2010年03月25日

脱官僚

【東大:2983人が卒業 進む「脱官僚」 高まる外資人気】
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20100325k0000e040055000c.html

実はこれも省庁によって随分違うのだけど、財務省や外務省のキャリア官僚は今でもほとんどが東大出身じゃないのかな?(少なくとも、俺の代はそうだよね)
ところが、キャリア官僚に東大出身者に偏っているのは事務系キャリア官僚の話で、技術系のキャリア官僚(「技術系はそもそもキャリアとは言わない」という話もありますが)に関しては、もともと東大ばかりでもないんだよね。うちみたいな技術系の局なんかでも、東大出身の人なんて最近じゃ数年に1人程度しか入ってこないもんなぁ。

しかも、キャリア官僚とは聞こえがいいかもしれないけど、お給料がべらぼうに高いわけじゃないし、部署によっては帰宅できない日々が続くし、仕事によってはどんなに良い政策を打ち出しても政治家がうんと言わなければその政策も通らないし、あまり魅力のある商売とも思えないけどなぁ。(笑)
とは言うものの、例えば「経済界」「大学教授」「専門分野」みたいなスペシャリストな人達と仕事上でお付き合いできる、みたいな役得も確かにあるかもしれません。後は、日々いろいろな情報(仕事に直接関係の無い「経済」「外交」「政治」等々)も入ってくるので、いろいろな分野の豆知識は増えるかもしれませんね。(笑)


俺なんかも、「確かに外資系の方がお給料も良いだろうし、帰宅できずに朝まで仕事の日々が続くなんて事もないだろうから、官僚になりたくない気持ちもわかるな」と思います。
日本は諸外国と比較すれば、国の力よりも民間の力が強い国ですので、労働組合や経団連等々が反発するような政策はなかなか理解が得られません。そのため旧自民党政権では思い切った政策がなかなか打てなかったという事もあります。ところが、今の民主党政権の打ち出す政策を見ている分には「政府権限を強めたい」「政策実行に対していちいち根回しなんかしない」という思いもあるようですので、政治主導で優秀な官僚を登用するために何か思い切った事をやれないですかね?
(とはいうものの、支持母体である労働組合から圧力で、多分やれないでしょうね……。)



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2010年03月19日

今年度は引継ぎが大変

役所によって、多少違うけれども基本的に国家公務員は、2年くらいで違う部署に異動します。俺の場合は、かなり技術的な職場なので異動周期が多少長い事もあり、6年働いているにもかかわらず、まだ1回しか異動していないのですが、この4月でようやく2回目の異動です。

最初の配属先は、ほとんど研究職みたいなものだったので4年間も大学の延長線上の生活でしたが、次の2年間(現在の部署)は「法律改正」「政策評価」等々の仕事する役人部署でした。そして4月からは、再び技術的な仕事をする事になりそうです。

さて、どの部署にいてもそうですが、異動の際は引き継ぎ資料を作ります。実は今年に関しては、この「引継ぎ資料の作成」がかなりの曲者になりそうなので、今から頭を抱えていたりします。というのも政権交代に伴って、従来からの仕事のやり方が変わってしまったために、今まで代々引継がれていた資料を全面的にリニューアルしなければいけません。しかも、現政権からの官僚側に依頼されるいろいろな作業は、大抵は〆切直前まで作業内容は明らかにされないので、まだ動いていない案件(例えば事業仕分け第2弾とか)を引継ぎ書にどう書いていいやら困るんですよぇ……。


4月からはあまり政治や経済とは関係のない部署なのですが、7月の選挙結果によってはまたまた仕事のやり方が大きく変わるんでしょうかねぇ……。どうなることやら。



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2010年02月13日

安かろう悪かろう

実は自分の持っている仕事で、外部に発注する案件があります。今問題になっている天下りしている財団法人への発注とかではなく、いたって普通の発注案件なのですが、非常にやっかいな事に頭を悩ませています。

役所が発注する業務は、特段の理由(「特許」とか、「その会社でしかできない」等々)が無い限りは、役所側の意思で受注者を決める随意契約ではなく、競争入札(価格競争する事により、一番安く請け負う会社が受注する)を行う事になるわけです。

当然、自分の持っている発注案件は随意契約ではなく、競争入札によって受注会社が決定したのですが、この会社があまりまともな仕事をしないので、非常に困ってるんですよ。入札結果を見た時は「おっ、こんなに安く受注してくれる会社があるんだ。」と思って嬉しかったわけですが、実際に仕事をやらせたら仕様書に書いてある事すらまともにできずに、毎日毎日こちらが指示を出していて、他の仕事がまともに進まなくなっているわけです。


最近はこのように、「安く受注したは良いけど、まともな仕事をしない会社が増えている」と他の部署の人も言っていたけど、こういう現象もデフレの要因になる一つなんですよねぇ。同品質で値段が下がるならまだしも、品質も値段も下がるようだと役所側としては非常に困ってしまいます。
さらについ最近、年度末が近づきもう発注ができなくなるにもかかわらず、12月終わりにある案件を格安で受注した会社が「やっぱりこの業務はできません」と言ってきて、他の部署の担当者がカンカンに怒ってた事もあったなぁ……。(笑)


やはり、実際の担当者としては、こういう「安かろう悪かろう」の会社とはあまり付き合いたくないものです。



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2009年12月20日

国家公務員の職制

【総合職・一般職って何? 「職制」は会社によって違う】
http://www.asahi.com/job/2011/nani/OSK200912110086.html

俺は大学院博士課程の進学が決まっていたにもかかわらず、国家公務員試験を受験したら予期に反して合格してしまい、急遽博士課程進学を辞退して国家公務員になったので、一度も民間会社への就職活動を行った事がなかったりする。なので、実際のところ民間会社の「総合職」と「一般職」のイメージがよくわからないのだけど、現在の国家公務員には「T種」「U種」「V種」という区分があります。公務員の場合にはこれからどう制度が変わるのか不確定なところもありますが、今日は現状での実態と思うところを書こうかと思います。

現在の日本の国家公務員制度では、「T種」(キャリア官僚)の枠で入省すると幹部候補生としてのキャリアパスを辿る事になります。「T種」の人は、たくさんの部下の上に立った上で、広い視野で物事を予測したり判断を求められる仕事をする事が求められます。よって、いろいろな部署や組織で経験を積まされる事になるため、全国転勤や頻繁な異動をさせられたり、政策の企画立案等の制度作成やルール作りを担当する事が多いと言えるでしょう。
「U種」の枠で入省すると、「T種」の人ほど上のポストに行く事は稀ですが、その分スペシャリストとして現場で政策を実行することになります。とはいえ同じ「U種」と言えども、地方局や出先の事務所に勤めて現場のプロフェッショナルになる人もいれば、霞ヶ関に勤めて法律改正のプロフェッショナルになる人もいて、窓口は非常に広いといえます。
「V種」は、基本的に地方の出先機関に勤める人で転勤はあまりなく、定型的な業務を行い行政を支える「縁の下の力持ち」という仕事を行うことが多いようです。
ちなみに、俺が入省した年は「T種」が600人程度、「U種」が3500人程度、「V種」が1500人程度の採用があったような記憶があります。(昔に比べると、随分「T種」の人数比が多くなったとの事です。)

