http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/090417/fnc0904172307016-n1.htm
今はどこの国も経済的困難に直面しているけど、ロシア経済も例外ではない。リーマンショック以来、外国資本がロシアから逃げ出し始めてルーブル安に歯止めがかからなくなり、通貨価値維持のために2000億ドルくらい為替介入して、大きく外貨準備高を減らしてしまった。
上記の記事は、おそらく国の財政資源としてではなく、外貨調達の目的で外債発行を計画してるのだろうけど、ロシアは今後数年間程度、外貨準備高を消費し続ける事を覚悟しているのだと思う。まぁまだ4000億ドル程度の外貨準備高を持っているし、デフォルトすることはないと思うけどね。
さて、それじゃ今日は現在のロシアの対外経済状況を見ていこう。上記は、2006年の第1四半期〜2009年の第1四半期までのロシアの国際収支である。(2009年の第1四半期は、確定値ではなく速報値)経常収支を見る限り、ロシアはここ数年の原油高とルーブル高の恩恵を受けて、貿易収支の大幅な黒字化が経常収支を引っ張っていた事がわかる。しかしながら、去年9月のリーマンショック以降に貿易黒字が半減してしまい、経常収支も大幅に減少してしまう。
また、資本収支に関しても外国人のロシア株売りが進んだ事によって証券投資が大幅に赤字に転落。さらに外国からの貸し剥がし等によって、その他投資も桁違いの赤字に転落。これにより、ロシアの民間企業は外貨の資金繰りが危機的状況になり、ルーブル暴落が始まったわけだ。
上記が、1年程度前から現在までのルーブル/ドルレートをあらわしている。ルーブルは2009年に入って、通貨価値下落のスピードが加速してしまい、1$=37ルーブル程度まで暴落してしまった。ロシア政府は、昨年からそれ以上通貨価値を落とさないために、外貨準備高を使ってルーブルの通貨価値を維持するための為替介入を続けた。
2月末辺りから、ルーブルの暴落に歯止めがかかったみたいだけど、ロシア経済が上向く経済指標があまり見つからないし、2009年の第1四半期は引き続き外貨準備高の減少が止まっていないため、しばらく1$=30ルーブル近辺をうろつくんじゃないかな?
ところで、マクロ経済的にはロシアの問題は2点あるような気がする。
1.「資源に依存しすぎた経済」
【ロシア;貿易統計 輸出(品目別)】
http://www.jetro.go.jp/world/russia_cis/ru/stat_03/
1998年のデフォルト以来、ロシアは石油に依存した一点突破のビジネスモデルを採用してしまった。それは、↑のサイトのロシア輸出品目別の輸出額を見れば一目瞭然。輸出額の65%程度を石油や天然ガス関係で占めていて、資源バブルが弾けた上に需要の低減した現在は相当苦しい事が推測される。ロシアは、石油価格が再び高騰するか、根本的なビジネスモデルを変えていかない限り、かつてのイケイケ状態に戻るのは不可能のような気がする。
2.「得意産業じゃない自国産業を保護」
【【クレムリン経済学】自動車産業瀕死状態 低品質に無力】
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090504/erp0905041633003-n1.htm
元々ロシアは、物作りの得意な国ではないので、車産業も高品質な外国自動車に市場で勝てないにもかかわらず、自国の自動車産業を保護するために公的資金を注入したり、外車に対する輸入税をかけ続けていた。
俺が思うに上記の国内自動車産業の保護は、税金や税法を使って一時的に効果を上げるのに過ぎず、「長期的にロシアの自動車産業をどうやって成長軌道に乗せていくか」という視点がまったくないように思える。元々ロシアの自動車産業は世界に対して競争力が無いわけで、一時しのぎの施策を実行しても、すぐに息切れするのが目に見えるけどなぁ……。
それに、まだまだあれだけの外貨準備高があるのであれば、「外国資本との提携」とか「外国の自動車メーカーに対する工場誘致等々、国内の自動車産業のレベルをコツコツ積み上げられる施策を実行する方が、長期的にはロシアのためになるとは思うのだけど……。(とは言いつつ、インドのタタ自動車が台頭すればロシアの自動車産業は壊滅状態に追い込まれそうな気もするが……)
やはり「ロシアの資源産業」や「アイスランドの金融産業」みたいな一点突破のビジネスモデルは、成長の前提となる仮定が崩れだすと非常に難しくなる。一点突破が悪いとは思わないけど、一点突破でもうダメだとわかった時に、いろいろな意味でその国の真価が問われるよなぁ……。

