2009年12月17日

ちぐはぐな議論してるなぁ

@【【菅vs竹中論争】(1)竹中氏「郵政の再国有化は残念」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161726014-n1.htm

A【【菅vs竹中論争】(2)菅氏「小泉・竹中路線は失敗」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161728015-n1.htm

B【【菅vs竹中論争】(3)竹中氏「改革で格差拡大は止まる」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161730016-n1.htm

C【【菅vs竹中論争】(4)菅氏「過去の失敗を検証する」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161733017-n1.htm

政府は日本の経済成長戦略を作るために、いろいろな有識者からヒアリングをしているようですが、昨日はあの竹中平蔵教授からヒアリングを受けていたとの事。そしてこれらの記事中で、菅副総理と竹中教授の議論の詳細が掲載されているのですが、彼らのやり取りは非常に興味深いです。というのも、菅副総理の経済知識の無さがこれによくあらわれているのですよ。
というところで、気に食わないところを3つあげてみます。


私たちが考えている実は経済政策、あるいは成長戦略もそうですが、先ほど抑圧された需要という、表現は別として、そこはやや共通なんですけども、まず需要をつくることが重要ではないかと。
後に竹中教授が説明しているけど、「成長戦略」とは、GDPで言えば「潜在成長率を伸ばす事」(供給側の伸び率を大きくする事)のための投資だと思うのですが、菅副総理は「需要を埋める事」(需要側の伸び率を大きくする事)と勘違いしている事が、このセリフからわかります。菅副総理は、「供給側を伸ばしても需要も増加しなければ失業者が増えるだけだ」というような事も言及しているのですが、やはり彼には「全体のパイを大きくする」という発想の無い事がわかります。
この分だと菅副総理がこれから取りまとめようとしているのは、「成長戦略」ではなく「景気対策」にしかならなさそうですね……。


同じ費用でも1兆円で1兆円しか効果がないというのが今の経済財政の官僚のみなさんの計算なんですが、おかしいではないかと。1兆円でやっぱり11兆円ぐらい生み出すような知恵があるはずだ。
これは、菅副総理が産業連関表についてまったく知らない事を示唆しています。ちなみに、この産業連関表は経済波及効果を調べるために使われるもので、これを見れば最大の経済波及効果を生み出すためには、自動車産業に需要を与えてあげれば良い事がわかります。とは言え、自動車産業でも1の需要増加に対して2.8の波及効果しかないので、菅副総理が想定している「10倍以上もの経済波及効果のある分野」なんぞは存在しないとは思いますけどね……。(ちなみに、↓のエントリーに産業連関表を扱ったことがあるので、とりあえずご参考まで。)

【産業連関表による各都道府県の経済波及効果分析】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29862981.html


第一の道はある意味で都市と農村の格差を是正する効果は確かにあったんです。投資効果はないけど是正効果なんです。第二の道は、より自由化することによって、ある種の企業が元気を取り戻して株価が上がったことは事実ですが、やはりそれが格差になると同時に、私はマクロ的にはそれで経済が成長する路線に乗っていたのか、一義的な外需の拡大によって保たれたという見方も結構強いんです。別に水掛け論をしようというんじゃないですよ。
第一の道が公共事業、第二の道が規制緩和、民主党は第三の道を探るという話の流れで出てきたセリフなんだけど、ちょうど第二の道を辿った2000年前半の日本経済をどう捉えているかがわかります。

2009Q3_japan-realGDP.jpg
↑の実質GDPを見てみましょう。2000年〜2005年までについては、「最終民間消費支出」と「民間企業設備」がGDP増加の牽引役であって、「純輸出」はそれほど寄与していなかった事がわかります。確かに菅副総理の言うとおり2006年と2007年については、「純輸出」の増加によるところの成長が大きいとは思うのですが、少なくとも2005年までの成長は明らかに内需主導によるものだと俺は思いますけどねぇ……。


これらの菅副総理の言動から察する限り、民主党は「未来への投資」もあまり考えていないし、「現状の分析」もやり切れていないような節が見えるわけです。つまり、今の民主党だとその場限りの応急処置しかできなさそうなので、なおさら日本の経済成長戦略が描けるのか心配になってきました。
大体、ろくな議論もしないでわずか1週間で成長戦略を決めちゃうのですから、それなりのものしか出てこないんじゃないかなぁ……。まったく、一体誰が菅副総理のブレーンをやってるんだか。



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posted by きらっち at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治
この記事へのコメント
んー、菅さんのやりたい「需要を埋めること」も必要というか、それ先にやらないと、竹中さんの言う「成長のための投資をすること」もままらないと思うんですよねえ。

ただ、「需要を埋めること」=「成長のための投資」と勘違いされては大いに困るのですが、1兆投資して、10兆になるとか言ってるのを見ると本当に経済無知だからそう言う事言ってるんだろうなあ。
Posted by あかさたな at 2009年12月19日 13:14
「需要が供給を伸ばすのか」「供給が需要を伸ばすのか」についてはそれこそ決着の無い議論なのですが、民主党の主張は「内需拡大」という事なので、内需についてどう全体のパイを拡大させるのか菅副総理の腕にかかっています。
是非とも1兆の投資で11兆円を生み出す政策を見せて欲しいものですね。
Posted by きらっち at 2009年12月20日 15:08
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