自分の職場の職員を見ていて思うのですが、元々「T種」「U種」「V種」の役回りが違うため、同じ土台で仕事を比較するのは難しいのですが、「T種」の人がどんな仕事に対しても「U種」や「V種」の人よりも優秀かと言われると、決してそうでもありません。現場の実情は、「T種」の人よりも「U種」や「V種」の人の方が詳しいし、「T種」の人は異動でまったく未知の仕事をされるケースが多いので、異動したての時期はまったく役に立たない事もしばしばです。実際、俺も法律関係の部署に異動した時は「俺はここの部署で仕事がきちんとできるのだろうか?」と心配になった時期もあって、案の定隣の席の人が法律の専門家だったので、その方に随分苦労をかけさせてしまいました。
なので、現在の制度では「U種」や「V種」のスペシャリストが、「T種」であるゼネラリストを支えているという構図になっているわけです。

もちろん、この制度が100点満点だとは我々も思っていないのですが、それに代わる制度が「人事管理」「業務効率性」等々の諸問題を全てクリアできるかというとそれもまた難しいので、なかなか現在の公務員制度をがらりと変えられない事情もあります。(とりわけ上の年代の人には、現在の公務員制度を変えたくない真の理由もあるのかもしれませんが……)
確かに、どうやっても仕事のできない少数の「T種」の人がいるのも事実ですし、何でこの人を出世させないんだと思う「U種」や「V種」の人もいます。現在の公務員制度では、「適材適所ができない」という意見もあるので、いろんな議論を通して今後は変わっていくものと思います。

ただ、公務員に限らずとも「平社員では優秀なのに、管理職に向いていない」とか「平社員では優秀じゃないのに、管理職に向いている」というようなケースも多々あるわけで、人事管理ってすごい難しいのだろうなと思いますよ。
俺個人について言えば、出世しなくていいから、経済社会研究所でGDP等の統計表を作ったり、産業総合研究所で日々研究三昧の生活が送れればと思っているのですが、「T種」の人の場合「ここに異動したい」とか「こういう仕事がしたい」と身上書に書いたところで、その希望は到底かなえてはもらえないわけですよ……。
中には、衆議院や参議院の選挙に出る人とか、外資系の会社とか大学の教授に転職する人もいるのですが、果たして自分はどうなるんでしょうかね?もう数日で30代に突入するのですが、(もし転職するのであれば)いろいろと今後の進路をどうしようか考える時期でもあるのかもしれません……。



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2009年10月06日

発案者は大臣か官僚か?

【成長戦略会議設立へ…内需拡大の具体策検討】
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091005-OYT1T01330.htm

役人目線で考えると、前原国土交通大臣がこんな事を言うのは非常に奇妙なんですよ。というのは、この手の成長戦略物って今まで経済産業省とか、財務省が仕切ってやってたはずなんだけど、何で突然国土交通大臣が「直轄会議の議論を通じて道路やダム、空港整備に代わる成長策を模索する」という大義名分を掲げて、こんな事を言い出したのでしょうか?

俺が思うに、これは十中八九官僚側の発案だと思うんだよな。というのも、これは大臣直轄の会議であるので、ここでの意志決定はほぼ国土交通省としての決定を意味するわけです。ご存知の通り国土交通省は、民主党政権の下で間違いなく一番冷や飯を食わされる役所なわけで、これからどんどん予算が削られるでしょう。よって、まだ経済産業省や財務省が長期戦略を立てる前にこういう会議を立ち上げてしまい、「国土交通省としては、○○や××を今後推進していく」というようなものを打ち出して、予算のイニシアチブを取ろうとしているのではないでしょうか?国土交通省としては幸いな事に、これは大臣直轄の会議なので、財務省もここでの決定を覆すのは難しく追認せざるを得ないでしょう。

「予算削減政策が大きく動き出す前に、大々的に次世代の公共事業を打ち上げる」という国土交通省の作戦ですが、果たしてこれは前原大臣の発案でしょうか?どうも俺から見ると、「役所理論に精通している官僚の策に前原大臣が乗ってきた」というような感じを受けるのですが……。(当然、官僚側から大臣への説明は「内需拡大のために、道路・ダム・空港整備に代わる成長策を模索する」という説明の仕方だったのではないかと思いますが。)



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2009年10月01日

末端職員への影響もそろそろ

シルバーウィーク直前に大臣が交代したという事で、うちの新大臣は矢継ぎ早にあれこれいろいろと指示を出しているので、それに関するニュースがいろいろと世間の注目を浴びている次第。そんな中、シルバーウィークも終わって、いよいよ末端職員にもいろいろな負荷がかかってきました。

通常は大臣にあげないような規模の小さな案件まで、大臣が「直接見たい」と言うのはそれはそれで良い事なのかもしれませんが、それに関する仕事の進捗にストップがかけられて身動きの取れない状態になってしまい、現場が混乱し始めてきました。
「そういう大量の案件を見る時間があったら、社会問題として毎日大きく取り上げられている○○とか××に時間を割いた方が良いんじゃないの?」と個人的には思ったりもするのですが、まぁこれが「政権交代」なんでしょうね。

俺なんかは、まだ終電時間前のまともな時間で帰れるからいいのだけど、最近帰宅していない激務部署に所属している同期の顔を見ると心配になります。



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posted by きらっち at 20:29| Comment(17) | TrackBack(1) | 仕事

2009年08月08日

「何で今頃?」と思う役人仕事の一例

【新経済成長戦略をマンガでPR 経産省、中高生に狙い】
http://www.asahi.com/showbiz/manga/TKY200908040404.html

【「新経済成長戦略」の改訂 フォローアップと改訂 本文(PDF形式:16,746KB)】
http://www.meti.go.jp/press/20080919003/20080919003-4.pdf

経済産業省により2008年9月19日に改定された新経済成長戦略を解説するマンガ本がリリースされるらしい。当時、うちの役所でもこの新経済成長戦略に関係施策を盛り込もうとしていて、俺も末端の担当者として直接かかわっていたために、個人的にこのマンガ本を買おうかどうしようか悩んでいるところ。

まぁ国民にわかりやすく政策の意図をアピールするという意味では、こういう解説マンガ本を作って教育機関等への配布も良いとは思うんだけど、一方で新経済成長戦略の改定から11ヶ月程度の時間経過してからの解説マンガ本発行となるわけで、やはりタイミング的に随分遅いんだよなぁ……。
しかも、この新経済成長戦略を練っていた時期はリーマンショック前なので、当時想定していた経済情勢と現在の経済情勢はまったく違うわけですよ。一国民の視点から言うと、「何でいまさら新経済成長戦略を解説するマンガ本が?」と厳しいツッコミを入れたくなるところではあるなぁ……。


