2010年01月11日

給料も下がるわけだしねぇ

ここ数日のエントリーは経済関係が集中してたので、コメントが多くなりました。まだレスポンスはしておりませんが、ここ数日中に必ずレスポンスはしますので、少々お待ちください。
やはり、過去のコメントの多さを見ても、本ブログの読者の需要は「経済関係」が多いのでしょうかね?可能であれば、私も毎日経済系のエントリーを書きたいところですが、仕事終了後にその日のエントリーを書くための資料収集や執筆等々をやるとなると、さすがに経済系のエントリーを毎日できるだけの余裕が無いのが実情です。ちなみに、そういう日は「経済」ではなく、今日みたいに適当なニュースを見つけて「時事」のエントリーを書くことが多いわけですが。(笑)


【住宅ローン滞納、増える任意売却 競売よりも傷浅く】
http://www.asahi.com/housing/news/OSK201001080167.html

さて、そして今日の本題。住宅ローンの支払いができない人が増えているとの事ですが、資金繰りが厳しいのは「日本政府」だけじゃなく、「民間企業」や「家計」等々も同じなんですよね。
そもそも、「長期国債」「長期借入金」「長期社債」「長期ローン」は全てマクロ経済の動向によって、利子や利回りが変わる上に、自分の収入がどうなるかも計算しなければいけません。私は「バブル」を謳歌した世代ではありませんが、当時のようなキャッシュフローが「当たり前」という感覚を持っている人は、今の経済状況でかなり苦しい思いをしているでしょうね。

やはり、我々家計も生活がかかっているので、変わる経済状況に対して適応的に自分達の考え方も変化させていかないと生き残れません。よって、この「デフレ不況」のご時世で、家計や民間企業の取るベストな手段としては、

@貯蓄を積み上げる
A借金は繰り上げ返済する
B新たな借金はしない

というところに行き着いてしまうのもしょうがないと思います。ただし、当然家計や民間企業がこう考えれば、消費や設備投資が減少して景気をますます冷え込ませるわけで、景気の悪循環が止まらなくなります。となると、ここはやはり政府が何とかして、景気の悪循環を打破するために

Cデフレを止めさせる
D貯蓄の積み上げを止めさせる
E家計や民間企業に借金(投資)をさせる

というような政策を打たなくてはいけないのですが、現政権の経済政策でCDEが全て達成できるとは思えません。「住宅版のエコポイント」なんてのはまさにEの支援にはなりますが、そもそもCを何とかしない限り、「住宅版のエコポイント」は需要の先食いにしかならないし、DやEをいくらやっても効果がかなり限定的になるんじゃないのかなぁ……。
という事で、現政権にはもっと真面目に「デフレ対策」について考えて欲しいと思います。


いずれにしても、長期にわたって日本経済は低迷するだろうから、今後は住宅ローンの払いきれない人がどんどん出てくるでしょうね。今の日本の経済状況を考えると、(具体的な予定はまったくありませんが)自分がマンションや一軒家を購入する際には、頭金で大部分を支払いたい気持ちになりますねぇ……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(2) | TrackBack(3) | 時事

2010年01月10日

EU圏主要国と注目国の失業率

【ユーロ圏失業率10.0% 仏10.0%、独7.6%】
http://www.asahi.com/business/update/0109/TKY201001090105.html

そういえば本ブログでは、「日本」「アメリカ」「韓国」の失業率についてグラフを出していたと思うのですが、「EU圏の国」についてはグラフを出していなかったと思います。今回↑の記事を見て良い機会だと思い、リーマンショック前後でEU圏の国の失業率がどう変化したかを見ていきましょう。

eu_unemployment-rate.jpg
↑では、EU圏の主要国(「イギリス」「スペイン」「フランス」「イタリア」「ドイツ」)と注目国(「オランダ」「ノルウェー」「ギリシャ」「ラトビア」)の2008年1月〜2009年11月の失業率を示しています。

まず目を引くのが「スペイン」と「ラトビア」で、両国はすでにどうにもならない状態になってますね。「スペイン」については、失業率上昇ペースが一時に比べると多少マシな状態になっていますが、「ラトビア」は一向に失業率上昇ペースに歯止めがかかりません。「ラトビア」は2008年1月には失業率が6%だったわけで、わずか22ヶ月で16%も失業率が増えたわけですよ。この調子が続けば、2010年中には失業率が30%を突破しそうですね……。

一方で、EU圏で失業率が極めて低い水準で維持しているのが「オランダ」と「ノルウェー」です。ひょっとすると、国によって失業率のカウントの仕方が若干異なる可能性もありますが、何故この2国がこの水準を維持できるのか不思議です。今すぐ推測できる材料を持っていないのですが、確か「オランダ」はワークシェアリングをやり出した国でしたっけ?この状況下でこれだけ失業率が上がらないとなると、実は資源国だったりするのかな?

