http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/36178549.html
という事で、昨日の予告どおり今日〜明後日は三回に分けてアイスランドの経済状況を「GDP」「国際収支」「外貨準備高」「対外債務」の推移を追いながら、いろいろと見ていきましょう。
今日は「GDP」、明日は「国際収支」に着目してアイスランドの金回りを調べることにして、明後日は「外貨準備高」「対外債務」を調べて債務状況と破綻可能性を考察します。
さて、まずは名目GDPと実質GDPを見てみましょう。アイスランドの実質GDPは何年の物価を基準にしているのかわからないのですが、名目GDPと実質GDPの数値が大きくかけ離れている上に、ここ最近の物価上昇率が非常に大きいので、まずは物価上昇を除去した実際の経済規模を示す実質GDPから考察してみます。

↑が2007年からのアイスランドの実質GDPです。実質GDPを見ると、アイスランドの絶頂期は2007年Q3でした。元々アイスランドは、金融自由化を推し進めて、海外からお金を流入させて経済発展させていたわけですが、サブプライム問題やリーマンショックを機に、外資が逃げ出して凄まじい状況に追い込まれた様子が読み取れます。
GDP項目の中で一番ダメージの大きい物は「民間住宅」と「民間設備投資」ですね。「民間住宅」にいたっては、2009年Q4現在でも底が見えないばかりか、最盛期だった2007年Q3の水準のわずか18%程度ほどに激減しています。そして「民間設備投資」は、2009年Q1で底を脱したかのように見えますが、この時期は最盛期2007年Q3の水準のわずか20%程度にまで急減しています。さらにアイスランドが非常にまずいのは、「最終民間消費支出」まで急減してしまっていることです。2007年Q4の最盛期と比較すれば、2009年Q2は75%程度に落ち込みました。ただし、2009年Q3以降も「最終民間消費支出」の回復力は弱く、以前の経済状態まで戻るのは非常に長い時間を要することになりそうです。
一方で、「政府最終消費支出」の方はそこそこ踏ん張っているのですが、アイスランド政府も財政的には余力がほとんどないために、「公的固定資本形成」はボロボロの状態です。ただ、仮に財政的な余力があるにしても、アイスランドみたいに人口が少なくて、国土も狭い上に、可住地域が島内の特定箇所しかないような小国の場合は、公共事業を増やすにしても、どんな公共事業が考えられるのですかね?
そして「純輸出」だけは、収支が改善しています。元々アイスランドは輸入超過の貿易赤字国だったのですが、(ここでは、純輸出の内訳はグラフに出してはいませんが)通貨クローナの暴落を追い風に「物の輸出」「サービスの輸出」共に堅調に増加しています。一方で、「物の輸入」「サービスの輸入」は減少しているために、リーマンショック後にアイスランドは突如として貿易黒字国に転換しました。(輸出も輸入も減少した韓国とは、状況が少し違うようです)しかも2009年Q4現在では、GDPの10%以上を純輸出が占めるようになっていますが、輸出については増加ペースがまだ頭打ちになっていないので、まだ「純輸出」は増える可能性が大きいと俺個人は思っています。

さて、次は物価影響を加味しない↑の名目GDPを見てみましょう。まずは、2007年Q1と2009年Q4の名目GDPと実質GDPを比較してみましょう。実質GDPの方は、2007年Q1も2009年Q4も、およそ2190億クローナ程度でほぼ同じですが、名目GDPの方は2007年Q1でおよそ3000億クローナ、2009年Q4でおよそ4000億クローナとなっているので、すごい大雑把に言えば、この3年間で物価はおよそ33%程度のオーダーで増加した事が読み取れます。
そのせいか、実質GDPでは大きく減少して回復が進んでいない「最終民間消費支出」が、名目GDPの方ではすでに最盛期の水準に戻りつつあったりして、まったく別の統計に見えたりしますね。ただ「民間住宅」は、名目GDPを見ても実質GDPを見ても、瀕死の状況であるのは一目瞭然ですがなのが……。
という事で、GDPを見る限りアイスランドは、インフレの影響が強い上に「最終民間消費出」「民間設備投資」「民間住宅」が激減したわけで、非常に経済状況が苦しくなったのではないでしょうか?とは言うものの、インフレが進み外資が逃げ出し、アイスランドは自国通貨価値が暴落した事によって、輸出増加を促して貿易赤字国から貿易黒字国へと転換しました。
ちなみにですが、2009年Q4現在のアイスランドは、名目GDPの10%以上を純輸出で稼いでいて、輸出額対名目GDP比も50%を超えています。一方で2007年Q1では、純輸出が名目GDPを-11%押し下げていて、輸出額対名目GDP比もわずか36%でした。という事で、今やアイスランドは立派な貿易依存国と言えるでしょう。
ただしこれは裏を返せば、アイスランド国内の内需がボロボロで外需にしか活路を見出せないという事でもあるかもしれません。
昨日のエントリーでも書きましたが、「電力料金が安い」と「通貨暴落した」いうメリットを活かせば、それなりにアイスランドは活路を見出せそうな気はします。そのための資金を外国(特にユーロ圏)に求めるのならば、イギリスやオランダには預金を返す約束をして、あまり彼らを刺激させない方が良いような気もするんですけどねぇ……。
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