【未来開拓戦略】
http://www.meti.go.jp/policy/sougou/juuten/simon2009/simon2009_10-3.pdf

むしろ、リーマンショック後の2009年4月17日に閣議決定された↑の「未来開拓戦略」を解説するマンガ本をリリースする方が良いような気がするけどなぁ。(経済産業省の中では、すでにそういう話になっているのかもしれないけど、民主党が政権を取れば、解説マンガ本の発行は無くなるだろうね)


まぁ確かに、新経済成長戦略が改定後じゃないと、この解説マンガ本が発注できない事はしょうがない。ただ、2008年度予算は2007年の今の時期に要求案が固まるわけですよ。おそらく2007年当時は経済成長戦略を改定しようなんて話もなかっただろうから、当初からこんな解説マンガ本を発行するためのお金を要求していなかったはず。
となると、2008年に2009年度予算を要求するときに、この解説マンガ本作成費を一緒に予算要求してるのだろうから、実際に解説マンガ本を発注に出したのはおそらく今年度に入ってからなんだろうな。

という感じで、役所の予算プロセスに従うと、どうしても1年程度のタイムラグが出てきてしまうわけですよ。俺としては、役所で何かの時のためにすぐに使える予算をある程度確保しておいた方が良いと思うのだけど、「役人に自由にお金を使わせるなんて言語道断!」という世間の厳しい目もあるので、こういう解説本等々の付属物は大抵1年遅れになるんだよね。


さすがに、民間企業並みの機敏な予算執行までとはいかないまでも、1年もタイムラグが出るのはどうかと思うんだよなぁ……。そういう視点からも、「行政サービスの質の向上」を考えた方が良いと思うのだが……。



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2009年07月28日

GDPから見た公務員数の考察A

【GDPから見た公務員数の考察@】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30516486.html

という事で、シリーズ第二回目になります。最初に訂正しなければいけない事があって、↑の@で「日本の国家公務員数」が間違っておりました。国家公務員の「総数」と「特殊法人職員数」が逆になっていたため、「国家公務員一人当たりのGDP」の値も間違っておりました。このエントリー執筆後に、修正いたします。申し訳ありませんでした。


という事で、@の方では各国の公務員数と購買力平価によるドル換算GDPを元に、各国の国家公務員と地方公務員一人当たりのGDP(政府最終消費)を比較しました。今日は日本の国家・地方公務員のみですが、一人当たりのGDPと中央/地方政府の総支出(政府最終消費と公的固定資本形成)の推移を追っていこう。
前回の各国比較では、公的固定資本形成を考えていなかったのですが、今回でそれぞれ国家公務員と地方公務員の一人当たりのGDP寄与分がはっきりわかります。


GDP_government-expenditure.jpg
まずは、1995年〜2007年の「名目GDP」「中央政府の総支出」「地方政府の総支出」を見てみましょう。ちなみに、ここでは
中央政府の総支出=中央政府による最終消費+中央政府による公的固定資本形成
地方政府の総支出=地方政府による最終消費+地方政府による公的固定資本形成
とします。この表を見ると、中央政府も地方政府も公的固定資本形成(公共事業)が減少する一方で、政府最終消費が増えています。特に、中央政府の政府最終消費の増加ペースが早くなっていますが、これは増える社会保障が支配的な要因なのでしょうか?
総支出を見ると、中央政府は増えていますが、地方政府では減っています。よって、1995年では500兆円程度のGDPに対して、中央政府は45兆円、地方政府は72兆円分の寄与があったわけですが、2007年では、中央政府が55兆円、地方政府が58兆円となっています。両政府の総支出は110兆円台をキープしているので、そこまで減少してるわけではないのですが、地方政府のGDP寄与率が年々落ちているのがわかります。結果的には、地方政府による総支出を減少させることで、増加する社会保障費の財源にしていたと言えるのかもしれません。



さてさて、国家公務員と地方公務員一人当たりで見ると、どの程度GDPに寄与しているのでしょうか?

【人は減る一方で仕事は増えるわけで……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30329179.html

実は、日本の国家公務員数と地方公務員数は、すでに↑のエントリーで調べているわけなので、この数字を元に国家公務員と地方公務員一人当たりの中央/地方政府の総支出を見てみよう。

GDP_per_ps.jpg
これを見ると非常に面白くて、国家公務員一人当たりでみると「GDP」も「中央政府総支出」も共に増加傾向があるんだけど、地方公務員一人当たりでみると「GDP」も「地方政府総支出」もほとんど変動がないわけですよ。国家公務員も社会保障費の増加がなければ、地方公務員くらいに安定するのかな?

しかし2007年の「国家公務員数一人当たりの中央政府総支出」「地方公務員数一人当たりの地方政府総支出」を見ると、国家公務員一人で9000万円、地方公務員一人で2000万円のGDPを生み出している事がわかる。前回の@でも書いたのだけど、他の国と比較すると、やっぱ国家公務員の一人当たりの政府総支出の割合が高いような気がするんだよなぁ。これには、以下の2つの可能性があると思う。

1.中央政府総支出に対して国家公務員数が少なすぎる。
2.国家公務員数に対して中央政府総支出が多すぎる。

確かにどちらの要因もあるだろうけど、政府から地方への「交付金」とか「補助金」みたいに、日本の場合は中央政府から地方政府へのお金の流れが、他国と比較するとその割合が多そうな気はするんだよな。(あくまで、数字に基づくわけでなく感覚的な話だけど)

地方分権の観点から見ると、国家公務員一人当たり9000万円と地方公務員一人当たり2000万円は非常にバランスが悪いので、この割合を1:1にすべきなんだろうけど、果たして経済的に見た場合はどうなんでしょうか?この辺は世論に流されず、あくまで「経済」にこだわって今後もじっくり検討してみようと思ってます。

というわけで、これに関係する話は「GDPから見た公務員数の考察B」へ続きます。




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posted by きらっち at 22:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 仕事

2009年07月13日

GDPから見た公務員数の考察@

【人は減る一方で仕事は増えるわけで……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30329179.html

今日は、↑のエントリーで予告した公務員数に対するGDP考察の第一話です。↑のエントリーでは、「国会議員」「地方議会議院」「自衛隊」みたいな公務員の中でも特殊な地位の人(いわゆる特別職)の数は含まれていなかったんだよね。実際にこの辺の分析をしようと思うと、そういう特別職も含めた公務員数が必要になるなと思い、いろいろ調べていたら内閣府の方で良い資料がありました。

【内閣府経済社会総合研究所 公務員数の国際比較に関する調査】
http://www.esri.go.jp/jp/archive/hou/hou030/hou021.html

という事で、↑のページには自衛隊や議員さん、さらには特殊法人や政府系企業の職員数を含んだ公務員数が掲載されており、しかも日本だけでなく、イギリス、フランス、ドイツ、アメリカの数値も出ているので、これをベースに考えていく事にしよう。


collect2.jpg
さて、まずは各国の公務員数から見ていこう。↑が先進5カ国の公務員・政府系企業の職員数です。2004年や2005年時点の数字なので最新版ではないのですが、公務員の数というものは、劇的に急増したり急減するものではないので、とりあえずはこの時点の物で考えたとしても、ある程度今の現状を反映しているものと思う。

