2009年12月29日

中国の「マネタリーベース」と「マネーストック」の推移

@【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

A【マネーストック(マネーサプライ)とは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/33366638.html

先日は、↑の@Aで「マネタリーベース」と「マネーストック」について説明しました。おさらいのために書いておくと、
「マネタリーベース」=日銀が社会に供給するお金の総額
「マネーストック」=非金融部門の預金資産残高
でした。

今日のエントリーでは「中国」の「マネタリーベース」と「マネーストック」について考えてみましょう。(Aの続き物として日欧のマネーストックを書くのを、すっかり忘れていました。これについては、また後日に書こうかと思います。)


china_money-stock.jpg
という事で、↑が中国の2007年1月〜2009年11月の「マネタリーベース」と「マネーストック」になります。
まずは、「マネタリーベース」の方から見てみましょう。中国の「マネタリーベース」は、2007年1月に280億元程度だったものが、2008年1月に370億元、2009年1月に410億元と急拡大している事がわかりますが、中国の2007年経済成長率(名目GDP)が21%、2008年経済成長率(名目GDP)が17%程度だった事を考えると、確かにそのくらい増えてもおかしくはないかもしれませんね。
一方で「マネーストック」の方は、2007年1月に35兆元程度だったものが、2008年1月に42兆元、2009年1月に50兆元、2009年11月に60兆元と、わずか3年も経たない間に1.7倍にまでなっていて、「マネタリーベース」の伸び率よりも「マネーストック」の伸び率が非常に大きい事がわかります。マネーストックが伸びるという事は、「金融機関から経済全般へ供給されている通貨総量の増加率が大きい」という事を意味するので、単純に考えれば景気が良い(フローが良くなっている)事を意味するのですが、この伸び率が大きすぎると通貨供給量が過剰という事になり「インフレ状態」という事になります。ところが中国の場合は、2009年2月〜2009年10月の消費者物価指数は対前年同月比でマイナスを記録しており、ようやく2009年11月でプラスに戻ったところなので、「マネーストックの伸び率」と「消費者物価指数の伸び率」の整合がどうにも取れていないわけです。これって何を意味するのですかね?

【中国の人民元建て新規融資やマネーサプライが急増、景気の底打ち期待高まる】
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnTK833044420090212

その答えを示唆するのが、↑の記事です。中国のマネーストック(マネーサプライ)の急増は、「中国の民間銀行が中国政府の要請で貸し出しを積極化している」との趣旨が書いてありますね。マネーストックが急増した原因は、確かに銀行貸し出しの増加に起因するものなのでしょう。問題は「貸し出したマネーが何に使われているか?」という事だと思います。普通に考えれば、この貸し出し金が民間に広く融資されれば、中国国内の需要が強化されるため「消費者物価指数」が9ヶ月間もマイナスになる事はなかったのではないでしょうか。
あまり当たって欲しくない想像ですが、中国の民間銀行の貸し出したお金の大半が、「株」や「不動産」に投機されているとすれば、「マネーストックの急増」「消費者物価指数の低迷」という通常では相反する2つの指標の動きを説明できそうな気もします。(もしこの想像が正しいとすれば、中国は自身の政策によりバブル崩壊への第一歩を踏み出した事になりますが……)


実際のところ今後の中国がどうなるのかはわかりませんが、今日のエントリーは「中国経済に何らかの歪があらわれている一例」と言えるのかもしれません。



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posted by きらっち at 23:59| Comment(5) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月28日

2009年Q3の日本・韓国・アメリカの国際収支

今日は、「日本」「韓国」「アメリカ」の2009年Q3の国際収支から、対外経済についての近況を読み取って見ましょう。


japan-bop_2009Q3.jpg
まずは↑の日本の国際収支です。
とりあえず「経常収支」の方から見ていきましょう。2009年は、昨年のリーマンショックで急減した「経常収支」が順調に回復している事がわかります。もっとも、「経常収支」の項目中の「貿易収支」の回復速度が鈍いので、「経常収支」が2007年くらいの水準に回復するのはまだまだ時間がかかりそうです。一方で「所得収支」については、「貿易収支」ほどの影響があるわけではないので、今後もコンスタントに黒字額が見込めそうです。「サービス収支」や「経常移転収支」については、大きな下落要因はないものの、黒字に転換する事もないと思われます。それと、GWで日本人の外国旅行が増えるQ2は、サービス収支が毎年一時的に赤字幅が拡大しているのもわかりますね。

そして「資本収支」の方についてですが、日本から海外の株や債券が買われているので、ずっとマイナス収支が続いています。為替レートにも依存するのですが、この調子で行くとさらに「所得収支」の方がどんどん増えそうですね。ただ、リーマンショック後の円高を維持しているせいか、「その他投資」についてはここのところはずっと黒字収支が続いています。おそらく、海外から日本に流入する外貨預金の影響が大きいのだと思うのですが、「円」で外貨預金するくらいなら「日本株」を購入してくれれば、日本経済も随分助かるんですけど、さすがに今の政権下じゃ日本株を買う外国人なんてあまりいないのですかねぇ……。(笑)


skorea-bop_2009Q3.jpg
次は、↑の韓国の国際収支をみてみましょう。
まず「経常収支」からですが、2009年はQ2とQ3が絶好調です。というのも、「貿易収支」が復活したのか、桁違いの黒字が続いています。単純に輸出減少率よりも輸入減少率が大きい事に起因するので、素直には喜べないわけですが、とりあえず黒字といえば黒字なわけです。一体この奇妙な快進撃がどの程度続くのかわかりませんが、韓国の輸出製品(電化製品や自動車等々)の「核心部品」や「ライセンス」は主に日本から輸入するものですので、韓国の輸出量が増えれば日本の「サービス収支」の赤字幅が減少するわけです。(ちなみに、2008年の韓国の対日赤字は300億ドルを超えてたりします。)
一方で韓国の「資本収支」の方も、外国人投資家が一斉に韓国から引いた悪夢の2008年Q4が過ぎ去り、2009年Q2からプラス収支が戻ってきました。今は、「証券投資」が韓国の「資本収支」を引っ張っている状況ですが、ここ最近は韓国国債の札割れも起きていませんし(ただし利回りが高い(10年物で5%程度)という要因こそありますが)、一年前のようなドキドキハラハラする展開には今のところなっていません。
韓国は今みたいに外国からの投資が順調であればもうしばらくは大丈夫でしょうけど、再び何らかの金融危機が起こって欧米の投資が引き出すと、短期国債の償還で苦しめられないか心配です。


us-bop_2009Q3.jpg
そして最後に、↑のアメリカの国際収支を見てみましょう。
まず「経常収支」についてですが、リーマンショック直後に猛烈に赤字幅の縮小していた「貿易収支」の赤字幅が再び拡大に転じて「アメリカらしさ」が戻ってきました。
一方でアメリカの「資本収支」の方ですが、まずはアメリカの資本収支の統計の取り方を説明しなくてはなりませんね。日本や韓国の場合は、
資本収支=直接投資+証券投資+金融派生商品+その他投資+その他資本収支
でした。ところがアメリカの場合は、
資本収支=政府資産+民間資産+金融派生商品+その他資本収支
となっています。日本や韓国は、「目的」によって収支項目が変わるのですが、アメリカの場合は「目的」でなく「何に投資するか」で収支項目が変わります。
例えば日本の場合は、日本国債や経営権を取得する目的でない日本の民間会社株を外国人が購入すると「証券投資」がプラス収支になり、外国人が日本に外貨預金すると「その他投資」がプラス収支になります。
一方でアメリカの場合は、米国債を外国人が購入すると「政府資産」がプラスになり、(目的に寄らず)アメリカの民間会社株を外国人が購入すると「民間資産」がプラスになります。また、外国人がアメリカに外貨預金すると、これも「民間資産」がプラスになります。
これを踏まえた上で「資本収支」を見てみると、リーマンショック直後は米国政府が大量の金融緩和を行った事によって、溢れたドルが他国通貨や他国の短期国債を支えて「政府資産」が大幅マイナス収支になります。一方で、米国の投資家は他国の民間会社株や民間会社債券から一斉に手を引いたために、「政府資産」とは逆に大幅プラス収支になりました。
最新の2009年Q3時点での値を見る限り、外国人が安全資産を手にするために米国債を買っているので、「政府資産」がプラス収支になっています。一方、ドルキャリートレードでアメリカから新興国に投資が進んでいるので「民間資産」はマイナス収支になっています。
アメリカ政府としては、今国内の景気が急によくなるとインフレが進むだろうから、しばらくは「政府資産」の収支がプラス、「民間資産」の収支のマイナス維持を望んでいるような気がします。つまり、アメリカ政府は外国人に米国債を買わせた上で、インフレにならないようにある程度の政府支出をコントロールする一方、超金融緩和によって溢れたマネーは対外投資で消化させる戦略なわけです。ただし、これは本来アメリカ国内のインフレ要因(大量の余剰マネー)を外国へ吐き出しているだけなので、新興国のバブルを作る事になるような気がするのですが……。

ちなみに、アメリカが超低金利を続けたい真の理由は、もしアメリカの金利が上げれば海外からアメリカにマネーが流入するので、アメリカのキャッシュフローが良くなってインフレを引き起こす可能性があるからでしょうね。ただし、米国債を購入される分には、アメリカ政府が最終的な政府支出をコントロールすればある程度のインフレは防げるので、
1.米国債は買って欲しい
2.一方、アメリカ民間会社の株や債券は大量に買わないで欲しい
という事でしょうね。それが国際収支上だと
1.「政府資産」がプラス収支であって欲しい
2.「民間資産」がマイナス収支であって欲しい
という事なのです。


しっかし、アメリカ政府が考えるシナリオ通りに事が運ぶんでしょうかね?どうも「バブルの崩壊したアメリカが復活する」ためには「どこかの新興国でバブルを作る」事が必要条件になるんじゃないかと思ってしまうのですが……。



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2009年12月27日

「相関係数」の意味と応用例

今日は、統計学等でよく使用される「相関係数」の計算方法と意味について説明した後で、実際にある統計を使って相関係数を使った応用例を示したいと思います。

相関係数とは、2つの事柄の類似性を数値化したものです。通常、相関係数とは1.0から-1.0の値を取り、1.0に近ければ正の相関が強い(2つの事柄が非常に似ている)、0に近ければ無相関(2つの事柄に関連性が無い)、-1.0に近ければ負の相関が強い(2つの事柄がまったく逆)という事になるのですが、文章だとよくわからないので以下の例で考えて見ましょう。

