まずは、電子マネーを導入する「メリット」と「デメリット」について思いついたところをあげてみます。
【メリット】
1.電子マネーを持っている客の囲い込める
2.決裁時間短縮とレジ打ち間違い防止
3.お客の購買データをマーケッティングに活かせる
4.レジに多額の現金を置かずに済む
【デメリット】
5.電子マネー発行会社に手数料を取られる
6.電子マネーリーダの設備投資が必要になる
7.現金化までに時間がかかる
8.店員に電子マネー決済の教育が必要になる
まぁ、細かいものもありますが、こんなところですかね?さて、それではこれらのメリット/デメリットから、マクドナルドとモスバーガーの戦略の違いを読み取ってみましょう。
まずは、マクドナルドについてです。マクドナルドの場合、商品単価があまり高くないので、お客が会計にもたついてしまうと回転率が落ちてしまいます。特にマクドナルドは、後ろの厨房でたくさんの人がハンバーガーやポテトをジャンジャン作っているので、モスバーガーみたいに一つ一つを注文を受けてから作っているようなお店と比べれば、商品の供給能力は大きいでしょうね。よって、レジの客を可能な限り早い時間で処理しないと、厨房のスタッフの手が空いてしまう時間ができるわけです。よって、手数料や設備投資費を含めても、電子マネーを導入するメリットの方が大きいのだと思います。
一方、モスバーガーの方は厨房にマクドナルドみたいに厨房にそこまでにスタッフがいるわけでもないし、注文毎に調理していて商品の供給能力が高くないために、下手に会計時間を短くしてもお客の待ち時間が増えて、お客の不満度を高くするだけの可能性が大きいと思います。確かに、電子マネー導入でモスバーガーに来店する人も増えるとは思うのだけど、モスバーガーはマクドナルドと違って薄利多売のビジネスモデルを採用しているわけではないので、電子マネー導入のデメリットの方が大きいと判断していると推測されます。
そんな中で、したたかな戦略を採っているので「スタバ」です。スタバの場合も、基本的にはモスと同じで「薄利多売」のビジネスモデルを採用していない事は、皆さんもご存知の通り。なので、「電子マネーは導入していない」と思いきや、実は↓の通りスターバックス店舗のみ有効な「スターバックスカード」なる独自のプリペイド型の電子マネーを展開しています。
【スターバックスカード】
http://www.starbucks.co.jp/sbcard/index.html
このスターバックスカードによるメリットとデメリットを考えると、以下のような感じですかね?
【メリット】
A.自社発行の電子マネーなので手数料等はかからない
B.プリペイド型なので、商品引き換え前にお金が入ってくる
【デメリット】
C.設備投資がかかる
D.運用費用がかかる
スターバックスは、全国で875店舗(2010年3月期)もの店舗数があるので、費用に関するCとDのデメリットは規模の経済を利用して最小限に抑えられます。一方で、最大のメリットはBでしょうね。プリペイド型の電子マネーは、時間軸で考えると「商品とお金の同時交換」ではなく、「先にお金をもらって後で商品を出す」という事で、スターバックスの資金繰りを良くする事ができるわけですよ。しかもAのメリットの通り、自社で電子マネーの発行/運用を行っているので、チャージされたお金が他社に流れるわけではありません。そして、おそらくスターバックスはお客のリピーター率の高そうな気がするので、意外にスターバックスカードを使った会計率って高いような気がします。
このように、スタバは「薄利多売」路線ではありませんが、自社発行の電子マネーによって「お客の囲い込み」や「決済時間の短縮」だけでなく、「資金繰り支援」のメリットを一番に求めているのだろうと俺は思っています。さすがにスターバックスはアメリカの企業だけあるので、この辺の金回りの話になると、「良い着眼点してるなぁ」と思いますよ。
という事で、ここ一週間「マクドナルド」「モスバーガー」「スターバックス」に通って、客席からずっとレジを見ながらいろいろと考えていた事を、書いてみました。(笑)
あくまで俺の推測ではあるので、実際にそれぞれの会社がどう考えているのかはわかりませんけどね。
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