2010年01月22日

恐れているのは不動産バブル

とりあえず、中国の2009年Q4の実質GDPが発表され、経済成長率が前年同月比で+10.4%と絶好調なのですが、米国や韓国のGDP発表の時と同時に中国のGDPも分析する事とします。
それよりも今日は↓の通り、中国のインフレ懸念と金融引き締めのニュースから。


@【中国のインフレが加速し、年央に利上げの可能性=エコノミスト】
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-13429320100120

A【中国の金融当局、新規融資の停止を通知 1月】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20100121NTE2INK0420012010.html

ついに、中国の金融当局が中国国内の銀行に対して新規融資を停止させるみたいです。いよいよ中国政府は、景気過熱を強制的に抑える段階に入ったのでしょうか?


B【中国統計:09年12月の消費者物価指数は1.9%上昇】
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0121&f=business_0121_058.shtml

ところで本日、↑Bの通り中国の2009年12月の消費者物価指数が発表されましたが、前年同月比で1.9%の増加です。これだけ見ると、大した事の無いように思えますが、↓のここ最近の中国の消費者物価指数の推移を見てみましょう。
200912_china-cpi.jpg
ここ数ヶ月で、むちゃくちゃ勢いのついている項目がありますね。そうです、「食料」と「住居」です。元々、中国は2007年辺りから食料価格の上昇が物価上昇に大きく寄与していて、無視できないほどのインフレ圧力がかかっていたのですが、リーマンショックの影響で2009年中盤までは対前年比で物価下落していました。そんな中で、突然「食料」と「住居」についてはエンジンがかかり始めて、特に「住居」については凄い勢いになっている事がわかります。
おそらく中国政府もこれを見て「ヤバイ!」と思ったんでしょうね。その結果がAの記事になるわけです。これ以上、銀行からの融資が土地や建物への投資へ向かわなくさせるために、強制的に銀行融資を停止させてしまったわけですよ。さぁ、この結果いろいろと反動の起きそうな気もしますが、今後の中国の動きには要チェックです。


【G7「人民元」議題要請、財務省は否定】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100121-OYT1T00398.htm

そして、各国からぽろぽろ話の出始めた「元の切り上げ」の行方も気になりますね。とは言うものの中国政府は、元を切り上げて元高になった途端に一気に外国資本が中国から引く可能性もあるので、なるべくやりたくないでしょうね。ただ、元の切り上げはインフレ抑制効果もあるので中国政府も悩むところでしょう。

「インフレを抑えたい」「バブル崩壊させたくない」という一方で、「元を切り上げたくない」「金利を上げたくない」という思いもあるのでしょう。もっとも、今までの中国を見ていると「元の切り上げ」よりも「金利を引き上げる」方向で金融引き締めを考えている節が見られます。ただし、金利を上げると外国からお金が今以上に流入してくるので、バブルを膨らませる事になるわけです。さぁ、中国に「元の切り上げ」ができるのでしょうか?
インフレと同時に、この辺りも気になるところです。


ちなみに、個人的には中国のバブル崩壊はまだ先だと思っております。中国はそんなにやわな国じゃないですよ、たぶん。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:20| Comment(4) | TrackBack(1) | 経済

2010年01月20日

日本の資産/負債から考察A

【日本の資産/負債から考察@】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34616600.html

という事で、今日は↑のエントリーの続きです。
前回のエントリーでは、日本の各部門の資産と負債を見て

1.「家計貯蓄が増える→金融機関の口座に振り込まれる→金融機関は日本国債を購入」という流れが定着

2.「金融機関の貸し渋り→非金融法人企業のバランスシート不況→生産増加せず」という流れが定着

3.「1.」と「2.」より、「政府」の負債が増えたと共に、「家計」と「金融機関」の資産も増え続ける流れが定着。

という状況から、なかなか抜け出せなかった経緯を説明しました。


japan_asset-debt.jpg
さて、今日はもう少し↑の表から読み取れるものを考察していきましょう。
左側から二番目の「国内」については国内全部門の資産/負債/純資産、一番左側の「海外」については「海外部門が所有している日本資産」と「日本が所有している海外負債」を示しています。
これを見れば一目瞭然なのですが、国内部門の純資産はこの20年間で5倍にも膨れ上がりました。つまり、国全体で見れば日本は破産どころかプラス収支がどんどん拡大しているわけですよ。それは、海外部門の「負債」にも表れています。海外部門の負債(つまり、日本が買った外国株や外国債券等々)は、この20年間で270兆円も増加しました。国際収支だと、「貿易収支」よりも「所得収支」の方が大きくなった理由はまさにこれですね。
逆に言うと、日本は20年間で270兆円も海外株や海外債券に投資しているので、その分の資金を日本国内に投入しておりません。もし、この270兆円を国内に投入していれば、景気の良くない状態がこれほど続く事はなかったのでしょう。
ただし、これは日本が投資大国になろうとする上では避けて通れない事態です。様々な経済指標が「長期的に円高が続く」という事を示している中で、「いつまでも輸出だけで海外から儲けるのは無理だ」との判断から、日本の輸出産業は海外会社を買収して現地進出を始めたわけで、中長期的には正しい判断だと俺は思います。
このように、日本の景気の悪さの一因は「海外投資」という事になりますが、今後ますます海外投資の流れが進むと思います。よって、日本の民間企業は国内で稼いだ儲けを海外への投資に振り向けるので、国内のキャッシュフローが先細る傾向であるのはどうにもならないかもしれません。となると、むしろ海外から日本への投資(↑の表で言うと「海外部門」の「資産」)に期待したいところです。これが増えれば(一方でその分日本の負債が増えることにはなりますが)日本国内の金回りが良くなるでしょう。ただし、海外からの投資に依存するようになると、「ドバイ」「アイスランド」「東欧」みたいに何かあった場合の後が怖いのも事実です。

いずれにしても対外的に見た場合、日本全体で見れば「破産」どころか、「純資産」が増え続けていて、財務的に問題は見当たりません。つまり、日本の財務面での真の問題は、国内ストック(「政府負債」と「家計資産」)のバランスの悪さだけなのです。


それでは、どうやってこの国内ストックのアンバラを是正できるのでしょうか?それについてはいくつか方法が考えられるので、次回に説明を回しましょう。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 経済

2010年01月15日

2009年Q3バルト3国の経済と財政状況

@【バルト3国 やはり一番手はラトビアか?】(2009年Q1)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30153940.html

A【エストニアは回復基調に乗るのでは?!】(2009年Q2)
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32695324.html

という事で、@Aに引き続いて、恒例のバルト3国を最新状況をお伝えしましょう。昨年の年末に「ギリシャのデフォルト懸念」のニュースがあって、EU圏の注目国が「ラトビア」から一気に「ギリシャ」に移った感もありますが、個人的には現在失業率23%という凄まじい数字を叩き出しているラトビア経済の崩壊っぷりの方が心配だったりします。


baltic-state_foreign-reserve_2009Q3.jpg
さて、まずは↑の外貨準備高ですが、7月にEU融資によって「ラトビア」の外貨準備高が急増した以外には特段の大きな変化はありません。10月に「リトアニア」の外貨準備高が急増しましたが、これは10月に5年物のドル建てリトアニア国債発行で得たドルによるものです。
2009年Q3以降は、バルト3国が共に外貨準備高が増加の傾向を示しているため、以前と比較すれば非常に安心できる展開になってきました。


baltic-state_GDP_2009Q3.jpg
そして次に、↑のGDPを見てみましょう。前回までは名目GDPのみを出していましたが、今回は物価変動を考慮した実質GDPも参考のために出しておきました。
前回の@のエントリーで、総固定資本形成の「在庫変動」(↑画像中には示されていませんが)のマイナス幅が縮小する事によって、「エストニアが一番早く景気が回復するのではないか?」と自分なりに予想しましたが、どうやらそれは外れてしまったようです。確かに、エストニアの「在庫変動」のマイナス幅が大きく縮小して「総固定資本形成」は改善したのですが、「最終民間消費」の落ち込み幅が大きくて、「総固定資本形成」の改善分を取り崩してしまったのが原因です。一方で「リトアニア」の2009年Q3では、「最終民間消費支出」の落ち込み幅の小さかったわけで、ここが差を分けるポイントになりました。(「失業率の推移」を見ておけば、「最終民間消費」の予測もできていたかもしれませんねぇ……)
そして、ラトビアのGDPはまだ底が見えません。2009年Q2に、微力ながら「ようやく底打ちか?」と思ったのもつかの間で、Q3に再び名目GDPが失速してしまいました。さらに実質GDPで見ると、ひたすら「坂道を転がるが如く」になっているのがわかると思います。


baltic-state_bop_2009Q3.jpg
次に、↑の国際収支です。
「エストニア」は経常黒字を確保しましたが、完全に「サービス収支」が稼ぎ頭になっています。「資本収支」の方では、「直接投資」「証券投資」がQ2に引き続きエストニアが海外投資をする事によるマイナス収支なのですが、「その他投資」はエストニアの金融機関が、B「国外短期融資の引き上げを止めた事」と、C「外貨の買い入れを止めた事」による2つの資産減少要因によるものです。
つまり、エストニア金融機関は以前に比べると資金繰りに余裕ができてきたので、手元に多額の外貨を用意しなくてもよくなったのではないでしょうか?そう考えると、BとCが同時に起こった理由を説明できそうです。

意外と言えば意外ですが、「ラトビア」も経常黒字を確保しています。ところがラトビアの場合の黒字要因は特殊です。というのも、2009年Q4から「所得収支」がプラスになっていますが、これはラトビア民間会社の展開する海外子会社からの利子や利回りを自国に還元させずに、海外子会社に留めさせる「再投資収益」による黒字なわけです。つまり、ラトビア民間会社は、ラトビア通貨の切り下げ後に海外子会社からの利子や利回りを還元させる方が為替得を狙えるので、ラトビアの通貨危機が完全に収まるまでは海外子会社からの利子や利回りを還元しないつもりなんでしょうね。裏を返せば、ラトビアの所得収支の黒字は「自国通貨の信頼の無さ」を表しているのかもしれません。
一方で、外貨預金のために大幅に赤字幅が拡大していた「その他投資」が、Q3になって逆に大幅黒字を達成しました。EUによる融資で、ラトビア通貨危機が一安心したからでしょう。

リトアニアに関しても、経常収支が非常に特殊です。というのも、リトアニアの場合は「経常移転収支」が経常収支の稼ぎ頭になっています。「経常移転収支」は、「ODAや国連援助による返済義務の無い一方的な支払い」と「労働者の仕送り」等による収支を意味しているのですが、リトアニアの場合は前者の収支が支配的です。つまり、リトアニアは「援助金」によって経常収支の黒字を維持しているわけなんですね。リトアニアの今後の外貨獲得は大丈夫なんですかね?
一方で、リトアニアの「資本収支」はマイナス収支から脱することができません。足を引っ張っているのは「その他投資」なのですが、2009年Q3に関してはリトアニア国内の金融機関が、海外に多額の短期貸付を行った事に起因するものです。一体、何故リトアニアの金融機関は短期で海外に多額の貸付をしたのでしょうか?これに関してはまた後日に詳しく書こうかと思います。


baltic-state_ex-debt_2009Q3.jpg
そして、↑が対外債務の推移です。
2009年Q3を見てみると、ラトビアは政府部門の債務だけではなく、ほぼ全部門で債務額がバルト3国の中ではトップなわけですよ。経済規模はリトアニアよりも小さいのに債務額がバルト3国で一番多いというわけで、数字を見てもラトビアが一番苦しいだろう事が容易に想像できます。


baltic-state_summary_2009Q3.jpg
それでは、↑にバルト3国の状況をまとめましょう。
端的に結論を言えば、やはりラトビアは非常に厳しい状況が続いています。政府債務については名目GDP比と外貨準備高比が共に100%近くであり、しかも短期債務(ここでは政府部門のみでなく全部門合計の短期債務)も外貨準備高を越えているので、まだまだヤバイ状況は変わりません。
エストニアについては、政府債務が少ないので国としてのデフォルトは無いでしょうけど、短期債務が非常に大きいのでエストニア国内の金融機関とか民間部門は厳しい状態です。おそらく、政府債務の少なさによって外国資本の引き上げが抑えられている状態なんでしょうね。裏を返せば、エストニアは国の主導ではなく、民間や外国資本が主導で発展してきた国という事ではないでしょうか?やはり、「最後は国の財政状況で外国からの信用力が問われる」という良い例なのかもしれません。
リトアニアは、3国の中では一番マシな状態です。先ほどの国際収支のところでも書きましたが、多少心配な点が無くは無いのですが、取り急ぎすぐにどうのこうのという事はないでしょう。


さて、2009年Q4も引き続きバルト3国の状況を追ってみます。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:08| Comment(4) | TrackBack(5) | 経済

2010年01月14日

いよいよ中国が金融引き締めで最初の一手を!

