2010年01月20日

日本の資産/負債から考察A

【日本の資産/負債から考察@】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34616600.html

という事で、今日は↑のエントリーの続きです。
前回のエントリーでは、日本の各部門の資産と負債を見て

1.「家計貯蓄が増える→金融機関の口座に振り込まれる→金融機関は日本国債を購入」という流れが定着

2.「金融機関の貸し渋り→非金融法人企業のバランスシート不況→生産増加せず」という流れが定着

3.「1.」と「2.」より、「政府」の負債が増えたと共に、「家計」と「金融機関」の資産も増え続ける流れが定着。

という状況から、なかなか抜け出せなかった経緯を説明しました。


japan_asset-debt.jpg
さて、今日はもう少し↑の表から読み取れるものを考察していきましょう。
左側から二番目の「国内」については国内全部門の資産/負債/純資産、一番左側の「海外」については「海外部門が所有している日本資産」と「日本が所有している海外負債」を示しています。
これを見れば一目瞭然なのですが、国内部門の純資産はこの20年間で5倍にも膨れ上がりました。つまり、国全体で見れば日本は破産どころかプラス収支がどんどん拡大しているわけですよ。それは、海外部門の「負債」にも表れています。海外部門の負債(つまり、日本が買った外国株や外国債券等々)は、この20年間で270兆円も増加しました。国際収支だと、「貿易収支」よりも「所得収支」の方が大きくなった理由はまさにこれですね。
逆に言うと、日本は20年間で270兆円も海外株や海外債券に投資しているので、その分の資金を日本国内に投入しておりません。もし、この270兆円を国内に投入していれば、景気の良くない状態がこれほど続く事はなかったのでしょう。
ただし、これは日本が投資大国になろうとする上では避けて通れない事態です。様々な経済指標が「長期的に円高が続く」という事を示している中で、「いつまでも輸出だけで海外から儲けるのは無理だ」との判断から、日本の輸出産業は海外会社を買収して現地進出を始めたわけで、中長期的には正しい判断だと俺は思います。
このように、日本の景気の悪さの一因は「海外投資」という事になりますが、今後ますます海外投資の流れが進むと思います。よって、日本の民間企業は国内で稼いだ儲けを海外への投資に振り向けるので、国内のキャッシュフローが先細る傾向であるのはどうにもならないかもしれません。となると、むしろ海外から日本への投資(↑の表で言うと「海外部門」の「資産」)に期待したいところです。これが増えれば(一方でその分日本の負債が増えることにはなりますが)日本国内の金回りが良くなるでしょう。ただし、海外からの投資に依存するようになると、「ドバイ」「アイスランド」「東欧」みたいに何かあった場合の後が怖いのも事実です。

いずれにしても対外的に見た場合、日本全体で見れば「破産」どころか、「純資産」が増え続けていて、財務的に問題は見当たりません。つまり、日本の財務面での真の問題は、国内ストック(「政府負債」と「家計資産」)のバランスの悪さだけなのです。


それでは、どうやってこの国内ストックのアンバラを是正できるのでしょうか?それについてはいくつか方法が考えられるので、次回に説明を回しましょう。



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posted by きらっち at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済
この記事へのコメント
今日の話題も興味深かったです。
政府の負債を減らすためには民間の負債が増えないといけないですね。それは設備投資や雇用をして供給を増やす行為ですよね。それができない状況が日本には存在してるんですね。需要不足。デフレ期待。
さて、どうすればいいのか?
インフレ期待を起すためには、政府の負債を現金化してはどうでしょう。日銀に買わせて政府の負債を減らして、もしくは増やさないようにして、金融機関に現金を渡してしまう。インフレ期待が起きませんか?
円安で輸出企業の価格競争力がつくのでは?
妄想です。
Posted by グレッグ at 2010年01月20日 20:05
>グレッグさん
どうもありがとうございます。
グレッグさんの基本的なアイデアは、まさに「量的緩和」だと思われます。実際、「失われた10年」では「量的緩和」によって円安を誘導して輸出産業を成長させた実績はあるんですよね。
おそらくは菅副総理の考え次第ですが、今年中にもあると言われる「中国元の切り上げ」も絡んでくるので(元を切り上げる事で、中国人が日本製品を大量に買ってくれる可能性がある)、すぐには決断できないと思われます。
Posted by きらっち at 2010年01月21日 00:55
日本の資産/負債から考察@では丁寧にご回答いただきありがとうございました。

今回の記事も興味深く拝読しました。相当乱暴な需要喚起策として、国民の消費性向を無理矢理上げてしまう、というのは考えられませんかね。家計資産が貯蓄に回ってしまうのが需要不足の一大要因なのであれば、消費への動機付けを大幅に強化してやるわけです。
具体的な施策については、例えば給料日から一週間以内に行った3万円以上の買い物については、年末にまとめて手続きをとれば消費税分は払い戻しを受けられる、とか。
税収への悪影響が懸念されますが、消費が増えれば法人税収増や究極的には所得税収増にも繋がるはず、ということで如何でしょう。
Posted by ajp at 2010年01月23日 09:08
>ajpさん
消費喚起策についてはいろいろな案があって、どれも一長一短があるので、その評価は難しいところなんですよ。
あくまで一官僚の立場で考えると、「お金」や「人」のかからず運用の楽な制度であれば良いのですが、何かありますかねぇ……。
Posted by きらっち at 2010年01月28日 00:22
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