さて、この表を見ると日本の公務員数は、日本より人口の少ないフランスやドイツよりも少ない事がわかります。もともと「日本は公務員の数は少ない」とは言われているものの、確かにこの数字はそれを裏付けるものとなっている。


そして、次に各国の2004年/2005年当時の経済規模(GDP)を見ていきましょう。ちなみに、この手の調査を行おうとすると、ネックになるのが各国の物価の違いなんだよな。話を単純化して、思いっきり簡単な例を出そう。(正しい経済学とは、多少ズレますがそこはご勘弁を)
例えば、日本でキャベツ10個を100円で売る。この時日本のGDPは10個×100円=1000円がカウントされる。一方、アメリカでキャベツ10個を0.5ドル(50セント)で売る。この時のアメリカのGDPには10個×0.5ドル=5ドルのGDPがカウントされるわけだ。
今、円ドルの為替レートが1$=100円だったとしたら、日本だと10$、アメリカだと5$分のGDPがカウントされる事になり、同じ行為をするにしてもGDPへのカウントが不公平になるわけです。

これを是正するために、通常の円ドル為替レートではなく「購買力平価」に基づくレートがよく使われる。購買力平価とは、世界中で「同じ物は同じ価格」(一物一価)で購入できるとする考え方で、上記のキャベツの例だと1$=50円となるわけだけど、そうすれば日本の場合もアメリカの場合も同じ5$分のGDPがカウントされるわけです。これによって、購買力平価で見た場合は1$=100円ではなく、1$=50円でドル換算されるので物価の影響をほぼ排除できるわけです。
当然、キャベツだけで購買力平価によるレートの算出はできないので、通常は各国において、↓のサイトに示すとおり、様々な物やサービスの価格を統計を取って購買力平価によるレート算出を行っているんだよね。

【国際比較プログラム(ICP)への参加】(参考リンク)
http://www.stat.go.jp/info/meetings/icp/index.htm

ちなみに通常の為替レートと購買力平価によるレートが異なる理由は、国家間での通貨取引は「物やサービス」のみでなく「投資」や「投機」の目的もあるため、各国の金利や利子・利回り等々の違いも為替レートに寄与する事が一つ。また、貿易されない財やサービスが存在すること等々が理由として考えられると思う。


さて、前置きが長くなってしまったけど、この購買力平価でドル換算して、物価変動を除去した各国の実質GDPを↓にあげよう。
realGDP_ppp.jpg
さて、OECDの資料では、「固定資本形成」を「公的固定資本形成」と「民間固定資本形成(住宅投資、設備投資)」に分けていないので、政府の公共事業も一緒にカウントされてしまっている。よって、実際に政府が支出した分のGDPは完全にはわからないのだが、後日にそれがわかる資料が手に入れば修正します。
まずは今回、購買力平価によるドル換算で「GDP」=「民間最終消費」+「政府最終消費」+「総固定資本形成」+「在庫変動等」+「純輸出」として、それぞれを掲載しました。


そして、いよいよ先進5カ国の「国家公務員一人当たりのGDP」「地方公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」を見てみよう。ちなみに「政府最終消費」については、国の支出と地方自治体の支出が混ざっているので、国家公務員一人当たりと地方公務員一人当たりで分けて考えることはしない。また、前述のように公的資本形成は「総固定資本形成」に含まれるので、各国ともに公共事業に対する支出分は政府最終消費には含まれていない。ただ、公的資本形成のGDPに対する割合が、日本だけむちゃくちゃ多いということでもないような気がするので、大きな傾向を見る上ではこれでも良いかと思う。
collect1.jpg
さて、↑の結果を見ると、日本の「国家公務員一人当たりのGDP=(GDP/国家公務員数)」は他国よりも大きいことがわかる。「全公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」は、他国と比較しても大きな違いの無いところを見ると、「日本の国家公務員の数は、経済規模に対して少ない」という事がわかる。ふむふむ、すでに十分小さくて効率的な政府じゃないですか!
それぞれの国によって、国の仕事/地方の仕事/民間の仕事の仕分けに対する考え方は違うだろうけど、この数字だけ見ると国家公務員の給料を減らすならまだしも、「これ以上国家公務員の数を減らす合理的な理由はどこにあるんだ?」と思ってしまうけどなぁ。

さて、「地方公務員一人当たりのGDP」はドイツと同等程度である。これについてどう考えるかだけど、日本は他の欧米諸国と比べると地方分権が進んでいないと言われる。つまり、他国では地方自治体の行う事業を日本では国が行っているケースが多いはずなんだ。という事は、その分だけ地方公務員の人数が少なくなっていなければならないので、必然的に日本の「地方公務員一人当たりのGDP」は他国より大きい数字になっているべきなんだよね。ところが現実はそうなってはいないわけで、この辺りはいろいろと議論の余地があるんじゃないかな?今後も、もうちょっと詳しい資料や数字を調べてみようと思ってるんだけど、いずれ「経済規模から考える適正な地方公務員数」を定量的に考えてみようと思う。

そして、どうにもならないのはアメリカですな。(笑)アメリカは「全公務員一人当たりのGDP」「全公務員一人当たりの政府最終消費」が他国と比べるとかなり低いのがわかる。これはつまり、「GDPや政府最終消費に対して公務員の数が多すぎる」って事をあらわしているわけですよ。(特に地方公務員!)
ただ、「アメリカは公務員の給料が他国より安い」という話もあるので、「コストパフォーマンス」で考えると、また違う結論が出てくるのかもしれない。今後の考察として、「GDP/政府最終支出」と何らかの「コストパフォーマンス(公務員の給料)」の指標を合わせて、国家比較をやるのも面白いかもしれません。


今後も、不定期でこのシリーズについては書こうと思ってます。



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2009年07月05日

人は減る一方で仕事は増えるわけで……

【定員削減計画を閣議決定 国家公務員、10年度6千人】
http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009070101000904.html

まぁ、日本の総人口も減少してるし、団塊の世代がここ数年でごっそり抜けて労働人口も減少するし、当然公務員の数も減るわけですよ。この話題は、今後もいろいろ書き続けようとは思ってるんだけど、とりあえず今日は何かと話題の「公務員の職員数」について、まずはしっかり把握しておこう。という事で、日本の国家公務員の数と地方公務員の数について調べてみたので、このグラフを出しておこう。


national-public-servant_japan.jpg

local-public-servant_japan.jpg

とりあえず今日は人数を出すだけで、それ以上の深い考察はまた次回以降に回そうとは思うんだけど、国家公務員の方で2004年に数が急減したのは、非公務員型に移行した独立行政法人が主要因であろう。ただ、この独立行政法人を抜きにしても最盛期の1993年に比べれば、H19年度現在で8千人(10%)近くが減少している事がわかる。
そして地方公務員の方はというと、国家公務員とは一年遅れで1994年に最盛期を迎えて、その時期からH19年度現在で32万人(10%)近く減らしている。何の意図かはわからないけど、国家公務員の削減パーセンテージとシンクロさせてるような感じだな……。(笑)


