2009年09月28日

血液型の遺伝学と特殊血液型

そういえば最近「科学」カテゴリーのエントリーを書いていなかったと思い、今日は急遽「血液型」について書こうと思った次第。

さて、血液型は2つの遺伝子によって以下の規則で決定される。
O×O→O型
A×O,A×A→A型
B×O,B×B→B型
A×B→AB型
この2つの遺伝子はそれぞれ両親から一つずつ受け取るので、例えばA×O(A型)とB×O(B型)の両親からは、O×O(O型)の子供が生まれる事もあり得るわけだ。この辺は、血液型の遺伝に関する基本的な基礎知識が無いと、生まれてきた子供の血液型で揉める事がありそうだよね。(笑)

そして輸血についてだけど、「A型→A型」というように同型の血液で輸血するのが基本ではあるのだけど、生物学的には「O型→A型,B型,AB型」「A型→AB型」「B型→AB型」への輸血も可能なんだよね。なので、O型血液は全ての血液型への輸血が可能であり、AB型は全ての血液型からの輸血が可能なんですよ。ただし、Rh因子が合わないといけないので、日本だと緊急時以外に型違いの輸血は行われないわけです。


さて、基礎知識はこれくらいにしておいて、今日は特殊な血液型「シスAB型」と「ボンベイ型」について説明しましょう。

まずは「シスAB型」だけど、通常のAB型はA×Bの組み合わせだったよね。ところが、極々まれに「シスAB因子」を持つ人がいるわけですよ。この「シスAB因子」を持つ人は、もう一つの因子が何であれAB型になってしまうわけです。つまり、「シスAB因子」による遺伝規則だと

(シスAB)×A→AB型
(シスAB)×B→AB型
(シスAB)×O→AB型

という事になり、通常のAB型とはまったく違う遺伝規則を持つわけです。ちなみに、この「シスAB因子」によるAB型は、日本だと全AB型のうちで1万人に1人くらいの割合でいるらしく、中でも四国地方に多いとどこかの医学書で読んだ記憶があります。
ちなみに「シスAB因子」を持つ人は因子が特別なだけであって、血液型としてはAB型であるので輸血に関しても通常のAB型と同様の扱いになります。


そして次は「ボンベイ型」ですが、これは非常に珍しい血液型です。ただ、ボンベイ型は、ABOの遺伝因子と違う遺伝因子で決定されるので説明が非常に難しいのです。つまり、ABO因子とは別に、Hh因子というものがあって、これも両親から一つずつ受け取るわけです。H×HやH×hであれば通常の血液型と見なせますが、h×hになるとボンベイ型となります。(ただ、ボンベイ型だとしてもABO因子が無いわけでないので、ボンベイ型のA型とかボンベイ型のO型というような血液型になります。)
ちなみに、あえて通常のA型とボンベイ型のA型の例を出すと以下の通りです。

H×H×A×O→通常のA型(AH型)
H×h×A×O→通常のA型(AH型)
h×h×A×O→ボンベイ型のA型(Ah型)

このように、通常のABO因子以外にHh因子まで関係するので、因子レベルと考えると非常にややこしいのですが、抗原レベルで考えると非常にわかりやすいので、こちらの方で説明しましょう。抗原レベルでの血液型の決定は、赤血球の表面にある抗原の有無で決まります。

blood-type.jpg
↑に、通常時とボンベイ型の場合の抗原による血液型の違いを図に示します。H×HやH×hの時(いわゆる通常の血液)では、全ての血液型においてH抗原がくっついています。ただし、A型の人はH抗原の下にA抗原、B型の人にはH抗原の下にB抗原、AB型の人にはH抗原の下にA抗原とB抗原がついています。
しかしながら、h×h(ボンベイ型)の血液にはH抗原が存在しません。通常の血液型検査では、H抗原にくっついているA抗原とB抗原の存在を調べていて、以下のように血液型を判断します。
H抗原の下にA抗原がある→A型
H抗原の下にB抗原がある→B型
H抗原の下にA抗原もB抗原がある→AB型
それ以外→O型
ところが、ボンベイ型の人にはそもそもH抗原が無いために、上記の部類では「それ以外」という事になり常にO型と判定されますが、実際はH抗原が無くてもA抗原やB抗原を持っている可能性があるわけで、ボンベイ型の人は詳細な検査が必要になります。

ちなみに、ボンベイ型の人から通常型への輸血は以下の通り可能になりますが、
「Oh型→AH型,BH型,ABH型」「Ah型→ABH型」「Bh型→ABH型」
通常型の人からボンベイ型の人への輸血はできない上に、ボンベイ型の人からボンベイ型の人への以下の輸血しかできません。
「Oh型→Ah型,Bh型,ABh型」「Ah型→ABh型」「Bh型→ABh型」

という事でボンベイ型の人は、輸血という意味では非常に過酷な運命を背負っています。ボンベイ型は、世界的にも100万人に1人くらいの割合でしかいないため、おそらく日本には数百人もいないでしょう。下手すると、数十人くらいしかいないのではないでしょうか?
特にOh型(ボンベイ型のO型)で生まれた人にとっては、Oh型(ボンベイ型のO型)からしか輸血ができないため、普段から血液を貯蔵しなければならないので、大変なんだろうなぁ……。



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posted by きらっち at 03:25| Comment(1) | TrackBack(1) | 科学
この記事へのコメント
ちなみに「シスAB因子」を持つ人は因子が特別なだけであって、血液型としてはAB型であるので輸血に関しても通常のAB型と同様の扱いになります。

との記載がありましたが、誤りだと思うので訂正させていただきます。

私は献血の際にシスAB型の血液であることが判明し、血液型証というものを赤十字献血せんたーより発行してもらいました。正式な血液型名は、A2B3(シスAB/O)です。通常のAB型の場合A1B1になります。アルファベットの横の数字は、血液検査液を血液に加えてからの凝固時間が遅いほど増えていきます。つまりA2B3だとB型血液の凝固を確認するのに時間がかかり、A型の血液だと誤って断定されてしまう場合があるそうです。

私の血液型証にはA型赤血球製剤の輸血をお願いしますと書いてあったので、私の場合、ABの輸血をされたら死んでしまうかはわかりませんがAB型の輸血をしても大丈夫とは言われていないので誤りかと思いコメントさせていただきました。
Posted by passiflora edulis at 2011年01月23日 16:44
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