初に訂正しなければいけない事があって、↑の@で「日本の国家公務員数」が間違っておりました。国家公務員の「総数」と「特殊法人職員数」が逆になっていたため、「国家公務員一人当たりのGDP」の値も間違っておりました。このエントリー執筆後に、修正いたします。申し訳ありませんでした。


という事で、@の方では各国の公務員数と購買力平価によるドル換算GDPを元に、各国の国家公務員と地方公務員一人当たりのGDP(政府最終消費)を比較しました。今日は日本の国家・地方公務員のみですが、一人当たりのGDPと中央/地方政府の総支出(政府最終消費と公的固定資本形成)の推移を追っていこう。
前回の各国比較では、公的固定資本形成を考えていなかったのですが、今回でそれぞれ国家公務員と地方公務員の一人当たりのGDP寄与分がはっきりわかります。


GDP_government-expenditure.jpg
まずは、1995年〜2007年の「名目GDP」「中央政府の総支出」「地方政府の総支出」を見てみましょう。ちなみに、ここでは
中央政府の総支出=中央政府による最終消費+中央政府による公的固定資本形成
地方政府の総支出=地方政府による最終消費+地方政府による公的固定資本形成
とします。この表を見ると、中央政府も地方政府も公的固定資本形成(公共事業)が減少する一方で、政府最終消費が増えています。特に、中央政府の政府最終消費の増加ペースが早くなっていますが、これは増える社会保障が支配的な要因なのでしょうか?
総支出を見ると、中央政府は増えていますが、地方政府では減っています。よって、1995年では500兆円程度のGDPに対して、中央政府は45兆円、地方政府は72兆円分の寄与があったわけですが、2007年では、中央政府が55兆円、地方政府が58兆円となっています。両政府の総支出は110兆円台をキープしているので、そこまで減少してるわけではないのですが、地方政府のGDP寄与率が年々落ちているのがわかります。結果的には、地方政府による総支出を減少させることで、増加する社会保障費の財源にしていたと言えるのかもしれません。



さてさて、国家公務員と地方公務員一人当たりで見ると、どの程度GDPに寄与しているのでしょうか?

【人は減る一方で仕事は増えるわけで……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30329179.html

実は、日本の国家公務員数と地方公務員数は、すでに↑のエントリーで調べているわけなので、この数字を元に国家公務員と地方公務員一人当たりの中央/地方政府の総支出を見てみよう。

GDP_per_ps.jpg
これを見ると非常に面白くて、国家公務員一人当たりでみると「GDP」も「中央政府総支出」も共に増加傾向があるんだけど、地方公務員一人当たりでみると「GDP」も「地方政府総支出」もほとんど変動がないわけですよ。国家公務員も社会保障費の増加がなければ、地方公務員くらいに安定するのかな?

しかし2007年の「国家公務員数一人当たりの中央政府総支出」「地方公務員数一人当たりの地方政府総支出」を見ると、国家公務員一人で9000万円、地方公務員一人で2000万円のGDPを生み出している事がわかる。前回の@でも書いたのだけど、他の国と比較すると、やっぱ国家公務員の一人当たりの政府総支出の割合が高いような気がするんだよなぁ。これには、以下の2つの可能性があると思う。

1.中央政府総支出に対して国家公務員数が少なすぎる。
2.国家公務員数に対して中央政府総支出が多すぎる。

確かにどちらの要因もあるだろうけど、政府から地方への「交付金」とか「補助金」みたいに、日本の場合は中央政府から地方政府へのお金の流れが、他国と比較するとその割合が多そうな気はするんだよな。(あくまで、数字に基づくわけでなく感覚的な話だけど)

地方分権の観点から見ると、国家公務員一人当たり9000万円と地方公務員一人当たり2000万円は非常にバランスが悪いので、この割合を1:1にすべきなんだろうけど、果たして経済的に見た場合はどうなんでしょうか?この辺は世論に流されず、あくまで「経済」にこだわって今後もじっくり検討してみようと思ってます。

というわけで、これに関係する話は「GDPから見た公務員数の考察B」へ続きます。




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posted by きらっち at 22:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 仕事

2009年07月27日

円ドルレートと株価の連動

ここ2、3年くらいは、日本の株価と円ドルレートが連動しているような気がするんだけど、「長期系列で見たらどうなんだろう?」と思ったので、1991年〜現在までの「日本の株価」と「円ドルレート」について、さらっと調べてみました。


yen-rate_stock.jpg

↑上記が1991年からの円ドルレートと日経平均株価なんだけど、常に「円高と株安」が連動しているわけでもない事がわかる。ぱっと見た感じだと、二つが連動している時期は「1991年〜1992年」「1994年〜1996年」「2004年〜現在」というところでしょうか?
ふむ、要は「バブルの弾けた直後」「失われた10年中で日本経済が疲弊しきっていた時」は、円高と株安の連動は起きなかったどころか、この時期は逆に「円高と株高」が連動してるように見える。この事実から察するに、日本の経済・金融が相対的に欧米の経済・金融よりも調子の悪い時には「円高と株高」が連動して、日本の経済・金融が相対的に欧米の経済・金融よりも調子の良い時には、「円高と株安」が連動してるわけね……。ここでは出していないけど、各国の金利推移も一緒に調べてみると面白そうだな。

まぁよくよく考えてみると、同じハードカレンシーであるドル/ユーロ/ポンド/スイスフランは、対円以外ではそんなに通貨価値の変動がないのに、円だけはこの10年間でもすごい価値変動のあるって事は(このグラフ上でも1$=80円〜140円まで変動している)、やっぱ欧米の投資家にとっては何かあった場合の避難通貨に見られてるって考えるのが自然だよな。

ちなみに、2001年3月に量的緩和が開始。確かに、その後円は140円近くまで下落したのだけど、それから1年くらい後で株価が底入れしてるわけですよ。この1年間でようやく当時の日本の金融不安が落ち着き出したって事だったのかな?そして、2004年後半から2005年前半に株価が円高と共に足踏みしてるんだけど、ここで日銀砲が発射されて外国のヘッジファンドを撃退。(詳しくは↓をご参照)その後日本の景気は再び上昇気流に乗ったわけか。

【伝説の日銀砲】
http://blog.goo.ne.jp/debuo2006/e/d06f0ea8c15f318d9bb42af86e9161c9


いずれにしても、今後しばらくは欧米の経済・金融はしんどいだろうから、まだまだ円高と株安の連動は続きそうなわけだ。ただ、逆にこのタイミングで円安になれば株高になるかというと、なかなか厳しいような気がする。海外需要が回復すれば円安誘導も一つの手段だと思うけど、今は内需の方に頑張ってもらわないといけないので、下手に為替介入せずに「エコポイント」や「エコカー補助」の政策を打ったのは理にかなったものだと思う。

それどころか、民主党が政権取ったら外貨準備高を円に換えた上で財源にするって言っているけど、より円高が進むのでますます外需が当てにできなくなるじゃない?なので、もし本気で外貨準備高を使うのであれば、その財源で確実に内需拡大につながる事をして欲しいんだよね。ところが民主党のお金の使い方は、家計や農家に対する補助金などのメニューが多いわけで、この補助金を貯蓄に回された時の事を考えてるのだろうか?
どうも民主党は、外国為替の絡む話になると一貫性の無い政策を打ち出しているようにしか思えないので、非常に心配。(俺が心配性なだけかもしれませんが…)




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posted by きらっち at 23:58| Comment(7) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月26日

4曲目〜WHITE〜

今日の曲は、1998年に作った曲。当時俺は高校3年生だったんだけど「きらっちと同じく作曲を趣味にしている後輩がいて、きらっちの音楽性にも結構近いから是非紹介したい」と、同級生のKさんから言われたのが、この曲の始まりでした。この曲は、もともとその後輩が作詞作曲した曲で、当初は伴奏がピアノ一本だったのですが、そこに俺がアレンジを加えたものです。

ちなみにこの曲が生まれるきっかけを作ってくれた同級生のKさんは、その後自殺をしてこの世を去ったのですが、俺と後輩で「これをKさんの追悼ソングにしよう」という事になり、アレンジをロックバラード調にして、歌詞も大幅に変更を加えて今の形になったものです。当時はまともなレコーディング機材もなかったのですが、自分達なりに一生懸命レコーディングした後、お通夜の席でMDをKさんの棺の隣に置いて最後の別れを告げた事が思い出されます。
俺も後輩もその後は別々の地方の大学に進学し、Kさんとの「蒼い空の下で誓ったはずの約束」(二人でデビューしてKさんをライブに招待する)は結局果たせませんでしたが、「白い雪が降る冬の空」を見上げる時は、今でもKさんの事を思い出してしまいます。

ちなみに今回アップロードした曲は、このエピソードの5年後に、のんたんに歌ってもらったものです。当時はまだMIDIデータが残っていたのだけど、数年前のハードディスククラッシュでMIDIデータも消えてしまい、今となってはコード進行がわからないので、今回は歌詞のみになります。(謝)

なお、曲の構成は90年度のBeing系が得意とした「1番と2番の曲調を変える」というテクニックを取り入れて、1番は原曲通りにピアノ主体でストリングスを織り交ぜたバラードで、2番以降はX-JAPANのバラード曲をイメージしたバンドアレンジにしてみました。
もうこの曲を編曲してから10年が経つんだなぁ……。

WHITE.jpg





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posted by きらっち at 21:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 作曲

2009年07月25日

強い力〜ヘリウム原子の矛盾〜

今日はヘリウム原子に着目して、高校までの物理では説明できない「強い力」について解説をしよう。


42helium.jpg
↑が通常の(電子、陽子、中性子をそれぞれ2つ持つ)ヘリウム原子である。ヘリウム原子は希ガスに属するので、単原子のまま常温で安定な気体である。空気より軽く、水素と違って火をつけても爆発しないので、よく風船への注入気体として使われるよね。

さて、上記のヘリウムの原子モデルを見て欲しい。ヘリウムは、本当にこの姿で安定な状態を保てるのだろうか?