【中国、預金準備率引き上げ 一部にバブル、金融引き締め】
http://www.asahi.com/business/update/0112/TKY201001120454.html

ハイチの状況も非常に心配なのだけど、世界経済にとって↑のニュースも見過ごせませんね。まずは「預金準備率とは何ぞや?」という事ですが、通常各国の中央銀行と民間銀行のお金のやり取りは、中央銀行の当座預金口座を通して行われます。

cashflow_structure.jpg
日本の場合は、↑のような感じですね。ただし、民間銀行の「もしも」の場合に備えて、それぞれ民間銀行の保有する預金量に応じて、一定割合を準備金として日本銀行に預け入れなければならない事になっているわけです。その時の、割合の事を「預金準備率」というわけです。
今回のニュースでは、中国人民銀行が「預金準備率」を0.5%上げたという事ですが、「預金準備率」の引き上げ/引き下げの効果としては、

【「預金準備率」を引き上げた場合】
引き上げた分のお金を中国人民銀行に預けなければならないので、その分の市中に出回るお金の量が減る。
→「インフレ抑制」「マネーストック(マネーサプライ)の増加抑制」等々につながります。

【「預金準備率」を引き下げた場合】
引き下げた分のお金が中国人民銀行から民間銀行に返却されるので、その分の市中に出回るお金の量が増えます。
→「インフレ促進」「マネーストック(マネーサプライ)の増加促進」等々につながります。

というところです。つまり、中国は「預金準備率」の引き上げによって、中国の市中に供給される通貨量を抑えようとしてるわけで、これによってバブル懸念の出ている「土地」や「株」に流れるお金の量を減らしたいと思ってるわけでしょうね。
まぁ確かに、中国国内で生活している人に対してはこの政策によってある程度の効果が出そうな気もするのですが、外国人による中国の株や土地売買に対しては、預金準備率操作に依存しないので、あまり効果の出ないような気もします。今の中国バブルが、どの程度外国人によって作られているのかわかりませんが、中国もアメリカと同じように景気の出口戦略を何とかして軟着陸に持って行きたいわけで、今後もちょこちょこと金融引き締めのための一手を打ってくるでしょうね。


そして、気になるのがそろそろ発表される中国の2009年12月の消費者物価指数です。消費者物価指数が結構な伸び率で増加してるので、インフレ対策として「預金準備率」を引き上げた可能性もあるんじゃないかと個人的には睨んでるのですが、果たしてどうなのでしょうか。
頼むから、欧米の景気が回復するまでは、中国のバブル崩壊はしないでくれよ……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(3) | 経済

2010年01月10日

EU圏主要国と注目国の失業率

【ユーロ圏失業率10.0% 仏10.0%、独7.6%】
http://www.asahi.com/business/update/0109/TKY201001090105.html

そういえば本ブログでは、「日本」「アメリカ」「韓国」の失業率についてグラフを出していたと思うのですが、「EU圏の国」についてはグラフを出していなかったと思います。今回↑の記事を見て良い機会だと思い、リーマンショック前後でEU圏の国の失業率がどう変化したかを見ていきましょう。

eu_unemployment-rate.jpg
↑では、EU圏の主要国(「イギリス」「スペイン」「フランス」「イタリア」「ドイツ」)と注目国(「オランダ」「ノルウェー」「ギリシャ」「ラトビア」)の2008年1月〜2009年11月の失業率を示しています。

まず目を引くのが「スペイン」と「ラトビア」で、両国はすでにどうにもならない状態になってますね。「スペイン」については、失業率上昇ペースが一時に比べると多少マシな状態になっていますが、「ラトビア」は一向に失業率上昇ペースに歯止めがかかりません。「ラトビア」は2008年1月には失業率が6%だったわけで、わずか22ヶ月で16%も失業率が増えたわけですよ。この調子が続けば、2010年中には失業率が30%を突破しそうですね……。

一方で、EU圏で失業率が極めて低い水準で維持しているのが「オランダ」と「ノルウェー」です。ひょっとすると、国によって失業率のカウントの仕方が若干異なる可能性もありますが、何故この2国がこの水準を維持できるのか不思議です。今すぐ推測できる材料を持っていないのですが、確か「オランダ」はワークシェアリングをやり出した国でしたっけ?この状況下でこれだけ失業率が上がらないとなると、実は資源国だったりするのかな?

そして、「失業率を上昇させない」という意味では、ドイツも健闘しております。ドイツの失業率は、2008年1月で7.8%、2009年8月で7.1%、2009年11月で7.6%です。リーマンショック直前と比較すると若干失業率が上昇していますが、この2年で常に7%台で安定しており、さすがにEU経済を一手に担っている国ですねぇ。

その他の国は、一貫して失業率が上昇している事が読み取れます。EU加盟国はマーストリヒト条約で財政赤字額が縛られているため、日英米と同じように財政支出を大幅拡大できません。なので、そのうちどうにもならない国が出てくるのではないか心配です。(やはり一番手はギリシャですかね?)


しかしよく考えてみると、EUはよくこれだけ経済状況の異なる国をまとめられるよなぁ。失業率20%に迫る「スペイン」や、デフォルト懸念の出ている「ギリシャ」が、相対的に経済状況の健全である「ドイツ」と同じ通貨を使用している状況が、普通はあり得ないわけですよね。
確かに、ドイツにとっては他のEU加盟国の経済状況が悪いので、相対的には「ユーロ安」で得している点があるのかもしれませんが、「スペイン」や「ギリシャ」にとってみれば、自国の経済状態が瀕死であるにもかかわらず、そこまでユーロの価値が下がらないわけで、「輸出」や「観光」をテコにして国内経済を回復できないわけですよ。しかも財政支出にすら制限がかかるわけで、「スペイン」や「ギリシャ」は一体どのようにして国内経済を回復させられるのでしょうか?

安定した経済状況の時は問題無いのでしょうけど、今みたいな大恐慌状態の場合については、「EU加盟国で統一通貨を使う」事が加盟国間の経済格差をかえって広げるだけのような気もします。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 01:55| Comment(5) | TrackBack(0) | 経済

2010年01月09日

今後のお得意様になる国はどこだ?!

本日のエントリーですが、「現在の日本がどの国から外貨を稼いでいるか」という分析をした上で、それを踏まえた上で「今後日本はどのように外貨を稼げるのか」を考えてみましょう。


japan_bop-1985-2008.jpg
本ブログをご覧の皆様であれば、日本の「対外的なお金のやり取り」については、何回も「国際収支」を見てきたかと思います。今一度、↑の日本の国際収支を見てみましょう。
この表からは、日本の経常収支がプラスである事(外国との物やサービスの取引で儲けている)、資本収支がマイナスである事(日本が外国に投資している)、外貨準備高が増え続けている事がわかります。
ただしこの表からは、日本がどんな国から稼いだり、どんな国へ支出しているのかがわかりません。今日は、そこのところを掘り下げてみましょう。


japan-bop_each-country.jpg
まずは↑が、日本の経常収支を国別でグラフで表したものです。これを見れば一目瞭然で、日本の一番のお得意様はアメリカである事がわかり、しかも2008年の1年間で、アメリカ一国から11兆円も稼いでいるわけです。「そんだけアメリカから儲けてるのなら米国債も買えよ!」というアメリカ政府の気持ちもわからなくはないなぁ。(笑)
そして、2番手グループは東南アジア諸国(香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ)辺りなんですね。これらの国は、日本の技術を使って自動車や半導体等の製品を作っているので、日本へ「特許」とか「ライセンス」等の料金支払いが多いという事でしょう。
一方で、逆に日本から支払いの多い国は「中国」「インドネシア」「オーストラリア」といったところでしょうか。中国については「軽工業品」や「食料」の輸入、インドネシアやオーストラリアについては「資源関係」の輸入が多いからでしょうね。

これらの事を察するに、日本の経常収支の黒字幅拡大のモデルは以下の3つがあると思います。

@「貿易収支」の黒字幅拡大
対アメリカのように、どんどん日本製品を輸出して貿易黒字を拡大させる。

A「サービス収支」と「所得収支」の黒字幅拡大
対東南アジア諸国のように、人件費の安い国へ日本企業をどんどん進出(現地法人を買収)させて、特許等使用料(サービス収支)や株や債券等の利回り(所得収支)の黒字幅を拡大させる。

B「貿易収支」の赤字幅の縮小
対中国、対インドネシア、対オーストラリアのように、貿易赤字からの輸入を減らす。

ところが、現実問題として@とBは厳しいと思います。
まず@の厳しい理由ですが、品質は良いけど価格競争力の劣る日本製品を大量に買ってくれる国は、おそらくアメリカ以外には無いでしょう。アメリカ以外で、経済的に豊かで人口の多い国がそもそも無いからです。確かに中国は人口こそありますが、一人当たり名目GDP(2008年)は、アメリカ43370ドルに対して、中国3315ドルなので、確実なマーケットになるまではまだ時間がかかると思います。それに、元が恒常的に通貨切り上げする保証があるなら一考の余地はありますが、多分中国は今のレートを維持する事に固執してるし、そもそも中国のバブルが崩壊したらそれこそねぇ……。
次にBの厳しい理由ですが、そもそも日本は資源国ではないので、ガソリンや鉄鉱石やレアメタル等々を輸入するのは、どう頑張っても避けて通れません。

という事で、個人的には日本が最も確実に今後も外貨を稼げるのはAじゃないのかと思っているのですが、どうなんですかね?韓国、香港、台湾、シンガポールについては、人件費がどんどん高くなっているので、今後は「タイ」とか「ベトナム」とか、人件費が安く、投資活動の自由な国に対して、日本資本の投下を進めることになるような気がします。(すでに、日本の輸出産業はやってるのかな?)

japan-bop2_each-country.jpg
そして、次は↑の日本の資本収支を国別で見てみましょう。
こちらは、経常収支(物/サービス/利子・利回りの取引)とは違って、金融商品(株や債券等々)の収支なので、経常収支とは雰囲気が全然違いますね。資本収支の方では、イギリスが飛びぬけてプラスである事がわかります。つまり、イギリスから日本にお金が流入しているって事ですね。これはどういう事かと言うと、近年のイギリスは国内景気が良くない上にポンドが下落(というより暴落)しているので、イギリス国内のマネーが円高の進む日本に流入しているわけです。よく「安全資産確保のために外国人が円を大量に買ったので円が急騰した」なんてニュースがありますが、この資本収支を見る限り、イギリス人の円買いの影響が非常に大きい事が示唆されますねぇ。おそらく、イギリスは資金繰りが相当厳しいはずなので、短期で利益の出る金融商品しか購入できないはずです。なので、この「円高」のタイミングを利用して、「円」を買ったり、「日本の短期債券」を買ったりしてるのだと思いますよ。
是非ともイギリス人には、日本株や長期の日本の債券に投資して欲しいところなんですけどねぇ。

