2010年02月15日

日本の資産/負債から考察B

【日本の資産/負債から考察@】(2010年01月08日)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34616600.html

【日本の資産/負債から考察A】(2010年01月20日)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34838083.html

という事で、今日は「日本の資産/負債から考察」シリーズの3回目です。ちなみに、前回までは、↓の表から読み取れる以下の3つの事を書きました。

japan_asset-debt.jpg

1.「政府」の負債が増えた一方で、「家計」と「金融機関」の資産も増え続けた。

2.対外的に見た場合、日本全体で見れば「破産」どころか、「純資産」が増え続けていて、財務的に問題は見当たらない。

3.日本の財務面での真の問題は、国内ストック(「政府負債」と「家計資産」)のバランスの悪さ。

という事で、今日はどうやったら「政府負債」と「家計資産」のアンバラを解消できるか考えてみましょう。


さて、とりあえず「政府負債」も「家計資産」も減らす方法で、一番簡単なのは「増税」でしょうね。増税は、「家計資産」を減少させた分、「政府負債」を返済する事ができるわけで、一番手っ取り早く、しかも確実にアンバラを解消させる手段です。財務省は高らかに増税を主張していますが、官僚的な視点で書くのであれば、この手法が一番確実な上に、日本経済の基礎的な部分をいじらなくて良いからでしょう。ただし、この手法は国民に直接負担を強いるものであるので、なかなか国民に説得しづらい方法である事も事実です。確かに個人として考えるならば、「頼んでもないのに国が勝手に借金を膨張させた挙句に、何で俺が最後に尻拭いしなきゃいけないんだよ?!」と思いたくもなるのですが、国の借金増加によって日本経済のフローを下支えしていたからこそ、失われた10年はあの程度の不景気で済んだのも事実なんですよ。われわれ国民側もその辺をどう理解するかで、民主党の経済対策の見方が大きく変わるところです。


そして話を元に戻しましょう。アンバラ解消のもう一つの手段は、長期的に名目GDPを増加させて実質の借金価値を下げる方法です。

【分母を上げる?それとも分子を下げる?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29596799.html

実はこの話、↑のエントリーですでに一度書いていたりします。基本的に、国の借金の危なさを計る一つの指標は「国債発行残高/名目GDP」ですが、世界的にはこの指標値が大きくなれば国の財政が危なく、この指標値が小さくなれば安全とみなされます。日本の場合は、G7の中でもこの指標値が最も高く、昨年度末で175%程度です。(とりあえず、日本にこの指標を当てはめるのが良いのか悪いのかは置いておいて)この指標値を下げようと思ったら、分子の「国債発行残高」を下げるか、分母の「名目GDP」を上げればいいわけです。つまりこの方法は、名目GDPの増加(多少のインフレと経済成長)によって借金の実質負担価値を下げるというところに主眼が置かれたものですね。
この方法は、「多少のインフレ」を期待するので、物の値段が上がる分「家計資産」の実質価値は減少するものですよね。ただ、「増税」と言われるよりはこちらの方がまだ国民から理解を得られるのではないでしょうか?ただし、物価を安定的に管理する日銀はこの方法をあまり採用したくないでしょうし、財務省も「確実性」という観点と、「多少のインフレによって円安に振れさせる可能性」を考えると、この方法はあまりやりたくないと思われます。それに、「インフレ」という単語に噛み付く評論家とかもたくさんいらっしゃるでしょうね。


という感じで、おそらく「政府負債」と「家計資産」のアンバラを解消する代表的な方法してはこの2通りあります。かつての自民党では、物価や財政論において「インフレターゲット」が論議されましたが、今のところ民主党は物価には興味なさそうなので、「増税」一辺倒にしか考えて無さそうですよね。
とりあえず、日本経済にまず必要な事は「デフレ脱却」ですが、仮に「量的緩和拡大」&「政府支出増大」をするのであれば、政策の連続性や親和性という観点からは、「増税」よりも「多少のインフレと名目GDP増加」の方が、理には適っているのではないかと個人的には思います。(もちろん、この手法には多少の不確実性もあるとは思っていますが)

という事で、次回の本シリーズ最終回(第4回)では、「増税」「名目GDP成長(多少のインフレ)」のそれぞれの場合で、俺達個人がどのような資産管理を行えば、最も所有資産の実質価値を下げられずにすむのか、考察してみましょう。



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posted by きらっち at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 経済
この記事へのコメント
今日もクリアカットな解説を有難うございます。民間に十分な資金のやり取りが行われれば国債なんて発行する必要もないわけですから。インフレターゲットを決めて国債の日銀引き受けを行うべきです。
現状のデフレ容認の政策では投資や消費など
総需要は増えませんよね。
また民間の期待に働きかけるためには、政府や日銀はインフレに対して今後しばらくは寛容であるべきです。
現在の民主党ではこんな政策は絶対無理ですので絶望的です。
片や自民も谷垣総裁や与謝野氏など、財政規律派が主流ですので、どちらにしても日本は没落決定だと思いますけど。
Posted by グレッグ at 2010年02月15日 13:32
>グレッグさん
そもそも民主党の今の経済政策の方向性を維持するのであれば、「今後10年で毎年、名目GDP成長率3%、実質GDP成長率2%」という自ら掲げた目標は、絶対に達成できないと俺は確信しています。
Posted by きらっち at 2010年02月17日 22:57
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