そして、「失業率を上昇させない」という意味では、ドイツも健闘しております。ドイツの失業率は、2008年1月で7.8%、2009年8月で7.1%、2009年11月で7.6%です。リーマンショック直前と比較すると若干失業率が上昇していますが、この2年で常に7%台で安定しており、さすがにEU経済を一手に担っている国ですねぇ。

その他の国は、一貫して失業率が上昇している事が読み取れます。EU加盟国はマーストリヒト条約で財政赤字額が縛られているため、日英米と同じように財政支出を大幅拡大できません。なので、そのうちどうにもならない国が出てくるのではないか心配です。(やはり一番手はギリシャですかね?)


しかしよく考えてみると、EUはよくこれだけ経済状況の異なる国をまとめられるよなぁ。失業率20%に迫る「スペイン」や、デフォルト懸念の出ている「ギリシャ」が、相対的に経済状況の健全である「ドイツ」と同じ通貨を使用している状況が、普通はあり得ないわけですよね。
確かに、ドイツにとっては他のEU加盟国の経済状況が悪いので、相対的には「ユーロ安」で得している点があるのかもしれませんが、「スペイン」や「ギリシャ」にとってみれば、自国の経済状態が瀕死であるにもかかわらず、そこまでユーロの価値が下がらないわけで、「輸出」や「観光」をテコにして国内経済を回復できないわけですよ。しかも財政支出にすら制限がかかるわけで、「スペイン」や「ギリシャ」は一体どのようにして国内経済を回復させられるのでしょうか?

安定した経済状況の時は問題無いのでしょうけど、今みたいな大恐慌状態の場合については、「EU加盟国で統一通貨を使う」事が加盟国間の経済格差をかえって広げるだけのような気もします。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 01:55| Comment(5) | TrackBack(0) | 経済

2010年01月09日

今後のお得意様になる国はどこだ?!

本日のエントリーですが、「現在の日本がどの国から外貨を稼いでいるか」という分析をした上で、それを踏まえた上で「今後日本はどのように外貨を稼げるのか」を考えてみましょう。


japan_bop-1985-2008.jpg
本ブログをご覧の皆様であれば、日本の「対外的なお金のやり取り」については、何回も「国際収支」を見てきたかと思います。今一度、↑の日本の国際収支を見てみましょう。
この表からは、日本の経常収支がプラスである事(外国との物やサービスの取引で儲けている)、資本収支がマイナスである事(日本が外国に投資している)、外貨準備高が増え続けている事がわかります。
ただしこの表からは、日本がどんな国から稼いだり、どんな国へ支出しているのかがわかりません。今日は、そこのところを掘り下げてみましょう。


japan-bop_each-country.jpg
まずは↑が、日本の経常収支を国別でグラフで表したものです。これを見れば一目瞭然で、日本の一番のお得意様はアメリカである事がわかり、しかも2008年の1年間で、アメリカ一国から11兆円も稼いでいるわけです。「そんだけアメリカから儲けてるのなら米国債も買えよ!」というアメリカ政府の気持ちもわからなくはないなぁ。(笑)
そして、2番手グループは東南アジア諸国(香港、台湾、韓国、シンガポール、タイ)辺りなんですね。これらの国は、日本の技術を使って自動車や半導体等の製品を作っているので、日本へ「特許」とか「ライセンス」等の料金支払いが多いという事でしょう。
一方で、逆に日本から支払いの多い国は「中国」「インドネシア」「オーストラリア」といったところでしょうか。中国については「軽工業品」や「食料」の輸入、インドネシアやオーストラリアについては「資源関係」の輸入が多いからでしょうね。

これらの事を察するに、日本の経常収支の黒字幅拡大のモデルは以下の3つがあると思います。

@「貿易収支」の黒字幅拡大
対アメリカのように、どんどん日本製品を輸出して貿易黒字を拡大させる。

A「サービス収支」と「所得収支」の黒字幅拡大
対東南アジア諸国のように、人件費の安い国へ日本企業をどんどん進出(現地法人を買収)させて、特許等使用料(サービス収支)や株や債券等の利回り(所得収支)の黒字幅を拡大させる。

B「貿易収支」の赤字幅の縮小
対中国、対インドネシア、対オーストラリアのように、貿易赤字からの輸入を減らす。

ところが、現実問題として@とBは厳しいと思います。
まず@の厳しい理由ですが、品質は良いけど価格競争力の劣る日本製品を大量に買ってくれる国は、おそらくアメリカ以外には無いでしょう。アメリカ以外で、経済的に豊かで人口の多い国がそもそも無いからです。確かに中国は人口こそありますが、一人当たり名目GDP(2008年)は、アメリカ43370ドルに対して、中国3315ドルなので、確実なマーケットになるまではまだ時間がかかると思います。それに、元が恒常的に通貨切り上げする保証があるなら一考の余地はありますが、多分中国は今のレートを維持する事に固執してるし、そもそも中国のバブルが崩壊したらそれこそねぇ……。
次にBの厳しい理由ですが、そもそも日本は資源国ではないので、ガソリンや鉄鉱石やレアメタル等々を輸入するのは、どう頑張っても避けて通れません。