ある高校で、生徒5名(A,B,C,D,E)に対して国語、英語、数学のテストを行いました。以下は、A〜Eの点数から平均点を引いたもの(平均差点)である。
A(12,-8,7)
B(-20,26,-5)
C(8,10,12)
D(-4,-22,-17)
E(4,-6,3)
この5人の平均差点の分布を見る限り、

@AとEは、総得点こそ違うものの、点数の取り方が似ている。
→つまり、Aの平均差点とEの平均差点には正の相関がある。
AAとBは、総得点こそ違うものの、平均差点の負号が逆になっている。
→つまり、Aの平均差点とEの平均差点には負の相関がある。

と言えそうです。ちなみに↑の5人の平均差点は、一種の3次元ベクトルと見ることができるのだけど、この3次元ベクトルが「似ているか」「似ていないか」をどう数値化できるのでしょうか?実は、高校数学で習った三角関数のcos(コサイン)が、類似度を数値化する一つの尺度になり得るのです。

cos.jpg
↑がコサイン関数です。ここでは0°≦θ<360°の時を考えていますが、この図を見て「ピン」と来る人もいるかもしれませんね。そうです、コサイン関数は0°の時に最大値である1をとって、180°の時に最小値である-1を取ります。
すなわち、何か二つのベクトルのなす角度をθとすると、θが0°に近い(正の相関が非常に強い)ときにcosθが最大値1をとり、θが180°に近い(負の相関が非常に強い)ときにcosθが最小値-1をとり、θが90°や270°に近い(相関が非常に弱い)ときにcosθは0の値をとるために、この2つのベクトルの類似度をコサイン関数で数値化できるわけです。そして、冒頭に出てきた「相関係数」とは、実はまさにこのコサイン関数の事だったりします。


具体的に、上記のA〜Eの平均差点で考えてみましょう。ちなみに、2本のベクトルのなす角度のコサイン値を導出するには以下の計算式が必要になります。具体例として、Aの平均差点ベクトル(12,-8,7)とBの平均差点ベクトル(-20,26,-5)のコサイン値の計算も↓に出しておきましょう。
cos-equation.jpg


ここではとりあえず、Aの平均差点ベクトル(12,-8,7)を1本目ベクトルとします。そして、それぞれ5人の平均差点ベクトルを2本目のベクトルとして、これらの2本のベクトルのコサイン値を出すと以下のようになります。

AとAのコサイン値…1.00
AとBのコサイン値…-0.91
AとCのコサイン値…0.36
AとDのコサイン値…0.02
AとEのコサイン値…0.93

AとAのコサイン値が1.00なのは、同一ベクトルのなす角度が0°になる事から当然ですね。なお、コサイン値は「2本のベクトルの大きさ」に依存せず「2本のベクトルのなす角度(2本のベクトルの向いている方向)」のみに依存します。よって、仮に2本のベクトルが(1,2,3)と(2,4,6)だったとしても、この2本のベクトルは「大きさが違うだけ」で「なす角度が0°」である事から、コサイン値は1.00となるわけです。
そしてAとBのコサイン値が-0.91(負の相関が非常に強い)である事は、A(12,-8,7)、B(-20,26,-5)で二つのベクトルの向き(負号)がほぼ逆向きである事からもわかりますね。
次に、AとDのコサイン値が0.02(ほぼ無相関)なので、A(12,-8,7)、
D(-4,-22,-17)のなす角度が直交(90°か270°)である事がわかります。


cos-image.jpg
という事で、「コサイン値(相関係数)」と「2本のベクトルのなす角度」を整理すると、↑のようなイメージになります。とりあえず、2本のベクトルの類似度をコサイン値(相関係数)で数値化できる事を説明しました。
それでは、次に↓のニュースについて、このコサイン値(相関係数)を応用して数字上の突っ込んだ分析をしていみます。

【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(上)……日本編】
http://www.garbagenews.net/archives/1107428.html

【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(下)……諸外国編】
http://www.garbagenews.net/archives/1107433.html

↑のニュースは、いろいろな国の人たちが「裁判所」「新聞・雑誌」等々の15の組織/制度にどの程度信頼を寄せているかというアンケートを取った結果が掲載されています。これらの結果を切り出して、↓の表にまとめてみました。


each-country_di-value.jpg
そうです、↑の表はまさに各国の結果に対する15次元ベクトルとなっているので、ここに先ほどの相関係数を当てはめてみようという事です。さすがに、7カ国15次元ベクトルともなると、表を目で見ただけではわかりにくいので、こういう時に相関係数があると直感的に似ているか似ていないかが把握できるわけです。
という事で、まずは米国を1本目のベクトルとして、それぞれ7カ国のベクトルとの相関係数を出すと、以下のようになります。

米国・日本……0.28
米国・オーストラリア……0.90
米国・米国……1.00
米国・英国……0.88
米国・イタリア……0.89
米国・フランス……0.83
米国・中国……-0.22

ふむ、米国を基準にした場合、やはり欧州系の国とは相関係数が非常に高いので、彼らの価値観の近い事がわかります。一方、日本と中国の相関係数は低いので、欧米系の国とは価値観の違うことがわかります。
ここで注意しなければいけないのは、これはあくまで「米国」との相関係数であるので、この結果だけで「日本」と「中国」の相関係数が高いとは言えません。実際に、日本・中国の相関係数を計算すると、-0.02となるので、米国・中国以上に、日本・中国は無相関というわけです。(やはり、日本と中国は価値観を共有できないという事なのでしょうか?(笑))
このように、多次元ベクトルを扱いだすと

1.AとBの相関係数が低い
2.AとCの相関係数が低い
3.よって、BとCは相関係数が高いはずだ

というような推論が成り立たない事がわかります。


ここでは全ての組み合わせで相関係数を出しませんが、今の場合で全ての組み合わせの相関係数から、価値観の近いグループ分けをすると、

@オーストラリア、米国、英国、イタリア、フランス
A日本
B中国

と3つのグループに分けるのが自然でしょう。このように、相関係数は人間の頭では手に負えなくなる多次元ベクトルを整理するとき、非常に威力を発揮します。しかも、この作業は相関係数だけでグループ分けできるので、自動化処理が可能だったりします。


俺が高校生の当時、「ベクトル」や「三角関数」はそれぞれまったく別個の数学分野として習っていたので、まさか今日の例のように、「統計」で二つがつながるとは思いませんでした。ところが、実はこの手の「まさかこの分野とあの分野がこんなところでつながるとは」みたいな話は、大学の数学においては山ほどあったりします。
また機会があったら、具体例と共にそういう話を書こうかと思います。



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2009年12月26日

過去の記事一覧を作成しました。

今まで過去20エントリー分のタイトルは、左フレームの「最近の記事」で参照ができていたのですが、それより以前のエントリーがまったくわからなくなっていました。自分としても「そういえば、あのネタはいつ書いていたんだっけかな?」と思うところがしばしばあったので、「最近の記事」の一番下に「☆過去の記事一覧☆ 」を作りました。これをクリックすると今までの全てのエントリーのタイトルを参照できますので、時間のある方は是非ともご覧ください。
その分「最近の記事」では、20エントリー分の表示から10エントリー分の表示に削減しました。

とりあえず、これで少しは昔のエントリーが読みやすくなったでしょうか。今までこの程度の事すらできずに申し訳ありませんでした。



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posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年12月25日

クリスマスソングとフライドチキン

【山下達郎「クリスマス・イブ」、24年連続100位ランクイン】
http://www.oricon.co.jp/news/rankmusic/71828/full/

【バブルの記憶に重なる 「クリスマス・イブ」】
http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY200912170243.html

累計売り上げ枚数の182万枚もさることながら、24年連続100位以内にランクインってのも、おそらく今後打ち破られることの無い素晴らしい記録ですよ。一体、何年連続まで伸ばせるんでしょうか。

さて、この「クリスマス・イブ」以降も、いろいろとクリスマスソングがリリースされました。メジャーなところであげると、
1.ラスト・クリスマス by ワム!(1986年)
2.クリスマスキャロルの頃には by 稲垣純一(1992年)
3.恋人達のクリスマス by マライヤキャリー(1994年)
4.弱虫サンタ by 羞恥心(2008年)
と、あるにはあるのですが、やはり「クリスマス・イブ」は別格ですね。
しかし毎年思うのですが、何故クリスマスソングには悲しい歌が多いんですかね?「クリスマス・イブ」もそうだし、上記のうちの3.以外は全て1人のクリスマスを題材にした歌なんだよね。まぁ理由はどうであれ、それだけ「クリスマス」というイベントが日本人にも深く根付いているという事なんでしょう。


ところで話はがらりと変わって、クリスマスと言えば「フライドチキン業界」の忙しくなる時期なのですが、そもそもクリスマスにフライドチキンを食べる習慣ってのは、どこからやってきたんですかね?
俺は小学生時代(1990年〜1992年)に、父親の仕事の関係でアメリカに住んでいた事があるのですが、アメリカの場合はクリスマスには「ローストチキン」や「ローストターキー(七面鳥)」を食べるのが定番で、「フライドチキン」を食べるという習慣はなかったんだよね。おそらく日本の場合は、まるまる1羽のチキンやターキーが一般的には売られていないので、KFC(ケンタッキーフライドチキン)あたりが「クリスマスにはフライドチキン」と言い出したのが始まりだと思うのですが、どうなんですかね?
ただ、KFCが日本上陸したのは1970年。俺の場合、1980年代後半のクリスマスにフライドチキンを食べたいと両親に頼んだ記憶があるので、その頃にはすでに「クリスマスにはフライドチキン」という習慣が広まっていたはずなわけで、おそらくここ30年くらいで根付いた習慣なのではないでしょうか?


