
という事で、↑の表が2009年衆議院選挙と2010年参議院選挙の各党の得票率の推移です。まずは、民主党から見てみましょう。民主党は2009年衆議院選挙と2010年参議院選挙で、比例代表では得票率が42.41%→31.56%、選挙区では47.43%→38.97%と、かなり落ちたことがわかります。ただし、2010年参議院選挙においても得票率に関して言えば、第一党を維持していた事になります。にもかかわらず、獲得議席数で改選第二党になってしまったのは、1人選挙区で接戦の末に8勝21敗と大きく負け越したした事が原因です。つまり、選挙結果から推測される民主党の票の取り方は、人口の多くない県で接戦の末に敗れたけれども、複数選挙区の人口の多い県でたくさん票を取ったという事でしょう。事実、東京都の選挙区では民主党が2人当選しています。
一方で、民主党が得票率を減らした分、逆に大きく得票率が伸びたのはみんなの党です。みんなの党は、比例代表では得票率が4.27%→13.59%、選挙区では0.87%→10.24%と、得票率で大躍進しました。みんなの党は、全県の選挙区で候補者を立てていませんでしたが、もし全県で候補者を立てていれば、10%後半の得票率を取れたかもしれませんね。選挙区の得票率に関しては、候補者をたくさん立てれば立てるほど得票率が上がるので、一概に比較できるものではないのですが、いずれにしてもみんなの党は局地的に支持を得ているわけではなく、全国的に票を取れる政党に成長している事がわかります。
そして自民党ですが、比例代表では得票率が26.73%→24.07%、選挙区では38.68%→33.38%と、多少減少しています。おそらく、前回の衆議院選挙からみんなの党、たちあがれ日本、新党改革等に票が流れたのでしょうね。ただ、それにしてもこれだけ得票率をまだ得られるという事は、さすがというか何と言うか自民党の凄さを感じます。ただ、選挙区の得票率については、公明党に随分助けられているような気もしますが。
その公明党ですが、比例代表では得票率が11.45%→13.07%、選挙区では1.11%→3.88%となっています。公明党の比例代表の場合は組織票が固いので、投票率が高ければ公明党の得票率は下がるし、投票率が低ければ公明党の得票率は上がるわけで、なかなかこの票だけだと確かな分析は難しいですね。ただ、公明党は比例代表の得票率の割には、選挙区での得票率が大きく落ちます。これは公明党が、「勝てる選挙区にしか候補者を出さない」という選挙方針があるからです。なので、実際に2010年参議院選挙では、選挙区の得票率がわずか3.88%にもかかわらず、3人の候補者全員を当選させています。公明党はある意味で、最小限の労力で最大人数を当選させているとも言えるので、なかなかスマートな選挙戦略であったと言えるかもしれません。
公明党と逆の戦略を貫いているのが、共産党です。共産党は、比例代表の得票率が7.03%→6.10%、選挙区では4.22%→7.29%となっています。共産党の場合は、2010年参議院選挙の全選挙区において候補者を立てたので、得票率は7.29%を取りました。もっとも、当選した人はいませんでしたので、7.29%全てが死票になってしまいましたが……。ちなみに、2009年衆議院選挙の選挙区では4.22%しかとれていませんが、これは300の小選挙区の半数程度しか候補者を立てなかったためです。比例代表では、それなりに議席も獲得できるわけだし、勝てない事がわかっているのに選挙区に候補者を立てても、供託金の没収がもったいだけのような気がするんですが……。
その他の小政党については省略しますが、今回の2010年参議院選挙については、自民党は「選挙制度」と「実質的な公明党の選挙協力」によって、相当に助けられた側面があります。得票率でみると自民党はまだ民主党に差があるので、やはり得票率でも第一党にならないと、真に選挙に勝ったと胸を張って言えないのかもしれません。一方で、次の衆議院選挙でもみんなの党が台風の目になりそうですが、個人的には民主党と同様にみんなの党のアジェンダは「本当に実現できるのか?」と思ったりもしています。
という事で、今回は全国を対象にして、2009年衆議院選挙と2010年参議院選挙の各党の得票率を見てみましたが、近いうちに東京都の2010年参議院選挙結果を分析しようかと思いますので、取り急ぎ予告しておきます。
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