一方で「アメリカ」「フランス」「ルクセンブルク」は、大きくマイナスになっています。フランスとルクセンブルクに関しては、彼らがリーマンショックにより日本株や日本債券を売りはなした影響で、マイナス幅が大きくなったわけです。アメリカの場合は、それに加えて円高で日本企業によるアメリカの会社への投資/買収が進んだ事で、マイナス幅が大きくなったわけですね。

普通に考えると、他国通貨に対して円高局面になれば、様々な国から日本にお金が流入してくるものなんですが、何故か現状では通貨暴落しているイギリス以外からの目立った動きは見られません。日本が0金利である事もあるのでしょうけど、よっぽど日本政府による経済政策が外国人に評価されていないのでしょうね。(俺が投資家の立場だったら、まともな経済閣僚のいないデフレ国に投資なんかしたくありません。)
もっとも日本は海外投資が盛んなので、資本収支がマイナスである事自体は悪いことで無いと思うのですが、今まで国内に還元してたお金が海外投資に流れれば、そりゃ日本の景気に悪影響が出るわけですよ。可能であれば、日本はこのまま外国投資を続けた上で、イギリス以外からもお金を呼び込めればいいのですけどね。


基本的には、今後も日本が外国に投資する流れは止められそうにないので、「資本収支」はマイナスが続くはずです。ただし、日本の国内経済を考えれば「資本収支」のマイナス幅を縮小させたいところ、つまり「外国から日本への投資」が増えれば良いわけですが、これについては「為替レート」等々の要因で、安定した収支を保つことが難しいわけです。
やはり、他人様のお金(資本収支)で国内経済をどうこうするよりも、自分の努力(経常収支)を中心に考えた方が日本にとっては良いと思いますね。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(3) | 経済

2010年01月08日

日本の資産/負債から考察@

【菅財務相「円、90円台半ばが適切」 日航支援、近く決定】
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100107AT3S0701F07012010.html

今日のエントリーの本筋の前に、まずはこのニュースから。
財務大臣の就任当日から、為替レートの具体的目標を言うなんて、やっぱこの人「経済の事を良くわかっていないのでは?」と思わせますねぇ。外国のヘッジファンドの事とか、まったく考えてないのでしょうか……。早く財務省の方、この人を止めて!



【国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成21年9月末現在)】
http://www.mof.go.jp/gbb/2109.htm

さて、今日はここからが本筋。
ご存知のように、日本政府の借金は860兆円を突破しました。ところが、日本国債の需要が多いために、10年物の日本国債の利回りは1.3%前後と先進国の中ではずば抜けて低いのが現状です。
さて、「860兆円もの借金で、日本はすぐ破綻する」と思っている人達もたくさんいるようですが、俺はとてもそうは思えません。というのも、それだけ日本政府が借金を重ねて政府支出を増やせば、その分誰かが儲かるわけです。
とりあえず今日は、政府の借金増大で誰が儲かったかを明らかにしましょう。


japan_asset-debt.jpg
↑に、1989年〜2008年までの日本の部門別金融資産と金融負債残高を示します。この20年間の資産と負債の流れを見てみると、実に興味深い事がわかります。
さて、まずは「一般政府」を見てみましょう。「一般政府」とは、「日本政府」以外にも「地方公共団体」が含まれているのですが、1989年のバブル末期の頃は、「純資産」こそマイナスなのですが、「資産」と「負債」がほぼ規模だった事がわかります。ところがその後、90年代に入ってバブル崩壊後に、国債発行(=「負債」の増加)を続けた事により、「純資産」のマイナス幅が拡大しました。この20年間で、負債は280兆円→960兆円に増えてしまい、純資産額も-30兆円→-480兆円と、これだけ見れば不良債権国家と言われてもおかしくないですね。(笑)
さて、それでは逆に、この20年間で「資産」の大きく増えたのはどの部門でしょうか?そうですね。「金融機関」が2240兆円→2700兆円、「家計」が980兆円→1410兆円と「資産」が増加しました。
あくまで結果だけを見ると、この20年間で政府の負債増加と同程度のオーダーで、「金融機関」と「家計」の資産増加が増えた事になります。まぁこれは当然と言えば当然の事で、政府支出を増やして公共事業をやったりすれば、そのお金が巡りに巡って最終的には俺達労働者の手元に流れてくるわけですよね。
ところが、問題なのはここからです。バブル崩壊前までは日本人の消費意欲も旺盛だった事もあり、ここまで急激に「家計」の「資産」が増加する事もなかったのですが、1990年代に入ってから「家計」が消費支出を抑える事(つまり貯蓄する事)によって、「資産」が急激に増え出します。一方で、「家計」の「負債」はこの20年間でほとんど増えませんでした。
さて、「家計」の貯蓄志向によって、困ったのが金融機関です。というのも、この20年間で「家計」で貯蓄されたおよそ225兆円ものお金が金融機関に預けられました。金融機関は、この225兆円をそのまま現金のままで保管しても利益が出ないので、誰かに貸し出したり、何かに投資しないといけません。ところが、日本は「失われた10年」という超不況時期だったので、金融機関は貸したお金が元に戻らない事を恐れて、貸し渋りを始めました。今まで「非金融法人企業」は儲けたお金を元手に投資に回して事業拡大をしていたのですが、貸し渋りの結果、金融機関からの融資を受けられなくなってしまい、儲けたお金を「負債の返済」に回してしまい、バランスシート不況に陥って生産増加になりませんでした。(実際に、「非金融法人企業」においては2004年頃まで「資産」「負債」が増えない状況が続きます。)
長期的に円安が見込めるのならば、金融機関は外国株や外国債券を購入するのでしょうが、長期的に円高が続くと予想される局面においては、為替損を恐れて外国への投資も及び腰になります。結局、金融機関は何に投資すれば良いかわからずに、日本国債という一番無難な物を購入せざるを得なかったわけです。


とりあえず、今日の2つのポイントを整理しておきましょう。

@家計貯蓄が増える→金融機関の口座に振り込まれる→金融機関は日本国債を購入

A金融機関の貸し渋り→非金融法人企業のバランスシート不況→生産増加せず

幸か不幸かわかりませんが、結局のところ「家計」の過剰貯蓄が日本国債を買い支えているわけですよ。しかも、日本国債の保有者は70%近くが日本の金融機関で、外国保有はわずか6%程度。つまり、ほぼ日本人だけで日本国債に対して以下のサイクルができあがっちゃったわけですよ。

政府が日本国債を発行する
→政府支出が増える
→日本国民に還元される
→家計が貯蓄
→金融機関への預け金が増える
→金融機関が日本国債を購入する

もちろんこのサイクルは、政府支出が100%で「家計」に還元されるものではないため、いつかは「家計資産」よりも「政府負債」の方が多くなりますが、国債を発行し続けても「政府負債」だけが多くなるわけではなく、「家計資産」も増える事は頭に入れた置いた方がいいですね。
ちなみに、この20年間で「政府負債」は680兆円、「家計資産」は430兆円増えています。もちろん、日本政府の破綻については「政府負債」と「家計資産」だけの関係で決まるわけではありませんが、この20年間のペースを維持するのであれば、「家計資産」<「政府負債」となる時は、「2037年」となります。まぁ、ここでは「利回りの増加」や「外的環境の変化」等々の要因は考えていないので、実際は2037年よりも早くなるかもしれませんが、一種の目安までに。


という事で、この考察は後日に続きます。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 02:51| Comment(19) | TrackBack(2) | 経済

2010年01月06日

誰も突っ込まないなら俺が突っ込む!

【新成長戦略のポイント】
http://bit.ly/859cR2

現政権が昨年12月30日に、成長戦略をようやく発表しました。↑がその基本方針のポイントだそうです。そして、具体的な新成長戦略の本体部分は、参議院選挙前の6月に発表予定だそうです。
俺はてっきり、12月30日に「ポイント」だけでなく「本体」まで発表になるかと思っていたのに、ちょっと肩透かしでした。まぁ、どうせ選挙狙いの戦略なんだとは思いますが。そもそも、この成長戦略が実現できるんですかねぇ……。

という事で、今日は↑のポイントを見てみて、2つの思ったところを書いてみます。


1.「需要」からの成長

という事で、それぞれ「環境」「健康」「観光」の分野を中心に100兆円超の需要を増やすという事で、以下のような「目標」や「具体策」が書かれています。

「環境」
→日本の技術で世界の排出13億トン削減(2005年の世界のCO2排出量は271億トン)

「健康」
→アジア等海外市場への展開促進

「観光・地域活性化」
→訪日外国人2500万人(2009年の訪日外国人数は700万人を切る程度)

民主党はあれだけ「内需拡大」と言っておきながら、この成長戦略では外需に頼る部分もかなりあるように見えますね。「嘘つき政権」か「現実路線への転換」かはさておき、むしろ今の日本の現状を考えると外需に頼るのもしょうがないかなと、個人的には思います。
ただし、あと10年で180兆円程度の名目GDPを増やさないといけないわけで、デフレ&不景気のこの状況から本当にそんな事が実現可能なのかと、俺は半信半疑なのですが……。何せ現段階では、どういう手段や工程で目標を達成するのかまったく示されていませんが、国内消費が伸びず、貯蓄が積みあがり、しかも外需の当てにできないこの状況で、「需要を増やしてGDPを増加させる」と政府が言ったところで本当に需要が増えるのか非常に疑問です。それなのに上記のような厳しい目標を設定して「本当に大丈夫かな」と、非常に心配なところではあります。


2.GDP成長率:名目3%、実質2%を上回る成長

そしてこれも、「言うは易し行うは難し」ですよ。いくら2020年までの平均値とは言え、「名目3%」「実質2%」の増加という事は、実質経済成長率が2%を維持し続けた上で、さらに年1%程度のインフレを目指すという事です。つまり現状の日本経済を考えた場合、「デフレ脱却」が目標達成のための必要条件になるわけです。ところが日本のデフレは「供給過多」/「生産過剰」が支配的な原因なので、何らかの手段で「需要を増やす」か「貨幣価値を下落させる」かしないと、目標達成は不可能です。
そう考えた場合に「国債発行&量的緩和」の政策は、「需要増」と「貨幣価値下落」の効果を同時に発動できるので、理に適う方法ではあると思います。ただし、「夏の参議院選挙」と「資源インフレ到来の可能性」を考慮すれば、夏の終わる頃までは日銀が動く事は無いとは思うのですが、果たしてどうなるでしょうか。

「毎年度の名目3%と実質2%の増加」を別の視点で考えるために、アメリカと比較してみましょう。アメリカのGDPを見ると、1999年に名目GDP9.35兆ドル(実質GDP10.78兆ドル)、2008年に名目GDP14.44兆ドル(実質GDP13.31兆ドル)です。つまり、アメリカのこの10年間のGDP増加率は名目で54%(実質で23%)という事です。ただし、1999年〜2008年のアメリカと言えば、日本が失われた10年で苦しんでいたのを横目で見ながらバブルを謳歌していた頃の話ですね。
一方で、今回の日本の成長戦略の方では年平均で「名目3%」「実質2%」を上回る成長を謳っていますが、これは10年間で見れば名目GDP増加率で38%(実質で22%)という事になります。果たして、今の日本がこういう状況にもかかわらず、バブル期のアメリカと同程度の実質GDP増加率をこの10年間で確保する事ができるんですかね?しかも当時のアメリカは日本と違って、家計部門すら平気で負債を増やしていた恐ろしいほど消費気質の国ですよ!!!
名目GDPの38%増加は、インフレを誘導すれば達成できなくもない数字ですが、実質GDPの22%増加は相当にしんどい、というかどこに実現可能性があるのか疑いたくなる数字です。まさか、日本に第二のバブルを作ろうとしてるわけでもあるまいし……。