という事で、個人的には日本が最も確実に今後も外貨を稼げるのはAじゃないのかと思っているのですが、どうなんですかね?韓国、香港、台湾、シンガポールについては、人件費がどんどん高くなっているので、今後は「タイ」とか「ベトナム」とか、人件費が安く、投資活動の自由な国に対して、日本資本の投下を進めることになるような気がします。(すでに、日本の輸出産業はやってるのかな?)

japan-bop2_each-country.jpg
そして、次は↑の日本の資本収支を国別で見てみましょう。
こちらは、経常収支(物/サービス/利子・利回りの取引)とは違って、金融商品(株や債券等々)の収支なので、経常収支とは雰囲気が全然違いますね。資本収支の方では、イギリスが飛びぬけてプラスである事がわかります。つまり、イギリスから日本にお金が流入しているって事ですね。これはどういう事かと言うと、近年のイギリスは国内景気が良くない上にポンドが下落(というより暴落)しているので、イギリス国内のマネーが円高の進む日本に流入しているわけです。よく「安全資産確保のために外国人が円を大量に買ったので円が急騰した」なんてニュースがありますが、この資本収支を見る限り、イギリス人の円買いの影響が非常に大きい事が示唆されますねぇ。おそらく、イギリスは資金繰りが相当厳しいはずなので、短期で利益の出る金融商品しか購入できないはずです。なので、この「円高」のタイミングを利用して、「円」を買ったり、「日本の短期債券」を買ったりしてるのだと思いますよ。
是非ともイギリス人には、日本株や長期の日本の債券に投資して欲しいところなんですけどねぇ。

一方で「アメリカ」「フランス」「ルクセンブルク」は、大きくマイナスになっています。フランスとルクセンブルクに関しては、彼らがリーマンショックにより日本株や日本債券を売りはなした影響で、マイナス幅が大きくなったわけです。アメリカの場合は、それに加えて円高で日本企業によるアメリカの会社への投資/買収が進んだ事で、マイナス幅が大きくなったわけですね。

普通に考えると、他国通貨に対して円高局面になれば、様々な国から日本にお金が流入してくるものなんですが、何故か現状では通貨暴落しているイギリス以外からの目立った動きは見られません。日本が0金利である事もあるのでしょうけど、よっぽど日本政府による経済政策が外国人に評価されていないのでしょうね。(俺が投資家の立場だったら、まともな経済閣僚のいないデフレ国に投資なんかしたくありません。)
もっとも日本は海外投資が盛んなので、資本収支がマイナスである事自体は悪いことで無いと思うのですが、今まで国内に還元してたお金が海外投資に流れれば、そりゃ日本の景気に悪影響が出るわけですよ。可能であれば、日本はこのまま外国投資を続けた上で、イギリス以外からもお金を呼び込めればいいのですけどね。


基本的には、今後も日本が外国に投資する流れは止められそうにないので、「資本収支」はマイナスが続くはずです。ただし、日本の国内経済を考えれば「資本収支」のマイナス幅を縮小させたいところ、つまり「外国から日本への投資」が増えれば良いわけですが、これについては「為替レート」等々の要因で、安定した収支を保つことが難しいわけです。
やはり、他人様のお金(資本収支)で国内経済をどうこうするよりも、自分の努力(経常収支)を中心に考えた方が日本にとっては良いと思いますね。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(3) | 経済

2010年01月08日

日本の資産/負債から考察@

【菅財務相「円、90円台半ばが適切」 日航支援、近く決定】
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20100107AT3S0701F07012010.html

今日のエントリーの本筋の前に、まずはこのニュースから。
財務大臣の就任当日から、為替レートの具体的目標を言うなんて、やっぱこの人「経済の事を良くわかっていないのでは?」と思わせますねぇ。外国のヘッジファンドの事とか、まったく考えてないのでしょうか……。早く財務省の方、この人を止めて!



【国債及び借入金並びに政府保証債務現在高(平成21年9月末現在)】
http://www.mof.go.jp/gbb/2109.htm

さて、今日はここからが本筋。
ご存知のように、日本政府の借金は860兆円を突破しました。ところが、日本国債の需要が多いために、10年物の日本国債の利回りは1.3%前後と先進国の中ではずば抜けて低いのが現状です。
さて、「860兆円もの借金で、日本はすぐ破綻する」と思っている人達もたくさんいるようですが、俺はとてもそうは思えません。というのも、それだけ日本政府が借金を重ねて政府支出を増やせば、その分誰かが儲かるわけです。
とりあえず今日は、政府の借金増大で誰が儲かったかを明らかにしましょう。