という事で今日はかなりの散文になってしまいましたが、とにもかくにも「メリークリスマス!」です。



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2009年12月24日

たった2900億ドルとは言え

@【残り2000億ドル程度……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32965639.html

今日は、↑のエントリーに続く「米国債の近況シリーズ」です。10月半ばで、そろそろ米国債の発行上限額に達しそうだったのですが、その後どうなったのでしょうか?とりあえず、米国債発行残高と日本&中国の米国債保有額の推移を見ていきましょう。

us-bond_japan-china-holds_200910.jpg

米国債発行残高は、11月末の時点でおよそ12兆2千億ドル程度となって、アメリカの法律で定められている12兆1千億ドルをすでに突破しています。これは何故かと言うと、米国債の発行上限の12兆1千億ドルは普通米国債に対する発行上限額で、特殊な用途に使われる米国債(日本で言うと「交付国債」とか「財投債」みたいなもの)はこの法律の上限額にかかわらず発行ができるみたいです。
このブログでは、結構な回数「すでに米国債が発行できなくなった」という趣旨の事を書いていたのですが、正確に言うとそれは間違いという事になります。申し訳ありません。(謝)

ただ、いずれにしても普通米国債のこれ以上の発行が難しいのは事実で、「一体、いつこの上限額を上げるのだろう」とは思っていたのですが、ついにアメリカの上院議会で可決しました。

A【House approves $290 billion increase in debt limit】
http://apnews.myway.com/article/20091216/D9CKL24O0.html

B【米国債務上限引き上げをめぐる議論】
http://www.gci-klug.jp/tomita/2009/12/21/007755.php

ところが、引き上げた金額はたったの2900億ドル。AやBの記事にも書いてありますが、これだと2月半ばまでの資金繰りに相当する額なので、またすぐに上限額を上げないといけなくなりそうです。

今のアメリカは、ドル安に乗じたドルキャリートレードにより、大量のマネーが海外に流出しているので、何とかしてマネーを国内で循環させたいわけです。ところが、アメリカ国内もバランスシート不況により、民間資金はアメリカ国内の株や債券ではなく安全な預貯金にマネーシフトしているので、アメリカの民間銀行は集めたマネーを何に投資するか迷っているところなのでしょう。
ここで米国債の追加発行を止めると、それこそマネーの行き先が「海外」や「資源」に向かいだすために、アメリカ国内の生産上昇にまったく寄与しないわけです。確かに、アメリカの議会はこれ以上の財政赤字はストップさせたいところでしょうけど、長い目で見たらまだまだ米国債を発行して、政府支出を拡大する方法を続けた方が良いように思えます。
ただし、アメリカの民間銀行が果たして米国債を買い続けてくれるのでしょうか?日本の失われた10年では、量的緩和の効果こそあって円安を維持したのですが「長期的にはまだまだ円安にはならない」という投資家のコンセンサスがあったので、為替損を嫌がる日本国内の銀行は日本国債を大量に購入しました。ところが、現在のアメリカは「長期的にはドル安の流れ」というのが、世界の投資家のコンセンサスになっているので、「米国債なんかよりも、海外の株や債券、あるいは資源の方に投資するほうが儲けられるんじゃないの?」とアメリカ国内の銀行が思えば、たちまち米国債の利回りは高騰して、アメリカ経済にトドメを刺すことになるのでしょう。
とは言え、現時点では米国債は札割れを起こしていませんし、まだまだ大丈夫だとは思います。


C【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

ただし、↑の先日のエントリーでも書きましたが、現在のアメリカのマネタリーベースはリーマンショックの2倍になっているので、アメリカ国内でお金が循環しだすとインフレの始まる可能性が高いわけです。あくまでアメリカは、
1.急に景気を回復させない
2.徐々に景気を回復させつつ
3.マネタリーベースも徐々に元へ戻して
4.急激なインフレをさせずにアメリカ経済を通常状態に戻す
という神業的な軟着陸を狙っているのだと思いますけどね。

そういう意味で、米国債発行上限額は一気にドカンと上げるのではなく、アメリカ国内のインフレ状況を見ながら、状況に応じてこまめに上げていく作戦の方が理に適っているのかもしれません。



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2009年12月23日

これじゃ通常国会もたないぜ……

【【正論】ジャーナリスト・櫻井よしこ 鳩山首相であり続ける意味なし 】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091222/plc0912220227001-n1.htm

【小沢氏、首相就任の可能性を否定せず】
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091221/stt0912212230017-n1.htm

鳩山首相が長く持ちそうに無いのはもともとわかっていた事だけど、まさか小沢幹事長本人がポスト鳩山になる意向があるとは……。彼が首相になったら、それこそ誰も逆らえなくなってしまうのではないでしょうか。(笑)というか、小沢首相で失敗すれば民主党解体という事になるので、彼の発言はブラフだと思いますけどね。

ところで自民党の良かったところ(同時に悪かったところでもあるのですが)の一つに、自民党内での権力闘争がありました。自民党はわりと政策ポリシーに一貫性が無く、アメリカ大統領の交代や世界情勢の変化に対してフレキシブルに政策を変えてきたので、いろいろな思想を持つ議員がたくさんいます。そういう中で、首相に登りつめるための権力闘争によって、様々な思想を持つ首相が登場しました。その結果、自民党政権とは言いながら一種の政権交代が起こったような錯覚を我々に与えてきました。
近いところで言うと、財政再建のために消費税を増税して日本の景気回復を遅らせた「橋本元首相」がありました。その後遺症を振り払おうと、財政支出による景気拡大を信念とした「小渕元首相」「森元首相」と続き、財政支出による景気拡大は限界があるとして、財政支出拡大路線を止めて構造改革路線に舵を切った「小泉元首相」が登場します。(こう書くと、世界初のバランスシート不況を何とか払拭しようと日本政府がいろいろと暗中模索していた事がよくわかります。)
このように、信念の異なる首相の登場により国民に一種の政権交代感を演出させる事によって、自民党はこれだけ長く政権を維持してきたのではないでしょうか?

話を元に戻しましょう。今の民主党政権は、時の首相によって政策がガラリと変わるとはとても思えません。それは、小沢幹事長の権力が絶大すぎて「彼の意向=民主党の決定」となるからです。これでは、多種多様な思想を持つ人による権力闘争が起こらないので、仮に鳩山首相が辞任したとしても、国民に新鮮味をアピールできないのではないでしょうか。実際に、実質の小沢政権だった細川元首相辞任後の羽田元首相も超短命内閣でした。小沢幹事長はこういった前回の経験から、今回は同じような手法を取らないとは思うのですが、一体どのように事態を打開して来年の参議院選挙に勝とうとしているのでしょうか。
鳩山首相も内外から追い詰められていますが、小沢幹事長もある意味で民主党の存亡をかけて追い詰められているのかもしれません。できれば小沢幹事長には、これからの「民主党存亡戦略」や「中国外交」について考えるよりも、「日本経済」についていろいろと考えて欲しいものなのですが……。


【子ども手当で地方負担5680億円 政府が方針決定 反発は必至】
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091222/fnc0912222017022-n1.htm

そして、↑の子供手当ての地方負担決定のニュース。特段の解説はしませんが、やっぱり鳩山首相は長く無さそうです。「友愛」を盾にしたところで、米国も地方も「わかった」と言ってくれるわけないのにね。
八方美人のくせに指導力もイマイチなので、一体どうやって収拾つけるつもりなんだか……。



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2009年12月22日

虫歯予防の先進県

【12歳児の虫歯、25年前の3分の1 過去最低1.4本】
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY200912170478.html

ここ四半世紀で、日本の子供の虫歯が非常に減少しているらしい。これは非常に良いことなのだけど、何が原因でこんなに少なくなったんですかね?俺の思いつくところだと、

@はみがき教育
A「はぶらし」や「歯磨き粉」の技術革新
B砂糖の消費減少(その代わり人口甘味料の消費増加)

ってなところだとは思うのだけど、今日はその辺に踏み込むのではなくて、全国の「12歳」と「17歳」の子供の虫歯状況を県別に見てみましょう。すると、非常に面白い事実が見えてきます。


bad-tooth_12age.jpg
bad-tooth_17age.jpg
↑が、12歳と17歳の児童の虫歯状況となります。ここでは、
@「処置完了者」:虫歯があったけどすでに治した人
A「未処置者」:治していない虫歯のある人
B「虫歯の無い者」:今まで虫歯になったことの無い人
の3つにカテゴライズしていて、どの人も@〜Bのどれかに属しています。おそらく、@Aに同時に当てはまる人はAの方に割り振られていると思われます。なお、ここでは「乳歯」は関係なく「永久歯」を対象にしています。

12歳の方のみを見ても特段面白い事実は見えてこないのですが、17歳の方と並べてみると、全県で「虫歯の無い者」の割合が減っています。時間経過と共に、今まで虫歯の無かった人が虫歯になるわけなので、当然といえば当然なのですが、17歳の方では「新潟県」や「岡山県」の検討が目立っています。(ちなみに新潟県は、8年連続で児童1人当たりの虫歯本数が一番少ないそうです。)他県では、17歳での「虫歯の無い者」のパーセンテージが、12歳と比較して軒並み20%以上も減少する中で、両県は10%程度の減少にとどまっている事がわかります。しかも「新潟県」に関しては、17歳で50%が虫歯の無い人なわけで、虫歯予防の先進県と言えそうです。

しかし、何故「新潟県」や「岡山県」が虫歯に強いのでしょうか?いろいろ探してたら、「新潟県」に関してはこんな事実がみつかりました。
○フッ化物洗口の意義について
 新潟県の虫歯予防の取り組みにおいては、1970年度からフッ化物の活用を図り、幼稚園や小中学校において「フッ化物洗口」いわゆる「フッ素うがい」を推進してきた効果が大きいとしています。その効果は、歴然としており、1980年度の5.03本から年々減少していきました。
 ちなみに、フッ化物洗口の実施率を見ますと、新潟県においては2006年度では34.4%、小学校に限ると65%が実施しており、約8万人以上が実施しています。

【中津市議会議員 やまかげニュース】より参照
http://blogs.yahoo.co.jp/tomonakatu/24610222.html

1970年代からの取り組みとはいえ、「フッ素うがい」の推進には予算もかかるだろうし、何でまた当時の新潟県はよくこれをやる気になったのかなぁ。と思っていたら、もう一つ面白い事実を発見しました。
【全国の政令指定都市と中核都市の人口10万人対歯科医師数】
1.新潟市(159.2人)
2.東京区部(144.7人)
3.福岡市(127.1人)
4.岡山市(117.1人)
5.大阪市(112.5人)

【現役歯学生のBlog!】より参照
http://blog.livedoor.jp/udnkui/archives/17768314.html

ここで、新潟市と岡山市の接点が出てきました。なるほど、両市とも人口に対して歯科医師数が多いわけですね。新潟県も岡山県も、県内人口は新潟市と岡山市に集中しているでしょうから、元々虫歯に関して関心の高い地域ではあるわけですね。


それを踏まえてよくよく17歳の虫歯状況のグラフを見てみると、「新潟県」と「岡山県」は「未処置者」の割合が、他県よりも低い事がわかります。やはり、歯科医院の数も多いので歯医者が身近な存在という事もあるんですかね?