とりあえず民主党の目標とする成長戦略を達成するためには、
@国債発行で政府支出を増やす
A量的緩和拡大
B円安を利用した輸出増加
Cデフレ阻止とインフレ誘導
D貯蓄から消費誘導
くらいの事をやらないと(あるいはきちんと実行したとしても)「毎年度の名目3%と実質2%の増加」は無理なんじゃないかと思うのですが、実際に民主党の目指そうとしている政策は、「国債を極力刷らずに政府支出を減らす」「内需拡大(円高容認)」「家計支援の拡大(消費支援じゃなくて貯蓄支援になる可能性が大)」と、「目指す政策」と「打つべき政策」の整合性が取れていないわけですよ。

いやぁ、さすがにこれを取りまとめたどこぞの副総裁は、有識者ヒアリングの最中に居眠りしてただけありますね。(笑)この分だと、6月に発表予定の本体も面白い事になりそうです。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 経済

2009年12月29日

中国の「マネタリーベース」と「マネーストック」の推移

@【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

A【マネーストック(マネーサプライ)とは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/33366638.html

先日は、↑の@Aで「マネタリーベース」と「マネーストック」について説明しました。おさらいのために書いておくと、
「マネタリーベース」=日銀が社会に供給するお金の総額
「マネーストック」=非金融部門の預金資産残高
でした。

今日のエントリーでは「中国」の「マネタリーベース」と「マネーストック」について考えてみましょう。(Aの続き物として日欧のマネーストックを書くのを、すっかり忘れていました。これについては、また後日に書こうかと思います。)


china_money-stock.jpg
という事で、↑が中国の2007年1月〜2009年11月の「マネタリーベース」と「マネーストック」になります。
まずは、「マネタリーベース」の方から見てみましょう。中国の「マネタリーベース」は、2007年1月に280億元程度だったものが、2008年1月に370億元、2009年1月に410億元と急拡大している事がわかりますが、中国の2007年経済成長率(名目GDP)が21%、2008年経済成長率(名目GDP)が17%程度だった事を考えると、確かにそのくらい増えてもおかしくはないかもしれませんね。
一方で「マネーストック」の方は、2007年1月に35兆元程度だったものが、2008年1月に42兆元、2009年1月に50兆元、2009年11月に60兆元と、わずか3年も経たない間に1.7倍にまでなっていて、「マネタリーベース」の伸び率よりも「マネーストック」の伸び率が非常に大きい事がわかります。マネーストックが伸びるという事は、「金融機関から経済全般へ供給されている通貨総量の増加率が大きい」という事を意味するので、単純に考えれば景気が良い(フローが良くなっている)事を意味するのですが、この伸び率が大きすぎると通貨供給量が過剰という事になり「インフレ状態」という事になります。ところが中国の場合は、2009年2月〜2009年10月の消費者物価指数は対前年同月比でマイナスを記録しており、ようやく2009年11月でプラスに戻ったところなので、「マネーストックの伸び率」と「消費者物価指数の伸び率」の整合がどうにも取れていないわけです。これって何を意味するのですかね?

【中国の人民元建て新規融資やマネーサプライが急増、景気の底打ち期待高まる】
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnTK833044420090212

その答えを示唆するのが、↑の記事です。中国のマネーストック(マネーサプライ)の急増は、「中国の民間銀行が中国政府の要請で貸し出しを積極化している」との趣旨が書いてありますね。マネーストックが急増した原因は、確かに銀行貸し出しの増加に起因するものなのでしょう。問題は「貸し出したマネーが何に使われているか?」という事だと思います。普通に考えれば、この貸し出し金が民間に広く融資されれば、中国国内の需要が強化されるため「消費者物価指数」が9ヶ月間もマイナスになる事はなかったのではないでしょうか。
あまり当たって欲しくない想像ですが、中国の民間銀行の貸し出したお金の大半が、「株」や「不動産」に投機されているとすれば、「マネーストックの急増」「消費者物価指数の低迷」という通常では相反する2つの指標の動きを説明できそうな気もします。(もしこの想像が正しいとすれば、中国は自身の政策によりバブル崩壊への第一歩を踏み出した事になりますが……)


実際のところ今後の中国がどうなるのかはわかりませんが、今日のエントリーは「中国経済に何らかの歪があらわれている一例」と言えるのかもしれません。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(5) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月28日

2009年Q3の日本・韓国・アメリカの国際収支

今日は、「日本」「韓国」「アメリカ」の2009年Q3の国際収支から、対外経済についての近況を読み取って見ましょう。


japan-bop_2009Q3.jpg
まずは↑の日本の国際収支です。
とりあえず「経常収支」の方から見ていきましょう。2009年は、昨年のリーマンショックで急減した「経常収支」が順調に回復している事がわかります。もっとも、「経常収支」の項目中の「貿易収支」の回復速度が鈍いので、「経常収支」が2007年くらいの水準に回復するのはまだまだ時間がかかりそうです。一方で「所得収支」については、「貿易収支」ほどの影響があるわけではないので、今後もコンスタントに黒字額が見込めそうです。「サービス収支」や「経常移転収支」については、大きな下落要因はないものの、黒字に転換する事もないと思われます。それと、GWで日本人の外国旅行が増えるQ2は、サービス収支が毎年一時的に赤字幅が拡大しているのもわかりますね。

そして「資本収支」の方についてですが、日本から海外の株や債券が買われているので、ずっとマイナス収支が続いています。為替レートにも依存するのですが、この調子で行くとさらに「所得収支」の方がどんどん増えそうですね。ただ、リーマンショック後の円高を維持しているせいか、「その他投資」についてはここのところはずっと黒字収支が続いています。おそらく、海外から日本に流入する外貨預金の影響が大きいのだと思うのですが、「円」で外貨預金するくらいなら「日本株」を購入してくれれば、日本経済も随分助かるんですけど、さすがに今の政権下じゃ日本株を買う外国人なんてあまりいないのですかねぇ……。(笑)


skorea-bop_2009Q3.jpg
次は、↑の韓国の国際収支をみてみましょう。
まず「経常収支」からですが、2009年はQ2とQ3が絶好調です。というのも、「貿易収支」が復活したのか、桁違いの黒字が続いています。単純に輸出減少率よりも輸入減少率が大きい事に起因するので、素直には喜べないわけですが、とりあえず黒字といえば黒字なわけです。一体この奇妙な快進撃がどの程度続くのかわかりませんが、韓国の輸出製品(電化製品や自動車等々)の「核心部品」や「ライセンス」は主に日本から輸入するものですので、韓国の輸出量が増えれば日本の「サービス収支」の赤字幅が減少するわけです。(ちなみに、2008年の韓国の対日赤字は300億ドルを超えてたりします。)
一方で韓国の「資本収支」の方も、外国人投資家が一斉に韓国から引いた悪夢の2008年Q4が過ぎ去り、2009年Q2からプラス収支が戻ってきました。今は、「証券投資」が韓国の「資本収支」を引っ張っている状況ですが、ここ最近は韓国国債の札割れも起きていませんし(ただし利回りが高い(10年物で5%程度)という要因こそありますが)、一年前のようなドキドキハラハラする展開には今のところなっていません。
韓国は今みたいに外国からの投資が順調であればもうしばらくは大丈夫でしょうけど、再び何らかの金融危機が起こって欧米の投資が引き出すと、短期国債の償還で苦しめられないか心配です。


us-bop_2009Q3.jpg
そして最後に、↑のアメリカの国際収支を見てみましょう。
まず「経常収支」についてですが、リーマンショック直後に猛烈に赤字幅の縮小していた「貿易収支」の赤字幅が再び拡大に転じて「アメリカらしさ」が戻ってきました。
一方でアメリカの「資本収支」の方ですが、まずはアメリカの資本収支の統計の取り方を説明しなくてはなりませんね。日本や韓国の場合は、
資本収支=直接投資+証券投資+金融派生商品+その他投資+その他資本収支
でした。ところがアメリカの場合は、
資本収支=政府資産+民間資産+金融派生商品+その他資本収支
となっています。日本や韓国は、「目的」によって収支項目が変わるのですが、アメリカの場合は「目的」でなく「何に投資するか」で収支項目が変わります。
例えば日本の場合は、日本国債や経営権を取得する目的でない日本の民間会社株を外国人が購入すると「証券投資」がプラス収支になり、外国人が日本に外貨預金すると「その他投資」がプラス収支になります。
一方でアメリカの場合は、米国債を外国人が購入すると「政府資産」がプラスになり、(目的に寄らず)アメリカの民間会社株を外国人が購入すると「民間資産」がプラスになります。また、外国人がアメリカに外貨預金すると、これも「民間資産」がプラスになります。
これを踏まえた上で「資本収支」を見てみると、リーマンショック直後は米国政府が大量の金融緩和を行った事によって、溢れたドルが他国通貨や他国の短期国債を支えて「政府資産」が大幅マイナス収支になります。一方で、米国の投資家は他国の民間会社株や民間会社債券から一斉に手を引いたために、「政府資産」とは逆に大幅プラス収支になりました。
最新の2009年Q3時点での値を見る限り、外国人が安全資産を手にするために米国債を買っているので、「政府資産」がプラス収支になっています。一方、ドルキャリートレードでアメリカから新興国に投資が進んでいるので「民間資産」はマイナス収支になっています。
アメリカ政府としては、今国内の景気が急によくなるとインフレが進むだろうから、しばらくは「政府資産」の収支がプラス、「民間資産」の収支のマイナス維持を望んでいるような気がします。つまり、アメリカ政府は外国人に米国債を買わせた上で、インフレにならないようにある程度の政府支出をコントロールする一方、超金融緩和によって溢れたマネーは対外投資で消化させる戦略なわけです。ただし、これは本来アメリカ国内のインフレ要因(大量の余剰マネー)を外国へ吐き出しているだけなので、新興国のバブルを作る事になるような気がするのですが……。

ちなみに、アメリカが超低金利を続けたい真の理由は、もしアメリカの金利が上げれば海外からアメリカにマネーが流入するので、アメリカのキャッシュフローが良くなってインフレを引き起こす可能性があるからでしょうね。ただし、米国債を購入される分には、アメリカ政府が最終的な政府支出をコントロールすればある程度のインフレは防げるので、
1.米国債は買って欲しい
2.一方、アメリカ民間会社の株や債券は大量に買わないで欲しい
という事でしょうね。それが国際収支上だと
1.「政府資産」がプラス収支であって欲しい
2.「民間資産」がマイナス収支であって欲しい
という事なのです。


しっかし、アメリカ政府が考えるシナリオ通りに事が運ぶんでしょうかね?どうも「バブルの崩壊したアメリカが復活する」ためには「どこかの新興国でバブルを作る」事が必要条件になるんじゃないかと思ってしまうのですが……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(3) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月24日

たった2900億ドルとは言え

@【残り2000億ドル程度……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32965639.html

今日は、↑のエントリーに続く「米国債の近況シリーズ」です。10月半ばで、そろそろ米国債の発行上限額に達しそうだったのですが、その後どうなったのでしょうか?とりあえず、米国債発行残高と日本&中国の米国債保有額の推移を見ていきましょう。

us-bond_japan-china-holds_200910.jpg

米国債発行残高は、11月末の時点でおよそ12兆2千億ドル程度となって、アメリカの法律で定められている12兆1千億ドルをすでに突破しています。これは何故かと言うと、米国債の発行上限の12兆1千億ドルは普通米国債に対する発行上限額で、特殊な用途に使われる米国債(日本で言うと「交付国債」とか「財投債」みたいなもの)はこの法律の上限額にかかわらず発行ができるみたいです。
このブログでは、結構な回数「すでに米国債が発行できなくなった」という趣旨の事を書いていたのですが、正確に言うとそれは間違いという事になります。申し訳ありません。(謝)

ただ、いずれにしても普通米国債のこれ以上の発行が難しいのは事実で、「一体、いつこの上限額を上げるのだろう」とは思っていたのですが、ついにアメリカの上院議会で可決しました。