さて、ここで上記のグラフを作るために使った総務省統計局の「日本の長期統計系列」を見てみると、国家公務員の年代別の職員数がH15年度まで記載されている。これを見ると、H15年度で「55歳〜59歳」(H21年度現在で考えると、そろそろ退職する人)の人数が、52258人となっている。つまり、ここ数年で考えれば1年当たりに10000人の退職者が見込めそうなので、2010年度(H22年度)の国家公務員6000人減って、新規採用をかなり圧縮してしまえば何とか自然減だけで達成できるような気がしないでもないような……。


という事で、この公務員数というネタは引き続き今後もいろいろな側面から考察していきたいと思います。今の段階でちょっと調べてみたいのは、世界各国の「GDP当たりの公務員数」とかね。(←果たして、その数字に何の意味があるかの議論はあるだろうけど)




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2009年06月23日

各地方自治体の地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使い道を紹介

ここ一ヶ月の本ブログのアクセス解析を見たところ、グーグルやヤフーで「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」のキーワード検索で本ブログに訪れる人の多い事がわかった。大体、平日1日当たり上記キーワードで7〜8アクセスくらいあって、ほとんどが地方自治体(*.lg.jp等々)からのアクセスである。

おそらく、この「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の一次申請〆切が6月末なので、この交付金を何に使おうか考えている自治体が非常に多いのだと推測される。6月も残り7日なんだけど、地方自治体に情報を提供する意味で、俺が見つけたいろいろな地方自治体の「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の使用例を紹介しよう。ひょっとしたら議会の関係とかもあってもう遅いかもしれないけど、どこかの自治体で何かの参考にしてくれれば幸いです。



【「臨時交付金」活用で理科の教材整備を 文部科学省が地方説明会】
http://eduon.jp/news/other/20090609-000812.html

【佐野市、小中学校にICT整備 国の臨時交付金、12事業を県に申請】
http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20090620/162832

文部科学省は「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」に関して、地方説明会をやっていたんだね。確かに、自分達の財源じゃないので、これを上手く利用して学校設備を整えたいのだろうね。
そして、栃木県佐野市は小中学校のパソコンやLAN整備等をするとの事。米百俵の話みたいに、この手の一時的に交付されるお金を子供達のために投資するのは美談になるし、良いのではないでしょうか?


【新型インフルエンザ:修学旅行38校見合わせ 交付金で補てんも /神奈川】
http://tinyurl.com/mbd66w

う〜む、神奈川県。何と言うかタイムリーな話題ではあるけれど、何だか本来の趣旨とは違うお金の使い方になりそうな……。(笑)まぁでも、確かにこの場合の損失補填は誰に請求するわけにもいかないし、「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」で補填するのは妙案と言えば妙案。果たして、何校くらいが申請して来るのだろうか?結果が非常に興味深い。


【和歌山県橋本市が追加補正予算案】
http://tinyurl.com/krngt7

【議会:小城市 /佐賀】
http://mainichi.jp/area/saga/news/20090612ddlk41010395000c.html

そして和歌山県橋本市や佐賀県小城市は、公用車としてのハイブリッド車購入、公立学校のパソコン整備や地デジ対応テレビ購入、そしてインフルエンザ用のマスク(7万枚)やゴーグル(200個)購入との事。マスクは数が多いのでまだしも、ゴーグルは誰のために購入したんだろう?医療関係者かな?ちょっと気になる。(笑)


【山形県 景気対策など重点に541億 県の補正予算案内示】
http://yamagata-np.jp/news/200906/18/kj_2009061800340.php

山形県はちょっと変わっていて、、「山形の宝育成事業」「総合ブランド戦略推進事業」「農林水産業創意工夫プロジェクト支援事業」等々、ただ物を購入するのではなく、新たな事業を立ち上げるとの事。いやぁチャレンジ精神旺盛なのがいいですなぁ。是非とも、その後の山形の発展に寄与する事業になる事を願うばかり。



【来年度も地域活性化交付金を=自民特命委が決議へ】
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009061600382

そしてこれはまだ決定事項ではないけれど、自民党の地域活性化特命委員会は、2010年度もこの「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」の継続を求める決議をまとめたとの事。やりたいことがあるのにお金が無くて困っている自治体には嬉しい話ではないのでしょうか?取り急ぎ、これは参考情報まで。



(参考エントリー@)【地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例集】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29578381.html

(参考エントリーA)【「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業」 注目の独自地方事業!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29244890.html
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2009年06月18日

恐怖の内閣法制局

【内閣法制局よ、お前は何者なのだ】
http://www.shinchosha.co.jp/foresight/200906/topic_02.html

いや、別に俺も江田議員と一緒になって内閣法制局を批判したいわけじゃないので悪しからず。「内閣法制局と付き合うのはこういう事だ」という良い例を出したかっただけ。(笑)


霞ヶ関に勤めている方はすでにご存知だろうけれど、内閣で法律を作成したり改正をする場合、まずその法律案を内閣法制局に審査してもらわなければならない。内閣法制局の審査を通った後に、議論の場は国会へと移されるわけだ。

ちなみに余談だけど、内閣立法ではなく議院立法に関しては、衆議院法制局と参議員法制局という組織があるらしい。(俺も行った事ないので、まったくわからないけど)

さて、内閣法制局で法律の審査をするのは「参事官」と呼ばれる課長級の方なのだが、上記の記事にもあるように、彼らは相当に厳しい審査をするので非常に有名。俺も昨年度初めて内閣法制局デビューをしたのだけど、法律案文を見せる前の段階として、改正しようとする法律案の意図を最初に説明したときに、「そんな法律はあり得ない!」「話にならん!」と散々に怒られた記憶がある。(笑)冗談じゃなく、法律1条に1時間以上かかるなんてのはザラで、良い意味で「法律」の重さを実感したわけですよ。
まぁ幸か不幸か、昨年度の俺の場合はいろいろと事情があって実際には法改正しなかったわけで、内閣法制局には数回怒られに行っただけですんだのだが、それこそ実際に法改正をやるとなると、「毎日午前様の生活が続く」とは先輩から言われてたんだよね。あんなのが毎日続くかと思うと、確かに憂鬱になるなぁ……。(笑)


ところで俺は、大学時代から法律なんて物はまったく関係ない世界を過ごしていたわけで、法律は公務員になってから初めて扱う立場になったわけだ。そんな俺が参事官とのやり取りを通して感じた事は、「内閣法制局に通う事はプログラミングと似ている」という事である。
法律で出てくる日本語の使い方なんかは、まさに歴然とした規則があるわけで、自分の組んだプログラム(法律文)をコンパイラ(参事官)がいつもはじいてしまって、なかなかコンパイルする(OKをもらう)事ができないわけですよ。(笑)
非常にやっかいなのが、このコンパイラは文法チェックだけでなくプログラム本体の思想にまで口を出してくるので、文法上は良くても思想の方のデバッグが非常に大変なんだよなぁ……。