しかし、新潟市は東京区部よりも人口10万人対歯科医師数が多いのは異常のようにも思えます。おそらく、新潟市には新潟大学(歯学部)と日本歯科大学の2つの大学が存在している事が、歯科医師数の多い原因だと思われます。
こんな状況で、新潟県が「フッ素うがい」を始めて虫歯予防の先進県になってしまったので、新潟市の歯科医師さんは儲からなくて大変なんじゃないですかね?あるいは、「フッ素うがい」の予算が新潟市の歯科医師に流れるような仕組みになっているのでしょうか?
ひょっとしたら、虫歯予防の先進県の裏には何か大人の事情があるのかもしれません。(笑)



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posted by きらっち at 09:30| Comment(0) | TrackBack(3) | 時事

2009年12月21日

生活に役立つ(?)「待ち行列理論」

たまには実際の生活に直接応用のできる数学の話をしたいと思って、今日は「待ち行列」の話をします。そもそも数学(情報工学)的な世界での「待ち行列理論」とは、確率を駆使して最適ネットワークを作るための基礎的理論の事ですが、ネットワークの話になるとかなり専門的になるので、ここでは「スーパーのレジ」という日常に密着した例で考えて見ます。

ex_queue.jpg
さて、↑のように二台のレジがあった場合、お客がどう並ぶかは@のように「2列に並ぶ場合」と、Aのように「1列に並ぶ場合」の2通り考えられます。今の例の場合、お客を効率的に処理するという事は「お客の平均待ち時間を最小化する」と言い換える事ができるでしょう。よって、@とAでお客の平均待ち時間がどのように変わるのかを計算してみます。
ちなみに先に正解を言っておくと、Aの方がお客の平均待ち時間は少なかったりします。



さて、まずは今から説明する事が成り立つための前提条件を3つ説明します。
@お客は時刻に依存せずに、完全にランダムにレジに並ぶものとする。
→「特売日の開店直後」や「閉店間際」は、通常時とは違ってお客がレジに殺到するわけですが、どの時刻においても客の到着の仕方はランダムであるという仮定です。
Aお客は他の客の動向に関係なくレジに来るものとする。
→実際は、レジに100人も並んでいれば、お客のうちの大半がレジに並ぶのを諦めてしまいますが、ここではそういう事は関係なくお客が一定の確率でレジに並ぶという仮定です。
B同時にお客が並ぶ事はない。
→複数のお客が同時に並ぼうとする時に、並ぶ順番でけんかしないという仮定です。つまり、「複数のお客は必ず時間差をともなって到着する」という事にします。

上記の@〜Bの条件が成立することが、これから説明する平均待ち時間を計算するための前提条件となります。(ちなみに数学的に言うと、お客の到着が「ポアソン分布」、お客の並びが「指数分布」に従うという事です。)

そして、平均待ち時間を出すためには
「λ:お客の平均到着率」(1分当たりに並ぶお客の数(人/分))
「μ:1台のレジでの平均サービス率」(1分当たりに処理できるお客の数(人/分))
この上記2つが必要です。

今の@のレジの例の場合は、λ=0.2でμ=1.0のわけですが、この時の「t:平均待ち時間」は
t=( λ / μ ) / ( 1 - λ / μ ) = 0.25分 (15.0秒)
となるわけです。ちなみに、λ/μは「単位時間当たりの、"サービスを受ける客の人数"に対する"到着する客の人数"の比(サービス利用率)」を表していて重要な指標になります。

一方でAの場合は、@の場合と比べると列が半減するので、お客の平均到着率が2倍になる事によりλ=0.4でμ=1.0、サービス利用率が( λ / μ ) ^ 2となります。よって、この場合の「平均待ち時間」は
t = ( λ / μ ) ^ 2 / ( 1 - ( λ / μ ) ^ 2 ) = 0.19分 (11.4秒)
となります。

これらの結果から
@での平均待ち時間=15.0秒
Aでの平均待ち時間=11.4秒
となるために、この例の場合は、複数のレジに対して1列に並ぶ方がお客の平均待ち時間は少ない事になります。(結局はλとμの値次第ではあるわけですが)


ちなみにこれ、待ち時間を少なくさせようと努力している銀行のATMなんかでは、実際に複数列で並ばせずに1列で並ばせようとしてますよね。銀行のATMだけではありませんが、こういったように1列で並ばせるのは、それなりに数学的背景があるわけですよ。という事で、今後も機会があればこの手の話をしていくつもりです。



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2009年12月20日

国家公務員の職制

【総合職・一般職って何? 「職制」は会社によって違う】
http://www.asahi.com/job/2011/nani/OSK200912110086.html

俺は大学院博士課程の進学が決まっていたにもかかわらず、国家公務員試験を受験したら予期に反して合格してしまい、急遽博士課程進学を辞退して国家公務員になったので、一度も民間会社への就職活動を行った事がなかったりする。なので、実際のところ民間会社の「総合職」と「一般職」のイメージがよくわからないのだけど、現在の国家公務員には「T種」「U種」「V種」という区分があります。公務員の場合にはこれからどう制度が変わるのか不確定なところもありますが、今日は現状での実態と思うところを書こうかと思います。

現在の日本の国家公務員制度では、「T種」(キャリア官僚)の枠で入省すると幹部候補生としてのキャリアパスを辿る事になります。「T種」の人は、たくさんの部下の上に立った上で、広い視野で物事を予測したり判断を求められる仕事をする事が求められます。よって、いろいろな部署や組織で経験を積まされる事になるため、全国転勤や頻繁な異動をさせられたり、政策の企画立案等の制度作成やルール作りを担当する事が多いと言えるでしょう。
「U種」の枠で入省すると、「T種」の人ほど上のポストに行く事は稀ですが、その分スペシャリストとして現場で政策を実行することになります。とはいえ同じ「U種」と言えども、地方局や出先の事務所に勤めて現場のプロフェッショナルになる人もいれば、霞ヶ関に勤めて法律改正のプロフェッショナルになる人もいて、窓口は非常に広いといえます。
「V種」は、基本的に地方の出先機関に勤める人で転勤はあまりなく、定型的な業務を行い行政を支える「縁の下の力持ち」という仕事を行うことが多いようです。
ちなみに、俺が入省した年は「T種」が600人程度、「U種」が3500人程度、「V種」が1500人程度の採用があったような記憶があります。(昔に比べると、随分「T種」の人数比が多くなったとの事です。)

自分の職場の職員を見ていて思うのですが、元々「T種」「U種」「V種」の役回りが違うため、同じ土台で仕事を比較するのは難しいのですが、「T種」の人がどんな仕事に対しても「U種」や「V種」の人よりも優秀かと言われると、決してそうでもありません。現場の実情は、「T種」の人よりも「U種」や「V種」の人の方が詳しいし、「T種」の人は異動でまったく未知の仕事をされるケースが多いので、異動したての時期はまったく役に立たない事もしばしばです。実際、俺も法律関係の部署に異動した時は「俺はここの部署で仕事がきちんとできるのだろうか?」と心配になった時期もあって、案の定隣の席の人が法律の専門家だったので、その方に随分苦労をかけさせてしまいました。
なので、現在の制度では「U種」や「V種」のスペシャリストが、「T種」であるゼネラリストを支えているという構図になっているわけです。

もちろん、この制度が100点満点だとは我々も思っていないのですが、それに代わる制度が「人事管理」「業務効率性」等々の諸問題を全てクリアできるかというとそれもまた難しいので、なかなか現在の公務員制度をがらりと変えられない事情もあります。(とりわけ上の年代の人には、現在の公務員制度を変えたくない真の理由もあるのかもしれませんが……)
確かに、どうやっても仕事のできない少数の「T種」の人がいるのも事実ですし、何でこの人を出世させないんだと思う「U種」や「V種」の人もいます。現在の公務員制度では、「適材適所ができない」という意見もあるので、いろんな議論を通して今後は変わっていくものと思います。

ただ、公務員に限らずとも「平社員では優秀なのに、管理職に向いていない」とか「平社員では優秀じゃないのに、管理職に向いている」というようなケースも多々あるわけで、人事管理ってすごい難しいのだろうなと思いますよ。
俺個人について言えば、出世しなくていいから、経済社会研究所でGDP等の統計表を作ったり、産業総合研究所で日々研究三昧の生活が送れればと思っているのですが、「T種」の人の場合「ここに異動したい」とか「こういう仕事がしたい」と身上書に書いたところで、その希望は到底かなえてはもらえないわけですよ……。
中には、衆議院や参議院の選挙に出る人とか、外資系の会社とか大学の教授に転職する人もいるのですが、果たして自分はどうなるんでしょうかね?もう数日で30代に突入するのですが、(もし転職するのであれば)いろいろと今後の進路をどうしようか考える時期でもあるのかもしれません……。



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posted by きらっち at 15:43| Comment(0) | TrackBack(3) | 仕事

2009年12月18日

電子マネーは硬貨にとって代わるのか?

