2009年09月26日

ウィルコムの誤算

【ウィルコムが私的整理 金融機関との調整難航も】
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200909250078a.nwc

ウィルコムユーザの俺にとって非常に気になるニュースではあるのだけど、おそらく次世代PHSサービス開始を止めて既存のPHSサービスに絞るのならば、資金繰りはしばらく大丈夫だとは思うけど、そうすると大量のユーザがイーモバイル辺りに流出しそうだよなぁ……。
という事で、今日はウィルコムの誤算をバランスシートを追いながら類推してみよう。


willcom_balance-sheet.jpg
↑がウィルコムのここ最近のバランスシートなんだけど、昨日のエントリーのアイフルと同じく資産(=負債+自己資本)が減少しています。という事で、ポイントを絞って考察してみます。

【ポイント@:「流動負債」の割合が増加】
2006年Q1では「固定負債」(1年以上返済義務が無い)が約1400億円で、「流動負債」(1年以内に返済義務がある)が約500億円だったのに対して、2009年Q1では「固定負債」1000億円で、「流動負債」が700億円となっている。つまり、すぐに返済義務のある借金の割合が高くなっているわけで、資金繰りが上手く行っていない事がわかる。

【ポイントA:売掛金・未収入金が2008年Q3から減少】
売掛金・未収入金とは、すぐに手に入る事が決まっているけれど、まだ手にしていないお金の事。まぁ、おそらくこのほとんどは加入者からの通話/通信料で、まだ引き落とされていない分だとは思うけど、これが減少しているという事は、そもそもユーザーから徴収している利用料が少なくなっているという事であるので、これは非常にまずい。
おそらく2008年の3月から始まった「新つなぎ放題」で、今までヘビーユーザーだった人がこのプランに乗り換えたからだと思われる。1万3千円だった定額通信料が4000円くらいになったんだから、そりゃ相当ウィルコムには痛かったんだろうなぁ……。

【ポイントB:「自己資本」が増加の一途】
「株主資本」が一途に増加していますが、これは手元の資金確保のための一環だと思います。「社債」や「借入金」に頼るよりも、返済の必要の無い株を発行する方がウィルコムにとって都合が良いですから。
ただ、2006年以降はウィルコムの加入者数の伸び悩んで低迷する中、2009年Q1に一気に「株主資本」を40億円程度増やしています。このペースが保てればまだしも、既存の株主の意向もあるし、なかなか難しいでしょう。

【ポイントC:「1年以内期限到来固定負債」の増加】
2008年Q3と2009年Q1で、「1年以内期限到来固定負債」が850億円ずつ増加しています。これは、次世代PHSの基地局を作るために調達したものでしょう。本来であれば、「社債」や「長期借入金」で資金調達するべきでしょう。ただ、これらは返済義務が1年以上のもので、ある程度信用が無いと使えない手段です。ところが、ウィルコムはここ最近調子が良くなかったため、「短期社債」か「短期借入金」に頼らざるを得なかったのでしょう。事実、「長期借入金」は減少の一途を辿っています。

ちなみに、アイフルの場合は本業である貸金業の「営業貸付金」の減少が資産額の急減する主要因でしたが、ウィルコムの方は「有形固定資産」の減少が資産減少の主要因です。これはどういう事かというと、おそらくウィルコムは数年前に現PHSサービスの全国展開を図るために大量の基地局を作ったわけです。ところが、この基地局は減価償却によって年々価値が落ちるわけで、この減価償却部分が資産減少の主要因なのでしょう。


無線通信の業界では、今年の2月にWiMAX通信サービス(下り40Mbps)が始まり、あと1年程度でLTE(下り数十Mbps)も始まります。ウィルコムの次世代PHSは20Mbpsを売りにしていますが、果たして新たな基地局への多大な投資分を、加入者増によって取り戻せるのでしょうか?
そんな中、俺の住んでいる地域は間違いなく次世代PHSの基地局整備が大幅に遅れる事になるだろうから、俺は年末にDOCOMOに移る予定です。ウィルコムさん、申し訳ない!



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posted by きらっち at 23:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済
この記事へのコメント
毎回読んでいますが、なかなかコメントする機会が無くて・・・。

さて、ウィルコムは孤軍奮闘していると聞いていたので、私的整理まで追い込まれるとは驚きです。
Posted by あかさたな at 2009年09月27日 10:11
>あかさたなさん
ご無沙汰しております。こちらこそ、突然更新をストップさせたりで申し訳ない。

やはりイーモバイルの出現以降、思ったよりも加入者数が伸びなかったのが一番の誤算だったんですかねぇ……。とりあえず今後の資金調達をどうするつもりなのか、個人的にも非常に気になります。

【ウィルコムの加入者数】
2005年1月…299万人
2005年4月…309万人
2005年7月…331万人
2005年10月…365万人
2006年1月…373万人
2006年4月…397万人
2006年7月…414万人
2006年10月…430万人(MNP開始)
2007年1月…440万人
2007年4月…459万人(イーモバイルのサービス開始)
2007年7月…466万人
2007年10月…462万人
2008年1月…463万人
2008年4月…460万人
2008年7月…462万人
2008年10月…456万人
2009年1月…455万人
2009年4月…456万人
2009年7月…456万人

ウィルコム 加入者情報のHPより
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/outline/member/index.html
Posted by きらっち at 2009年09月28日 03:49
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