ということで、今年度も再び内閣法制局に通おうと思ってるんだけど、果たして今度はどこまで怒られることやら……。(笑)
posted by きらっち at 19:48| Comment(7) | TrackBack(0) | 仕事

2009年06月03日

地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例集

【「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業」 注目の独自地方事業!】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29244890.html

先日の↑のエントリーで、平成20年度の二次補正で作られた2つの交付金について、その注目事業を書いたのだけど、平成21年度一次補正でも同様に「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」という地方自治体にとっては使い勝手の良い交付金制度が用意されている。実は、こちらの方の交付金は地方自治体への参考用として↓の事例集が用意されてるんだ。

【内閣府地域活性化推進担当室 地域活性化・経済危機対策臨時交付金活用事例集】
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/siryou/pdf/090428jireisyu.pdf

この事例集は、平成20年度二次補正の生活対策臨時交付金を対象に実施した事業の中で、各都道府県が推奨する159事例と、各府省の推奨する191事例を取りまとめたものであり、「地球温暖化対策」「少子高齢化社会への対応」「安全・安心の実現」「その他」の4つに分類されている。

さて、今日はこの事例集の中からいくつかの事業をピックアップして皆様に紹介する事にしよう。



pelette-stove.jpg
【地球温暖化対策 19.小学校へのペレットストーブ設置事業 愛知県豊橋市】
燃料のペレットも地元産で賄えるみたいだし、カーボンニュートラルって事で、石油ストーブよりは環境にはいいわけだ。ただ、果たしてこのペレットストーブで子供達への環境保護を意識付けできるかは厳しいんじゃないかな?そもそも、子供に「カーボンニュートラル」の概念を教えるのが非常に難しそう。(笑)
できれば豊橋市ではなくて、寒い地方でこの事業をやる方が環境効果の方もてきめんに効いてくると思うんだけどな。


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【安全・安心の実現 11.新型インフルエンザ対策事業 神奈川県座間市】
ちなみに、この事例集が公表されたのが4月28日。大抵この手の物は、その一週間前くらいからすでに事例集作成のために地方自治体にも照会をかけてるわけだ。って事は、日本で豚インフルエンザが大きく報道される前に、すでに神奈川県座間市は新型インフルエンザ対策の事業を昨年度の補正予算で実施してたわけで、非常に目の付け所が良かったような気がする。おそらく、秋以降に新型インフルエンザの第二波が来るだろうけど、座間市の取り組みでどの程度新型インフルエンザを阻止できるのか興味深い。


earthquake_system.jpg
【安全・安心の実現 13.緊急地震速報システム設置事業 宮城県多賀城市】
どこに緊急地震速報システムを設置するのかによるけれど、俺的にはこれもお金の使い方としては非常に良い感じがする。というのも、宮城県沖では四半世紀に1回くらいはM7クラスの地震が起きているので、おそらく間違いなくこれが役に立つ機会が近いうちにあると思うんだ。例えば、人の命にかかわる施設(手術室のある病院)とか、二次被害の怖い公共施設(ゴミ焼却場等)に設置すれば、非常に筋の良い話だと思う。


flexible_conttena.jpg
【その他 71.漂着ごみ等収納用フレキシブルコンテナ購入 長崎県対馬町】
確かに、対馬町で出来る事は対処療法しかないか。漂着ごみに関しては、日本政府から韓国や中国にはっきり抗議してもらう事が一番良さそうな気もするが。(笑)とは言いつつも、対馬の場合は町の財政に対して観光収入も無視できない規模だと思うので、景観維持のためにも漂着ごみの処理は大事なんだろうね。しっかしポンチ絵を見る限りは、凄いゴミの量だなぁ。


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【安全・安心の実現 26.小学校トイレ洋式化事業 福井県美浜町】
思わず、この事業には笑っちゃったよ。最近は和式トイレの使い方を知らない子供が増えてるわけかぁ……。「ある意味、和式トイレの使い方を教える方がよっぽど教育的なんじゃいの?」と、俺なんかは思ってしまうのだけど。(笑)


hero.jpg
【その他 17.商店街の情報発信PR事業】
そして、今回の事例集中で一番面白かったのがこれ。ポンチ絵を見るだけだと、一体何の事業なのかさっぱりわからないわけですよ。(笑)これは実際の自治体の事業例ではなくて、各府省の提案している事業なんだけど、こういう面白い物を出してくるのは経済産業省だと、俺は確信している。(笑)
しっかし、左の赤い人は既存のヒーロー像にマッチしてるんだけど、右の子はメイド喫茶でバイトしてる女の子に仮面をかぶせた様な感じなので、これは斬新なヒロイン像だよなぁ。(笑)



事例集の方を見ると、やはり地方からの推薦事業の方が、それぞれの地域独自の問題を解決するための事業がよく出てるし、より具体的な説明になってるんだよね。
国の提案事業は、よりマクロ的な視点で提案されている物が多くて、「実際の運用の仕方は地方に丸投げ」みたいな物が多いので、これじゃ確かに地方自治体にとっては扱いにくいかもしれないと思ったよ。(うちの局からも提案事業を出しているので、あまり大きなこと言えないのだけど。(笑))

ところで、この「地域活性化・経済危機対策臨時交付金」については、実際に地方がどんな事業を実施したかを追って本ブログでも取り上げたいと思っている。
posted by きらっち at 23:49| Comment(0) | TrackBack(3) | 仕事

2009年05月19日

「ふるさと雇用再生特別交付金」「緊急雇用創出事業」 注目の独自地方事業!

【ふるさと雇用再生特別交付金及び緊急雇用創出事業について】
http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/chiiki-koyou3/index.html

昨年度の補正予算で、「ふるさと雇用再生特別交付金」と「緊急雇用創出事業基金」という2つの基金が創設されたのを、みなさんはご存知でしょうか?この2つの基金は、地域の実情や創意工夫に基づいて、地方の雇用取り組みを支援するために設けられたものなんだ。上記2つの基金で総額4000億円(平成23年度末まで)のものなんだけど、国からの制約を受けずに地方が自由に使えるものであるので「一体、地方からどんな事業が出てくるのかな?」と思ってたんだけど、上記の厚生労働省のページが先日公開されて、各県の自治体がどんな事業をやっているかが辿れるようになった。

今日は自分の仕事の関係でこのページをつらつら見てたんだけど、「まさにその自治体ならでは!」の事業がいくつか目に付いたので、このうち4つの事業を紹介する。



○新品種の開発を目指す野生きのこの採取事業(北海道)
何かこの事業名だけを見ると、「この事業は、きのこ採りするだけで給料貰えるのか?!」と思ってしまうのだけど、事業説明を見たら「きのこの新品種の採取・探索調査、各種データ採取・整理」となっている。この説明だけだと、具体的には何するのかよくわからないけど、2ヶ月間の事業で3人の雇用を考えているみたい。
これで雇用された人は、好きなだけきのこ持って帰れるんじゃないの?!(笑)