japan_asset-debt.jpg
↑に、1989年〜2008年までの日本の部門別金融資産と金融負債残高を示します。この20年間の資産と負債の流れを見てみると、実に興味深い事がわかります。
さて、まずは「一般政府」を見てみましょう。「一般政府」とは、「日本政府」以外にも「地方公共団体」が含まれているのですが、1989年のバブル末期の頃は、「純資産」こそマイナスなのですが、「資産」と「負債」がほぼ規模だった事がわかります。ところがその後、90年代に入ってバブル崩壊後に、国債発行(=「負債」の増加)を続けた事により、「純資産」のマイナス幅が拡大しました。この20年間で、負債は280兆円→960兆円に増えてしまい、純資産額も-30兆円→-480兆円と、これだけ見れば不良債権国家と言われてもおかしくないですね。(笑)
さて、それでは逆に、この20年間で「資産」の大きく増えたのはどの部門でしょうか?そうですね。「金融機関」が2240兆円→2700兆円、「家計」が980兆円→1410兆円と「資産」が増加しました。
あくまで結果だけを見ると、この20年間で政府の負債増加と同程度のオーダーで、「金融機関」と「家計」の資産増加が増えた事になります。まぁこれは当然と言えば当然の事で、政府支出を増やして公共事業をやったりすれば、そのお金が巡りに巡って最終的には俺達労働者の手元に流れてくるわけですよね。
ところが、問題なのはここからです。バブル崩壊前までは日本人の消費意欲も旺盛だった事もあり、ここまで急激に「家計」の「資産」が増加する事もなかったのですが、1990年代に入ってから「家計」が消費支出を抑える事(つまり貯蓄する事)によって、「資産」が急激に増え出します。一方で、「家計」の「負債」はこの20年間でほとんど増えませんでした。
さて、「家計」の貯蓄志向によって、困ったのが金融機関です。というのも、この20年間で「家計」で貯蓄されたおよそ225兆円ものお金が金融機関に預けられました。金融機関は、この225兆円をそのまま現金のままで保管しても利益が出ないので、誰かに貸し出したり、何かに投資しないといけません。ところが、日本は「失われた10年」という超不況時期だったので、金融機関は貸したお金が元に戻らない事を恐れて、貸し渋りを始めました。今まで「非金融法人企業」は儲けたお金を元手に投資に回して事業拡大をしていたのですが、貸し渋りの結果、金融機関からの融資を受けられなくなってしまい、儲けたお金を「負債の返済」に回してしまい、バランスシート不況に陥って生産増加になりませんでした。(実際に、「非金融法人企業」においては2004年頃まで「資産」「負債」が増えない状況が続きます。)
長期的に円安が見込めるのならば、金融機関は外国株や外国債券を購入するのでしょうが、長期的に円高が続くと予想される局面においては、為替損を恐れて外国への投資も及び腰になります。結局、金融機関は何に投資すれば良いかわからずに、日本国債という一番無難な物を購入せざるを得なかったわけです。


とりあえず、今日の2つのポイントを整理しておきましょう。

@家計貯蓄が増える→金融機関の口座に振り込まれる→金融機関は日本国債を購入

A金融機関の貸し渋り→非金融法人企業のバランスシート不況→生産増加せず

幸か不幸かわかりませんが、結局のところ「家計」の過剰貯蓄が日本国債を買い支えているわけですよ。しかも、日本国債の保有者は70%近くが日本の金融機関で、外国保有はわずか6%程度。つまり、ほぼ日本人だけで日本国債に対して以下のサイクルができあがっちゃったわけですよ。

政府が日本国債を発行する
→政府支出が増える
→日本国民に還元される
→家計が貯蓄
→金融機関への預け金が増える
→金融機関が日本国債を購入する

もちろんこのサイクルは、政府支出が100%で「家計」に還元されるものではないため、いつかは「家計資産」よりも「政府負債」の方が多くなりますが、国債を発行し続けても「政府負債」だけが多くなるわけではなく、「家計資産」も増える事は頭に入れた置いた方がいいですね。
ちなみに、この20年間で「政府負債」は680兆円、「家計資産」は430兆円増えています。もちろん、日本政府の破綻については「政府負債」と「家計資産」だけの関係で決まるわけではありませんが、この20年間のペースを維持するのであれば、「家計資産」<「政府負債」となる時は、「2037年」となります。まぁ、ここでは「利回りの増加」や「外的環境の変化」等々の要因は考えていないので、実際は2037年よりも早くなるかもしれませんが、一種の目安までに。


という事で、この考察は後日に続きます。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 02:51| Comment(19) | TrackBack(2) | 経済

2010年01月07日

これほど経済を無視する内閣だとは……

【「官僚の士気下がっている」次官が不満の声】
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100105-OYT1T01182.htm

俺個人としては、仕事のやり方が変わる事に対しては別に良いと思います。ただし、それは「正しい政策を実行するのであれば」という条件付の話であって、残念ながら今の政権がその条件を満たしているとは思えません。
少なくとも、政権与党であれば長期的な日本のビジョンを示して欲しいものですが、現政権の今までの仕事ぶりを察するに、短期的な事しか考えていないと思わざるを得ない場面が多々あるんですよねぇ。


【民主・経済界、縮まらぬ距離 労組の蜜月と対照的】
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100106AT3S0501W05012010.html

そして、経済界も民主党を支持できないわけです。まぁ今までの民主党の経済政策を見れば当然でしょうね。民主党は、この金融不況かつデフレの状況下で「家計を支援すれば景気が良くなる」と本気で思い込んでる節があるので、経済界の人とはそもそも宗教が違うくらいに思想の隔たりがあると思います。


【子ども手当:11市「地方負担応じぬ」…東海70市を調査】
http://124.83.183.242/select/seiji/news/20091226k0000m010153000c.html