A【House approves $290 billion increase in debt limit】
http://apnews.myway.com/article/20091216/D9CKL24O0.html

B【米国債務上限引き上げをめぐる議論】
http://www.gci-klug.jp/tomita/2009/12/21/007755.php

ところが、引き上げた金額はたったの2900億ドル。AやBの記事にも書いてありますが、これだと2月半ばまでの資金繰りに相当する額なので、またすぐに上限額を上げないといけなくなりそうです。

今のアメリカは、ドル安に乗じたドルキャリートレードにより、大量のマネーが海外に流出しているので、何とかしてマネーを国内で循環させたいわけです。ところが、アメリカ国内もバランスシート不況により、民間資金はアメリカ国内の株や債券ではなく安全な預貯金にマネーシフトしているので、アメリカの民間銀行は集めたマネーを何に投資するか迷っているところなのでしょう。
ここで米国債の追加発行を止めると、それこそマネーの行き先が「海外」や「資源」に向かいだすために、アメリカ国内の生産上昇にまったく寄与しないわけです。確かに、アメリカの議会はこれ以上の財政赤字はストップさせたいところでしょうけど、長い目で見たらまだまだ米国債を発行して、政府支出を拡大する方法を続けた方が良いように思えます。
ただし、アメリカの民間銀行が果たして米国債を買い続けてくれるのでしょうか?日本の失われた10年では、量的緩和の効果こそあって円安を維持したのですが「長期的にはまだまだ円安にはならない」という投資家のコンセンサスがあったので、為替損を嫌がる日本国内の銀行は日本国債を大量に購入しました。ところが、現在のアメリカは「長期的にはドル安の流れ」というのが、世界の投資家のコンセンサスになっているので、「米国債なんかよりも、海外の株や債券、あるいは資源の方に投資するほうが儲けられるんじゃないの?」とアメリカ国内の銀行が思えば、たちまち米国債の利回りは高騰して、アメリカ経済にトドメを刺すことになるのでしょう。
とは言え、現時点では米国債は札割れを起こしていませんし、まだまだ大丈夫だとは思います。


C【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

ただし、↑の先日のエントリーでも書きましたが、現在のアメリカのマネタリーベースはリーマンショックの2倍になっているので、アメリカ国内でお金が循環しだすとインフレの始まる可能性が高いわけです。あくまでアメリカは、
1.急に景気を回復させない
2.徐々に景気を回復させつつ
3.マネタリーベースも徐々に元へ戻して
4.急激なインフレをさせずにアメリカ経済を通常状態に戻す
という神業的な軟着陸を狙っているのだと思いますけどね。

そういう意味で、米国債発行上限額は一気にドカンと上げるのではなく、アメリカ国内のインフレ状況を見ながら、状況に応じてこまめに上げていく作戦の方が理に適っているのかもしれません。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:36| Comment(2) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月15日

ギリシャやばいの?〜そのB〜

@【ギリシャやばいの?〜その@〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

A【ギリシャやばいの?〜そのA〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

という事で、↑の@Aでギリシャの「外貨準備高」「国際収支」「GDP」の考察をしましたが、いよいよ今日は「対外債務」について見ていきましょう。
その前に、↑の@Aで説明したポイントを復習しておくと以下のようになります。

1.今のところ外貨準備高が減っていない
→ギリシャは、信用力のあるユーロを自国通貨にしているので、相応の通貨価値下落の起きない事により、為替防衛をする必要がない。ただし、今後ギリシャ国債の利回りが払えなくなれば、外貨準備高を消費して利回りを払うようになるだろうと推測されるので、外貨準備高が減り出す時がいよいよ危険と思われる。

2.恒常的な経常赤字と外国依存の資本収支
→ギリシャの国際収支は、経常収支については慢性的な赤字。貿易赤字が足を引っ張るが、観光国でありながら最も稼げる8月のサービス収支の黒字でも貿易赤字分を取り返せない。一方の資本収支は、外国からの投資により大きく変動している。

3.インフレ経済
→実質GDPはここ3年で大きく増加したわけでもないが、名目GDPは増加している。消費者物価指数もここ3年で10%程度の上昇していて、このインフレを逆手にとって(インフレ最中は借金の実質価値が下がることにより)ギリシャ国債をどんどん発行をしてきた。


greece_external-debt.jpg
では、↑のギリシャの「対外債務」について見ていきましょう。
「ギリシャ政府の債務」と「ギリシャ銀行の債務」についてですが、サブプライム問題の起こった2007年Q2にギリシャ政府の短期債務が一時的に増えましたが、この時は何とかこれでおさまりました。ところがリーマンショックの起こる前の2008年Q2に、ギリシャ政府もギリシャ銀行も、両方で短期債務が突然増えました。これが何に起因するのかちょっとここではわかりませんが、とにかくすでにこの時期に何らかの異変が起こっていた事がわかります。
その後は、ギリシャ政府はばらつきがあるものの、同レベルの短期債務を発行し続けている一方で、ギリシャ銀行の短期債務は増加の一途を辿っていて、資金繰りの状況が多少心配です。2009年Q2の時点で、ギリシャ政府とギリシャ銀行の短期対外債務は500億ドル、長期対外債務は2000億ドルを突破しているのですが、外貨準備高の方はというと2009年6月時点で380億ドル程度なので、実際のところ今すぐヤバイというわけでもないような気がするのですが、短期対外債務の割合がかなり大きいのが気がかりなところです。
ちなみに、2009年Q2の名目GDPは597億ユーロ(年換算だと2388億ユーロ)なので、対外債務残高の名目GDP比はおよそ29%くらいなわけです。実際日本とアメリカの対外債務残高の名目GDP比は、日本が7%、米国が25%程度なので、ギリシャの経済規模を考えると、対外債務残高の名目GDP比が29%というのは、確かに大きいかもしれません。


【ギリシャ、社会保障費1割減 財政再建策を発表】
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20091215AT2M1501C15122009.html

そんな状況でちょうど今日、↑のようにギリシャ政府が財政再建策を発表しました。この記事を見ると、基本的な財政再建策として
「@社会保障費のカット」
「A民間銀行のボーナスに9割課税」
「B脱税の徹底摘発」
という事です。とりあえず、「政府支出削減」と「税収増加」という事で財政再建を図ろうという事ですね。確かによくよく考えてみると、ギリシャはユーロを自国通貨として使っているので、韓国がやったように「自国通貨をギリギリまでウォン安に追い込んだ上で輸出を増加させる」というような為替レートを駆使する裏技が使えないわけです。(その技が使えるなら、夏頃に通貨価値を下げて「観光」一点でサービス収支を激増させるギャンブルもありかなと思うのですが)
通常、国の財政が危なくなれば、自然と通貨価値が下がるので、多かれ少なかれ輸出が増えたり観光客が増えたりするのでしょうけど、おそらく今のギリシャはそうはならない初ケースなわけで、「政府支出削減」と「税収を上げる」だけで何とかなるのか興味があるところです。この状況で政府支出を削ったらギリシャ国内のマネーの流動性が減るために、インフレは抑えられるかもしれませんが、そうなると借金の実質価値も下げることができないため、いずれにしても何らかの稼ぐ方法をギリシャは探さないといけなくなるのではないでしょうか。
勝手な俺の最悪ケース予想では、ギリシャ政府が「政府支出削減」と「税収増加」を上手くできたとしても、世界の余剰な投資資金がギリシャに流入する事により、インフレを止められずに結局ギリシャ経済が行き詰ってしまう可能性です。

まぁ、実際はそこまでひどい事にはならないような気もしますが、ギリシャの目指している方向性は、今の日本の政権と似ています。もちろん、背景の状況は日本とギリシャではまったく違うのですが、ギリシャの緊縮財政&増税に絞るやり方がどうなるかは個人的にも注目しています。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(0) | TrackBack(4) | 経済

2009年12月14日

ギリシャやばいの?〜そのA〜

@【ギリシャやばいの?〜その@〜】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/34170531.html

という事で、先日は↑@でここ最近のギリシャの「外貨準備高」と「国際収支」を見ていきましたが、今日はギリシャの「GDP」について見ていきましょう。


greece-GDP.jpg
↑が、ギリシャの「名目GDP」と「実質GDP」になっております。とりあえず、物価変動を考慮に入れた「実質GDP」を見てみましょう。
ギリシャの「最終民間消費支出」は、2007年Q1から2008年Q4までは順調に微増していましたが、やはりリーマンショックの影響からか2009年Q1に前期比で1.77%減少しました。ただし、「最終民間消費支出」は2009年Q1で下げ止まって、Q2とQ3は回復傾向を示しています。
次に「総固定資本形成」を見てみると、サブプライムが表面化した2007年Q2をピークに随分落ち込んでいます。しかも、リーマンショック後の2009年Q1とQ2の落ち込み幅が半端じゃなく、2期続けて10%程度の減少となっていり事がわかります。元々ギリシャは、製造業の盛んな国ではないため、「総固定資本形成」の落ち込みは「設備投資」ではなく「住宅投資」の落ち込みが支配的な要因ではないかと推測されます。スペインと同じように、住宅バブルの崩壊過程を辿っているのでしょうか?2009年Q4に下げ止まったように見えますが、この先も非常に心配です。
その一方で、「政府最終消費支出」は2009年Q1から頑張って他の項目の減少分を支えているわけですが、これが結果として国債の大量発行によってデフォルト懸念を生じているのでしょう。
そして、俺が一番気になっているのが「在庫品増加」です。通常、景気が悪くなると、企業は余計な生産をせずに在庫品をさばくはずなのですが、ギリシャの「在庫品増加」は一向にマイナスにならないわけですよ。最終的に積み上がった在庫をどう処分するのか非常に心配です。

一方で、「名目GDP」の方を見てみましょう。「実質GDP」よりも随分大きい数字の並んでいる事がわかります。ここでの「実質GDP」は、2000年のギリシャ物価に合わせています。そして、「名目GDP」の数字が随分大きいという事は、ギリシャがインフレ傾向である事を示しています。
実際に、「実質GDP」において2007年Q1と2009年Q3の「最終民間消費支出」はほぼ同じ額であるにもかかわらず、「名目GDP」においては10%程度の差があるわけなので、消費者物価がこの2年間で10%上昇している事が読み取れます。
元々ギリシャは財務状況の良い国ではないのですが、ここ数年はずっとインフレ傾向が続いていたため、国債発行もインフレを想定して発行計画を組んでいたのでしょう。欧州では「財政赤字は(名目)GDPの3%以内」という数値目標があるのですが、インフレ傾向のある国では「実質GDP」が上昇しなくても、10%インフレで「名目GDP」もほぼ10%上昇します。ギリシャはこの数値目標を逆手にとって、インフレを許す代わりに国債も相応に発行する戦略を取っていたわけですね。
ところが、インフレによって「名目GDP」を順調に伸ばしてきたギリシャは、2009年Q1の「名目GDP」で前期比を下回ってしまってしまいました。一方で「政府最終支出」だけは、2009年Q1に入っても増え続けてしまったわけで、こりゃ当然ギリシャ政府の財政は悪くなるわけですよ。