まず、電子について見てみよう。電子は、負電荷を持つ粒子なので、正電荷を持つ陽子とはお互い電気的引力※1が働く。ただし、電子は原子核を周回しているため、その遠心力と電気的引力がつりあっているので、安定的に原子核を周回していると考えられる※2。
※1:電荷を持つ物質間に働く力で、正電荷同士or負電荷同士なら斥力、正電荷と負電荷であれば引力が働く。電荷量が大きく、2電荷間の距離が短いほど大きな力が発生する。
※2:正確に書くと、電子は↑の画像のように平面的に原子核を周回しているわけでなく、立体的に周回している。
次に、中性子について見てみよう。中性子は電気的には中性の粒子なので、陽子や電子からは電気的な力を受けない。ただし、質量を持つ粒子間に働く万有引力※3のために、陽子と中性子の間には引力が働くわけだ※4。ただし、陽子と中性子の質量と距離を基に万有引力の大きさを計算すると、そこまで大きな引力が発生しているわけでも無さそうなので、果たして「安定的に中性子が原子核中に収まるのか?」と言われると疑問なのだが、とりあえず中性子には原子核よりも外に行こうとする力が働いているわけではないので、原子核内に留まることを認めざるを得ない。
※3:質量を持つ物質同士に働く引力で、質量が重く距離が短いほど大きな引力が発生する。
※4:電子と中性子間にも万有引力は働くのだけど、距離が遠すぎるのと、電子の質量が中性子や陽子に対して軽すぎるのでほぼ無視してよい。
最後に陽子を見てみよう。実は高校までの知識だと、原子核内に収まる陽子の安定性はまったく説明できない。何故なら、原子核内に陽子が2つ存在しているわけで、正電荷を持つ2つの粒子が極めて狭い空間に閉じ込められていることになる。よって、万有引力による引力の大きさ以上に、この2つの陽子は大きな電気的斥力が働くわけだ。さらに電子からも電気的引力を受けるわけで、2つの陽子は原子核を突き破って外に行かないとおかしいわけですよ。

という事で、陽子が原子核内で安定的に存在できるためには、万有引力と電気的引力(斥力)の他に、何かまったく種類の違う力で陽子と中性子を結びつけていないと、説明がつかないわけですよ。実はそれが「強い力」であるんだけど、「強い力」は万有引力や電磁気力とは違って、力の到達距離が非常に短く、原子レベルの小さい世界でしかあらわれないために、俺達の普段の生活ではまったく実感できないんだよね。

とりあえず今日は、この辺までにしておきますが、この「強い力」を探る上で非常に大事な「素粒子」の世界と、万有引力や電磁気力の力の発生メカニズム等々、これも不定期シリーズで書いていく事になるでしょう。


いやぁ、この手の研究を毎日やれる「高エネルギー加速器研究機構」とかの研究員は凄い羨ましいよなぁ……。




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posted by きらっち at 21:53| Comment(8) | TrackBack(0) | 科学

2009年07月24日

消費者物価指数を巡るあれこれ

【消費者物価指数:物価下落、最大の1.1% デフレ局面、鮮明に−−5月】
http://mainichi.jp/select/biz/news/20090626dde001020033000c.html

【6月の中国の消費者物価1.7%下落 10年ぶりのマイナス】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090717AT2M1702U17072009.html

【タイの消費者物価指数、6月はマイナス4.0%】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090701AT2M0101701072009.html

どれも前年同月比であるんだけど、日本・中国・タイの消費者物価指数は大きく下落傾向を示している。もっとも、これは前年の石油価格高騰によるものが大きく、石油を外国に依存しているアジア諸国は軒並み影響を受けているものと思われる。
そして、来週の7月31日(金)には日本の6月の消費者物価指数の発表がありますが、前年5月→6月の消費者物価指数(101.7→102.2)が大きく伸びた反動で、今年6月の消費者物価指数の前年比は、先月の-1.1%を大きく越えるでしょう。おそらく、-1%台の後半にいっちゃうんじゃないかなぁ……。

さらに今後を考えると、特に日本の物価動向は非常に厳しいと思われる。というのも、日本は中国と違い変動為替レートを採用しているわけです。そして今後の欧米の経済・金融状況の見通しが明るくない上に、しかもアメリカから以下のニュースが入っているので、FRBの長期国債の買取枠が増えるとなれば、「ドルの供給量が増える」→「さらなる円高」という局面が続きそうです。

【米、長期国債購入延長を協議へ FRB議長議会証言】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090722AT2M2200I22072009.html


これにより日本は、輸入品の値段が今後も下がる事が予測される上に、国内市場でも継続的な需要増加が見込まれないので、しばらく物価は落ち続けそうな気がします。むしろ、デフレを真面目に心配しなければならない日本こそ、じゃんじゃん量的緩和をやって政府支出を増やせば「デフレ」と「不景気」を一気に解決できるので、一つの手段としてアリなのかもしれません。しかも内需を成長させる分野に絞って財政支出すれば、今よりも外需に依存しない健全な日本経済を作るチャンスでもあると言えるのではないでしょうか?
どこかの政党が主張しているように「弱者や子持ち世帯配慮のための再配分」も大事だとは思いますが、多少の犠牲(国債発行)を払ってでも、変えられるうちに日本の経済構造を健全な姿に変えないと、後々苦しい事になると思うんだよなぁ……。

ちなみに脇道にそれますが、逆に物価関係で難しい舵取りを迫られるのは、韓国です。韓国の場合は、日本のように「不景気&デフレ」ではなく、「不景気&インフレ」で悩まされています。よって、不景気を打破しようとして財政支出や0金利を導入すれば、インフレ率の上がってしまう可能性があり、逆にインフレを打破しようとしてドル売りウォン買いの介入をやったり、金利を思いっきり上げてしまうと、ウォン高によって韓国の生命線である輸出産業が大ダメージを受けてしまうことになるので、八方塞がりの状況なのかもしれません。
ただ、ここ2,3ヶ月でようやくウォンのレートが安定してきたので、これを糸口に韓国がスタグフレーションから抜け出せるか非常に気になるところです。この辺の韓国の経済事情に関しては、詳しい資料と共に後日のエントリ−に書く機会もあるでしょう。



さて、いつも以上に前置きが非常に長くなりましたが、今日はここ40年くらいの日本の消費者物価指数の流れを見てみましょう。

CPI-1.jpg

CPI-2.jpg

CPI-3.jpg
↑の3つの画像が、1970年からのそれぞれ9分野(食料、住居、高熱・水道、家具・家事用品、被服及び履物、保健医療、交通・通信、教育、教養娯楽、諸雑費)と総合の消費者物価指数です。1970年の「総合」(1個目の画像)の消費者物価指数は、31.8となっていて随分物価が安いのにびっくりです。俺は1979年生まれなので当時の実際の物価は当然知らないのですが、当時を知る人の感覚的にもそのくらいだったのでしょうか?