しかも、子供手当てを地方の意向を無視して決めたことにより、地方自治体との関係も悪化しました。そりゃそうでしょうね。選挙前は、地方負担せずに国費でやるって言ってたのに、財源が確保できそうも無いので地方に無理やり押し付けたわけですし。
しかも、民主党の強い東海地方ですら、70市のうちで53市が反対してるので、結構強烈な結果ですよねぇ。


官僚にはそっぽを向かれて、経済界との距離も縮まず、地方自治体からも反発が出ているわけで、今の政権はどのように国をまとめていけるんでしょうか?結局、民主党の応援団は家計部門に近い人達だけなので、支持率が落ちたらあっという間に「坂道を転がるが如く」になりそうな気もします。

【首相:財務相に菅副総理、経済財政も兼務−藤井氏辞任了承】
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=aDzxR.AdOeMQ

そして今入ってきた↑のニュースですが、よりによってこの人に「財務大臣」と「経済財政担当大臣」を兼務させたらさすがにマズイでしょ?!今までの菅副総理の発言から察するに、「緊縮財政と大増税路線で需要を増やす」って本気で考えるような人ですよ?!
お願いだから首相はもっと真面目に人選してくれよ、マジで……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(4) | TrackBack(0) | 政治

2010年01月06日

誰も突っ込まないなら俺が突っ込む!

【新成長戦略のポイント】
http://bit.ly/859cR2

現政権が昨年12月30日に、成長戦略をようやく発表しました。↑がその基本方針のポイントだそうです。そして、具体的な新成長戦略の本体部分は、参議院選挙前の6月に発表予定だそうです。
俺はてっきり、12月30日に「ポイント」だけでなく「本体」まで発表になるかと思っていたのに、ちょっと肩透かしでした。まぁ、どうせ選挙狙いの戦略なんだとは思いますが。そもそも、この成長戦略が実現できるんですかねぇ……。

という事で、今日は↑のポイントを見てみて、2つの思ったところを書いてみます。


1.「需要」からの成長

という事で、それぞれ「環境」「健康」「観光」の分野を中心に100兆円超の需要を増やすという事で、以下のような「目標」や「具体策」が書かれています。

「環境」
→日本の技術で世界の排出13億トン削減(2005年の世界のCO2排出量は271億トン)

「健康」
→アジア等海外市場への展開促進

「観光・地域活性化」
→訪日外国人2500万人(2009年の訪日外国人数は700万人を切る程度)

民主党はあれだけ「内需拡大」と言っておきながら、この成長戦略では外需に頼る部分もかなりあるように見えますね。「嘘つき政権」か「現実路線への転換」かはさておき、むしろ今の日本の現状を考えると外需に頼るのもしょうがないかなと、個人的には思います。
ただし、あと10年で180兆円程度の名目GDPを増やさないといけないわけで、デフレ&不景気のこの状況から本当にそんな事が実現可能なのかと、俺は半信半疑なのですが……。何せ現段階では、どういう手段や工程で目標を達成するのかまったく示されていませんが、国内消費が伸びず、貯蓄が積みあがり、しかも外需の当てにできないこの状況で、「需要を増やしてGDPを増加させる」と政府が言ったところで本当に需要が増えるのか非常に疑問です。それなのに上記のような厳しい目標を設定して「本当に大丈夫かな」と、非常に心配なところではあります。


2.GDP成長率:名目3%、実質2%を上回る成長

そしてこれも、「言うは易し行うは難し」ですよ。いくら2020年までの平均値とは言え、「名目3%」「実質2%」の増加という事は、実質経済成長率が2%を維持し続けた上で、さらに年1%程度のインフレを目指すという事です。つまり現状の日本経済を考えた場合、「デフレ脱却」が目標達成のための必要条件になるわけです。ところが日本のデフレは「供給過多」/「生産過剰」が支配的な原因なので、何らかの手段で「需要を増やす」か「貨幣価値を下落させる」かしないと、目標達成は不可能です。
そう考えた場合に「国債発行&量的緩和」の政策は、「需要増」と「貨幣価値下落」の効果を同時に発動できるので、理に適う方法ではあると思います。ただし、「夏の参議院選挙」と「資源インフレ到来の可能性」を考慮すれば、夏の終わる頃までは日銀が動く事は無いとは思うのですが、果たしてどうなるでしょうか。

「毎年度の名目3%と実質2%の増加」を別の視点で考えるために、アメリカと比較してみましょう。アメリカのGDPを見ると、1999年に名目GDP9.35兆ドル(実質GDP10.78兆ドル)、2008年に名目GDP14.44兆ドル(実質GDP13.31兆ドル)です。つまり、アメリカのこの10年間のGDP増加率は名目で54%(実質で23%)という事です。ただし、1999年〜2008年のアメリカと言えば、日本が失われた10年で苦しんでいたのを横目で見ながらバブルを謳歌していた頃の話ですね。
一方で、今回の日本の成長戦略の方では年平均で「名目3%」「実質2%」を上回る成長を謳っていますが、これは10年間で見れば名目GDP増加率で38%(実質で22%)という事になります。果たして、今の日本がこういう状況にもかかわらず、バブル期のアメリカと同程度の実質GDP増加率をこの10年間で確保する事ができるんですかね?しかも当時のアメリカは日本と違って、家計部門すら平気で負債を増やしていた恐ろしいほど消費気質の国ですよ!!!
名目GDPの38%増加は、インフレを誘導すれば達成できなくもない数字ですが、実質GDPの22%増加は相当にしんどい、というかどこに実現可能性があるのか疑いたくなる数字です。まさか、日本に第二のバブルを作ろうとしてるわけでもあるまいし……。