「名目GDP」でギリシャが非常に苦しいのは、いくらインフレ傾向とはいえ「最終民間消費支出」が伸び悩む上に、「総固定資本形成」がボロボロな状態なので、「政府最終消費支出」を増やすだけでは到底カバーできないところにあります。
おそらく、ギリシャの「名目GDP」を改善するのに一番手っ取り早い方法は「純輸出」の赤字幅を減少させる事ではないのでしょうか?先日の↑@のエントリーで、「8月がサービス収支の黒字額ピークを迎える」と書きましたが、これは外国人のギリシャ観光によるものです。つまり、通貨高の国や富裕層のたくさんいる国(日本とか中国)に対して「夏以外」のギリシャ観光を推奨するキャンペーン等を行い、更なるサービス収支の黒字を目指すのが一番投資額が少なくて効果の見込める方法なのかなぁ、と思ったりもします。どこか日本の旅行会社が「新婚旅行はギリシャで!」というようなツアーをやり始めたら、ギリシャは泣いて喜ぶかもしれません。(笑)


greece-CPI.jpg
そして、↑にギリシャの消費者物価指数(季節調整無)の推移を調べてみました。これを見ると、非常に面白くてギリシャの消費者物価は、「5月」「12月」にピーク、「2月」「8月」にディップがあるんですね。季節調整の無いデータである事を差し引いても、こんなにも月によって消費者物価が違うのにびっくりです。
いずれにしてもギリシャがインフレ傾向なのは、この画像を見ても一目瞭然です。リーマンショック直後は、一旦インフレも収まったかのように見えますが、2009年9月からは再びインフレの勢いを取り戻しているように思えます。

先日の↑@のエントリーでも書きましたが、EU内でのギリシャの経済規模は非常に小さいために、ギリシャ経済の調子がいくら悪くてもユーロの暴落はありません。通貨暴落が無い代わりに、ギリシャ国内のインフレが進むという事なのでしょうけど、ギリシャが他のユーロ国並に経済状況がすぐに良くなるわけもないので、しばらくはギリシャのインフレは続くと推測されます。よってギリシャは、「インフレを止める」という事ではなく「インフレを見込んだ財政安定策」を考える方が現実的なのかもしれません。


という事で、今日はギリシャの「GDP」について書きました。次回は、いよいよギリシャの「対外債務」の確信に迫ります。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(27) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月12日

ギリシャやばいの?〜その@〜

@【デフォルト危機、ドバイの次はギリシャ?】
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/2264

先月末くらいから↑@の記事のように、ギリシャのデフォルト懸念に対する報道が出てきました。個人的には、「EUグループに入ってる国なんだし、そこまでひどいのかな?」と半信半疑だったので、昨日いろいろと調べてみました。ということで本日のエントリーでは、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の時と同じように、「外貨準備高」「国際収支」「GDP」「対外債務」の4つの指標で、ギリシャ経済について2日か3日くらいかけて分析してみましょう。
とりあえず今日は、「外貨準備高」「国際収支」について書いてみます。


greece-ofr.jpg
まずは、↑にギリシャの外貨準備高を見てみます。今回は、外貨準備高の内訳として、「SDR」「金」「その他」で分類してみました。まぁ、「金」については説明の必要は無いとは思いますが、「SDR」については聞きなれない方も多いのではないでしょうか?「SDR」とは、IMFの発行する債券みたいなもので、IMFに加盟する国が外貨不足に陥って、どうにもこうにもならなくなった場合に、「SDR」と「他の加盟国の通貨」を交換できるものなんだ。この「SDR」については、IMFがそれぞれの加盟国にどの程度の金額を割り当てるかを、出資金に応じて決めているものです。
さて、ギリシャは「自国」も「貿易等で関係の深い国」も、ほとんどが同じユーロという通貨を使用しているので、「ドル」とか「円」みたいな外貨をほとんど所有しておらず、外貨準備高のほとんどを「金」で運用している事がわかります。他のユーロを使用している国についてよくわかりませんが、ギリシャと同じように外貨準備高のほとんどを「金」で運用してるんですかね?

通常、デフォルト懸念が出てくると、その国の通貨価値はどんどん下がるわけで、それを食い止めるために、政府が所有する外貨を売って自国通貨を買い戻します(去年の韓国で言うと、ウォン買いドル売りの為替介入)。ところが、ギリシャの場合は自国通貨として非常に信用力のある「ユーロ」を使用しているために、どれだけギリシャの調子が悪くなっても、(次々と他のユーロ使用国もデフォルト懸念が出てこない限り)相応の通貨暴落が起こりません。つまり、ギリシャは為替介入をする必要が無いので、デフォルト懸念が出てきてもすぐに外貨準備高が減る事はないわけです。実際に、デフォルト懸念があるにもかかわらず外貨準備高の増えているのが↑の画像からもわかると思います。
逆に言うと、国債の利回りすら払う事が困難になれば、ギリシャは外貨準備高の「金」を売って利回り支払い用の「ユーロ」を確保するはずなので、ギリシャの外貨準備高が減少しだしたらいよいよ「危ない」というシグナルになると思います。

A【IMF総務会、2500億ドル相当のSDR配分を承認】
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-11013920090813

B【日本、IMFへの最大1000億ドルの資金支援で合意文書に調印】
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36480520090214

ちなみにギリシャの外貨準備高は、2009年8月から突然「SDR」の保有額が大きくなっていますが、これは↑Aの記事に書いてある通り、IMFが「SDR」の再配分を行った事によるもので、特別ギリシャに何かあったものではありません。この時期は、ギリシャ以外の国でも「SDR」が増えているはずです。
ちなみに↑Bの記事の通り、この2500億ドルの原資の大部分は日本がIMFに貸した米国債です。今後円高が進んで米国債の価値が下がるだろう事を逆手に、IMFへ1000億ドルの米国債を貸して「世界貢献」という評価を得たわけで、故中川昭一元財務大臣は良い仕事をしたと思います。


greece-BOP.jpg
そして次は、↑のギリシャの国際収支についてです。ギリシャは慢性的に経常赤字である事がわかります。足を引っ張っているのは貿易収支なのですが、リーマンショック以降は貿易収支の赤字幅の縮小に伴って、経常収支の赤字幅も大きく減少しています。ギリシャは所得収支も常に赤字の状態なので、「国外への投資はあまり盛んではない」のか「そもそも国外に投資できる余力が無い」という事が推測されます。
そんな中で、ギリシャの経常収支を支えているのは「サービス収支」です。毎年、8月に「サービス収支」の黒字額がピークになるので、ギリシャは「観光産業」で他国からお金を稼いでる事が読み取れます。この分だと、ギリシャ国内の消費支出もかなり季節変動がありそうですね。それにしても、ギリシャは稼ぎ時の8月すら経常収支が赤字なので、観光以外にも稼ぐ方法が欲しいですねぇ……。

さて、一方で資本収支の方ですが、月によって変動が激しいので何とも言い難いところなのですが、「証券投資」と「その他投資」はほとんどの月で逆の動きをしている事がわかります。
この国際収支表からではわかりませんが、毎月ギリシャ銀行の発表している国際収支のコメント文を見ると、「海外金融機関」や「海外の機関投資家」による「ギリシャ国内の預金」「レポ取引」「ギリシャ国債の購入/売却」が支配的な要因のようです。
おそらく「海外金融機関」や「海外の機関投資家」が、「ギリシャ国債の購入(証券投資がプラスになる)」をすると「ギリシャ国内の預金が減る(その他投資がマイナスになる)」といったように、「証券投資」と「その他投資」の相反する取引が多いという事だと思われます。つまり、ギリシャの場合は国内からの対外資本取引量が少なく、対外資本取引の大部分が海外によるものと推測されます。もしそうだとすると、(具体的な数字はわかりませんが)ギリシャ国債はかなりの割合が外国保有なんでしょうね。


「GDP」と「対外債務」は、さらに長くなりそうなので「そのA」と「そのB」に回します。申し訳ありません。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:28| Comment(7) | TrackBack(0) | 経済

2009年12月03日

北朝鮮デノミ 問題は外貨との交換比率

【インフレ抑制と闇市場対策が狙いか 北朝鮮デノミ】
http://www.asahi.com/international/update/1202/TKY200912020117.html

もともと北朝鮮はちょくちょく通貨交換してたけど、今回は「1新ウォン=100旧ウォン」と、実質の通貨価値を切り下げてしまった上に、「1世帯の交換限度額が10万ウォン」という事で、貯蓄してた北朝鮮国民は涙目でしょうね。しかも、通貨価値の切り下げは50年ぶりなわけで、やはり「北朝鮮国内のインフレがひどい」という事なんでしょうか?
でも突然の通貨切り下げを学習した北朝鮮国民は、今回の件で「自国通貨は持っていても信用ならん」と考えるだろうから、今後は北朝鮮国内の外貨需要が急速に増えるのではないでしょうか。北朝鮮では公の場で自由に外貨取引ができるわけではないので、結果的にますます闇市場が広がってしまいそうな気がします。
ところで、新ウォンと外貨の公式交換比率はどうなるんでしょうかね?公式には、1$=200旧ウォン(実際の闇市場では1$=3000旧ウォン程度)くらいで取引されているみたいですが、公式レートとしても1$=200新ウォンで設定できるとも思えないのですが……。


nkorea_trade-ballance.jpg
ところで、↑は北朝鮮の貿易収支の推移ですが、北朝鮮は恒常的な貿易赤字国です。しかも、北朝鮮の主な輸出品は「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」「衣類」「化学・プラスティック製品」「機械類」「電機電子機器」であって、主な輸入品目は「石油」「繊維」「機械・電子機器」「化学工業製品」「プラスチック」との事。もちろん、この輸出・輸入の金額は名目のドル建てであるので、北朝鮮国内の為替レートの影響も加味されています。さて、この状況で1/100のデノミがどのように利いてくるのでしょうか。ここでは、外貨との交換比率も、とりあえず1/100(つまり、1$=20000新ウォン)になるとして考えてみます。

輸出品目だけで見ると、北朝鮮は日本/韓国/中国と同じような加工貿易国型のビジネスモデルを採っている事が推測されます。ただし、北朝鮮は「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」を輸出する資源国の側面もあります。そしてこの輸出品は材料を輸入するわけでもないので、1/100デノミによって相当な国際競争力をつけるのではないでしょうか。ただし、残念な事に北朝鮮は供給能力を上げられる術を持っていないので、デノミをやったところで生産増加は難しいだろうから、「石炭、鉱石等」「非鉄金属類」で大儲けはできないでしょうね。(笑)
一方で輸入品の「石油」は、1/100デノミで相当に北朝鮮を苦しめることになるでしょう。そもそも、加工貿易をやるためには電力が必要になるわけですが、北朝鮮の電力の大半は火力発電所で作っていたような気がします。(具体的な数字は覚えていませんが、50%以上の電力を火力発電所で賄っていたような……)貴重な電力供給を犠牲にしてまで北朝鮮は1/100デノミを実施したわけで、北朝鮮の今年の冬はさぞかし寒くなりそうですなぁ……。

実際に新ウォンと外貨のレートがどうなるかはわかりませんが、上記の「輸出品目」「輸入品目」「貿易赤字が拡大している事」を踏まえる限り、新ウォンの通貨価値が下がれば下がるほど、輸出の伸びよりも輸入の伸びが大きくなり、むしろますますインフレ引き起こしそうな気がするのですが、どうなんでしょうか?
ところで、このニュースでアメリカは「こりゃ放っておけば、そのうち自滅してくれる」と考えていると思いますよ。むしろ「時間稼ぎ」は、北朝鮮じゃなくアメリカ側の外交戦略になるかもしれません。


【英ファンドが目を付けた、レアメタルの宝庫・北朝鮮】
http://moneyzine.jp/article/detail/26094

そして、↑の記事にもありますが、今回のデノミで外貨建て北朝鮮国債はまだしも、旧ウォン建て北朝鮮国債を所有していた外国ファンドは大損しましたね。またもや「イギリスの金融機関」との事です。先週ドバイで痛い目を見たイギリスの金融機関へのさらなる試練ですなぁ……。(笑)



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(26) | TrackBack(2) | 経済

2009年11月30日

円高で海外投資を後押し

@【大企業2割が海外移転検討 製造業派遣の原則禁止で】
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090918/biz0909181939011-n1.htm

A【日本の海外企業買収3.7倍に/金融危機が追い風に】
http://www.shikoku-np.co.jp/national/main/article.aspx?id=20081108000289

