2010年02月17日

フーリエ変換の理解に向けて@

本ブログ開設以来、是非とも皆様へ説明したかった数学分野が「フーリエ変換」でした。ただ、この「フーリエ変換」なるものは理工系の大学生ですら、「なるべくこの分野は勉強したくない」と避ける人が多く、説明するにも非常に難解な概念が多いため、今までこの話題は避けていました。
本ブログの読者のニーズとはかなりずれるかもしれませんが、とりあえず何回かにわけて「フーリエ変換」のわかりやすい説明をして行こうかと思っています。


まず、そもそもこの「フーリエ変換」(とその仲間達)が実際に何に使われているかと言うと、
1.MP3プレイヤー(音楽や音声データを扱う時によく使われる)
2.MPEG・JPEGの映像・画像(映像・画像データを扱う時によく使われる)
3.レーダーやソナー(音波や電波分析によく使われる)
4.無線通信(電波の送受信をする時によく使われる)
というところでしょうか。3.は軍事分野ですが、それ以外は現代生活に密着した製品(特にここ10年〜20年で広まったもの)によく使われています。


という事で、この「(離散)フーリエ変換」とはどんなものかというと、簡単に書けば「あるベクトルを複数のベクトルで分解する」という事です。こんな例を考えてみましょう。今、「国語」「数学」「理科」「社会」の4科目のテストをしたときのあなたの点数が(78,64,72,82)だったとします。このように、4科目の点数を一組の全科目ベクトルとみなす事ができます。つまり、「1個目が国語の点数」「2個目が数学の点数」「3個目が理科の点数」「4個目が社会の点数」という4次元ベクトルですね。
よって、全科目ベクトルは以下の通り各科目ベクトルの和である事がわかります。

vector-and-base.jpg
ここで大事なのは↑の赤枠にも書きましたが、「4次元ベクトルである全科目ベクトルを数学的に表現するには、4つの基底ベクトル(4つの軸)と4つの点数が必要になる」という事です。

そして、ここからが肝心なポイントですが、実は基底ベクトル(軸)の取り方は自由度があります。今の時点では
(1,0,0,0)←国語を表す
(0,1,0,0)←数学を表す
(0,0,1,0)←理科を表す
(0,0,0,1)←社会を表す
このように、それぞれの基底ベクトル(軸)が「科目」と解釈できるのですが、この4つの基底ベクトル(軸)を以下のように考えてみましょう。
(1,1,1,1)
(1,1,-1,-1)
(1,-1,-1,1)
(1,-1,1,-1)
すると、全科目ベクトル(78,64,72,82)は以下のようにベクトル分解でき、新たな尺度での4つの点数(74,-3,6,1)が出てきます。

vector-and-converted-base.jpg
ちなみに、それぞれの点数が何を表しているかというと以下の通りです。

【点数@】
基底ベクトル@が(1,1,1,1)となっているので、点数@は総合力(4科目の平均点)を表している。点数@が大きければ大きいほど、平均的に点数の取れている事がわかる。

【点数A】
基底ベクトルAが(1,1,-1,-1)となっているので、点数Aは「国語&数学の点数」から「理科&社会の点数」を引いた値で、点数Aはマイナスの値も取りうる。つまり、点数Aが大きいと「暗記能力」よりも「論理的思考能力」が高く、点数Aが低いと「論理的思考能力」よりも「暗記能力」が高い事になる。この事から、点数Aの高低によって、「論理的思考」と「暗記」のどちらが得意なのかを計る指標値に成りうる。

【点数B】
基底ベクトルBが(1,-1,-1,1)となっているので、点数Bは「国語&社会の点数」から「数学&理科の点数」を引いた値で、マイナスの値も取りうる。つまり、点数Bが大きいと文系科目が得意で、点数Bが小さいと理系科目が得意という事がわかる。よって、点数Bの高低によって、「文系」と「理系」のどちらが得意なのかを計る指標値に成りうる。

【点数C】
基底ベクトルCが(1,-1,1,-1)となっているので、点数Cは「国語&理科の点数」から「数学&社会の点数」を引いた値で、これもマイナスの値を取りうる。点数Cは、直感的にどういう点数なのか説明しづらいが、とりあえずこの点数Cが0に近ければ「論理や暗記」と「文系や理系」で説明のできる点数の取り方をしているという事になる。一方で、この点数Cの絶対値が大きいと「論理や暗記」と「文系や理系」で説明のできない点数の取り方をしているという事になる。


このように、元々は各科目の点数を全科目ベクトル(78,64,72,82)で表していたのだけど、基底を変える(軸の取り方を変える)ことによって、新たな点数(74,-3,6,1)に変換する事ができるわけです。
実は、フーリエ変換というものは基本的にはこれと同じことをしていて、元々のベクトルを複雑な基底ベクトルで分解して、何か別のベクトルに変換しているんですよ。

今の例の場合は、(78,64,72,82)というベクトルに対して、
(1,0,0,0)(0,1,0,0)(0,0,1,0)(0,0,0,1)という基底ベクトル(軸)ではなく、(1,1,1,1)(1,1,-1,-1)(1,-1,-1,1)(1,-1,1,-1)という4つの基底ベクトル(軸)に変えた場合に、(74,-3,6,1)という新たな点数ベクトルに変換したわけですが、フーリエ変換の場合はこの基底ベクトルの取り方に特徴があったりします。この辺は、また次回にでも説明します。



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posted by きらっち at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 科学
この記事へのコメント
ううう宇宙人襲来。。。。
フーリエ変換、昔からワカラン。
ワカランけれど生きてこられた。
これからもワカラン。
死ぬまでワカラン。

---です。
Posted by ゆきちゃん at 2010年02月18日 10:47
>ゆきちゃんさん
いやいや、普通に生活する分には、まったく知らなくても良い分野だと思いますよ。完全に俺の趣味で書いているのですみません。(謝)
ただ、ベクトルの説明から入るべきではなく、波形を使っでビジュアル的に説明するのを第一歩にするべきだったと反省です。次回は、また違うアプローチで補足します。
Posted by きらっち at 2010年02月20日 02:01
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