さて、分野別に見るといくつか面白い事があります。「家具・家事用品」(2個目の画像)を見ると、第一次石油ショックに起因して、1974年からわずか10年程度で物価指数が2倍程度にまで跳ね上がったのだけど、何で「家具・家事用品」がこんなにも影響を受けたのだろうか?当時は原子力発電所の数も少なかっただろうし、真っ先に影響を受けそうな分野は「光熱・水道」(2個目の画像)だと思ったんだけどなぁ。これについて、いろいろ考えてみたんだけど、自分で納得の行く推測ができませんでした。どなたか知っている方がいましたら、是非とも教えてください。

そして、「被服及び履物」(2個目の画像)も面白い。1970年代後半から、消費者物価指数にはっきりとした周期性が出てきたわけですよ。おそらく、被服関係商品のバリエーションが豊富になった事によって、市場に季節性が出た事によるものだと思われる。ちなみに、消費者物価の谷となる月は2月と8月で、山となる季節は5月と10,11月。5月よりも10,11月の消費者物価の大きくなる傾向があるのだけど、冬物の方が生地も厚いし、肌を覆う割合が高くなるんだから、そりゃ冬物の方が値段が上がって当然ですな。(笑)
やはり、「これから暑くなる」「これから寒くなる」という季節に需要が集中するみたい。

次に、「保健医療」(2個目の画像)を見てみよう。1997年の9月、突然に消費者物価指数が高くなったわけだけど、これは医療法の改正により、患者負担金の割合が高くなった事に起因するものだろう。確かに他の項目と比較しても、「保健医療」の消費者物価指数は低かったわけで、老人からは文句が出ただろうけど、必要な改正だったと思います。

さらに「教養・娯楽」(3個目の画像)を見てみよう。この分野は、この10年程度は消費者物価指数が下がり続けている。まぁ失われた10年に入ってから、一番最初にお金を出し渋る分野だろうから、なかなか大変だとは思うんだよな。そんな中、2000年頃から「被服及び履物」と同じように、消費者物価指数に周期性の出てきたことが読み取れる。ちょうどこの年に、「教養・娯楽」の分野の小項目に「パック旅行」という項目が加わった事によるものと思われる。確かにパック旅行なんかの値段はオンシーズンとオフシーズンで随分違うもんなぁ……。

最後に「交通・通信」(3個目の画像)を見てみよう。「交通」の分野は、石油価格がもろにきいてくるので、ここ1年でこの分野の消費者物価指数は乱高下しているのだけど、基本的には、1980年代前半から「交通・通信」分野の消費者物価指数が横ばいなんだよね。この間、携帯電話とかインターネットが普及して俺達の生活が一変しちゃったのに、消費者物価指数が横ばいってのも凄い話で、技術革新には本当に頭が下がりますわ……。




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posted by きらっち at 22:40| Comment(369) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月23日

日本の家計資産・家計負債に問題無し

日本のGDPの60%を占めるのは「民間最終消費支出」なんだけど、そのほとんど(民間最終消費支出の97%程度)が「家計最終消費支出」なんだよね。つまり日本のGDPのおよそ60%が、家計金融資産・家計金融負債に直結するものであるわけです。今日は、ここ10年の日本の家計金融資産と家計金融負債の推移を見てみましょう。


japan_household_asset.jpg
まずは、家計資産の方から。↑を見ていただければ一目瞭然ですが、日本人は1400兆円の家計金融資産を持ちながら、そのうち800兆円程度(57%程度)を「現金・預金」で保有しているわけで、非常に「現金・預金」が大好きな民族であるわけです。(笑)ちなみにアメリカの家計金融資産が40兆ドル程度に対して、現金・預金は6.3兆ドル(16%)程度です。
その他の項目では、「株式・出資金」が、ここ最近は減少しています。2007年6月が、日本の家計金融資産の絶頂期だったと思われますが、2009年3月までの減少分の大半は「株式・出資金」の減少によるもので説明がつくでしょう。
もう一つ見逃せないのが、1998年には「現金・預金」が700兆円くらいだったのに対して、ここ10年間で「現金・預金」が100兆円くらい増加していることです。ほとんど利子もつかないのに、何故現金・預金が増えるのかはよくわかりませんが、事実として「日本人は消費せずに貯蓄の方にお金を回している」という事なのでしょう。おそらく、日本経済が低迷している支配的要因はここだと思います。すでに800兆円程度の現金・預金がありながら、それが消費の方に回らないわけで、他の国から見れば「日本人はすでにとんでもない金額を貯金してるのに、何でこれ以上貯金する必要があるんだ?いい加減にしろよ!」というところでしょう。(笑)

財務省の視点から見れば、今までいろいろと個人消費を上げるための政策を打ったけどどれもあまり効果が上がらないので、だったら「増税によって強制徴収」というところでしょうか?(笑)ただ、いずれにしてもこの800兆円のうち3%でも消費に回れば、GDPギャップが解消されるので、デフレを抑えて景気も回復するのだろうけど……。


japan_household_liability.jpg
そして、次に家計金融負債の方を見てみましょう。実は、こちらは見ていてあまり面白いものではありません。ただし、縦軸のスケールは家計金融資産とあわせてあるので、日本の家計金融負債が家計金融資産に対していかに少ないかがわかるでしょう。ちなみに、日本人の家計金融純資産(家計金融資産-家計金融負債)は2009年3月で1000兆円あるのですが、これは当然ぶっちぎりで世界一です。



とりあえず、ここ10年の日本の家計金融資産と家計金融負債を見てきましたが、どんどん資産が減ったり負債が増えている状況でもないので、取り急ぎ日本の家計には問題無いと言えるでしょう。それどころか、バブル崩壊後ずっと景気が良くないと言うわりには、家計の貯蓄額が一貫して増加しているわけで、日本経済の問題点は「資産状況(ストック)」にあるわけではなく、「貯蓄してお金が回らない(フロー)」という事でしょう。
確かに、貯蓄してお金が回らないなら「増税による強制徴収」というのも一つの手段としては考えられますが、どうすれば固い財布を緩ませる事ができるのか。与党も野党も真剣に考えて欲しいものです。

ところで、ふと思ったのですが、銀行口座にもマイナス金利が適用されれば、多少は消費に回すインセンティブが出ますかね?まぁ、一種の増税か。(笑)




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posted by きらっち at 07:36| Comment(6) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月22日

移民受け入れで本当に治安悪化する?

【7月22日東京でも太陽が欠ける!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30177273.html

とりあえず本題ではないけど、今日は日食です。先日の↑のエントリーで日食のメカニズムに関して書いておりますので、ご参考まで。



さて、少子高齢化と共によく話題にされる「移民受け入れ問題」。俺自身は、確固たる意見を持っていないのだけど、賛成派と反対派の主な主張をまとめると以下のような感じでしょうか?

【賛成派】
@減少する労働力の補間
Aそれに伴う日本の国力維持

【反対派】
B治安悪化
C日本人の雇用機会の減少

この4つ、直感的にはもっともらしい事が書いてあるのだけど、実はこの中の一つに、論理的な推論から導き出せるものじゃなく、「勝手な思い込みなんじゃないの?」という項目があると思いません?そうBです。俺の勝手なイメージですが、Bを主張する人たちは「どの程度犯罪件数が増えるのか?」という客観的数字を出さずに主張している人が大半のような気がしてなりません。

確かに、最近は外国人による犯罪が増えているわけだけども、そもそも日本に住んだり、日本に訪れる外国人が増えているので、そりゃ外国人による犯罪件数も増えるでしょう。その辺を考慮に入れた上で慎重に議論する必要があるような気がします。
移民受け入れ問題は、日本の労働構造を大きく変える可能性があるため、イメージだけで決め付けるのではなく、数字に基づいて判断する必要があるでしょう。

という事で、今日は公開されている統計から、日本人と外国人に関する刑事施設収容率について調べてみます。まずは、日本の刑事施設に収容されている人のパターンを整理してみました。刑事施設に収容されている人は
1.日本に住んでいる外国人(定住外国人:外国人登録している外国人)
2.海外に住んでいる外国人(非定住外国人:外国人登録していない外国人)
3.日本に住んでいる日本人
4.日本以外に住んでいる日本人
にカテゴライズできます。

【海外在留邦人数調査統計】
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/tokei/hojin/08/pdfs/1.pdf

ところが、↑の資料を見る限り、海外在留邦人数は2007年10月1日現在で109万人なので、同時期の日本の人口が1億2600万人近くありますので、3.と4.の人数比はおよそ120:1という事になります。「日本人」というくくりで見れば、4.に関してはほぼ無視しても良いぐらいの人数比なので、以下では
@定住外国人
A非定住外国人
B日本人
の3つのカテゴリーに関して、それぞれの人数に対する刑事施設収容率を導出します。

inmate-number_in-prison.jpg
まずは、2008年末の刑事施設の収容人数を見てみましょう。↑は、ここ10年間の刑事施設(要は刑務所とか拘置所の類)の収容人員を示している。2006年までは増加傾向だったのだけど、ここ2年間は収容人員が少なくなっているのがわかる。景気が回復してたからですかね?いずれにしても、2009年以降は増えそうな……。
さて、できれば最新の2008年末現在の値を使いたいのだが、その他の最新統計が2007年末時点の物しかないので、とりあえずはこの2007年末時点の79809人についての内訳を調べてみる。

刑事施設の収容人数の推移と同じく、総務省統計局の矯正統計より、この79809人の内訳は、
全体:79809人
日本人:73630人
定住外国人:1479人
非定住外国人:4440人
である事がわかる。


【法務省 入国管理局の統計HP】
http://www.immi-moj.go.jp/toukei/index.html

【総務省統計局 人口統計HP】
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001055105

さらに上記2サイトより、2007年末(2008年1月1日)現在で日本人総数がおよそ1億2600万人、定住外国人が215万人いる事がわかる。また、2007年に来日した非定住外国人は772万人いるわけで、それぞれの刑事施設収容率は以下のようになる。

日本人:0.0584%
定住外国人:0.0687%
非定住外国人:0.0575%(ただし、分母は2007年の1年間の来日者数)

つまり、非常に大雑把な見積もりだけれども
「日本人が100万人増えれば584人が刑務所行きの可能性がある」
「定住外国人が100万人増えれば687人が刑務所行きの可能性がある」
「非定住外国人が100万人増えれば575人が刑務所行きの可能性がある」
というところでしょうか?実際は、それぞれのカテゴリー間での「平均年齢」「日本滞在年数」等々の条件が違うだろうけれど、一種の目安になる参考値と考えていただければ良いかと思います。


