2010年07月21日

2010年5月の日米欧中マネーストック最新状況

@【2009年12月の日米欧中マネーストック最新状況】(2010年2月10日)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/35247479.html

さて、日米欧中のマネーストックについては、↑@で昨年12月の統計まで推移を見ていましたが、その後はどうなっているのでしょうか。今日は、今年5月までの統計を見てみましょう。


201005_money-stock_juec.JPG
という事で、↑が2010年5月までの日米欧中のマネーストック推移となります。毎回、このグラフを見るたびに、「誰もが思う突っ込みどころが1点あるよなぁ」と思っちゃいますね。(笑)


さて、とりあえず今回はEUから見てみましょう。EUは、リーマンショック後の2008年10月からマネーストックがほとんど変化していません。元々、EUはインフレを抱えている国が多いため、必然的にマネーストックが増加していたわけですが、その流れがリーマンショックでパタリと止まりました。EUのマネーストックはM3(=M1+定期預金+据置貯金+定期積金+外貨預金+CD(譲渡性預金))を取っています。ここではグラフは出していないのですがEUのマネーストック(M1)は順調に増加していることから、「定期預金」「据置貯金」「定期積金」「外貨預金」「CD(譲渡性預金)」を削って、M3にカウントされない何かを購入している事になります。それが株なのか債券なのか、あるいは金や原油に代表される資源関係かはわかりませんが、このバランスシート不況の中でEUの人たちが「株」「債券」に多く流れるとは思えないので、EUのマネーストックが増加しない今の状況は非常に嫌な感じがします。


アメリカについても、マネーストックについてはEUと似た状況かもしれません。ただ、アメリカのマネーストックはM2(=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金)を取っているので、外貨預金で海外に逃げるマネーはカウントされていません。しかも、アメリカのマネーストックは微増ながらも増え続けているため、EUほど深刻な状況でも無いように思えます。おそらく、量的緩和によって溢れたマネーが海外投資に向かったり、株や債券等から資産シフトにより現金・預金に移った一部が再び株や債券等に戻る事で、マネーストックの増加率が落ちているのだと推測できます。もしこの推測が正しければ、アメリカは少なくとも5月までは正常な経済を取り戻しているとも言えるかもしれません。(最新の経済指標では、二番底の懸念が出てきましたが……)


日本については、ほとんど2007年から変化がありません。あえて書くのであれば、2009年1月辺りからマネーストックの増加率が多少上がっているような気がします。ここでは詳細なグラフは載せていませんが、これの主な要因は「定期預金」「据置貯金」「定期積金」が増えている事なので、明らかに株や債券等の金融資産から安全資産である「定期預金」等に資産シフトが起こっているわけです。この流れだと、結局預金を預けられた銀行は日本国債を買うしか無いのですが、肝心の政府が予算を絞る方針なので、これからも景気が大幅に良くなる事はないでしょうね……。


そして、一番の突っ込みどころの中国です。3年5ヶ月でマネーストックが1.9倍になっているので、尋常な状態じゃないような気がしますね。ただ、最近の中国の名目GDP成長率(2007年23%、2008年18%、2009年7%)を察するに、マネーストックが経済成長率に比例するのであれば3年間で1.55倍(=1.23*1.18*1.07)程度の増加については、自然なのかもしれません。とは言え、実際の中国のマネーストックは2007年から3年間で1.7倍になっているので、何らかの歪が出ていてもおかしくないような気がしますが……。


という事で、次はまた半年後くらいに「マネタリーベース」と「マネーストック」について、追ってみたいと思います。



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posted by きらっち at 22:22| Comment(54) | TrackBack(4) | 経済