2009年10月26日

わざわざ不確実な方法を取る理由は何だ?

【資産・負債に見る不況の原因】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/33147412.html
nf_asset-liability.jpg
↑の先日のエントリーで、非金融部門中の「非金融法人企業」「家計」「一般政府」の資産・負債を分析したところ、不況の影響を直撃しているのは、「家計」ではなく「非金融法人企業」である事を示しました。バランスシート不況のせいで、「非金融法人企業」における資産・負債は共に急減してしまっているので、この状況を断ち切り、再び「非金融法人企業」の資産・負債を増やす政策を打ち出す事が、日本経済を元の姿に戻す上で重要な方法である事を説明しました。
今日はこの事を踏まえた上で、民主党と自民党の経済政策について考察していきましょう。とりあえず民主党と自民党の経済政策の違いを端的にまとめると以下のようになります。


dpj-flow.jpg
【民主党の経済対策の視点】
@家計支援中心(「子供手当て」や「農家の戸別補償」等々)
A政府支出削減(徹底的なムダ削減/国債発行は消極的)
B経済成長戦略が無い
Cデフレ阻止に対する政策が無い


jimin-flow.jpg
【自民党の経済対策の視点】
D企業支援中心(「公共事業」等々)
Eできるだけ政府支出維持(必要であれば国債発行やむなし)
F経済成長を促して、債務残高対GDP比を低くさせる
G政府支出拡大による需要増加でデフレ阻止

バランスシート不況の脱却(「非金融法人企業」の資産・負債を増やす)という視点で比較すれば、@AとDEでどちらの方が確実な政策かは、それぞれの目指すフローの図を見てもらえば一目瞭然です。「政府支出削減」と「家計支援」を打ち出している民主党のやり方であれば、「非金融法人企業」の資産・負債の増加は、家計消費が増加しないと達成できないので、100%の保証がありません。(家計支援の結果、消費に回らず貯蓄に回されると、まったく効果が出ない事になります。)
一方で自民党のやり方は、政府支出で企業にお金を流すので「たら」「れば」の仮定は必要無く、確実に「非金融法人企業」の資産・負債を増やす方向には向かうわけです。しかも、自民党のやり方であれば、Gにも示したとおり政府支出によって需要を作り出すので「デフレ対策」にもなるわけですが(同時にある程度の失業率低下にもつながるでしょう)、Cのように民主党には「デフレをどうにかしよう」という戦略は今のところ何も言及していない上に、Bのように経済成長に対する戦略が今もってまだ不明確なわけです。


民主党のやり方で心配なのは、政府支出を削った上で家計支援を貯蓄されたら、日本が再びデフレスパイラルに陥る危険性があるという事です。家計支援すれば、「家計消費が間違いなく増える」という確信があるならその根拠を明確に示して欲しいのですが、それについては民主党は何も語っていません。民主党は、民間企業の資産・負債を増やさないといけないのに、民間企業に政府支出せずに家計に政府支出をするというギャンブルのような経済対策を打とうとしているわけで、俺には理解に苦しみます……。
とは言え、ここ1週間で来年度の国債発行増が規定路線になってしまったようで、民主党も政府支出増加の現実路線に舵を切っているのかもしれません。良かったのか悪かったのかわかりませんが、連立相手のあの大臣がキーマンだったのでしょうかねぇ……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 22:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済