さて、確かに定住外国人の刑事施設収容率が一番高い結果とはなるのですが、わずか0.01%程度の違いであり、意見の割れるところだとは思います。まぁ良い機会なので、投票にかけてみましょう。




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posted by きらっち at 07:05| Comment(4) | TrackBack(0) | 時事

2009年07月21日

減少議席数を最小化する最善手

今日は所用で午前中が休暇なので、更新してから出勤です。


【衆院解散を閣議決定 8月18日公示、30日投開票へ】
http://www.asahi.com/politics/update/0721/TKY200907210004.html

与党の一部の先生達は「9月10日に任期満了になるのに、何故風向きの悪い中で解散なんだ?」と、あたかも解散が自殺行為のように言われておりますが、俺はそうは思っておりません。
確かに与党の議席数が激減するのは確実と思われますが、一番減少幅の少なくなるのは、まさに「8月18日公示で30日投開票」の本ケースではないかと思います。


【国民経済計算 統計公表予定】
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/yotei.html

【4〜6月期の経済成長は1.98% 民間予測】
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090709/biz0907092133014-n1.htm

↑の国民経済計算のページを見てもらえればわかるように、選挙公示前日の8月17日は2009年第2四半期の経済成長率の発表です。民間機関の予測では年率換算の経済成長率が+2%程度と、2008年第4四半期や2009年第1四半期のような悪夢のような数字(-12%とか-15%)からようやく解放され、現政権が選挙用にアピールできる材料がこの時期に揃います。


今日の夕方、麻生首相は記者会見で解散の決意表明をするらしいですが、十中八九、今回の選挙の争点は「経済対策」になるでしょう。与党が今までやってきた経済対策の効果が、8月17日にようやく数字としてあらわれます。2008年度の二次補正、2009年度の一次補正を始め、未来開拓戦略、骨太方針2009を通して、与党の考える日本の経済成長モデルが示されました。

【骨太方針2009(経済財政改革の基本方針2009)】
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizai/kakugi/090623kettei.pdf

【未来開拓戦略 Jリカバリー・プラン】
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2009/0417/item7.pdf

【麻生内閣総理大臣スピーチ〜新たな成長に向けて〜】
http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2009/04/09speech.html

リーマンショック前までは、「底堅い内需の維持」と「踏みとどまる円安を利用した外需の拡大」により、日本はGDPを増加させる戦略を採用してきました。ところが、リーマンショックがこの日本の経済成長戦略を大きく狂わせます。ドル/ユーロの信用不安で円高が進み日本の輸出産業は大きなダメージを受け、世界不況により外需が当てにならなくなりました。

これを受けて、与党がどう考えたかをかいつまんでまとめると、「外需に頼らない内需中心による経済成長」です。上記の骨太方針2009や未来開拓戦略から、その骨子を抜き出すと

1.低炭素(環境技術)を軸にした新たな市場開拓
→太陽光発電やエコカー等々により、2020年に50兆円市場と140万人の雇用確保。

2.医療や介護分野での促進
→介護分野の雇用を増やし、地域医療の発展のための高度医療施設やITインフラの整備等で、2020年に35兆円市場と210万人の雇用確保。

3.日本の魅力発揮
→観光大国の取り組みにより外国人観光客を増加させる。また、ゲームやアニメやファッション等、日本のソフトパワーを外国のビジネスにつなげていく事により、2020年に20兆円〜30兆円市場と50万人の雇用確保。

4.アジアの成長力強化
→ODAやその他公的・民間資金を導入して、アジアのインフラ整備に着手。
  
というところでしょうか、1.と2.はまさに内需そのもの。4.は日本資金を使ってのアジアのインフラ整備(もちろん日本の会社が受注するわけでしょう)なので、外需ではなく「外に向かう内需」なわけです。3.こそ外需依存ではあるのですが、その他は内需を刺激するものです。

この骨子を見て「民主党に見習って欲しい」と思うのが、
@多くに政策目標に具体的な数値目標を取り入れている。
A短期的な視点のみではなく、長期的に日本のビジネスモデルを考えている。
B「○○手当て支給」とか「××無料化」みたいな国民受けする政策を中心に考えているわけではなく、今後の日本経済の土台を強固にするためのシステム設計を考えている。
というところでしょうか。



さて、話が長くなりましたが自民党は、すでに上記のような日本経済の今後の道筋を描いています。確かに、その道筋は100点満点ではないかもしれませんが、これを踏まえた上で「経済対策」や「今後の経済成長戦略」を選挙争点にすると思われます。そして自民党のマニフェストは、↑で説明したような「今後の日本の経済成長戦略」と「数値目標」を付記した物が重点的に書かれるのでしょう。そして、8月17日に日本の2009年第2四半期の経済成長率が発表され、プラスに転じた経済成長率を前面に出しつつ、今までの与党の経済対策の実績を強調する選挙戦が展開されるのではないかと、俺は思っております。
ということで、確かに自民党の獲得議席数は激減しそうですが、それでも現時点では最悪ケースを免れるための最善手を打っているような気がします。(とは言うものの、最善手を打っているにもかかわらず自民党は政権の座から転がり落ちるような気もしますが……。)


さてさて、夕方の麻生首相の記者会見内容を勝手に予想すると
@経済対策(今後の経済成長戦略)が選挙争点
A与党と野党、どちらが未来の日本をしっかり考えているか?
B自民党・民主党の経済対策の違いを主張
というところじゃないでしょうか?一国民として非常に気になるところ。



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posted by きらっち at 12:23| Comment(5) | TrackBack(0) | 政治

2009年07月19日

縮小するCD業界

【オリコン 2009年上半期シングルCDランキング】
http://contents.oricon.co.jp/music/special/090617_01_01.html

すでに一ヶ月以上たってるんだけど、2009年上半期シングルCDランキングを見てみると、俺の中学・高校時代と違ってランキング上位には随分アイドル系統の人が占めていて、純粋にアーティストと言える人が少なくなったなぁ……。
この状況はおそらく、「ジャニーズ系統の固定客がCD購買の中心層になってるのでは?」と思い、ここ20年くらいのCD生産枚数を調べてみた。


cd-sales.jpg
↑が1988年〜2008年までのシングル/アルバムのCD生産枚数とシングル/アルバムのミリオンセラー数の推移である。これを見ると、シングルCDの生産絶頂期は1997年、アルバムCDの生産絶頂期は1998年というところでしょうか?そして1999年は、1年でシングル30作品がミリオンセラーを達成かぁ。いやぁ、今から思い返してみると考えられないよね。(笑)そしてこの頃を境に、CDセールスはシングル/アルバム共に減っている。2008年現在、アルバムは最盛期の2/3、シングルは1/3くらい生産枚数が減ったんだねぇ。しかも、2007年と2008年はシングルCDのミリオンセラーは出なかったわけで、CD市場は急速に縮小している事がわかる。
これにより、固定客の多いアイドルの曲がランキングの上位を独占するわけか……。

まぁCD市場の縮小している要因はいくつかあるのだろうけど、「インターネットの普及」と「MP3等の音楽圧縮フォーマットの普及」が一番の要因でしょう。これにより、「音楽のダウンロード販売」という新たな音楽流通手段が登場しました。さらに、音楽業界にとっては負の影響があったと思いますが「ファイル共有ソフトの出現」も非常にインパクトの大きい出来事だったと思います。
さすがに、ファイル共有ソフトでの音楽流通数は把握できませんが、ダウンロード販売に関しては2005年よりしっかりした統計があるので、これを見てみましょう。

download-track.jpg
↑がシングルトラックのダウンロード件数です。ここでは、アルバムトラックのダウンロード件数を出していませんが、シングルトラックと比べると非常にダウンロード件数が少ないので省略しました。
さて、シングルトラックは、モバイル分野もインターネット分野も順調にダウンロード件数を増やしていますが、モバイル分野のダウンロードには「着メロ」や「着うた」が含まれているので、当然フルコーラスでない楽曲やボーカルの無い曲も多いでしょう。そもそも、「着うたフル」ならまだしも、「着うた」や「着メロ」はCD市場とは若干ターゲットが異なります。
CD市場に直接影響を与えた物は、インターネット分野のシングルトラックダウンロード件数だと思われますが、2008年は38105千件となっていて、この数字を考慮しても絶頂期のシングルCD生産枚数減少分の穴は全然埋まらないわけで、やはり流通手段に関係なく、CD市場そのものが縮小していると推測できます。


さて、CD市場は縮小する市場規模をどこで取り返すのでしょうか?もちろん、携帯電話の着うた/着メロ市場を伸ばす事も重要かもしれませんが、そもそもシングルCDやアルバムCDと違って、一曲一曲の単価が小さいために薄利多売の消耗戦になるわけで、パフォーマンスの良いビジネスモデルを今後どうやって構築するのか非常に気になります。
国内での儲け拡大が望めないようであれば、外国に売り出すのも一つの手ではないでしょうか?韓国や台湾ではすでにJ-POPは浸透してますし、J-POPと一緒にカラオケをセットにして、日本文化の受け入れやすいタイ/インドネシア/マレーシア等々の国あたりに売り込みに行けばひょっとしたら狙い目かもしれません。(内需拡大にはなりませんが……)


しかし、IT化が今よりも進めば進むほど、それこそCD市場のように縮小する業界が今後もたくさん出てくるでしょう。現在進行形でまさに新聞業界やテレビ業界が経営難で苦しいわけだし、AMAZONやらネットショップの影響等で、個人経営の「本屋」とか「家電販売店」等の小売店は、今後も非常に苦しい経営判断を迫られることでしょう。
ITは社会を変える可能性のある産業だと思うけど、それこそITをくまなく導入してしまう事で、結果的に社会格差を広げてしまうような気がします。やはり文明が進めば進むほど、格差が広がってしまうのは人類の宿命みたいなものなんでしょうか?