とりあえず民主党の目標とする成長戦略を達成するためには、
@国債発行で政府支出を増やす
A量的緩和拡大
B円安を利用した輸出増加
Cデフレ阻止とインフレ誘導
D貯蓄から消費誘導
くらいの事をやらないと(あるいはきちんと実行したとしても)「毎年度の名目3%と実質2%の増加」は無理なんじゃないかと思うのですが、実際に民主党の目指そうとしている政策は、「国債を極力刷らずに政府支出を減らす」「内需拡大(円高容認)」「家計支援の拡大(消費支援じゃなくて貯蓄支援になる可能性が大)」と、「目指す政策」と「打つべき政策」の整合性が取れていないわけですよ。

いやぁ、さすがにこれを取りまとめたどこぞの副総裁は、有識者ヒアリングの最中に居眠りしてただけありますね。(笑)この分だと、6月に発表予定の本体も面白い事になりそうです。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 経済

2010年01月05日

復活の「経済危機対策臨時交付金」

【地域活性化・経済危機対策臨時交付金の活用事例集】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29578381.html

【各地方自治体の地域活性化・経済危機対策臨時交付金の使い道を紹介】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/30000566.html

2009年度の一次補正で、地方自治体が自由に使える「経済危機対策臨時交付金」の制度が作られたのだけど、政権交代に伴ってこの交付金が長らく執行停止状態になっていました。ところが、去年の年末にようやく執行停止が解除されました。ただし、この交付金を使う予定のある事業は、その事業計画を早急に国に提出しなければいけないので、まだ提出していなかった地方自治体はこれから忙しくなりそうですねぇ。

そんな中、それぞれの自治体は知恵を絞って、この交付金を使って↓のような独自の取り組みを行っているようです。

【阿武隈山系伏流水の「相馬のお清水」市、全世帯に無償配布へ】
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/01/20100104t61001.htm

【電子マネーで住民票交付】
http://sankei.jp.msn.com/region/kanto/tokyo/091229/tky0912291934006-n1.htm

【摩周丸「化粧直し」 大規模修繕工事が終了 函館】
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki2/206105.html

【観光PRに一役 「ラッピングトラック」出発 伊賀市】
http://www.iga-younet.co.jp/news1/2010/01/pr-3.html

【西川の子育て支援セ拡張 3月オープン、約2倍の広さ】
http://yamagata-np.jp/news/201001/02/kj_2010010200016.php


この交付金なんて民主党から真っ先に廃止論が出たわりには、子供手当てを地方負担にした分、こういうところで地方のご機嫌をきちんと取るわけですな。やはり、裏で財務省の匂いがすると思っているのは俺だけ?(笑)



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 22:24| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事

2010年01月01日

自然数の二乗和の公式を導出

皆様あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。


という事で、雪がひどくて車で帰省出来ないため、今回は実家に帰省せず友達と年越しでした。
さて、年越しそばを食べてから友達との話の中で「そういえば、自然数の二乗和の公式ってどうやって導出するんだっけ?」という話題になり、午前5時まで二人で二乗和の公式についていろいろ考えていました。(「新年早々に何やってるんだか」という話ですが……)

summation_formula.jpg
↑のように、高校数学では「1 + 2 + 3 + …… + n」という単純な一乗和の総和と、「1^2 + 2^2 + 3^2 + …… + n^2」という二乗和の総和の公式を習います。
summation_formula2.jpg
一乗和については、↑のやり方で公式はすぐに導出できるのですが、二乗和についてはまったく導出方法を覚えていなかったために、自分でいろいろと考えた結果、以下のやり方を思いつきました。まずは、具体的に「5」までの二乗和について考えてみると、
summation_formula3.jpg
↑のように、二乗和の式を書き換えたものを3倍することによって、上手い具合に全ての項が「11」になる事を利用して、答えをすぐに出せそうです。

summation_formula4.jpg
これを一般的に考えて、「n」までの二乗和の時も同様に式を書き換えて3倍すると、「2n+1」が「n(n+1)/2」項分だけ出てくるので、ここに1/3をかければ、二乗和の公式を導出できます。

ところが、先ほど二乗和の公式をネットで調べてたのですが、俺のやり方で二乗和の公式を説明しているサイトが見つからないので、「ひょっとして、このやり方はオリジナルの導出方法なんじゃないの?」と思ったので、今日のエントリーにしてみました。誰か詳しい人がいたら教えてください。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 16:03| Comment(11) | TrackBack(0) | 科学