さてさて、ちょっと考えれば当然なのですが、円高になると日本の輸出産業は日本で製品を作っても価格競争力で不利になるために、通貨安の国に工場を建設して生産拠点を移します。世界の景気が良いときは、生産増加が止まるわけではないために日本国内の工場も維持できると思いますが、今の状況だと国内工場は「廃止」か「規模縮小」という事になるので、いずれ失業率上昇という形で跳ね返ってくる事になるでしょう。
今回は、ドル高の要因が見つからない中での円高騒動になっているので、企業は真面目に工場の海外移転を考えているんじゃないかなぁ、と思います。


B【製造業への派遣を原則禁止 労働者派遣法改正案合意で3党共同会見】
http://www.dpj.or.jp/news/?num=16333

そんな中で、現政権は派遣禁止を進めようとしております。もし仮に派遣禁止をやってしまうと、@とAの記事の事を察するに、相当な勢いで製造業の海外移転が始まってしまい、失業率が結構上がってしまうのではないでしょうか?「業界」の味方でなく、「家計」の味方である民主党としての政策判断が難しいところでしょうね。


japan-direct-investment-abroad.jpg
それでは具体的に↑の「対外直接投資」を見て、数字を追っていきましょう。

「対外直接投資」とは、海外子会社(出資割合10%以上)の株取引等の投資に関する統計で、「株式資本」「再投資収益」「その他資本」の3つから構成されています。
「株式資本」は、株取引の収支の事で、日本の会社から海外の子会社への投資はマイナス、海外の会社から日本の子会社への投資はプラスで計上されます。
「再投資収益」とは、海外子会社の株式等による利子や利回りで未配分のものです。つまり、本来本国に送金されるものですが、未送金で海外子会社で留保しているお金とも言えるでしょう。この項目には、収支という概念が無く、単純に日本の海外子会社からの未送金分がマイナスとして経常されます。
「その他資本」とは、株や再投資収益以外のものの収支のことです。具体的にどんな取引が対象になっているのかはわかりませんが、日本から海外子会社への投資はマイナス、海外から日本子会社への投資はプラスで計上されます。

さて、一番左の列の「対外直接投資」を見てみると、少なくとも2007年からは常にマイナスであるために、海外の会社が日本の子会社に投資するよりも、日本の会社が海外の子会社に対して投資している事がわかります。しかも、リーマンショック直後の2008年Q4は、「株式資本」のマイナスが大幅拡大になりました。これは、海外の会社から日本子会社に投資された流入分よりも、日本の会社が海外子会社に投資した流出分が非常に大きかったためで、海外投資に勢いがついたことがわかります。
やはり、円高が海外移転を後押しする事が数字で示されています。


俺が一つ非常に気になるのは、リーマンショック直後の2007年Q4から「再投資収益」のマイナス幅が縮小している事です。

【海外子会社利益の国内還流促進で法人税非課税化へ−来年度税制改正】
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aB4.KgwKywUI

これは、↑のように前政権で決定した「海外子会社利益の国内還流促進」に関する税制改正による影響が大きいと思います。今の日本は、諸外国よりも法人税が高いために、海外子会社からの還流分は法人税の安い現地に留保させるわけです。この留保分をどんどん日本に還元させるために、前政権が上記の税制改正により海外子会社からの還流分を非課税にしたわけです。
これによって、日本国内で業績の悪くなった自動車会社や電機メーカーの赤字分を、海外子会社の黒字分で穴埋めしているわけです。ただ、これは海外から日本へお金を流入させるわけですから、当然円高要因になります。一説によると、日本の海外子会社が現地で留保している利益は15兆円クラスとも言われているので、仮に全額日本に流入してきたら、とんでもない円高を引き寄せてしまうわけですけどね。


japan-direct-investment-abroad-cb.jpg
さて、↑に「地域別の対外直接投資」をあげました。これを見ると、リーマンショック直後の2008年Q4に海外投資が激増しましたが、地域別で見ると「北米」の投資額が群を抜いた増加率になっています。円高をチャンスとばかりに、アメリカの有力な会社を日本の会社がどんどん買収したわけですね。同様に、2008年Q4は中南米もガツッと買収しています。こちらは、レアメタルとか食料関係の会社を買収したのでしょうかね?一方、日本は「東欧」や「中東」地域はそんなに投資しているわけではなさそうです。地域的に遠いという事もありますが、結果的に「ラトビア」や「ドバイ」に代表されるやばそうな地域を避けているわけで、日本人の安全志向を表しているのかもしれません。


さて、今日は「対外直接投資」の統計を見てきましたが、今のところ日本企業は状況に応じて理に適った海外投資をしているように思います。一つ心配になる事は、今後国内工場を海外移転しすぎる事により、営業利益を海外子会社からの還流分に依存しすぎて、「円高が止まらなくなる」&「輸出産業が過度に為替レートに依存する(参考リンク@)」という可能性がある事です。元々俺は、「長期的な円安トレンドは日本国債の投売りにつながる」(参考リンクA)と思っているのですが、とは言うもののあまりに急速な円高も困るわけで、可能な限り長期的にゆっくり円高を進行させるのが一番望ましいと思っています。

そういう意味で、果たして現政権がどんな円高対策をするのかが楽しみでなりません。(笑)


参考リンク@【黒字転換したホンダの営業利益の中身】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32061746.html

参考リンクA【国債の利回りさえ払えなくなる日はいつ?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32620113.html



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(3) | TrackBack(0) | 経済

2009年11月28日

二番底のトリガー?!

【「ドル・キャリー取引」活発 金・原油先物 NYで高騰】
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/mnews/20091126-OYT8T00527.htm

【外為市場で一時1ドル84円台 対ユーロも円高加速】
http://www.asahi.com/business/update/1127/TKY200911270100.html

どうも米国債新規発行が止まってから、世界の投資マネーの潮目が明らかに変わった感じがします。やはり、今まで米国債に向かっていたマネーが、ドルキャリーを通じてモノや他国に流出しているのでしょう。ただ、これは「ドルの信認低下か?」と言われれば必ずしもそうではなと俺は思います。「超低金利」と「超量的緩和」を導入すれば、必然的に溢れるマネーはどこかに向かうはずですが、今までは新規発行の米国債がマネーの向かい先だっただけです。


【ドバイ政府系企業がデフォルトの危機】
http://www.business-i.jp/news/flash-page/news/200911270089a.nwc

どうもこの一ヶ月で、モノ市場の高騰に加えて、金融危機第2幕が近いうちにありそうな気配が漂ってきました。ユーロ圏では「ラトビア」が一番手でやばそうな感じでしたが、まさかドバイまでヤバイ状態だったとは……。現在のドバイは、原油依存のロシアと違って、GDPに占める原油関係のものはわずか数%程度に過ぎない上に、海外から流入するお金で金融産業を伸ばすビジネスモデルを採用していたために、仮に原油高騰が続いても助からない可能性の方が高そうな気がします。加えて、おそらくドバイみたいに「実はそろそろやばそうです」なんて国がまだまだあるんじゃないかと思うのですが、やはり危ないのは海外からのマネーを集めていた金融立国でしょうね。先進国であるアイルランドとかイギリスとかも真面目に大丈夫なのかなぁ……。


いずれにしても、最終的なマネーの行き先が供給量を自在に調節できない「原油」「金」「レアメタル」等々になってしまうと、インフレに行き着いてしまいます。しかも、株や債券にマネーが行かなくなると企業資金の調達が出来なくなる事により、生産活動も活発にならずいつまでたっても世界景気が回復しなくなるわけです。しかも、それに加えて日本だけは「デフレ」という重荷を背負っているわけで、現政権の経済財政運営は大変とは思いますが、肝心な責任者が↓の調子なので非常に心配です。

【菅副総理、経済オンチ露呈「今ごろ何をトボけたことを…」 】
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/329174/

【「理解が足りないのでは」と菅副総理が反論 経済戦略見えない批判に】
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091127/stt0911271159008-n1.htm

それにしても、↑の下段の記事で副総理は「投資効果のない財政出動を繰り返しても、過去に成功しなかった」と言っているので、「あれだけの財政出勤をしたから、あの程度の景気低迷ですんだ」とは全然思っていない事がわかります。いやぁ、「完全に経済のわかっていない大臣」という事を自分で曝け出しちゃってるなぁ。(笑)とは言うものの、「どこに投資するか」という面では自民党政権が全面的に正しかったわけでもないとは思いますけどね。

それにしても、万が一金融危機第2幕が襲ってくれば二次補正どころの話ではなくなるわけですが、経済財政担当のトップがこの程度の認識なんだから、ある意味恐ろしいですよ。どちらの方の理解が足りないのだか……。

「円高」「需要減」「デフレ」、これらの影響を和らげるためには日本も本格的な量的緩和を今すぐに実行して、補正予算なり来年度予算を拡大すべきなのでしょうけど、まさに自民党と同じようなことをするわけなので、民主党内部での抵抗も大きいのではないでしょうか。アメリカやイギリスは、リーマンショック直後に量的緩和を実施したのに、また日本はぐずぐずしてるうちに「失われた10年」を繰り返しそうな雰囲気です。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 08:44| Comment(0) | TrackBack(5) | 経済

2009年11月17日

GDP発表と共に動き出した経済対策

【7〜9月期実質GDP、年率4.8%成長 設備投資増加に転じる】
http://www.nikkei.co.jp/keiki/gdp/20091116d3s1600i16.html

昨日、日本の2009年Q3のGDPが発表になりました。↑のように、前期比で1.2%の増加(年率換算で4.8%増加)の高い伸びになって万歳としたいところですが、素直に喜べる状況ではありません。というのも、実質GDPは前期比で1.2%増加ですが、名目GDPの方は前期比で0.1%減少になってしまっているからです。これはつまり、物の取引は活発になっているにもかかわらず、流れているお金の量が少なくなっているわけで、物価安が進んでいる事を意味しています。


【日本経済の次なる不安】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/31379515.html

ちょうど3ヶ月前に2009年Q2の日本のGDPについて考察したのですが、↑のエントリーで「今後はデフレを何とかしないといけないんじゃないの?」と懸念した通りの状況に、まさに今なっているわけです。


2009Q3_japan-realGDP.jpg
まぁ、とりあえず今日は2009年Q3の日本の実質GDPを見ていきましょう。↑に実質GDPの推移を出しました。
まずは、「最終民間消費支出」を見てみましょう。Q2に引き続き増加しています。まぁとりあえずは、前政権の補正予算(特に、エコポイントやエコカー補助)の効果が引き続き発揮されているのでは無いでしょうか?