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posted by きらっち at 16:50| Comment(5) | TrackBack(0) | 時事

2009年07月18日

過去の失敗から学ぶ事が大事

【英国の10代妊娠を予防する教育プログラム、逆に妊娠増招く皮肉な結果に】
http://news.livedoor.com/article/detail/4248829/

もちろん、政府は万能ではないし時には間違いをおかすこともある。上記は、まさに政府の意図するところとは逆の結果を生み出したわけで、結果的に見れば失敗といえよう。イギリスは、この失敗から何を学び取れたのでしょうか?


【派遣によって救われた人もいるのでは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30591746.html#comment

さて、↑のエントリーのコメントでも書いたんだけど、1985年のプラザ合意を受けて日銀が低金利政策を取ったのも、結果的に見れば「失敗」だったと言えるのかもしれない。


俺が知っている限り、政府の意図と逆の結果になった最大の失敗は「レーガン減税」でしょうか?当時のアメリカは、「インフレ」と「失業率」に悩まされていたんだけど、レーガン大統領は「減税」と「規制緩和」によってこれを打開しようと考えていた。
レーガン大統領の計算はおそらくこんなところだったんだと思う。

@減税により「貯蓄」と「消費意欲」の増大を図り、中産階級の労働意欲を刺激させ、企業や富裕層の「投資」活動を推進させる。

A規制緩和により、社会の生産力/供給力を増大させアメリカの経済規模が拡大させる。

B経済規模拡大で失業率が改善され、減税前よりも減税後の方が税収が増加。さらに、投資活動の活発化でマネーの流通量が増える事によりインフレ率の低下。

ところが、実際は全然そうはならなかったわけですよ。当時のアメリカは高金利の中で減税と規制緩和が実施されたため、アメリカ国内の投資活動は想定外に低調の一方で、(日本を含む)海外からのマネーが大量にアメリカへ流入。その結果、為替レートがドル高になり輸出減少と輸入拡大を招いてしまったわけだ。これにより、アメリカの貿易赤字がとんでもない事になる。ただし、ドル高はインフレ率の低下をもたらしたため、レーガン大統領の目的(インフレ率と失業率の低減)の一つは達成できた。
ところが、ドル高によりアメリカ国内の企業競争力が低下して、さらなる失業率増加を呼び起こしてしまったわけです。よって、レーガン大統領の計算通りに税収増加はせず、アメリカ政府の財政赤字が進んでしまい、世に言う「双子の赤字」(貿易赤字と財政赤字)を生み出してしまったわけだ。

この状況を受けて、「このままじゃアメリカはまずい!」という事になり、1985年のプラザ合意につながるわけです。



ところで、「下手に金利を上げれば海外からマネーが流入して、通貨高を引き起こす」というアメリカの事例を学習したのか、輸出産業を大事にする日本や中国は、その後低金利政策を続けております。とは言うものの、日本は低金利政策によりマネーが不動産や株に流れた挙句にバブル崩壊を引き起こしてしまいましたが、果たして中国も大丈夫でしょうか?以前俺は、↓のエントリーで「中国が実体経済に対して金利が低すぎる」と指摘しているわけで、いつか起こるであろう中国のバブル崩壊が非常に心配です。

【中国の金利政策の行方】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29725890.html


一方、日米欧は共に超低金利時代に突入してしまったために、おそらく日米欧のマネーの行方は「高金利の国」や「資源」に流れていくはずです。よって、今金利をむちゃくちゃ引き上げる新興国が出るのであれば、それはそれで面白い展開になりそうなのですが……。(笑)

いずれにしても、欧米諸国は日本のバブル崩壊を遠目で見ていたにもかかわらず、自分達の国のバブル崩壊(リーマンショック)を止めることはできませんでした。やはり、人間は直接自分で体験しない事には、本気になって考えないというところでしょうか?

まぁ何でもそうかもしれませんが、「他人の失敗から学び取る」という事は自分の失敗を防ぐと言う意味でも非常に大事だと思います。



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posted by きらっち at 21:37| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月17日

今年も官庁訪問の季節が来たなぁ

(T種、U種、V種にかかわらず)国家公務員になろうとするためには、当然国家公務員試験を受験しなければいけないのだが、試験合格後には「官庁訪問」(自分が働きたい省庁に行って、採用面接を受ける)をする必要がある。せっかく国家公務員試験に最終合格していても、官庁訪問での面接が失敗に終わって、内々定が出ない(いわゆる「無内定」)の人もたくさんいるわけで、この官庁訪問が最後にして最大の難関になるわけだ。

今年はすでにT種の方の官庁訪問は終了していて、今日からU種の官庁訪問が始まった。俺は別に採用の担当でも何でもないけれど、官庁訪問に来ている学生を見ると、「そういえば俺のときも、暑くてムシムシした日だったなぁ」と、ついつい6年前の自分の思い出してしまうわけですよ。(笑)


ところで以前、はてなダイアリーでブログを書いていた頃は、自分の「官庁訪問日記」も書いていたのだけど、ちょうどタイミングが良いので今日はこれを紹介しよう。とは言うものの、本ブログの主な読者は社会人(何故か地方公務員や金融機関の方が多い)なので、この官庁訪問日記を読んで何かの参考になる人は少ないかもしれないが……。

【きらっちの官庁訪問日記2003】
2003年の国T官庁訪問日記「第1話」
2003年の国T官庁訪問日記「第2話」
2003年の国T官庁訪問日記「第3話」
2003年の国T官庁訪問日記「第4話」
2003年の国T官庁訪問日記「第5話」
2003年の国T官庁訪問日記「第6話」
2003年の国T官庁訪問日記「第7話」
2003年の国T官庁訪問日記「第8話」
2003年の国T官庁訪問日記「第9話」
2003年の国T官庁訪問日記「第10話」
2003年の国T官庁訪問日記「第11話」
2003年の国T官庁訪問日記「第12話」
2003年の国T官庁訪問日記「第13話」
2003年の国T官庁訪問日記「最終話」
2003年の国T官庁訪問日記「第15話〜番外編@〜」
2003年の国T官庁訪問日記「第16話〜番外編A〜」



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posted by きらっち at 22:34| Comment(0) | TrackBack(1) | 日記

2009年07月16日

派遣によって救われた人もいるのでは?

【民主党「製造業派遣禁止」へ 電機メーカー海外脱出は必至】
http://diamond.jp/series/inside/09_07_18_002/

製造業を中心に派遣社員がどんどん首を切られている状況になって社会問題になっている。確かに、失業者増大を防ぐために政府も何かしないといけないのだけど、このニュースもいろいろな見方・考え方があると思うんだよ。
ただ、野党は製造業の登録型派遣を禁止して、企業に正社員として従業員を採用させたい意図があるのだろうけど、果たして本当に正社員が増えるのかなぁ……。(とりあえず今国会では廃案になるのでしょうけど、次の国会で再び出すつもりなのかな?)