○ブラックバス密放流防止事業(山梨県富士五湖町)
なるほど、富士五湖はブラックバスの密放流で困っているわけか。と思ったら、事業概要には「ブラックバス密放流防止パトロール、湖畔清掃等」と書いてあって、2人の雇用を考えているらしい。2人であれだけ広い湖を全て監視するのは非常に厳しいので、おそらくメインの仕事は湖畔清掃の方になるんじゃないかと思うのだが、いずれにしても観光収入の大事な町なんだろうから、確かに湖畔清掃も大事な仕事になると思う。

○化石クリーニング事業(熊本県御船町)
これ、最初に見たら「何の事業っ?!」って思わない?(笑)事業概要を見てみると、町がやっている恐竜博物館( http://www.mifunemuseum.jp/ )で化石クリーニング(岩石除去・破損箇所の修復)を行うもので、2人の雇用を考えているらしい。
これ、裏を返せばこういう機会が無い限り破損箇所修復の予算すら取れないって事なので、地方自治体の財政事情は相当に厳しいと推測できる。是非とも、クリーニングを成功させて来場者を増やして欲しい。

○ウェルかめ!MINAMI ふるさとイメージアップ支援事業(徳島県美波町)
これも時事ネタで良いねぇ。次期、NHKのテレビ小説「ウェルかめ」の舞台になっている徳島県美波町の事業で、「海岸・河川等の清掃や維持補修、側溝掃除や町有施設の維持管理のための作業」という名目で8人の雇用を考えているらしい。確かに「ウェルかめ」が始まる10月以降は観光効果が見込めるので、美波町の予算からじゃなくこの基金を使って清掃員を雇うというのは、良いアイデアかもしれない。



確かにいろいろな事業例を見ると、その地域の特徴に応じた事業がたくさんある。もちろん自治体の行う事業が全て成功するとは限らないのだけど、こうやってそれぞれの裁量で事業を決められるってのは、自治体の人にとってはありがたい事なんじゃないだろうか?(「めんどくさい仕事が増えて嫌だなぁ」とか「中途半端に裁量権が増えてもしょうがない」という人もいるかもしれないけど。)

きっと地方分権の流れは止まらないと思われるので、今後もこの手の交付金や基金が増えるような気がするけど、地方公務員の方々は自分のやりたい事業ができるので、やる気が上がるのではないだろうか?一方で、仕事も予算も減らされるであろう今後の国家公務員の方は、やる気が削がれる一方なのかもしれないなぁ……。

今日はそんな事を考えながら、上記の厚生労働省のHPからうちの職場に関連する事業の抽出作業をしておりました。
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2009年04月25日

省幹部を巡る旅

俺みたいな若造が、大臣とか事務次官の執務室に入る機会なんて、まずあり得ない。ところが、うちの局長が省の幹部にある案件を説明する機会ができて、俺もメモ取り要因として帯同することになった。別に俺が直接幹部に説明するわけではないのだけど、何故か俺までむちゃくちゃ緊張して、メモを取る手が震えちゃったよ。(笑)

「事務方で決めた話なので、すんなり通るのかな?」と思ってたんだけど、こちらにとっては痛いところを突かれた質問が出たりして、「さすが大臣!」と思ったわ。やはり、事務次官とか大臣みたいに物事を大局的に見る立場の人は、俺みたいな若造とは見る視点が違うと思ったよ。


再びいつの日か、大臣の執務室に入る機会なんてあるんだろうか?最初で最後の経験だったのかもしれない。
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2009年04月15日

政府の予算編成プロセス

役所の予算を所管してるのが財務省なのは、皆様もご承知の通りだと思うけど、この前民間会社に勤めてる友達から
「どうせ政治家を無視して財務官僚が予算配分を全部決めてるんだろ?官僚が自分の予算の使い方を自分で決めてる限り日本は良くならないのでは?」
と喧嘩をふっかけられたので、丁寧に反論したわけですよ。(笑)その議論を聞いて思ったんだけど、一般の人には役所の予算決定のプロセスがほとんど知られていない(誤解されている)のかと思ったので、今日は役所の予算決定プロセスについて書こうと思う。



【4月と5月の動き】
各省は新年度が明けて、すぐに次年度の予算作成の作業に取り組みが始まる。省庁によってもやり方は違うのだろうけど、
○予算要求における重点事項は何か?
○今までやってきた事業に関する政策評価はどうか?
○新規に始める施策は何か?
等々を各局内部で議論して詰めていく。


【6月の動き】
この6月から、「経済財政諮問会議」が予算編成プロセスにおいて大きく関与することになるので、まずはこの組織について説明する。

経済財政諮問会議とは、内閣総理大臣の諮問を受けて経済財政政策に関する予算方針を含む重要事項について審議する組織で、2001年の省庁再編の時に新しく設置されたんだよね。この経済財政諮問会議が、予算編成過程の改革、金融システム改革、郵政民営化、三位一体の改革、政策金融改革、規制改革、税制改革、経済成長戦略、歳出・歳入一体改革等々の数々の改革を推し進めた経緯がある。
ちなみにメンバーは、内閣総理大臣や主要大臣を始め、日銀総裁や民間出身の有識者4名で構成されている。ちなみに、経済財政諮問会議のHPは以下の通り↓。

【経済財政諮問会議HP】
http://www.keizai-shimon.go.jp/


さて、話を予算編成の流れに戻そう。この経済財政諮問会議は、概算要求が始まる前の6月末くらいに「経済財政改革に関する基本方針」という物を閣議決定する。この「経済財政改革に関する基本方針」は、通常「骨太200X」(去年は骨太2008)と呼ばれていて、予算編成面という視点から見ると、8月末から始まる概算要求に対する査定基準の指針になる物なんだ。なのでこの骨太200Xに、「○○の整備を重点的に進める」みたいな事が記載されるだけで財務省への説明が非常にスムーズに運んで、予算もちゃんと付くわけですよ。なので各省庁とも、骨太200Xに自分の業務が掲載されるのを固唾を呑んで見守っているわけですよ。ちなみに、実際の閣議決定文章は↓の通り。

【経済財政改革の基本方針2008(骨太2008)】
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0627/item1.pdf

この骨太200Xの策定の際に各省にも照会はかかるので、省側から文言の修正依頼も出せるが、基本的には政治家(与党)主導で作成されるために、必ずしも修正を受け付けてもらえる保証はない。(昨年、俺の組織は修正を受けつけてもらえなかった)いずれにしても、この骨太200Xが予算要求における一つのキーになる。



