2009年09月10日

弱い力〜中性子のβ崩壊〜

【強い力〜ヘリウム原子の矛盾〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30819916.html

7月25日に、↑のエントリーでヘリウム原子を例に出して、原子核内の中性子と陽子を結びつける「強い力」の存在を説明しました。今日は、もう一つの根源的な力「弱い力」を説明します。


42helium.jpg
↑再びヘリウムの原子を例にしましょう。大抵の原子の原子核には、陽子と中性子が存在しますが、実はこの中性子は原子核内では安定的に存在できますが、単独で取り出すとおよそ15分くらいで中性子線と呼ばれる放射線を放出しながら、「陽子」と「電子」と「反ニュートリノ」とに分解してします。これを物理学の世界では「β崩壊」と呼んでいます。

中性子→陽子+電子+反ニュートリノ

これは裏を返すと、中性子は陽子と電子と反ニュートリノと中性子線から出来ているとも言えそうな気もしますね。なお、「反ニュートリノ」とはニュートリノの反粒子なのですが、ここでは「そういうものがある」と思っておいてください。(反粒子の説明は、また後日に詳しく書く予定です。)
さて、この中性子のβ崩壊ですが、そのメカニズムについて「重力」「電磁気力」「強い力」では以下の理由で説明できません。

【電磁気力でβ崩壊が説明できない理由】
中性子は電気的に中性なので「電磁気力」とは反応しない。

【強い力でβ崩壊が説明できない理由】
β崩壊は中性子単独の崩壊なので、複数の中性子や陽子間に働く「強い力」とは関係が無い。

【重力でβ崩壊が説明できない理由】
陽子と中性子はほぼ同じ質量を持っているのですが(質量のみでなくその他の性質もほぼ同じ。異なるのは電荷の有無くらい)、陽子は単独状態で安定である事から「重力」に起因するものでも無さそう。

という事で、β崩壊を引き起こさせる力を「弱い力」と位置づけたわけです。そして今の物理学では、この「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」の4つが根源的な力として認められていて、現在観測される全ての物理現象は、この4つの力で説明できます。

ちなみに、今日のエントリーで出てきた「中性子」「陽子」「電子」「(反)ニュートリノ」の中で、昔から存在の知られていたのは「陽子」と「電子」です。この2つの粒子は、「電磁気力」と反応するために観測する事が容易ですし、1910年代にはボーアによってすでに原子モデルが確立されています。しかし、「中性子」「(反)ニュートリノ」については「電磁気力」に反応しないためその発見は遅れ、中性子は1930年代、ニュートリノは1950年代にようやく存在が初めて確認されています。


とりあえず、前回と今回のエントリーで「強い力」「弱い力」の存在について説明しましたが、次回は素粒子(クォーク)を説明します。素粒子がわかれば「強い力」「弱い力」の発生する原理を深く理解できるのですが、何せ素粒子レベルの話になると常識を覆される話がたくさん出てくるので、我々にとってはなかなかハードルが高い学問でもあるのですが、なるべく平易に説明できるように頑張ります。



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posted by きらっち at 22:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学
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