そもそも、日本の「円」が海外通貨に比べて非常に高いので、同じ製品を作るにも人件費の高くなる日本は価格競争で不利になる。特に、1985年のプラザ合意によって円高が進むと、日本のメーカーで海外に工場を進出するケースが増えたわけですよ。

この事実だけを見ていくと、「通貨高」の国に背負わされる宿命がわかるでしょう。つまり「誰でもできる作業」は、通貨安の国に対してとても価格競争で勝てない。よって、通貨高の国(日本)にとっては、他の国では真似できない事で国内産業基盤を作ることでしか、安定的にお金を稼ぐ手段は無いわけです。

これを国レベルでなく個人レベルで見た場合、(ちょっと言い方が悪いかもしれませんが)「誰にでもできる事しかできない人」には職が無くなるのは当然です。昔みたいに円の価値が低く、日本の産業は価格競争力で海外に勝てた時代は、学歴に関係なくみんな何かしらの職にありつけたし、海外からの日本製品需要が多かったわけです。ところが今の日本の場合は、海外から見れば「日本製品は質が良いけど高いので買えない」、国内でも「多少品質が悪くても外国製品の方が安くて良いよね」という事になるので、そりゃ昔より国内の失業者が増えるのは必然だと思います。

ちょっと話はそれますが、当然イギリスやアメリカも日本と同じ流れを辿っています。彼らの場合は製造業の拡大を諦めた代わりに、海外からお金を呼び寄せて「金融産業」を拡大する事によって、失業者を増大させなかったわけです。(ただし、そのビジネスモデルも昨年崩壊してしまったわけですが……)


そんな中で、日本は2004年3月より製造業への派遣が解禁になりました。「派遣は、都合よく首を切るための悪い制度だ」という野党の批判もありますが、本当にそうだったのでしょうか?俺自身は、むしろ派遣制度によって海外への工場進出が抑制されて、むしろ製造業の雇用情勢がプラスになったと思ってます。それを示唆するのが、↓です。
manufacturing_yen-rate.jpg
1985年のプラザ合意によって、1$=200円を超えていたレートが120円程度にまで円高が進みました。ただ、この時はまだ製造業が持ちこたえていたのか、プラザ合意直後に製造業従業員は若干減りましたが、それは一時的なものでその後も従業員数は増え続けました。この間に企業は海外への工場進出も進めていたのでしょう。その後バブル崩壊と共に、1992年以降は製造業従業員数がひたすらに減り続けました。その流れの止まったのが2005年頃。そう、まさに製造業への派遣解禁になった直後です。(ところが、その後は世界不況の影響でまた減り始めましたが……)

2004年以前のペースを考慮すると、逆に製造業の派遣を認めていなかったら、2009年では製造業の従業員数は大台の1000万人を切っていた可能性もあるわけで、俺自身は「派遣を禁止すればむしろ失業率のあがる可能性がある」あるいは「パート、アルバイト、期間社員の人が増えるだけでは?」と見ています。


employee_temp-staff.jpg
そして、今の日本で派遣社員がどの程度いるのかが気になったので、さらに調べてみた結果が↑です。2008年の最新データでは、正規・非正規(派遣社員を含む)を含めた全従業員数が5540万人で、そのうち派遣社員は140万人。つまり派遣社員は全労働者の3%にも満たないわけですよ。
最近は派遣社員ばかりが報道されているのだけど、実際の人数は意外に少ないというのが俺の正直な感想。むしろ「派遣切り」の報道よりも、「アルバイト切り」とか「パート切り」で職を失った母子家庭の数の方が多いのでは?

そして、↑のグラフで見逃しちゃいけないのが、「正規・非正規を合わせた全従業員数」なんですよ。ここではあえて、正規・非正規を分けてグラフには書いてあるのですが、全従業員数を見ると、1988年はおよそ4400万人で2008年はおよそ5540万人。つまり、この30年で労働者が1100万人以上増えているわけですよ。(しかも、正規従業員の数はそこまで変動していない一方で、増えた分のほとんどが非正規従業員)
詳しく分析しないと確かな事はわからないけど、日本の失業率が高くなったのは、「働き場所が少なくなった」のではなく、「仕事をしたい人が増えた」という要因の方が大きいんじゃないのかな?


とりあえず、初めて投票機能を使ってみました。お時間ある方は、投票とコメントをどうぞ。



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posted by きらっち at 20:50| Comment(20) | TrackBack(0) | 時事

2009年07月15日

数理計画問題とその応用

情報科学や経済学の学問分野ではメジャーなんだけど、「数理計画問題」と呼ばれるものがある。この学問分野、一言でいうと「与えられた複数の条件式の下で、目的とする値を最大化(最小化)する」という事を探求するのだけど、これは現代の経済や企業経営において非常に役に立つ話なんですよ。
実際に大手の企業は、物流や人員配置等を数理計画問題として解いてコスト削減を実施しているらしい。

さて、今日はこの数理計画問題の中でも、わりと簡単な「線形計画問題(条件式の中に、二乗以上のべき乗変数を含まない)」について、例と共に説明していこう。



さて、まずはこの線形計画問題を説明する上での背景話として、俺の大学時代の貧乏話(半分フィクション)を出すとしよう。(笑)

当時俺は朝食を作るのがめんどくさくてしょうがなかった。ただ、昼食も夕食もろくな物を食べていなかったので、栄養失調が心配で何かしら朝食を食べる必要は感じていた。とりあえずシリアルと牛乳を買って来て、これを朝食にしようと思ったのだが、どれだけ食べれば朝食に必要な栄養素を摂取する事ができるかと思い、栄養士である友達に聞いたところ、たんぱく質を9グラム、ビタミンDを1/3RDA、カルシウムを1/4RDAを摂取する必要のある事がわかった。(ちなみに、RDAは1日の必要摂取量)そして実際に、牛乳とシリアルにどれだけその栄養素が含まれているのを調べてみると、以下の通りである事がわかった。

【牛乳(1/2カップ)】
値段:50円
タンパク質:3グラム
ビタミンD:1/15RDA
カルシウム:1/6RDA

【シリアル(1/4袋)】
値段:65円
タンパク質:2グラム
ビタミンD:2/15RDA
カルシウム:なし

ここで俺は「どうせなら一日の朝食に必要最低限の栄養素を摂取しつつ、朝食費用をできるだけ少なくしたいな」と考えたわけですよ。しかも、「牛乳を混ぜ過ぎてシリアルをびしょびしょにしたくない」「逆に、牛乳が少なすぎてぼそぼそのシリアルにしたくない」という多少わがままな条件まで付けることにしました。

さて、今までの話はつまるところ
○一日の朝食に必要最低限の栄養素を摂取する
○牛乳を混ぜ過ぎてシリアルをびしょびしょにしたくない
○牛乳が少なすぎぼそぼそのシリアルにしたくない
の三つの条件を満たしながら、朝食代を最も少なくするために、牛乳とシリアルをどの程度の割合で混ぜるべきか?という問題にまとめる事ができる。


ここで一旦、この問題を定式化してみよう。牛乳1/2カップとシリアル1/4袋をそれぞれ一単位として(x,y)とする。そして朝食一食分の費用をzとすると、以下のようにこの問題を定式化できる。
breakfast-model.jpg

今は変数がxとyしかないので、非常に簡単な問題なんだよね。なぜなら、xy平面に@〜Fの条件式を図示すると以下の領域になる。
linear-plan-probrem.jpg
今考えなければいけないのは、この領域内においてzを最小にする具体的な(x,y)の値を求めるわけだ。z=50x+65yであるので、この直線が上記の水色の領域に触れていて、さらにzが一番小さくなるところというと、↓の箇所になる時でしょうか。
linear-plan-probrem_answer.jpg
この結果より、7つの条件式を満たして朝食費用を最小化するx,yが算出できるわけです。

ちなみに、この問題の場合はわりと楽に答えが出るんだけど、変数の数が3個以上になると、図に書くのも面倒だし、人間の手で解くにはもうかなりしんどいわけですよ。さらに、4変数になると図に書けないので、おそらく人間には解けないわけだ。ただし、この手の線形計画問題に対しては変数の数がいくつになろうが、「シンプレックス法」というコンピュータで解ける万能な計算方法がある。このシンプレックス法を、初めてコストダウンに適用した企業が、米国のデルタ航空だったのだけど、航空機と乗務員のスケジューリングに関して変数の数が1700万、条件式は800本の線形計画問題を解いて年間1000万ドル以上のコスト削減が図られたんだよね。いやいや、やっぱ規模の大きいことになると、人間が適当に決めるよりも数式に従う方が無難って事だな。(笑)


シンプレックス法(1947年発案)については、かなり数学チックな話になるのでここでは説明しないけど、自動でこういう問題が普通のPCで解けるんだから、すごい世の中になったよなぁ……。(笑)



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2009年07月14日

中国・韓国の貿易動向

以前も中国や韓国の貿易動向をお伝えしていましたが、2ヶ月ぶりくらいに最新状況をお知らせしましょう。


200906-china_trade.jpg
まずは中国から。中国は輸出額がリーマンショック後に激減し、完全にL字型で推移し続けている。しかし輸入の方に関しては、1月以降に増加傾向を示しているために、貿易黒字額も2009年3月に回復しかけたけれど、それから再び低減してる。
ふむ。こりゃ、そもそも中国は昨年に比べると、貿易黒字額が激減してしまったので、以前ほど米国債を買い支えられないわけですよ。中国政府は「もう米国債を購入しない」という趣旨の事を言っているけれど、そもそも「もう米国債を購入できない」の間違えじゃないの?(笑)
しっかし、中国は下手したら7月の貿易黒字がほとんどなくなりそうな気配。もし中国が、単月と言えど「貿易赤字」に転落してしまうと、相当世界経済にショックを与えるだろうなぁ……。


200906-s-korea_trade.jpg
そして、次は韓国。中国と違って、韓国の貿易黒字額は絶好調なんだよな。(笑)韓国も、輸出額はリーマンショック後に激減。ところが韓国は中国と違い、その後のウォン安も相まって輸出額がはっきりと増加傾向を示している。一方、輸入額の方はと言うと、リーマンショック後の激減からそんなに増加していないわけですよ。ひょっとして、韓国はこのまま回復街道へ一直線か?
韓国が輸出額を増加するには、輸出品の元になる材料の輸入を増やさないといけないので、俺の予測ではそろそろ輸入額ががっつり増える事により貿易黒字額が減ってくるはずなんだけどなぁ……。