【スキー場で電子マネー ウエアのままお買い物楽々】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20091216/CK2009121602000115.html

【電子マネー 自宅で入金】
http://www.yomiuri.co.jp/net/column/hyakka/20091212-OYT8T00775.htm

【JR東日本、リアルタイムで在庫確認できる電子マネー自販機システム開発】
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/12/09/046/

ここ数年で随分普及した電子マネーですが、今日は電子マネーの普及度をいろいろな指標から考察していきたいと思います。とりあえず、電子マネーとは言ってもいろいろ種類があるのですが、後払い方式の電子マネーの機能はほぼクレジットカードと同等なので、これより後で書く電子マネーとはプリペイド方式の「Edy」「Suica」「ICOCA」「PASMO」「nanaco」「WAON」「SUGOCA」「Kitaca」の8種類とします。


e-money_survey.jpg
まずは、実際に電子マネーの決済件数と決済金額についてですが、↑の通りとなっております。順調に決済件数も決済金額も増加していますが、2009年Q1現在では2200億円が電子マネーで決済されています。名目GDPで言うと、2009年Q1の最終民間消費支出が70兆円程度なので、最終民間消費支出のうちの0.3%が電子マネーで支出されたわけですね。(名目GDP比だと、0.2%程度)
ちなみに、ここに後払い式の「iD」「QuickPay」「クレジットカード」等々を含めたら、現金以外の支出による名目GDP比は1%超えるんじゃないのかな?


今までは、現金で支払われてものが電子マネーで支払われる事になっている事から察するに、俺達のお財布の中の小銭は、以前と比較すると需要が減っているはずです。となれば、日銀は硬貨を回収しているはずなのですが、実際に硬貨の流通量(貨幣流通高)の推移を見ていきましょう。 
japan_currency-in-circulation.jpg
↑が、「500円」「100円」「50円」「10円」「5円」「1円」の貨幣流通残高の推移です。それぞれの貨幣について、2007年Q2の貨幣流通高を100としているのですが、やはり「500円」と「100円」以外は、明らかに流通高が減少している事がわかります。(「100円」をどう見るかは、微妙なところかもしれません)おそらく電子マネーの場合は少額決済がほとんどでしょうから、「500円」の方はあまり影響を受けないという事なのでしょう。
2007年Q2時点から、流通高の減少幅が一番大きいのは、「5円」で3%程度、「10円」や「50円」も2%以上も減少しています。これは、俺達の電子マネー残高の増えている事を示唆するものだと思います。ちなみに、2009年Q1現在の電子マネー発行残高は「912億円」なのですが、M3のマネーストック比で0.01%、銀行券(お札)発行高比で0.12%、貨幣(硬貨)流通高比で2.02%であって、そろそろこの手の統計において現金以外の決済方式を無視できない状況になっているのではないでしょうか。

ここでは、プリペイド方式の電子マネーについていろいろ見ていきましたが、個人的に気になるもう一つは「ポイント」なんですよね。俺も、Gポイントで随分お世話になっているのですが、この手のポイント残高ってかなりの額になるんじゃないですかね?今日は、プリペイド型の電子マネーに関するエントリーでしたが、機会があれば「ポイント」についても調べようとは思っています。



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posted by きらっち at 23:40| Comment(2) | TrackBack(4) | 時事

2009年12月17日

ちぐはぐな議論してるなぁ

@【【菅vs竹中論争】(1)竹中氏「郵政の再国有化は残念」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161726014-n1.htm

A【【菅vs竹中論争】(2)菅氏「小泉・竹中路線は失敗」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161728015-n1.htm

B【【菅vs竹中論争】(3)竹中氏「改革で格差拡大は止まる」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161730016-n1.htm

C【【菅vs竹中論争】(4)菅氏「過去の失敗を検証する」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161733017-n1.htm

政府は日本の経済成長戦略を作るために、いろいろな有識者からヒアリングをしているようですが、昨日はあの竹中平蔵教授からヒアリングを受けていたとの事。そしてこれらの記事中で、菅副総理と竹中教授の議論の詳細が掲載されているのですが、彼らのやり取りは非常に興味深いです。というのも、菅副総理の経済知識の無さがこれによくあらわれているのですよ。
というところで、気に食わないところを3つあげてみます。


私たちが考えている実は経済政策、あるいは成長戦略もそうですが、先ほど抑圧された需要という、表現は別として、そこはやや共通なんですけども、まず需要をつくることが重要ではないかと。
後に竹中教授が説明しているけど、「成長戦略」とは、GDPで言えば「潜在成長率を伸ばす事」(供給側の伸び率を大きくする事)のための投資だと思うのですが、菅副総理は「需要を埋める事」(需要側の伸び率を大きくする事)と勘違いしている事が、このセリフからわかります。菅副総理は、「供給側を伸ばしても需要も増加しなければ失業者が増えるだけだ」というような事も言及しているのですが、やはり彼には「全体のパイを大きくする」という発想の無い事がわかります。
この分だと菅副総理がこれから取りまとめようとしているのは、「成長戦略」ではなく「景気対策」にしかならなさそうですね……。


同じ費用でも1兆円で1兆円しか効果がないというのが今の経済財政の官僚のみなさんの計算なんですが、おかしいではないかと。1兆円でやっぱり11兆円ぐらい生み出すような知恵があるはずだ。
これは、菅副総理が産業連関表についてまったく知らない事を示唆しています。ちなみに、この産業連関表は経済波及効果を調べるために使われるもので、これを見れば最大の経済波及効果を生み出すためには、自動車産業に需要を与えてあげれば良い事がわかります。とは言え、自動車産業でも1の需要増加に対して2.8の波及効果しかないので、菅副総理が想定している「10倍以上もの経済波及効果のある分野」なんぞは存在しないとは思いますけどね……。(ちなみに、↓のエントリーに産業連関表を扱ったことがあるので、とりあえずご参考まで。)

【産業連関表による各都道府県の経済波及効果分析】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29862981.html


第一の道はある意味で都市と農村の格差を是正する効果は確かにあったんです。投資効果はないけど是正効果なんです。第二の道は、より自由化することによって、ある種の企業が元気を取り戻して株価が上がったことは事実ですが、やはりそれが格差になると同時に、私はマクロ的にはそれで経済が成長する路線に乗っていたのか、一義的な外需の拡大によって保たれたという見方も結構強いんです。別に水掛け論をしようというんじゃないですよ。
第一の道が公共事業、第二の道が規制緩和、民主党は第三の道を探るという話の流れで出てきたセリフなんだけど、ちょうど第二の道を辿った2000年前半の日本経済をどう捉えているかがわかります。

2009Q3_japan-realGDP.jpg
↑の実質GDPを見てみましょう。2000年〜2005年までについては、「最終民間消費支出」と「民間企業設備」がGDP増加の牽引役であって、「純輸出」はそれほど寄与していなかった事がわかります。確かに菅副総理の言うとおり2006年と2007年については、「純輸出」の増加によるところの成長が大きいとは思うのですが、少なくとも2005年までの成長は明らかに内需主導によるものだと俺は思いますけどねぇ……。


これらの菅副総理の言動から察する限り、民主党は「未来への投資」もあまり考えていないし、「現状の分析」もやり切れていないような節が見えるわけです。つまり、今の民主党だとその場限りの応急処置しかできなさそうなので、なおさら日本の経済成長戦略が描けるのか心配になってきました。
大体、ろくな議論もしないでわずか1週間で成長戦略を決めちゃうのですから、それなりのものしか出てこないんじゃないかなぁ……。まったく、一体誰が菅副総理のブレーンをやってるんだか。



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posted by きらっち at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治

2009年12月16日

様子を見るという選択肢は?

【「伊丹、将来は廃止」橋下知事が国交省戦略会議で】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091214/plc0912141341008-n1.htm

【関西3空港で「竜宮城のような議論」と橋下知事 井戸知事は「負け犬の論理」と応酬】
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091214/biz0912142126026-n1.htm

伊丹空港に関しては、橋下知事のみが廃港論を唱えていて、国や兵庫県は温度差があるものの、基本的には「存続」という方向性を打ち出しています。何故そこまで橋下知事が廃港を主張しているのかを考えてみると、おそらく以下の4つの要因だと思われます。

1.2011年に九州新幹線の開通
これによって、鹿児島中央駅と新大阪駅が約4時間で結ばれる。

2.2045年に名古屋ー大阪間のリニアが開通
これによって、東京ー大阪間が67分で結ばれる。

3.現在の伊丹空港利用客の約40%が伊丹-羽田路線を利用している。

4.関西国際空港の離発着枠にはまだ空きがある。
現在の伊丹空港の全便を関西国際空港に移しても、まだまだ余裕。

この状況から、伊丹空港の利用者は2011年と2045年に、相応の利用者減が見込まれます。特に2045年には現状で40%の利用客がほぼ0になる事は間違い無いので、確かにその頃に伊丹空港の役割を終えることになるのではないでしょうか。
橋下知事は、将来の伊丹空港の需要減を見込んだ上で、伊丹空港を担保にして、関空とのアクセスを良くするための高速鉄道や高速道路の建設を行いたいようですが、彼の在任期間中にでき得る事なんですかね?今から35年後の伊丹空港を担保にした資金確保なんて、あまり実現性があるとも思えないのですが……。

ちなみに伊丹空港は、国が管理する全国26空港の中で一番稼ぎの良い空港(平成18年度の黒字額は43億円)でもあります。この黒字の事実と、地元自治体も伊丹空港廃止には否定的な事から、国土交通省としても「伊丹空港は将来的に廃止」とは言えないと思いますよ。


個人的な私見ですが、今のところ橋下知事の需要予測はそれなりに正しいとは思いますが、現時点で伊丹空港廃止を決定して、それを担保にインフラ整備するのはかなり行き過ぎのような気がします。関西国際空港のアクセスを何とかしなければならない問題は確かにありますが、そのために2045年の伊丹空港廃止を現段階で決定するのは関係者の納得が得られないでしょうし、そもそも2045年の航空需要がどうなるかは現段階でわかりません。今のところはとりあえず、「2011年九州新幹線開通」と「神戸空港の収支の行方」を見ていくのが無難な戦略ではないのでしょうか?
俺の勝手な予想だと、2011年を過ぎればむしろ神戸空港廃止論の出てくるような気がしないでもありません。(↓の記事通り、今でも赤字になるかならないかのところですので、2011年以降は相当厳しい状況に追い込まれるはず)

【利用者減、収支悪化… 神戸空港「視界不良」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090214/lcl0902141234002-n1.htm

【神戸空港黒字額、初のゼロ見通し】
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090219/lcl0902191244002-n1.htm