2009年12月29日

中国の「マネタリーベース」と「マネーストック」の推移

@【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

A【マネーストック(マネーサプライ)とは?】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/33366638.html

先日は、↑の@Aで「マネタリーベース」と「マネーストック」について説明しました。おさらいのために書いておくと、
「マネタリーベース」=日銀が社会に供給するお金の総額
「マネーストック」=非金融部門の預金資産残高
でした。

今日のエントリーでは「中国」の「マネタリーベース」と「マネーストック」について考えてみましょう。(Aの続き物として日欧のマネーストックを書くのを、すっかり忘れていました。これについては、また後日に書こうかと思います。)


china_money-stock.jpg
という事で、↑が中国の2007年1月〜2009年11月の「マネタリーベース」と「マネーストック」になります。
まずは、「マネタリーベース」の方から見てみましょう。中国の「マネタリーベース」は、2007年1月に280億元程度だったものが、2008年1月に370億元、2009年1月に410億元と急拡大している事がわかりますが、中国の2007年経済成長率(名目GDP)が21%、2008年経済成長率(名目GDP)が17%程度だった事を考えると、確かにそのくらい増えてもおかしくはないかもしれませんね。
一方で「マネーストック」の方は、2007年1月に35兆元程度だったものが、2008年1月に42兆元、2009年1月に50兆元、2009年11月に60兆元と、わずか3年も経たない間に1.7倍にまでなっていて、「マネタリーベース」の伸び率よりも「マネーストック」の伸び率が非常に大きい事がわかります。マネーストックが伸びるという事は、「金融機関から経済全般へ供給されている通貨総量の増加率が大きい」という事を意味するので、単純に考えれば景気が良い(フローが良くなっている)事を意味するのですが、この伸び率が大きすぎると通貨供給量が過剰という事になり「インフレ状態」という事になります。ところが中国の場合は、2009年2月〜2009年10月の消費者物価指数は対前年同月比でマイナスを記録しており、ようやく2009年11月でプラスに戻ったところなので、「マネーストックの伸び率」と「消費者物価指数の伸び率」の整合がどうにも取れていないわけです。これって何を意味するのですかね?

【中国の人民元建て新規融資やマネーサプライが急増、景気の底打ち期待高まる】
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPnTK833044420090212

その答えを示唆するのが、↑の記事です。中国のマネーストック(マネーサプライ)の急増は、「中国の民間銀行が中国政府の要請で貸し出しを積極化している」との趣旨が書いてありますね。マネーストックが急増した原因は、確かに銀行貸し出しの増加に起因するものなのでしょう。問題は「貸し出したマネーが何に使われているか?」という事だと思います。普通に考えれば、この貸し出し金が民間に広く融資されれば、中国国内の需要が強化されるため「消費者物価指数」が9ヶ月間もマイナスになる事はなかったのではないでしょうか。
あまり当たって欲しくない想像ですが、中国の民間銀行の貸し出したお金の大半が、「株」や「不動産」に投機されているとすれば、「マネーストックの急増」「消費者物価指数の低迷」という通常では相反する2つの指標の動きを説明できそうな気もします。(もしこの想像が正しいとすれば、中国は自身の政策によりバブル崩壊への第一歩を踏み出した事になりますが……)


実際のところ今後の中国がどうなるのかはわかりませんが、今日のエントリーは「中国経済に何らかの歪があらわれている一例」と言えるのかもしれません。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(5) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月28日

2009年Q3の日本・韓国・アメリカの国際収支

今日は、「日本」「韓国」「アメリカ」の2009年Q3の国際収支から、対外経済についての近況を読み取って見ましょう。


japan-bop_2009Q3.jpg
まずは↑の日本の国際収支です。
とりあえず「経常収支」の方から見ていきましょう。2009年は、昨年のリーマンショックで急減した「経常収支」が順調に回復している事がわかります。もっとも、「経常収支」の項目中の「貿易収支」の回復速度が鈍いので、「経常収支」が2007年くらいの水準に回復するのはまだまだ時間がかかりそうです。一方で「所得収支」については、「貿易収支」ほどの影響があるわけではないので、今後もコンスタントに黒字額が見込めそうです。「サービス収支」や「経常移転収支」については、大きな下落要因はないものの、黒字に転換する事もないと思われます。それと、GWで日本人の外国旅行が増えるQ2は、サービス収支が毎年一時的に赤字幅が拡大しているのもわかりますね。