ちなみに、2009年6月の韓国の貿易黒字額は、同月の中国の貿易黒字額に肉薄してきたわけで、ひょっとしたら7月の貿易黒字額は中国を超えるかもしれない。一体、韓国はいつまで輸出絶好調を続けられるのだろうか?とても半年前まで、デフォルト寸前まで追い込まれた国とは思えないな。(笑)


という事で、2009年第2四半期も終了しました。今後は、各国のGDPや国際収支発表もあるので、随時お伝えしていきます。



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posted by きらっち at 23:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済

2009年07月13日

GDPから見た公務員数の考察@

【人は減る一方で仕事は増えるわけで……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30329179.html

今日は、↑のエントリーで予告した公務員数に対するGDP考察の第一話です。↑のエントリーでは、「国会議員」「地方議会議院」「自衛隊」みたいな公務員の中でも特殊な地位の人(いわゆる特別職)の数は含まれていなかったんだよね。実際にこの辺の分析をしようと思うと、そういう特別職も含めた公務員数が必要になるなと思い、いろいろ調べていたら内閣府の方で良い資料がありました。

【内閣府経済社会総合研究所 公務員数の国際比較に関する調査】
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou030/hou021.html

という事で、↑のページには自衛隊や議員さん、さらには特殊法人や政府系企業の職員数を含んだ公務員数が掲載されており、しかも日本だけでなく、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの数値も出ているので、これをベースに考えていく事にしよう。


collect2.jpg
さて、まずは各国の公務員数から見ていこう。↑が先進5カ国の公務員・政府系企業の職員数です。2004年や2005年時点の数字なので最新版ではないのですが、公務員の数というものは、劇的に急増したり急減するものではないので、とりあえずはこの時点の物で考えたとしても、ある程度今の現状を反映しているものと思う。

さて、この表を見ると日本の公務員数は、日本より人口の少ないフランスやドイツよりも少ない事がわかります。もともと「日本は公務員の数は少ない」とは言われているものの、確かにこの数字はそれを裏付けるものとなっている。


そして、次に各国の2004年/2005年当時の経済規模(GDP)を見ていきましょう。ちなみに、この手の調査を行おうとすると、ネックになるのが各国の物価の違いなんだよな。話を単純化して、思いっきり簡単な例を出そう。(正しい経済学とは、多少ズレますがそこはご勘弁を)
例えば、日本でキャベツ10個を100円で売る。この時日本のGDPは10個×100円=1000円がカウントされる。一方、アメリカでキャベツ10個を0.5ドル(50セント)で売る。この時のアメリカのGDPには10個×0.5ドル=5ドルのGDPがカウントされるわけだ。
今、円ドルの為替レートが1$=100円だったとしたら、日本だと10$、アメリカだと5$分のGDPがカウントされる事になり、同じ行為をするにしてもGDPへのカウントが不公平になるわけです。

これを是正するために、通常の円ドル為替レートではなく「購買力平価」に基づくレートがよく使われる。購買力平価とは、世界中で「同じ物は同じ価格」(一物一価)で購入できるとする考え方で、上記のキャベツの例だと1$=50円となるわけだけど、そうすれば日本の場合もアメリカの場合も同じ5$分のGDPがカウントされるわけです。これによって、購買力平価で見た場合は1$=100円ではなく、1$=50円でドル換算されるので物価の影響をほぼ排除できるわけです。
当然、キャベツだけで購買力平価によるレートの算出はできないので、通常は各国において、↓のサイトに示すとおり、様々な物やサービスの価格を統計を取って購買力平価によるレート算出を行っているんだよね。

【国際比較プログラム(ICP)への参加】(参考リンク)
http://www.stat.go.jp/info/meetings/icp/index.htm

ちなみに通常の為替レートと購買力平価によるレートが異なる理由は、国家間での通貨取引は「物やサービス」のみでなく「投資」や「投機」の目的もあるため、各国の金利や利子・利回り等々の違いも為替レートに寄与する事が一つ。また、貿易されない財やサービスが存在すること等々が理由として考えられると思う。


さて、前置きが長くなってしまったけど、この購買力平価でドル換算して、物価変動を除去した各国の実質GDPを↓にあげよう。
realGDP_ppp.jpg
さて、OECDの資料では、「固定資本形成」を「公的固定資本形成」と「民間固定資本形成(住宅投資、設備投資)」に分けていないので、政府の公共事業も一緒にカウントされてしまっている。よって、実際に政府が支出した分のGDPは完全にはわからないのだが、後日にそれがわかる資料が手に入れば修正します。
まずは今回、購買力平価によるドル換算で「GDP」=「民間最終消費」+「政府最終消費」+「総固定資本形成」+「在庫変動等」+「純輸出」として、それぞれを掲載しました。


そして、いよいよ先進5カ国の「国家公務員一人当たりのGDP」「地方公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」を見てみよう。ちなみに「政府最終消費」については、国の支出と地方自治体の支出が混ざっているので、国家公務員一人当たりと地方公務員一人当たりで分けて考えることはしない。また、前述のように公的資本形成は「総固定資本形成」に含まれるので、各国ともに公共事業に対する支出分は政府最終消費には含まれていない。ただ、公的資本形成のGDPに対する割合が、日本だけむちゃくちゃ多いということでもないような気がするので、大きな傾向を見る上ではこれでも良いかと思う。
collect1.jpg
さて、↑の結果を見ると、日本の「国家公務員一人当たりのGDP=(GDP/国家公務員数)」は他国よりも大きいことがわかる。「全公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」は、他国と比較しても大きな違いの無いところを見ると、「日本の国家公務員の数は、経済規模に対して少ない」という事がわかる。ふむふむ、すでに十分小さくて効率的な政府じゃないですか!
それぞれの国によって、国の仕事/地方の仕事/民間の仕事の仕分けに対する考え方は違うだろうけど、この数字だけ見ると国家公務員の給料を減らすならまだしも、「これ以上国家公務員の数を減らす合理的な理由はどこにあるんだ?」と思ってしまうけどなぁ。

さて、「地方公務員一人当たりのGDP」はドイツと同等程度である。これについてどう考えるかだけど、日本は他の欧米諸国と比べると地方分権が進んでいないと言われる。つまり、他国では地方自治体の行う事業を日本では国が行っているケースが多いはずなんだ。という事は、その分だけ地方公務員の人数が少なくなっていなければならないので、必然的に日本の「地方公務員一人当たりのGDP」は他国より大きい数字になっているべきなんだよね。ところが現実はそうなってはいないわけで、この辺りはいろいろと議論の余地があるんじゃないかな?今後も、もうちょっと詳しい資料や数字を調べてみようと思ってるんだけど、いずれ「経済規模から考える適正な地方公務員数」を定量的に考えてみようと思う。

そして、どうにもならないのはアメリカですな。(笑)アメリカは「全公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」が他国と比べるとかなり低いのがわかる。これはつまり、「GDPや政府最終消費に対して公務員の数が多すぎる」って事をあらわしているわけですよ。(特に地方公務員!)
ただ、「アメリカは公務員の給料が他国より安い」という話もあるので、「コストパフォーマンス」で考えると、また違う結論が出てくるのかもしれない。今後の考察として、「GDP/政府最終支出」と何らかの「コストパフォーマンス(公務員の給料)」の指標を合わせて、国家比較をやるのも面白いかもしれません。


今後も、不定期でこのシリーズについては書こうと思ってます。



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posted by きらっち at 19:25| Comment(5) | TrackBack(0) | 仕事

2009年07月11日

悪口だけでは人心は着いて来ないのでは?

明日は都議会議員選挙ではあるのだけど、残念ながら俺は東京都民ではないので投票には参加できない。事前報道からするに、自民党が大敗しそうだね。


さて、今日は次期衆議院議員選挙に立候補している民主党の方のパーティーに参加してきました。ちなみにこの方は現職議員ではなく、しかも前回の衆議院選は保守分裂の上に弔い選挙になった話題の選挙区なので、「一体、こういう選挙区から立候補する民主党候補者は、パーティーでどういう発言するんだろう?」と興味があったので、自分の選挙区ではないものの参加費6000円をしぶしぶ支払いつつ参加してきました。(笑)


この民主党候補者自身は「他の人と違って、自分はフェアでクリーン」という事を主張していて、まぁとくに可も不可もないような感じでした。ところがこの候補者ではなく、その支援者が壇上に上がってからが酷すぎました。「自民党はダメだ!」「世襲議員は不公平だ!」まではまだ許せるとして、「○○(現職議員)は金で票を買っている」とまで言い出す始末。
候補者も支援者も多かれ少なかれ自民党や現職議員の悪口がほとんどで、「支援者として、候補者に何を期待しているのか?」とか「候補者は選挙で当選したら何をしたいのか?」等々の建設的な発言がほとんどないわけですよ。しかも、本人と支援者がしゃべるのみで、俺みたいな普通の参加者には質問や発言の場は与えられないわけです。
俺的には、「自民党の何がどう悪いのか」「世襲議員の問題点の本質はどういうところで、どういう手段をもってどのように解決するか」「何故、民主党から立候補するのか?無所属や他の党からの立候補ではダメなのか?」を聞きたいところだったんだけどな……。
まぁまだ選挙の具体的な日程は決まっていないのだけど、ネガティブキャンペーンのみでなく、もう少し自分の「政治ポリシー」とか「やりたい事」みたいに、前向きな具体的発言でアピールする方が、有権者の心に響くんじゃないかと思いました。今のままだと、かえって印象が悪くなるんじゃないのかなぁ……。