【エコポイント、延長を検討…菅戦略相】
http://www.yomiuri.co.jp/net/news/20091117-OYT8T00736.htm

おそらく、↑のように民主党がエコポイントを継続すると発表したのも、この数字を見た上での判断でしょう。あれだけ前政権の補正予算を批判していたのに、実際の数字を見て手のひらを返してきたわけです。まぁ、責任ある与党としては妥当な判断じゃないでしょうか。

一方、「民間住宅」の下げの止まらない事が非常に心配です。住宅やマンションの購入は、家具等々の追加消費効果が大きいために、景気に大きく影響を与えるのですが、ここのテコ入れも何とかしなければなりません。

【菅氏、住宅版エコポイント検討 17日に補正で閣議決定へ】
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009111601000250.html

↑そんな中で、こんな話も出てきました。間違いなくこれも、GDPの数字を見た上で決めたと思われます。GDPの発表と共にこんなニュースが出るなんて、民主党は良い意味でわかりやすいですね。(笑)

そして、「民間設備投資」もようやく下げ止まりました。おそらく、「最終民間消費支出」と「輸出」が伸びた事により、日本の全体の生産量が上がったからだと思われます。おそらく生産量が増加すればするほど、「民間設備投資」は今後も増えることが期待されるのですが、一方で生産量が増えれば増えるほど物価がどんどん安くなるわけで、ちょっとややこしい事態になりそうです。この辺りについては、もう少しデータが揃ってからいろいろと考察してみます。

「民間在庫品増加」も若干増えました。俺はてっきり、今回の「民間在庫品増加」はマイナスに転じる事になるのではないかと思ったのですが、逆にプラス幅が増えています。「最終民間消費支出」と「輸出」のプラス幅が大きくなっているにもかかわらず、在庫が減らない状況なので、「生産過剰」の状態が続いているとも解釈できます。確かに、こういう指標からもデフレの波を読み取ることができるのかもしれません。

「政府最終消費支出」は堅調に伸びていますが、「公的固定資本形成」は若干減少しました。Q4には、民主党が補正予算の執行を止めた影響も本格的に出てくるでしょうから、「政府最終消費支出」も「公的固定資本形成」もQ3よりは落ちるでしょう。どの程度、GDP減少に効いてくるかはわかりませんが、興味のあるところではあります。

そして、「純輸出」はQ2に引き続き回復しています。「輸入」の増加よりも「輸出」の増加が大きいわけで、これは非常に良い傾向です。とりあえず日本経済が正常の姿に戻るためには、「民間住宅」や「民間企業設備」が全回復するまでは、何とか「最終民間消費支出」「政府最終消費支出」「公的固定資本形成」「純輸出」でGDPを支えていかなくてはなりません。民主党は内需主導で日本経済を回して行こうとしていますが、現在の「最終民間消費支出」を支えているのは、国債発行を原資にした「エコポイント」や「エコカー補助」の政府支出なわけです。つまり逆に政府支出を削れば最後の砦は「純輸出」しかなくなるわけですが、さすがに民主党もそこまでの賭けはできないという事でしょう。結局、官僚に丸め込まれて、官僚の主導する経済対策をやっているように見えるのですが……。


いずれにしても、今後はデフレスパイラルを止めるために、政府は何かしらの手を打つ必要が出てくるでしょう。民主党が日銀と一緒に「量的緩和&大量の国債発行」という手を打てるのかどうかが非常に気になります。

それでは、後日に2009年Q3の各国の「GDP」と「国際収支」の比較をしてみたいと思います。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 経済

2009年11月09日

日米金融機関の「投資」に対する考え方

今日は、日本と米国における金融機関のキャッシュフローについて考えたところを書こうと思います。


japan_cashflow1.jpg
まずは日本についてですが、失われた10年以前の通常時のキャッシュフローについて書いた図が↑です。銀行等の金融機関は、俺達顧客の貯金を何かに投資したり誰かに貸したりして資金運用をしているわけです。そこで、今回は「何に投資したらどんな事が起こるのか」という視点で整理してみたのですが、とりあえず今回は「日本国債」「日本の株・債券」「外国の株・債券」「資源」の4種類にカテゴライズしました。
まず「日本国債」に投資する場合ですが、これは円市場の商品なので為替レートには影響を与えません。さらに、国内経済への影響は時の政権の政策次第です。前政権みたいに公共事業をバンバンやるのであれば景気を底支えできますが、現政権みたいに家計支援に重点を置くならば家計の消費次第という事になります。次に「日本の株・債券」に投資する場合ですが、これは当然企業の資本が増えるわけなので、国内の経済活動が活発になります。そして「外国の株・債券」と「資源」に投資する場合ですが、これは円市場ではなくなるので円安を招きます。またお金が国外に出てしまう事になるので、国内経済にはほとんど寄与しません。
失われた10年以前は、今ほど海外投資が盛んだったわけではないので、日本の金融機関は主に日本国債や日本の株・債券等の国内投資で、顧客から預けていた資金を回していた事になります。

japan_cashflow2.jpg
さて、それでは次に「失われた10年時の日本のキャッシュフロー」を↑の画像で見てみましょう。
失われた10年では、景気が上向かない中で家計預金額が一気に100兆円程度増えました。その結果、日本の金融機関もさらに何かへ投資する必要があったのですが、ちょうど政府が景気対策として国債をバンバン発行してた事もあり、「日本の株・債券」を回避して「日本国債」を国内金融機関は購入していました。一方で当時は円キャリートレードが流行していた事や、円安誘導政策(特に日銀砲)が取られていた影響で、日本の海外投資が盛んになりました。この時期の国内金融機関の投資は、本来であれば投資すべき「日本の株・債券」に全然投資されずに日本国債や外国投資へお金が回ったのが、大きな問題であったと言えます。
まぁでも当時の日本は、車や電子機器等の輸出産業の輸出拡大をエンジンにして日本経済を立て直していたので、当然政府は「円安」に誘導しようとするわけです。ところが、それが結果的に「日本の株・債券」へ資金が回らない一つの要因になっていたのだと思われます。「日本を投資立国に導きたい」というのであれば、確かにこの手法もアリだったかもしれませんが、現政権はその辺をどう考えているのでしょうか。今までの経済閣僚の発言から察するに、民主党はおそらく内需主導の経済構造を作りたいと思われますが、だとすれば「外国への投資に課税」とか「円高誘導」等、外国への投資を抑える政策を打つのかどうか、興味のあるところです。


us_cashflow1.jpg
そして、↑に最近のアメリカのキャッシュフローについても見ていきましょう。現在のアメリカも、失われた10年時の日本と同じく家計の預金額が急増中です。ただ、日本の投資と違う点は「ほとんどの資源がドル建て市場」という事です。よって、日本の場合は「円高」「円安」によって資源投資に大きな影響を与えますが、アメリカの金融機関はその辺の影響がほぼありません。
現在のアメリカは米国債が発行できず、バランスシート不況のせいで米国の株や債券への投資も伸び悩んでいて、しかも財政赤字や超金融緩和政策によってドル安が進んでいます。よって、アメリカからの(特に「経済成長率」「金利」の高い発展途上国への)国外投資が増えるのではないでしょうか?もっともアメリカの場合は、ドル安を嫌ってドル資金を国内に滞留させようとしても、これ以上の米国債発行はありませんし、バランスシート不況に入っているので米国株や債券もそもそも発行が少ないとなると、必然的に資金は資源に向かってインフレを起こしそうな気もするのですが……。

アメリカは、「(インフレを避けるために)なるべく国内資金を海外に投資しなければならない」という条件の下で、アメリカ本土の景気も上昇させなくてはならないわけで、こりゃ確かにアメリカの景気回復までには長時間かかるだろうなぁ、と思います。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 21:03| Comment(0) | TrackBack(1) | 経済

2009年11月06日

GDP 韓国・米国の2009年第3四半期は?

@【GDP 韓国・米国の2009年第2四半期は?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/31062186.html

本日は、↑@のエントリーの続きで2009年Q3の韓国と米国のGDPの詳細を見ていきましょう。


us-gdp2009q3.jpg
まずは、↑のアメリカのGDPについてみていきましょう。2009年Q3の米国GDPは、ついにプラスとなり年率換算の経済成長率は3.53%と、数字としてはかなり良いものが出ています。さてそれでは、それぞれ個別項目についてみてみましょう。
まず最終民間消費支出ですが、前期比で750億ドル程度の増加となり、前期比1100億ドル程度のGDP増加に最も寄与しました。ここでは、最終民間消費の深堀はしませんが、景気対策法の効果がかなりあるものと思われます。ただ、アメリカは失業率が上昇中なので、政府の景気対策が無い限りは普通に考えると最終民間消費がそんなに増加するはずはないわけですよ。なので、最終民間消費支出については、景気対策法の効果がいつまで保つのかが鍵となるわけです。ところが、一部の施策(代表的なところだと「エコカー補助」)についてはすでに終了しているので、Q4の最終民間消費支出がどうなるのか注目です。もしQ4で最終民間消費支出が減少するようなら、すぐにでも世界経済の二番底が見えそうだよなぁ……。
民間住宅については、2009年Q3でようやく下げ止まり、Q2で底を打ったように見えます。ところが長期金利が上がり始めた傾向があるので、果たしてQ4以降も上昇気流に乗れるかどうかはよくわかりません。
民間企業設備投資については、↑@のエントリーで「Q2で底を打つかもしれない」と書きましたが、この予想は外れてしまいました。とは言うものの、民間在庫変動のマイナス幅が縮小しているので、今度こそQ3で底を打つ可能性が高いと思われます。
政府最終消費支出の方は堅調ですが、米国債がこれ以上発行できない状態が続くとなると、政府最終消費支出が今後は減少するような気がします。しかし、↑@のエントリーでも書きましたが、7820億ドルの景気対策法を考えたら、もう少し政府支出が増えていてもいいのになぁと思います。
そして、純輸出の方はマイナス幅が下げ止まりました。ここでは、輸出額と輸入額は掲載していませんが、それぞれ前期比で4.7%増と6.4%増となっていて、アメリカの景気が回復しているという兆候が読み取れます。もっとも、アメリカの産業構造を考えると、よほどドル安にならない限りは、景気が良くなれば良くなるほど貿易赤字が進むわけですが……。


skorea-gdp3009q3.jpg
そして、次は↑の韓国のGDPを見てみましょう。韓国はQ2に引き続いて、Q3も年率換算で2桁の経済成長率を達成した上に、GDP上ではリーマンショック前の水準を取り戻したわけで、他国からみたらアンビリーバブルな状況だと思われます。
ところが、↑の表を見てみると非常に興味深い事がわかります。2009年のQ2とQ3を見比べるとGDPが8兆ウォン程度増加している事がわかるのですが、何が支配的な要因で8兆ウォンも増加しているのかとGDPの内訳を見てみると、「最終民間消費支出」「設備投資」両方合わせて前期比で3.5兆ウォン程度増加しているのですが、残りの「建設投資」「政府最終消費支出」「純輸出」は前期比で2.5兆ウォン程度減少しています。つまり、非公表になっている「無形固定資産」と「在庫変動」で7兆ウォン程度増えていないと計算が合わないわけです。「無形固定資産」を見ると、年によってそこまで変動が無いので、おそらくは「在庫変動」が7兆ウォン程度の増加に寄与している事だと思います。
ここでは、2009年Q1〜Q3の「無形固定資産」が4500(10億ウォン)だと仮定して、「在庫変動」をGDPから逆算すると、

Q1:-5676
Q2:-10570
Q3:-4706
(単位は10億ウォン)

と推測されるわけです(↑の表中では赤字で記載)。いずれにしても、2007年Q2から溜め込んだ在庫変動分の総額が20兆ウォンぐらいあって、2008年Q4からの在庫変動分の総額が-20兆ウォンぐらいあるわけなので、そろそろ韓国は増産モードに切り替えるのではないでしょうか?これによって、生産量が増えれば失業率低下も期待できそうです。
韓国の今後の不安要素は、すでに政府支出が減少している事です。もともと韓国は、景気対策のため今年の前半に予算執行を集中させた事により、Q3はすでに「建設投資」も「政府最終消費支出」も減少しました。この傾向は引き続きQ4も続きますので、この減少分を他の何かでカバーできるかどうかが問題となります。とは言うもののおそらく韓国のQ4では、在庫変動が引き続き大きく改善し、生産が増えることにより設備投資も増えるため、しばらくは好循環が続きそうな気がします。この状況を維持するために、韓国政府は引き続きウォン売りドル買いの為替介入を続けるという戦略なのでしょう。
韓国は外貨が尽き掛けてデフォルトしかけていたところを、「ウォン安を逆手にとって貿易黒字を拡大させ、しかもウォン安を維持するためにウォン売りドル買いで外貨を増やす」という一発逆転の離れ業をやってのけたわけで、おそらく韓国にとっては計画通りのシナリオだったのでしょう。まさかここまで上手くいくとは、俺も予想外でした。


そして、再来週はいよいよ日本のQ3のGDPが発表です。日本のQ3のGDPが発表されたら、国際収支を含めて各国比較をやってみようかと思います。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:01| Comment(10) | TrackBack(0) | 経済