2010年02月24日

日本国債の買い手とその購入意図

@【個人向け国債、金利で魅力低く 財務省が意識調査】(2010年2月22日)
http://markets.nikkei.co.jp/kokunai/hotnews.aspx?id=ASFS1902R%2021022010

↑@の記事を見る限り、個人向け国債を買わない理由は「お金が無い」という事ではなく「利回りが低い」って事ですね。数年前までは、わりと家計部門による国債購入が増加してたような気がするのですが、直近では全然人気が無くて個人向け国債が売れてないのでしょうね。


A【個人向け国債 固定5年(第17回)の発行条件】
http://www.mof.go.jp/jouhou/kokusai/kojinmuke/contents/list_kotei/No_17.html

まぁ確かに、直近で発行された固定5年物の個人向け国債の利回りは、↑Aの通り税引後で0.35%程度なので、こんなんじゃ買う気になれないのもわかりますよ。(笑)
でも、だとすれば一体誰が日本国債をあんな低い利回りでも購入してるのでしょうか?今日は、その辺について迫ってみたいと思います。


2009Q3-japan_bond-holder.jpg
という事で、↑が2006年Q2からの「日本の普通国債所有者別内訳の推移」です。2006年Q1以前のデータは、購入者カテゴリーが現在と異なる統計なので単純な比較が難しい事から、ここでは掲載していません。

さて、このグラフを見るといろいろと興味深い事がわかりますね。まず、「日銀」と「一般政府」の所有する割合がどんどん少なくなっています。日銀に関しては、2006年3月に量的緩和が終了したのをきっかけに金融引き締めに転じたため、民間へのお金の供給を減らすためにその原資である日本の普通国債を売り出したという事でしょうね。ちなみに、リーマンショック以降の日銀の資金供給は短期国債が原資になっているため、↑のグラフではカウントされていません。この事から日銀は、リーマンショックの一時的な資金需要については対処するが、長期的な金融政策については、2009年Q3の時点で「緩和」という方向性を想定していない事が推測されます。そして「一般政府」の減少分は、財投債(地方自治体や独立行政法人などに資金を貸し付けるため政府が発行して、政府で所有する国債の事。しかし、これによって自治体や独立行政法人の自立を妨げるなどの批判もあって、発行額は年々減っている。)によるものでしょうね。

そして「銀行等」については、リーマンショック前までは所有率が40%前後で推移してきましたが、リーマンショック後の2008年Q4以降は、どんどん所有率が上がっています。金融不安によって、「株」や「債券」から「定期預金」や「普通預金」等へ資産シフトした結果、銀行の預かるお金が増大してしまったからでしょうね。日本国内に、利子や利回りの良い投資対象があれば銀行も積み上がる資金をそちらに流すのでしょうけど、とりあえず魅力的な金融商品が見つからないので、国債を買う選択肢しか無いのでしょうね。

「生損保等」については、2006年から一貫して国債所有率が増え続ける傾向にありますね。生命保険や損害保険については、将来の保険金や給付金などの支払いに備えるため、「責任準備金」としてお客の支払ったお金を積み立てていて、その積立金は資金の貸付けや株式・債券などへの投資で運用されています。これによって、保険会社はお客に対して「最低保証」を約束しているわけですね。という事で、この「最低保証」を約束するために、保険会社は安全資産である国債を購入しているわけですよ。さすがに、何かを保証する保険会社の場合は、投資信託とか金融派生商品みたいに購入者にリスクを背負わせることができないので、国債以外の購入は難しい事もあるかもしれませんね。

「公的年金」については、リーマンショック以降、所有率の増加が止まったように見えますね。これはおそらく、今まで国債を購入していたお金で日本株を買い支えて株価の底割れを防いでいたからでしょうね。日本の株価がある程度まで上昇すれば、再び「公的年金」の国債所有率は上がってくると思います。ただ、今後は納付者がどんどん少なくなる一方で、保険料の値上げの可能性もあるので、長期的にも「公的年金」の所有率が増加するかは不透明のような気がします。

「年金基金(私的年金)」「その他」については、特段の変化は読めません。

「海外」については、2008年Q3に所有率は7.9%のピークを迎えていましたが、リーマンショックを機に所有率が落ちて、2009年Q3では5.8%となっています。「いよいよ日本国債も国内だけじゃ支えきれなくなるのかな?」と思っていましたが、幸か不幸かなかなかそうはならない模様です。元々、GDP対日本の国債発行残高が170%で先進国の中でも一番高い数字であるため、いくら「円高基調」とは言っても海外の投資家から取ってみれば、「何でこんなリスキーな国債をこんな低い利回りで買わなくちゃいけないんだ!」というところなんでしょうね。
それでも買っている国は、通貨暴落&破綻懸念がちらほら出ているイギリス辺りですかねぇ……。

そして最後の「家計」ですが、2007年Q2からは家計の国債所有率は止まった事がわかります。その原因は、@の記事にある通りに「利回りの低さ」でしょうね。確かに、「日本国民が日本国債を信頼していない」という可能性も無きにしも有らずかもしれませんが、そもそもそこまで日本国債が信頼されていなければ、それを購入している銀行が批判にさらされていなければおかしいわけですし、国債を大量発行する来年度予算案だってもっと叩かれているはずです。(笑)
日本の家計部門は、純資産が1000兆円もあるので、その気になれば国債はまだまだ買える余力があるはずなんですよ。それでも家計部門が国債を買わないのは、単純に「利回りが低すぎる」という以外に合理的な理由が見つかりません。もし銀行貯金に課税するとなれば、家計部門が貯金を諦めて日本国債を大量に買ってくれそうですねぇ……。(笑)


それでは、これを踏まえた上で
○金融不況の二番底が来た場合
○このまま世界経済が回復する場合
で、日本国債所有率や日本国債の利回りはどのように変わっていくのでしょうか?次回は、この辺を考えてみたいと思います。



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posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(3) | 経済
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