http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/35351183.html
さて、前回は(離散)フーリエ変換のイメージを書いたのですが、今日は前回言いたかったことを式で表すのではなく、グラフ(絵)で表します。これで、何となく「フーリエ変換が何をしているのか?」というイメージができると思います。
とりあえず、ここでは下記のように16年間分のGDPを考えましょう。ちなみに、もちろんこれは実際のGDPではなく、あくまで例のために用意したものです。
( 479 , 463 , 452 , 486 , 530 , 496 , 475 , 472 , 488 , 485 , 464 , 430 , 474 , 508 , 497 , 481 )
そして、この16個のGDP系列にフーリエ変換を施すと、↓のように16個の系列を、「ゆっくり変化する成分」(低周波数成分)や「激しく変化する成分」(高周波成分)に分解するわけです。

ここでは、簡単に説明するために16個のGDP系列に対して5個の成分(基底ベクトル)に分解されて、それぞれの基底ベクトルにある定数がかけられています。この5個の定数が「変換係数」と言って、フーリエ変換された結果(値)となります。
基底ベクトル@の変換係数が1920
基底ベクトルAの変換係数が-50
基底ベクトルBの変換係数が70
基底ベクトルCの変換係数が-20
基底ベクトルDの変換係数が10
ちなみに、この変換係数の符号はあまり重要ではありません。というのも、正負の符号が逆という事は、その基底ベクトルの位相が反転するだけなので、むしろ大事なのは変換係数の絶対値の方です。ある基底ベクトルの変換係数の絶対値が大きいということは、その変換係数だけで大体の原系列の変動が説明できるわけです。
今の例だと、飛びぬけて基底ベクトル@の変換係数が大きいのですが、これはそもそも毎年400兆円〜500兆円の間でGDP系列が変化しているのですから、その分のオフセットを示しています。
そして、基底ベクトルAと基底ベクトルBの変換係数の絶対値が大きく、基底ベクトルCと基底ベクトルDの変換係数の絶対値が小さいため、このGDP系列は「毎年大きく変動するような高周波成分はほとんどなく、わりとゆっくり変化する低周波成分だけで説明できる」という事が言えるでしょうね。という事で、この変換係数に注目すると、「元々の系列の周期性を抽出できる」という利点があります。

ちなみに、今の例をグラフではなくベクトルで説明すると、↑のようなことになるわけです。
ここでは説明のために、16個の原系列に対して5個の変換係数しか出てきませんでしたが、実際のフーリエ変換ではn個の系列はn個の成分に分解されます。
さて、それでは元々n個の系列を、どのように計算したらフーリエ変換の変換係数を導き出せるのでしょうか?次回以降は、その辺りについて説明します。
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