橋下知事も独断専行型の知事ですので、根回しがあまり上手くないように見受けられます。この件に関して彼の主張するところは、それなりに的を得ているところもあるので、ちゃんと根回ししながら時間をかけて議論すればそれなりに賛同者が出て来てもおかしくはないと思うのですが、そもそも「何で2045年の話を今しなければいけないの?」と言われると苦しいところではありますけどね。
確かに現状を打破するために動くのも悪いことだと思いませんが、2045年まではまだまだ時間がありますし、2011年にも九州新幹線の開通があります。今動いて、後で取り返しのつかなくなる事態を避けるためにも、少しずつ周りの理解を得ながらもう少し静観した方が、橋下知事のためにもよろしいのではないかと。



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posted by きらっち at 21:09| Comment(2) | TrackBack(0) | 時事

2009年12月15日

ギリシャやばいの?〜そのB〜

@【ギリシャやばいの?〜その@〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

A【ギリシャやばいの?〜そのA〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

という事で、↑の@Aでギリシャの「外貨準備高」「国際収支」「GDP」の考察をしましたが、いよいよ今日は「対外債務」について見ていきましょう。
その前に、↑の@Aで説明したポイントを復習しておくと以下のようになります。

1.今のところ外貨準備高が減っていない
→ギリシャは、信用力のあるユーロを自国通貨にしているので、相応の通貨価値下落の起きない事により、為替防衛をする必要がない。ただし、今後ギリシャ国債の利回りが払えなくなれば、外貨準備高を消費して利回りを払うようになるだろうと推測されるので、外貨準備高が減り出す時がいよいよ危険と思われる。

2.恒常的な経常赤字と外国依存の資本収支
→ギリシャの国際収支は、経常収支については慢性的な赤字。貿易赤字が足を引っ張るが、観光国でありながら最も稼げる8月のサービス収支の黒字でも貿易赤字分を取り返せない。一方の資本収支は、外国からの投資により大きく変動している。

3.インフレ経済
→実質GDPはここ3年で大きく増加したわけでもないが、名目GDPは増加している。消費者物価指数もここ3年で10%程度の上昇していて、このインフレを逆手にとって(インフレ最中は借金の実質価値が下がることにより)ギリシャ国債をどんどん発行をしてきた。


greece_external-debt.jpg
では、↑のギリシャの「対外債務」について見ていきましょう。
「ギリシャ政府の債務」と「ギリシャ銀行の債務」についてですが、サブプライム問題の起こった2007年Q2にギリシャ政府の短期債務が一時的に増えましたが、この時は何とかこれでおさまりました。ところがリーマンショックの起こる前の2008年Q2に、ギリシャ政府もギリシャ銀行も、両方で短期債務が突然増えました。これが何に起因するのかちょっとここではわかりませんが、とにかくすでにこの時期に何らかの異変が起こっていた事がわかります。
その後は、ギリシャ政府はばらつきがあるものの、同レベルの短期債務を発行し続けている一方で、ギリシャ銀行の短期債務は増加の一途を辿っていて、資金繰りの状況が多少心配です。2009年Q2の時点で、ギリシャ政府とギリシャ銀行の短期対外債務は500億ドル、長期対外債務は2000億ドルを突破しているのですが、外貨準備高の方はというと2009年6月時点で380億ドル程度なので、実際のところ今すぐヤバイというわけでもないような気がするのですが、短期対外債務の割合がかなり大きいのが気がかりなところです。
ちなみに、2009年Q2の名目GDPは597億ユーロ(年換算だと2388億ユーロ)なので、対外債務残高の名目GDP比はおよそ29%くらいなわけです。実際日本とアメリカの対外債務残高の名目GDP比は、日本が7%、米国が25%程度なので、ギリシャの経済規模を考えると、対外債務残高の名目GDP比が29%というのは、確かに大きいかもしれません。


【ギリシャ、社会保障費1割減 財政再建策を発表】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091215AT2M1501C15122009.html

そんな状況でちょうど今日、↑のようにギリシャ政府が財政再建策を発表しました。この記事を見ると、基本的な財政再建策として
「@社会保障費のカット」
「A民間銀行のボーナスに9割課税」
「B脱税の徹底摘発」
という事です。とりあえず、「政府支出削減」と「税収増加」という事で財政再建を図ろうという事ですね。確かによくよく考えてみると、ギリシャはユーロを自国通貨として使っているので、韓国がやったように「自国通貨をギリギリまでウォン安に追い込んだ上で輸出を増加させる」というような為替レートを駆使する裏技が使えないわけです。(その技が使えるなら、夏頃に通貨価値を下げて「観光」一点でサービス収支を激増させるギャンブルもありかなと思うのですが)
通常、国の財政が危なくなれば、自然と通貨価値が下がるので、多かれ少なかれ輸出が増えたり観光客が増えたりするのでしょうけど、おそらく今のギリシャはそうはならない初ケースなわけで、「政府支出削減」と「税収を上げる」だけで何とかなるのか興味があるところです。この状況で政府支出を削ったらギリシャ国内のマネーの流動性が減るために、インフレは抑えられるかもしれませんが、そうなると借金の実質価値も下げることができないため、いずれにしても何らかの稼ぐ方法をギリシャは探さないといけなくなるのではないでしょうか。
勝手な俺の最悪ケース予想では、ギリシャ政府が「政府支出削減」と「税収増加」を上手くできたとしても、世界の余剰な投資資金がギリシャに流入する事により、インフレを止められずに結局ギリシャ経済が行き詰ってしまう可能性です。

まぁ、実際はそこまでひどい事にはならないような気もしますが、ギリシャの目指している方向性は、今の日本の政権と似ています。もちろん、背景の状況は日本とギリシャではまったく違うのですが、ギリシャの緊縮財政&増税に絞るやり方がどうなるかは個人的にも注目しています。



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2009年12月14日

ギリシャやばいの?〜そのA〜

@【ギリシャやばいの?〜その@〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

という事で、先日は↑@でここ最近のギリシャの「外貨準備高」と「国際収支」を見ていきましたが、今日はギリシャの「GDP」について見ていきましょう。


greece-GDP.jpg
↑が、ギリシャの「名目GDP」と「実質GDP」になっております。とりあえず、物価変動を考慮に入れた「実質GDP」を見てみましょう。
ギリシャの「最終民間消費支出」は、2007年Q1から2008年Q4までは順調に微増していましたが、やはりリーマンショックの影響からか2009年Q1に前期比で1.77%減少しました。ただし、「最終民間消費支出」は2009年Q1で下げ止まって、Q2とQ3は回復傾向を示しています。
次に「総固定資本形成」を見てみると、サブプライムが表面化した2007年Q2をピークに随分落ち込んでいます。しかも、リーマンショック後の2009年Q1とQ2の落ち込み幅が半端じゃなく、2期続けて10%程度の減少となっていり事がわかります。元々ギリシャは、製造業の盛んな国ではないため、「総固定資本形成」の落ち込みは「設備投資」ではなく「住宅投資」の落ち込みが支配的な要因ではないかと推測されます。スペインと同じように、住宅バブルの崩壊過程を辿っているのでしょうか?2009年Q4に下げ止まったように見えますが、この先も非常に心配です。
その一方で、「政府最終消費支出」は2009年Q1から頑張って他の項目の減少分を支えているわけですが、これが結果として国債の大量発行によってデフォルト懸念を生じているのでしょう。
そして、俺が一番気になっているのが「在庫品増加」です。通常、景気が悪くなると、企業は余計な生産をせずに在庫品をさばくはずなのですが、ギリシャの「在庫品増加」は一向にマイナスにならないわけですよ。最終的に積み上がった在庫をどう処分するのか非常に心配です。

一方で、「名目GDP」の方を見てみましょう。「実質GDP」よりも随分大きい数字の並んでいる事がわかります。ここでの「実質GDP」は、2000年のギリシャ物価に合わせています。そして、「名目GDP」の数字が随分大きいという事は、ギリシャがインフレ傾向である事を示しています。
実際に、「実質GDP」において2007年Q1と2009年Q3の「最終民間消費支出」はほぼ同じ額であるにもかかわらず、「名目GDP」においては10%程度の差があるわけなので、消費者物価がこの2年間で10%上昇している事が読み取れます。
元々ギリシャは財務状況の良い国ではないのですが、ここ数年はずっとインフレ傾向が続いていたため、国債発行もインフレを想定して発行計画を組んでいたのでしょう。欧州では「財政赤字は(名目)GDPの3%以内」という数値目標があるのですが、インフレ傾向のある国では「実質GDP」が上昇しなくても、10%インフレで「名目GDP」もほぼ10%上昇します。ギリシャはこの数値目標を逆手にとって、インフレを許す代わりに国債も相応に発行する戦略を取っていたわけですね。
ところが、インフレによって「名目GDP」を順調に伸ばしてきたギリシャは、2009年Q1の「名目GDP」で前期比を下回ってしまってしまいました。一方で「政府最終支出」だけは、2009年Q1に入っても増え続けてしまったわけで、こりゃ当然ギリシャ政府の財政は悪くなるわけですよ。

「名目GDP」でギリシャが非常に苦しいのは、いくらインフレ傾向とはいえ「最終民間消費支出」が伸び悩む上に、「総固定資本形成」がボロボロな状態なので、「政府最終消費支出」を増やすだけでは到底カバーできないところにあります。
おそらく、ギリシャの「名目GDP」を改善するのに一番手っ取り早い方法は「純輸出」の赤字幅を減少させる事ではないのでしょうか?先日の↑@のエントリーで、「8月がサービス収支の黒字額ピークを迎える」と書きましたが、これは外国人のギリシャ観光によるものです。つまり、通貨高の国や富裕層のたくさんいる国(日本とか中国)に対して「夏以外」のギリシャ観光を推奨するキャンペーン等を行い、更なるサービス収支の黒字を目指すのが一番投資額が少なくて効果の見込める方法なのかなぁ、と思ったりもします。どこか日本の旅行会社が「新婚旅行はギリシャで!」というようなツアーをやり始めたら、ギリシャは泣いて喜ぶかもしれません。(笑)


greece-CPI.jpg
そして、↑にギリシャの消費者物価指数(季節調整無)の推移を調べてみました。これを見ると、非常に面白くてギリシャの消費者物価は、「5月」「12月」にピーク、「2月」「8月」にディップがあるんですね。季節調整の無いデータである事を差し引いても、こんなにも月によって消費者物価が違うのにびっくりです。
いずれにしてもギリシャがインフレ傾向なのは、この画像を見ても一目瞭然です。リーマンショック直後は、一旦インフレも収まったかのように見えますが、2009年9月からは再びインフレの勢いを取り戻しているように思えます。

