2009年09月06日

究極のエネルギー「核融合」

【高エネルギー加速器研究機構 一般公開チラシ】
http://openhouse.kek.jp/2009/images/chirashi09.jpg

今日は高エネルギー加速器研究機構の一般公開日で、それに伴いノーベル物理学賞受賞の小林先生の講演が聞けるという事で、数日前に申し込みしたら、すでに応募人数が超過したためダメでした。あぁ、せっかくのチャンスだったのに。
という事で、とりあえず何かこの手の物理話を書きたかったので、今日は核融合発電について紹介しましょう。


さて、現在日本の発電容量の30%を占める原子力発電ですが、その原理はというと、「ウラン」や「プルトニウム」の原子に中性子をぶつけて、ウランやプルトニウム原子を複数の原子や粒子に分裂させた際に出てくる熱でタービンを回して発電しています。発電システム全体で見ると、二酸化炭素の排出量は少ないのですが、何せ放射性元素を使っているわけなので万が一メルトダウンでも起こったりすると、チェルノブイリ発電所の二の舞になってしまうので、厳重な運用が求められます。

という事で、なるべく放射性元素を使わないで大容量の電力を生成したいわけですが、核融合発電はそれを達成できる可能性があります。(とはいうものの、おそらく俺らが生きている間に実現は不可能と思いますが)ということで今日は、代表的な3つの核融合反応式を見て、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。


nuclear-fusion_ce.jpg
まず、↑に3つの核融合反応式を示します。核融合の場合は、「中性子」と「陽子」の数がポイントになりますので、通常の化学反応式ではなく「中性子」と「陽子」に絞った反応式で書いてみました。

@重水素と三重水素を使うパターン
重水素は海水から生成できるので、地球上でも豊富にある。ただし、三重水素は地球上ではわずかにしかない。原子力発電所の発電炉内で中間生成物としてできるリチウム6やリチウム7から三重水素ができるので、それを使うのが最も現実かもしれないけど現段階での工業生産技術は無いんだよね。
しかもこの@の反応は、原料の三重水素も反応後の中性子も放射能を帯びてるため、安全面ではあまりオススメの方法ではないかもしれない。(ウランやプルトニウム違って、中性子は半減期が数分と非常に短くはあるのだけど)ただし、AやBの反応に比べるとそこまで高温状態でなくとも核融合反応が持続するため、技術的には一番簡単に実現できそうではある。

A重水素を使うパターン
この反応は原料が重水素のみなので、「原料をどこから持ってくるか?」の問題についてはクリアできるし、重水素は放射能も帯びていないので安全だよね。反応後に出てくる三重水素や中性子は放射能を帯びていはいるのだけど、この反応式を使って@の原料である三重水素を生成できるという利点もあるよね。さらに、この反応式では「陽子」を単独で生成できる。つまり、電力を直接生成できるのも大きなメリット。@の反応では、結局のところ出てきた熱でタービンを回して発電するしかないので、「熱エネルギー」→「電気エネルギー」の変換でかなりのロスが出てくるわけだ。ところが、Aの反応で陽子を単独でつかまえれば、電気エネルギーを直接生成できる。

B重水素とヘリウム3を使うパターン
おそらく、これが目指すべき最終核融合発電の反応式になると思う。なぜならば、このBの反応式には、原料と生成物共に放射能を帯びたものがない。しかも、反応後には陽子が生成されるので、Aと同じように直接電気エネルギーを生成できる。ただし、このBの反応は@やAよりも高温度が必要であるので、「どうやって炉の溶けるのを防ぐか?」という問題が生じる。さらに、ヘリウム3は地球上には存在しない。従って、Aの反応で生成するしかないわけだ。あるいは、月の表面には豊富にヘリウム3が存在するので、ロケットを飛ばして月から取ってくるしかないわけですよ。


いずれにしても、どの方法も核融合反応を継続的に起こせるくらいの超高温(数千万度以上)に耐えうる箱を作らないといけないのだけど、どうやってこの箱を作るかが現在一番考えないといけないわけですよ。
実は、「原料をプラズマ状態にさせた上で特殊磁場をかけてバリアを張る」というSFみたいな話が実際に考えられていて、この辺も非常に面白いので(俺みたいな一般人にはよくわからない世界ではあるのだけど)、また機会があれば紹介したいと思います。



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posted by きらっち at 23:04| Comment(3) | TrackBack(2) | 科学
この記事へのコメント
「原料をプラズマ状態にさせた上で特殊磁場をかけてバリアを張る」
確かトカマク型制御法というやつでしたっけ。
Posted by at 2009年09月07日 21:48
トカマク型っていうと、トーラス上に磁場を閉じ込める方式でしたっけ?確か、その方式が現在の核融合の主流方式だったと聞いたことがあります。
あとは、円形コイルを向かい合わせで設置する「ミラー方式」でしたっけ?俺も全然専門外で聞いた知識ですみません……。
Posted by きらっち at 2009年09月07日 23:21
いえいえ!ご謙遜なさらずに!
名前聞いた程度の物なのは、私で御座います。
書くのは初めてですが、多方面の見識ある考察が興味深いと思います。
Posted by at 2009年09月08日 18:00
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