という事で、この選挙区の対抗馬の自民党候補者と無所属候補者が何を言うのか気になってきました。後日、今回と同様に自民党候補者と無所属候補者のパーティーに参加して、彼らの発言を比較するのも面白そうです。(ただ、ここの選挙区は自分の投票する選挙区ではないので、完全に高い参加費を払うだけで終わってしまいそうですが)


【参考】
ちなみに俺みたいな公務員が、政治家のパーティーに参加するのは問題ではないのだけど、パーティーの主催者側のメンバーになるのは法律で禁止されている。あくまで、「パーティーの一参加者であれば良い」という事。
今まで、2回(自民党衆議院議員×1、自民党参議院議員×1)こういうパーティーに参加したのだけど、大体相場は5000円(立食パーティー形式)ってところかな。今回は、2時間パーティーで1時間半くらい誰かがしゃべっている状態なので、もう少し飲み食いさせてくれる時間が欲しかったな……。
posted by きらっち at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 政治

2009年07月10日

サイバーテロと非殺傷兵器

【米韓サイバー攻撃続く 韓国では第3次被害】
http://www.asahi.com/international/update/0709/TKY200907090420.html

【「DDoS攻撃に北朝鮮介入」…AP通信】
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117736

【「ゾンビPCのハードディスク破壊」…DDoS3次攻撃】
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=117731

とりあえず本当に北朝鮮の仕業がどうかは未確認との事だけど、すでに「サイバー戦争」とか「サイバーテロ」ってのは、現実に起こりうる話なんだなぁ……。

しっかし、本当に北朝鮮がやってるとなると、「ウィルスに感染させるサイト構築」「ウィルス感染した全てのPCへの攻撃指令」等々の仕掛けが必要なわけで、北朝鮮国内のネットインフラでそれを実行するのは無理のなんじゃないの?
おそらく、大量の工作員を中国や韓国に送り込んで、他国のネットワークを使ってサイバーテロを仕掛けているんだろうな。DDoS攻撃のみならまだしも、ハードディスククラッシュさせるウィルスもあるみたいで、さすがにディスククラッシュされたら、どこの国だってそりゃ怒るだろうな。

果たして、北朝鮮はミサイルによる脅しも通じなくなってきたので、サイバーテロの手法に切り替えたのだろうか?ただ、今回は人的被害は無いけれど、確かな経済被害が出ているので、アメリカか韓国が北朝鮮の犯行である証拠を見つけられたなら、一体北朝鮮をどうするつもりなんだろう……。



ところで最近はサイバー攻撃以外にも、様々な非殺傷兵器が開発されているので、いくつか有名どころを紹介しておこう。


@音響兵器
【米軍がイラクに投入する新たな非殺傷兵器は「音」】
http://wiredvision.jp/archives/200403/2004030801.html

この音響兵器はすでに実用化されている。通常俺らが考える「音」は、四方八方に拡散するんだけど、こういう音響兵器は指向性を持つため、レーザービームと同じで特定方向にだけ大音量の音を照射するわけですよ。この音響兵器で、俺の家に一日中演歌を流されたら確かに家にいたくなくなるだろうな。(笑)

さらには、最新の研究だと「マイクロ波」と「フレイ効果」を組み合わせて、脳内で音を発生させる兵器も米軍で開発中との事。


A電磁パルス兵器
【マイクロ波ミサイルや「停電爆弾」:敵国の電子機器を使用不能にする「電子戦」】
http://wiredvision.jp/news/200812/2008121021.html

これは、超大出力のパルスマイクロ波をヘリや航空機から地上に向けて照射するもので、照射されたマイクロ波によって地上のあらゆる電子回路に対して瞬間的に大電流を発生させ、電子回路をショートさせる兵器。この兵器もイラク戦争で実際に使われたらしいのだけど、詳細な威力に関しては報道されず。

俺の家に対してこんな兵器使われたら、「PC」をはじめとして、「TV」「冷蔵庫」「携帯電話」までも壊れてしまうわけで、一夜にして俺の生活が一変しそうだなぁ……。


B巨大電子レンジ兵器
【Active Denial System (from Wikipedia)】
http://en.wikipedia.org/wiki/Active_Denial_System

これも電磁波を使った指向性兵器。原理は電子レンジそのもの。これを人に向けると、皮膚に付着している水分が沸騰するので、全身から激痛を受けると書いてある。ただし、アメリカの国防省によれば「出力を抑えれば致死性兵器ではない」との事。

いやいや、これ出力上げれば十分致死性兵器でしょ!出力MAXで照射したら皮膚上の水分だけでなく、体内の血液とかも沸騰するわけだし、しかも照射距離が500m程度の立派な飛び道具なわけですよ。うぅ、考えるだけで恐ろしいわ。アメリカは凄い危険な兵器を開発するよなぁ……。


確かに人類の歴史を辿ると、こういう新しい軍事技術が民生用に転じていろんな応用例が出てくることにより、俺達の生活もどんどん便利になっていってるのも事実。争いや戦争の形も時代と共に変わるとは言え、いろいろと考えさせられる事ではあるよなぁ。




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posted by きらっち at 22:00| Comment(9) | TrackBack(0) | 時事

2009年07月09日

増やせパテントファミリー!

【ペットボトルで猫撃退装置、中3が特許取得】
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090707-OYT1T00165.htm

特許審査は、「出願」「公開広報発行」「審査請求」「実体審査」等々のいろいろな手続きが必要になって、しかも非常に時間がかかるのでめんどくさい事この上ないわけだけど、一つでも特許を持っていればきっと飲み会での良い話ネタにはなるよなぁ。(笑)
まぁ、この発明が実際にお金になる特許なのかはさておき、高校の推薦入学のネタとしては非常に価値があるのではないでしょうか?(笑)
いずれにしても、この猫撃退装置を元に「パテントファミリー」を広げていったら、あるいは面白い事になるのかもしれない。

「パテントファミリー」とは、関連する特許グループの事なんだけど、こんな状況を考えてみよう。ある特許Aを基礎にして別の特許Bと特許Cを作り、特許Bを基礎にして特許Dを作る。この時の特許A〜特許Dをパテントファミリーというわけですよ。上記の記事で言うと、猫撃退装置の特許を基礎にして何か別の特許を作る事に該当する。(パテント(patent)とは、英語で特許権の事。)
重要な発明ほど、パテントファミリーの規模が大きくなる傾向があり、もちろんその分巨額のお金が動くようになるので、日本の民間会社とかもパテントファミリーを作る事には熱心だと聞いたことがある。


という事で、これまた良い機会なので、現状の「日本のパテントファミリーの動向」を調べてみたので、これを皆様に紹介しよう。

number_of_patent-family.jpg
↑は、世界全体、日本、アメリカ、ドイツ(上位三カ国)から登録されたパテントファミリー数を表している。ここでは、複数国で登録された同一パテントファミリーの重複カウントは省かれて、最初に特許を取った国のみがカウントされている。これを見ると、世界全体のパテントファミリー数は増加傾向を示している。
一方、日本とドイツは横ばい傾向。アメリカは、若干の増加傾向が読み取れる。日本は1990年には、世界のパテントファミリー数のうち55%程度を占めていたわけでパテントファミリー大国だったのだけど、その割合はだんだん低下している。いずれにしても2005年現在で、日本、アメリカ、ドイツの上位三カ国だけで世界のパテントファミリー数の65%を占めるわけで、その割合は少なくなったとは言え、牙城を崩すのは容易ではないだろう。そもそも、一回パテントファミリーを作ってしまうと、特許を特許で固めるわけなので、他の人がなかなか参入できない構造が出来上がっちゃうんだよね。


ただ、上記のパテントファミリー数の統計は、自国のみで特許取得するパテントファミリー数と他国でも特許取得するパテントファミリー数を一緒に考えているので、「海外からたくさんのお金を巻き上げられるのか?」まではこの資料からではわからない。

foreign-oriented_patent-family.jpg
という事で、海外でも特許を取ったパテントファミリー数を調べてみると、↑の通りである。ここでは、1位2位を日本とアメリカで競り合っている事がわかる。ここは何としてでも、日本が頭一つ抜け出して欲しい。というのも、この数が多いほど海外から特許料を請求できるわけで、国際収支中のサービス収支の改善に大きく寄与するわけですよ。

【長期的な日本のビジネスモデルとは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29829271.html

↑のエントリーでも書いたけど、俺はサービス収支において「特許等使用料」が今後の日本の稼ぎ頭になり得ると思っているので、是非とも国策で「日本からの海外向けパテントファミリー数」をどんどん増やしていって欲しいと思う。




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posted by きらっち at 22:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 時事