先日の↑@のエントリーでも書きましたが、EU内でのギリシャの経済規模は非常に小さいために、ギリシャ経済の調子がいくら悪くてもユーロの暴落はありません。通貨暴落が無い代わりに、ギリシャ国内のインフレが進むという事なのでしょうけど、ギリシャが他のユーロ国並に経済状況がすぐに良くなるわけもないので、しばらくはギリシャのインフレは続くと推測されます。よってギリシャは、「インフレを止める」という事ではなく「インフレを見込んだ財政安定策」を考える方が現実的なのかもしれません。


という事で、今日はギリシャの「GDP」について書きました。次回は、いよいよギリシャの「対外債務」の確信に迫ります。



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2009年12月12日

ギリシャやばいの?〜その@〜

@【デフォルト危機、ドバイの次はギリシャ?】
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2264

先月末くらいから↑@の記事のように、ギリシャのデフォルト懸念に対する報道が出てきました。個人的には、「EUグループに入ってる国なんだし、そこまでひどいのかな?」と半信半疑だったので、昨日いろいろと調べてみました。ということで本日のエントリーでは、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の時と同じように、「外貨準備高」「国際収支」「GDP」「対外債務」の4つの指標で、ギリシャ経済について2日か3日くらいかけて分析してみましょう。
とりあえず今日は、「外貨準備高」「国際収支」について書いてみます。


greece-ofr.jpg
まずは、↑にギリシャの外貨準備高を見てみます。今回は、外貨準備高の内訳として、「SDR」「金」「その他」で分類してみました。まぁ、「金」については説明の必要は無いとは思いますが、「SDR」については聞きなれない方も多いのではないでしょうか?「SDR」とは、IMFの発行する債券みたいなもので、IMFに加盟する国が外貨不足に陥って、どうにもこうにもならなくなった場合に、「SDR」と「他の加盟国の通貨」を交換できるものなんだ。この「SDR」については、IMFがそれぞれの加盟国にどの程度の金額を割り当てるかを、出資金に応じて決めているものです。
さて、ギリシャは「自国」も「貿易等で関係の深い国」も、ほとんどが同じユーロという通貨を使用しているので、「ドル」とか「円」みたいな外貨をほとんど所有しておらず、外貨準備高のほとんどを「金」で運用している事がわかります。他のユーロを使用している国についてよくわかりませんが、ギリシャと同じように外貨準備高のほとんどを「金」で運用してるんですかね?

通常、デフォルト懸念が出てくると、その国の通貨価値はどんどん下がるわけで、それを食い止めるために、政府が所有する外貨を売って自国通貨を買い戻します(去年の韓国で言うと、ウォン買いドル売りの為替介入)。ところが、ギリシャの場合は自国通貨として非常に信用力のある「ユーロ」を使用しているために、どれだけギリシャの調子が悪くなっても、(次々と他のユーロ使用国もデフォルト懸念が出てこない限り)相応の通貨暴落が起こりません。つまり、ギリシャは為替介入をする必要が無いので、デフォルト懸念が出てきてもすぐに外貨準備高が減る事はないわけです。実際に、デフォルト懸念があるにもかかわらず外貨準備高の増えているのが↑の画像からもわかると思います。
逆に言うと、国債の利回りすら払う事が困難になれば、ギリシャは外貨準備高の「金」を売って利回り支払い用の「ユーロ」を確保するはずなので、ギリシャの外貨準備高が減少しだしたらいよいよ「危ない」というシグナルになると思います。

A【IMF総務会、2500億ドル相当のSDR配分を承認】
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-11013920090813

B【日本、IMFへの最大1000億ドルの資金支援で合意文書に調印】
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36480520090214

ちなみにギリシャの外貨準備高は、2009年8月から突然「SDR」の保有額が大きくなっていますが、これは↑Aの記事に書いてある通り、IMFが「SDR」の再配分を行った事によるもので、特別ギリシャに何かあったものではありません。この時期は、ギリシャ以外の国でも「SDR」が増えているはずです。
ちなみに↑Bの記事の通り、この2500億ドルの原資の大部分は日本がIMFに貸した米国債です。今後円高が進んで米国債の価値が下がるだろう事を逆手に、IMFへ1000億ドルの米国債を貸して「世界貢献」という評価を得たわけで、故中川昭一元財務大臣は良い仕事をしたと思います。


greece-BOP.jpg
そして次は、↑のギリシャの国際収支についてです。ギリシャは慢性的に経常赤字である事がわかります。足を引っ張っているのは貿易収支なのですが、リーマンショック以降は貿易収支の赤字幅の縮小に伴って、経常収支の赤字幅も大きく減少しています。ギリシャは所得収支も常に赤字の状態なので、「国外への投資はあまり盛んではない」のか「そもそも国外に投資できる余力が無い」という事が推測されます。
そんな中で、ギリシャの経常収支を支えているのは「サービス収支」です。毎年、8月に「サービス収支」の黒字額がピークになるので、ギリシャは「観光産業」で他国からお金を稼いでる事が読み取れます。この分だと、ギリシャ国内の消費支出もかなり季節変動がありそうですね。それにしても、ギリシャは稼ぎ時の8月すら経常収支が赤字なので、観光以外にも稼ぐ方法が欲しいですねぇ……。

さて、一方で資本収支の方ですが、月によって変動が激しいので何とも言い難いところなのですが、「証券投資」と「その他投資」はほとんどの月で逆の動きをしている事がわかります。
この国際収支表からではわかりませんが、毎月ギリシャ銀行の発表している国際収支のコメント文を見ると、「海外金融機関」や「海外の機関投資家」による「ギリシャ国内の預金」「レポ取引」「ギリシャ国債の購入/売却」が支配的な要因のようです。
おそらく「海外金融機関」や「海外の機関投資家」が、「ギリシャ国債の購入(証券投資がプラスになる)」をすると「ギリシャ国内の預金が減る(その他投資がマイナスになる)」といったように、「証券投資」と「その他投資」の相反する取引が多いという事だと思われます。つまり、ギリシャの場合は国内からの対外資本取引量が少なく、対外資本取引の大部分が海外によるものと推測されます。もしそうだとすると、(具体的な数字はわかりませんが)ギリシャ国債はかなりの割合が外国保有なんでしょうね。


「GDP」と「対外債務」は、さらに長くなりそうなので「そのA」と「そのB」に回します。申し訳ありません。



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2009年12月09日

仕事はきっちりよろしく

【民主政権、一貫性なき経済政策】
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200912090090a.nwc

まぁ、そりゃそうでしょうな。俺はこの夏に民主党のマニフェストを読んだ段階で「この政党は経済の事をほとんど考えてないな」とは思っていたけど、実際に現政権は未だに成長戦略すら示していないわけですしね。


【クローズアップ2009:7.2兆円経済対策 「前政権継承」ズラリ】
http://mainichi.jp/life/today/news/20091209ddm003020087000c.html

↑しかも、官僚主導で作った今年度の一次補正と似たようなメニューがズラリと並ぶわけで、果たして民主党の経済政策に対するポリシーは何なのか、俺にはよくわかりません。


【ドキュメント・鳩山予算:菅・亀井氏が激論 閣僚委欠席めぐり20分】
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091209ddm002010057000c.html

しかも、↑菅副総理と亀井大臣のケンカまで始まって、非常に面白い展開になってきましたね。今の政権内でリフレ派と思われるのは亀井大臣のみですので、彼の役回りは非常に大きいと思います。何かと問題になる人ではありますが、もう少し暴れて政権を弱体化してくれないかと、内心ひそかに期待しています。(笑)


【在日米軍再編:普天間移設 混迷深まる日米関係 移設先「決定せず」伝達へ】
http://mainichi.jp/select/world/news/20091209ddm001010004000c.html

さらに、どっちつかずの「友愛」の姿勢を貫いてしまったがために、普天間基地の移設でアメリカを怒らせた挙句に、社民党からは連立離脱をほのめかされて、沖縄県からも反発の声が強まっていて大変だとは思いますよ。常識的に考えれば、おそらく社民党と沖縄県には頭を下げることになるとは思うのだけど、さっさと決めていた方が傷を広げずに済んだと思うのですが……。しっかし、アメリカの機嫌を取り戻すには、相当の時間がかかるんじゃないのかなぁ……。


【母から巨額資金、首相「贈与と判断なら納税」】
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091209-OYT1T00584.htm

弟が「納税する」と言った手前、兄は「いや、あれは贈与じゃなくて貸与だ」とは言えなくなってしまったわけですね。う〜ん、何気に弟が兄を追い詰めたのでしょうか。



しかし、本日のエントリーであげたニュースは、全て今日報道されたニュースなんですよね。首相は、1日でこれだけいろんな分野で追い詰められているわけで、八方ふさがりな状況ですねぇ。プライベートを含めていろいろと大変な状況だとは思いますが、本業の仕事がおろそかにならないよう頑張って欲しいです。(個人的にまったく応援はしませんが)



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2009年12月04日

RSA暗号とは@〜素数判定の処理〜

【郵便会社:顧客12万人分の情報紛失 近畿支社】
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20091204k0000m040082000c.html

支社は「個人情報は暗号化されており、外部漏えいの可能性は低い」としている。
って事で、よくこういう釈明で使われる「可能性は低い」ってどういうことでしょうかね?(笑)

という事で、大抵この手の「暗号化」ってのは「RSA暗号」が使われているのだけど、今日はこの「RSA暗号」の話をします。
「RSA暗号」は現在、世の中で最も広く使われている暗号方式なんだ。ただ、厳密に言うと「RSA暗号」は、暗号を解く事は可能なのだけど、それが数十年とか数百年かかるために、本来俺達がイメージする「原理的に解けない暗号」とは少し異なるかもしれない。後日にこの「RSA暗号」の原理を説明しようと思うのだけど、これも非常に数学の知識が必要な話なので、とりあえず「RSA暗号を解くのに何故そんなに時間がかかるのか?」というポイントを今日は説明します。