【7月の動き】
そしてこの骨太200Xの策定作業が終わり、7月に入って経済財政諮問会議はその年のGDP等の経済指標の見通し見直しが行われる。この作業は、経済成長率等の指標を最新版に見直した上で、4名の民間議員が次年度の経済見通しを経済財政諮問会議に提出する事で、実際の予算編成につなげるものである。その後、この民間議員が提出した経済見通しを踏まえて、財務省が概算要求基準を作り経済財政諮問会議に諮る事になる。概算要求基準とは、具体的には各省に対して概算要求の上限を示すものであり、「シーリング」と呼ばれている。まぁ、ちょくちょく新聞にも出てくる言葉だよね。この上限値も経済財政諮問会議で議論されるものである。ちなみに↓が実際に昨年、経済財政諮問会議に提出されたもの。

【平成21年度概算要求基準について】
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0729/item1.pdf



【8月〜10月の動き】
これらの経済財政諮問会議の行う種々の議論を踏まえて、8月末から各省の概算要求が始まるという事で、官僚の暑い夏はここからが本番を迎える。この時期に何回財務省まで足を運んだ事か……。(笑)

ちなみに、この時期は経済財政諮問会議としてのルーチンワークが途切れる事もあり、「税制改革」「社会保障改革」「規制改革」「中長期的な経済成長戦略」等々の様々な議論が展開される。ちなみに、去年は「補正予算」とか「金融情勢」に関する議論が多かったような気がする。



【11月の動き】
概算予算要求が一息ついたこの頃に、経済財政諮問会議で「予算編成の基本方針」が議論される。これは、骨太200Xを踏まえて、政府の予算編成作業に先立ち、予算の基本的な考え方を明らかにするのが目的。俺みたいな下っ端から見ると、「骨太200Xとは何が違うのか?」と思える事もあるんだけど、やはりここでも、自分達の行っている事業が掲載されると予算獲得においては非常に有利になるらしい。(そもそも、11月末だと財務説明もほとんど決着してるようにも思うのだが)
ちなみに、昨年の実際の文章は↓の通り。

【平成21年度予算編成の基本方針】
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/1203/item7.pdf



【12月の動き】
予算編成の基本方針の策定も終わり、財務省の方も政府予算案作成に対していよいよ大詰めを迎える。大体クリスマス頃に、財務省からの予算案についての内示が届くのだけど、政府財政も苦しい中、うちの組織はここ数年まともなクリスマスプレゼントが無い状況が続いている……。(泣)

経済財政諮問会議の方は、財務省の予算案内示と同時期に「経済見通しと経済運営の基本的態度」を議論して閣議決定する。これは、政府予算案が実際に執行される頃の経済状況を予測するという意味があるのだが、昨年は「経済見通しと経済運営の基本的態度」ではなく、代わりに「経済財政の中長期方針と10年展望」という物を打ち出した。中身は例年やっていた「経済見通しと経済運営の基本的態度」とは違い、中長期的な展望と財政再建のための道筋が述べられている。今後、この10年展望の策定が毎年続くのかどうかが注目される。



【1月〜3月の動き】
財務省の予算案が政府案として閣議決定されて、国会へと提出される。その後、国会でいろいろと議論され、国会議決を元に次年度の正式な予算となる。



これを見ると役所の予算編成に関しては、決して役人だけで勝手に予算を決めているわけではなく、民間議員を含めた経済財政諮問会議が大きな役割を果たしているのが分かると思う。省庁再編前までは、それこそ旧大蔵省が非常に大きな権限を持っていたので、概算要求基準の発表前に予算編成の方向性について議論されることは無かったし、予算の大蔵省原案が提出されるまで、予算編成の基本方針が策定されるということも無かったわけだ。そういう意味からすると、政府の予算決定プロセスは政府外の人も関与できるようになったし、予算方針の議論もよりオープンになっているという事が言えると思う。

まぁ我々の仕事は、政権与党がどうなるかでがらっと仕事のやり方が変わるので、予算編成に関して今後もこのようなプロセスを行っていくかどうかはわからないけど、現状は上記の説明のようなプロセスを経て、政治家や政府外有識者の議論も踏まえつつ、じっくり次年度の予算を決めていくわけですよ。




と、本エントリーの最初に登場した友達に説明したところ、「1年の予算編成に1年間の時間をかける事自体、俺には理解できない。何で2ヶ月くらいで決められないの?」と、ばっさり言われちゃったわけですよ。(笑)
「80兆円分の予算を2ヶ月くらいの短時間なんかで決めようとすると、それこそ官僚主導になるのでは?」と思うのは、俺だけでしょうか?(笑)
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2009年04月11日

余裕のなくなる役所

俺は、霞ヶ関勤務でなく地方勤務の国家公務員ですが、今の部署はちょくちょく霞ヶ関出張があるわけです。出張業務は、主に打ち合わせが多いんだけど、打ち合わせ内容は非常に様々で「法律改正」「政策評価」「合議・協議」「決裁説明」等々あるわけですよ。たまたま昨日の金曜日も霞ヶ関出張で、いろいろな人に説明をしてきたところなんですが、気づいた事が一つ。


役所が重要な決定を下すときは、霞ヶ関の偉い人に決裁をもらいに行くわけですが、昔に比べると決裁に行く人が随分少なくなってるなと。5年前の同じ業務の時には、幹部官僚や大臣等々20人くらいに決裁をもらった案件が、今回は10人くらいで良いとの事で、ちょっと拍子抜け。確かに、最近は役所の方も昔より余裕がなくなっていて、簡略化できるものは簡略化しているのだろうけど、こういうところで「余裕の無さ」が目に見えてわかる。てっきりお役所は前例主義かと思っていたところもあって、ちょっとびっくり。

確かに閣議決定みたいに規模の大きい案件になると、決裁人数が100人を超えるのもあって(もちろん並行決裁だけど)、しかも政治家の先生に事前説明みたいな事もするし、その辺りはきっちりやるんだけど、小さい案件はおざなりにされる傾向があるように見える。


うちみたいに小さい役所にとっては、面倒くさい事をしなくていいならそっちの方がありがたいけど、「本当にこれでいいのかな?」という思いも若干残る。まぁ、役所の仕事も時間と共に変わっていくのだろうけどねぇ。
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2009年04月08日

内部の人しかわからない話

おいおい、待機がかかって深夜まで残業したし、財務説明にも行ったし、経済産業省に協議したにもかかわらず、「成長戦略」が立ち消えかよ!(詳しくは本日の朝日新聞朝刊第5面をご参照)

1月から進めてきたのに、何ともやりきれない想いでいっぱいだよ。所詮われわれの仕事は、政治家にいとも簡単にひっくり返されるわけか。(笑)



まぁ、同じような依頼が山ほどあったので、いずれこうなるんじゃないかと踏んではいたが……。
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2009年04月05日

2009年度一次補正

金曜日、急に経済対策案件が動き出す。待機がかかるのはしょうがないけど、土曜日の朝8時半まで待機解除が出ないなんて初めての経験だよ。さすがに、24時間連続勤務は疲れるわ。(泣)

そもそも、出勤後のわずか数時間で他局や他省庁との調整が済むとは思えないのに、〆切だけは尋常じゃなく早かったんだよなぁ。もうちょっと、早く依頼を出せばいいのにと思うんだけど……。
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