とりあえず、例としてこんな問題を考えてみよう。
「12345678909876543210123456789098765432101」は素数か否か?
「そんなもん、スパコン使えばすぐに解けるんじゃない?」と思う方も多いでしょう。ところが、実はスパコンでさえ、この手の素数判定には相応の時間がかかるわけですよ。何故かと言うと、全ての素数を表す一般式が発見されていないので、素数かどうか判定しようとすると、「2で割り切れるか」「3で割り切れるか」「5で割り切れるか」……というように、与えられた数に対して、小さい素数から順々に割り切れるかどうかを、しらみつぶしで探すしかないわけですよ。そして、割り切れる素数が無ければ、その数は素数と認められるわけですが、上記の問題ではどれだけの素数があるかを考えるだけでも嫌になるような数ですねぇ……。

とりあえず、もう少し小さい数で考えて見ましょう。「91」が素数かどうかを考えてみます。

91pn_1st.jpg
まずは、↑のように91までの数で、2の倍数を消していきます。この結果、91は赤く塗りつぶされるわけではないので、2の倍数で無い事がわかります。

91pn_2nd.jpg
次に、↑のように2の次で消されていない数字は3なので、3の倍数を消していきます。この結果、91は3の倍数で無い事がわかります。

91pn_3rd.jpg
次に、↑のように3の次で消されていない数字は5なので、5の倍数を消していきます。この結果、91は5の倍数で無い事がわかります。

91pn_4th.jpg
次に、↑のように5の次で消されていない数字は7なので、7の倍数を消していきます。この結果、91は7の倍数で無い事がわかります。

91pn_5th.jpg
次に、↑のように7の次で消されていない数字は11なので、11の倍数を消していきます。この結果、91は11の倍数で無い事がわかります。(というか、すでに11の倍数で残っているのは11しかないので、非常に無生産な作業っぽいですが)

91pn_6th.jpg
次に、↑のように11の次で消されていない数字は13なので、13の倍数を消していきます。この結果、91が塗りつぶされる(13の倍数)事がわかるので、「91は素数ではない」事が判明しました。


という感じで、今は91という小さい数字で、しかも素数で無い事が判明する例なので大した作業量でもありません。ところが、大きな数字で素数だった場合は、この作業を全てのマスが塗りつぶされるまで延々と続けていくことになります。小さい数字の場合、コンピュータを使えば短時間でこの作業は終わるのですが、非常に大きい数になると計算量が指数的に増えるので、現実的な時間で解くことが難しくなるという事です。

RSA暗号は、素数判定における上記の性質(非常に大きな数字に対する素数判定(素因数分解)に時間が非常にかかる性質)を利用した暗号方式であるので、「現実的な時間では暗号を解けない」という事になります。


実際のRSA暗号の原理ですが、「公開鍵」と「秘密鍵」という二つの数字が暗号を解くために必要な数字になります。また、「フェルマーの最終定理」で有名なフェルマーが、このRSA暗号に深く関係してるのですが、RSA暗号の仕組みと背景にある数学原理は、次の回以降で説明することにしましょう。



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2009年12月03日

北朝鮮デノミ 問題は外貨との交換比率

【インフレ抑制と闇市場対策が狙いか 北朝鮮デノミ】
http://www.asahi.com/international/update/1202/TKY200912020117.html

もともと北朝鮮はちょくちょく通貨交換してたけど、今回は「1新ウォン=100旧ウォン」と、実質の通貨価値を切り下げてしまった上に、「1世帯の交換限度額が10万ウォン」という事で、貯蓄してた北朝鮮国民は涙目でしょうね。しかも、通貨価値の切り下げは50年ぶりなわけで、やはり「北朝鮮国内のインフレがひどい」という事なんでしょうか?
でも突然の通貨切り下げを学習した北朝鮮国民は、今回の件で「自国通貨は持っていても信用ならん」と考えるだろうから、今後は北朝鮮国内の外貨需要が急速に増えるのではないでしょうか。北朝鮮では公の場で自由に外貨取引ができるわけではないので、結果的にますます闇市場が広がってしまいそうな気がします。
ところで、新ウォンと外貨の公式交換比率はどうなるんでしょうかね?公式には、1$=200旧ウォン(実際の闇市場では1$=3000旧ウォン程度)くらいで取引されているみたいですが、公式レートとしても1$=200新ウォンで設定できるとも思えないのですが……。


nkorea_trade-ballance.jpg
ところで、↑は北朝鮮の貿易収支の推移ですが、北朝鮮は恒常的な貿易赤字国です。しかも、北朝鮮の主な輸出品は「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」「衣類」「化学・プラスティック製品」「機械類」「電機電子機器」であって、主な輸入品目は「石油」「繊維」「機械・電子機器」「化学工業製品」「プラスチック」との事。もちろん、この輸出・輸入の金額は名目のドル建てであるので、北朝鮮国内の為替レートの影響も加味されています。さて、この状況で1/100のデノミがどのように利いてくるのでしょうか。ここでは、外貨との交換比率も、とりあえず1/100(つまり、1$=20000新ウォン)になるとして考えてみます。

輸出品目だけで見ると、北朝鮮は日本/韓国/中国と同じような加工貿易国型のビジネスモデルを採っている事が推測されます。ただし、北朝鮮は「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」を輸出する資源国の側面もあります。そしてこの輸出品は材料を輸入するわけでもないので、1/100デノミによって相当な国際競争力をつけるのではないでしょうか。ただし、残念な事に北朝鮮は供給能力を上げられる術を持っていないので、デノミをやったところで生産増加は難しいだろうから、「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」で大儲けはできないでしょうね。(笑)
一方で輸入品の「石油」は、1/100デノミで相当に北朝鮮を苦しめることになるでしょう。そもそも、加工貿易をやるためには電力が必要になるわけですが、北朝鮮の電力の大半は火力発電所で作っていたような気がします。(具体的な数字は覚えていませんが、50%以上の電力を火力発電所で賄っていたような……)貴重な電力供給を犠牲にしてまで北朝鮮は1/100デノミを実施したわけで、北朝鮮の今年の冬はさぞかし寒くなりそうですなぁ……。

実際に新ウォンと外貨のレートがどうなるかはわかりませんが、上記の「輸出品目」「輸入品目」「貿易赤字が拡大している事」を踏まえる限り、新ウォンの通貨価値が下がれば下がるほど、輸出の伸びよりも輸入の伸びが大きくなり、むしろますますインフレ引き起こしそうな気がするのですが、どうなんでしょうか?
ところで、このニュースでアメリカは「こりゃ放っておけば、そのうち自滅してくれる」と考えていると思いますよ。むしろ「時間稼ぎ」は、北朝鮮じゃなくアメリカ側の外交戦略になるかもしれません。


【英ファンドが目を付けた、レアメタルの宝庫・北朝鮮】
http://moneyzine.jp/article/detail/26094

そして、↑の記事にもありますが、今回のデノミで外貨建て北朝鮮国債はまだしも、旧ウォン建て北朝鮮国債を所有していた外国ファンドは大損しましたね。またもや「イギリスの金融機関」との事です。先週ドバイで痛い目を見たイギリスの金融機関へのさらなる試練ですなぁ……。(笑)



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2009年12月02日

みんなで一番効果的な消費刺激策を考えよう

【需給ギャップ解消が重要=鳩山首相】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200911/2009112001044

上記の記事によると、
首相は「コンクリートをどんとやるような、昔風の経済政策ではない、もっと賢いやり方の経済刺激(策)を作りあげていく」と、財政規律を重視する姿勢を強調。「エコポイントなどで、国民の(消費への)関心を高くすることができ、エコ化も実現できている」と述べ、投資効果が大きい対策が必要だとの認識を示した。
との事だけど、やはり菅副総理も鳩山総理もあんまり経済の事をわかっていないのではないでしょうか?二人とも理系出身だけあって、理に適った経済政策を打ってくれるのかと思いきや、どうも斜め上の方向を見てるよなぁ……。
というのも、「食料」とか「日用品」みたいに、1回購入したらすぐに使い切ってしまう「非耐久消費財」ならまだしも、エコポイントの対象になっている「家電」や「自動車」みたいな寿命の長い「耐久消費財」の場合は、「需要の先食い」によって今は消費量が一時的に増えている可能性があるのでは?
おそらく「エコポイント」が政策として、今のところ上手く機能しているのは、まだ始めたばかりというところが大きくて、来年度以降に同じ程度の消費効果が期待できるのかというと、俺は多少の疑問を感じます。そしてこのエコポイントも、制度終了後の一定期間は家電や自動車の買い控えの起こる可能性も考えられるので、「ある程度の出口戦略を考えた方が良いのではないか」と、思ったりもします。

個人的には、日本の家計貯蓄(1400兆円)の大半を抱えている老人達をターゲットにするのが一番効率的に消費を増やせると思うので、若者向けの「家電」「自動車」等の「耐久消費財」にエコポイントを充てるのではなく、「非耐久消費財」にエコポイントを充ててみるのはどうでしょうか?
例えば、スーパー等々などで「地元産の野菜」とか「地元のお土産」等にエコポイントを付けるとかね(商品の輸送等における環境負荷を考えると、地元産の物は間違いなく環境にも良いでしょうしね)。さらにエコポイントで医療費の支払いができる事にしてしまえば、それなりに老人が食いついてくるかなぁ……。いずれにしても、「非耐久消費財」を焦点に当てるのであれば、製品寿命が短いので「需要の先食い効果」も抑えられるのではないでしょうか。(とは言うものの、果たして現実的に可能な施策かどうかという視点も大事なところではありますが……。)


【追加経済対策、「環境」で消費刺激 住宅版エコポイント導入へ】
http://www.nikkei.co.jp/senkyo/2009shuin/elecnews/20091120AS3S2002620112009.html

あとは、↑の住宅版エコポイント制度をやるのであれば、相乗効果の期待できる「家具」等にも、エコポイントや何らかの消費刺激策を考えたらどうでしょうか。この辺りは、むしろ民間業者にアイデアを募らせれば、いろいろと良い意見が取り入れられそうですけどね。
経済や経営に対する知識の無い政治家が独断で決めるよりも、この辺りは民間企業の方がノウハウを持っているだろうから、現政権は「国民」だけでなく「業界」の声も聞いた方が良いとは思うけどなぁ……。



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