そして「資本収支」の方についてですが、日本から海外の株や債券が買われているので、ずっとマイナス収支が続いています。為替レートにも依存するのですが、この調子で行くとさらに「所得収支」の方がどんどん増えそうですね。ただ、リーマンショック後の円高を維持しているせいか、「その他投資」についてはここのところはずっと黒字収支が続いています。おそらく、海外から日本に流入する外貨預金の影響が大きいのだと思うのですが、「円」で外貨預金するくらいなら「日本株」を購入してくれれば、日本経済も随分助かるんですけど、さすがに今の政権下じゃ日本株を買う外国人なんてあまりいないのですかねぇ……。(笑)


skorea-bop_2009Q3.jpg
次は、↑の韓国の国際収支をみてみましょう。
まず「経常収支」からですが、2009年はQ2とQ3が絶好調です。というのも、「貿易収支」が復活したのか、桁違いの黒字が続いています。単純に輸出減少率よりも輸入減少率が大きい事に起因するので、素直には喜べないわけですが、とりあえず黒字といえば黒字なわけです。一体この奇妙な快進撃がどの程度続くのかわかりませんが、韓国の輸出製品(電化製品や自動車等々)の「核心部品」や「ライセンス」は主に日本から輸入するものですので、韓国の輸出量が増えれば日本の「サービス収支」の赤字幅が減少するわけです。(ちなみに、2008年の韓国の対日赤字は300億ドルを超えてたりします。)
一方で韓国の「資本収支」の方も、外国人投資家が一斉に韓国から引いた悪夢の2008年Q4が過ぎ去り、2009年Q2からプラス収支が戻ってきました。今は、「証券投資」が韓国の「資本収支」を引っ張っている状況ですが、ここ最近は韓国国債の札割れも起きていませんし(ただし利回りが高い(10年物で5%程度)という要因こそありますが)、一年前のようなドキドキハラハラする展開には今のところなっていません。
韓国は今みたいに外国からの投資が順調であればもうしばらくは大丈夫でしょうけど、再び何らかの金融危機が起こって欧米の投資が引き出すと、短期国債の償還で苦しめられないか心配です。


us-bop_2009Q3.jpg
そして最後に、↑のアメリカの国際収支を見てみましょう。
まず「経常収支」についてですが、リーマンショック直後に猛烈に赤字幅の縮小していた「貿易収支」の赤字幅が再び拡大に転じて「アメリカらしさ」が戻ってきました。
一方でアメリカの「資本収支」の方ですが、まずはアメリカの資本収支の統計の取り方を説明しなくてはなりませんね。日本や韓国の場合は、
資本収支=直接投資+証券投資+金融派生商品+その他投資+その他資本収支
でした。ところがアメリカの場合は、
資本収支=政府資産+民間資産+金融派生商品+その他資本収支
となっています。日本や韓国は、「目的」によって収支項目が変わるのですが、アメリカの場合は「目的」でなく「何に投資するか」で収支項目が変わります。
例えば日本の場合は、日本国債や経営権を取得する目的でない日本の民間会社株を外国人が購入すると「証券投資」がプラス収支になり、外国人が日本に外貨預金すると「その他投資」がプラス収支になります。
一方でアメリカの場合は、米国債を外国人が購入すると「政府資産」がプラスになり、(目的に寄らず)アメリカの民間会社株を外国人が購入すると「民間資産」がプラスになります。また、外国人がアメリカに外貨預金すると、これも「民間資産」がプラスになります。
これを踏まえた上で「資本収支」を見てみると、リーマンショック直後は米国政府が大量の金融緩和を行った事によって、溢れたドルが他国通貨や他国の短期国債を支えて「政府資産」が大幅マイナス収支になります。一方で、米国の投資家は他国の民間会社株や民間会社債券から一斉に手を引いたために、「政府資産」とは逆に大幅プラス収支になりました。
最新の2009年Q3時点での値を見る限り、外国人が安全資産を手にするために米国債を買っているので、「政府資産」がプラス収支になっています。一方、ドルキャリートレードでアメリカから新興国に投資が進んでいるので「民間資産」はマイナス収支になっています。
アメリカ政府としては、今国内の景気が急によくなるとインフレが進むだろうから、しばらくは「政府資産」の収支がプラス、「民間資産」の収支のマイナス維持を望んでいるような気がします。つまり、アメリカ政府は外国人に米国債を買わせた上で、インフレにならないようにある程度の政府支出をコントロールする一方、超金融緩和によって溢れたマネーは対外投資で消化させる戦略なわけです。ただし、これは本来アメリカ国内のインフレ要因(大量の余剰マネー)を外国へ吐き出しているだけなので、新興国のバブルを作る事になるような気がするのですが……。

ちなみに、アメリカが超低金利を続けたい真の理由は、もしアメリカの金利が上げれば海外からアメリカにマネーが流入するので、アメリカのキャッシュフローが良くなってインフレを引き起こす可能性があるからでしょうね。ただし、米国債を購入される分には、アメリカ政府が最終的な政府支出をコントロールすればある程度のインフレは防げるので、
1.米国債は買って欲しい
2.一方、アメリカ民間会社の株や債券は大量に買わないで欲しい
という事でしょうね。それが国際収支上だと
1.「政府資産」がプラス収支であって欲しい
2.「民間資産」がマイナス収支であって欲しい
という事なのです。


しっかし、アメリカ政府が考えるシナリオ通りに事が運ぶんでしょうかね?どうも「バブルの崩壊したアメリカが復活する」ためには「どこかの新興国でバブルを作る」事が必要条件になるんじゃないかと思ってしまうのですが……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:59| Comment(3) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月27日

「相関係数」の意味と応用例

今日は、統計学等でよく使用される「相関係数」の計算方法と意味について説明した後で、実際にある統計を使って相関係数を使った応用例を示したいと思います。

相関係数とは、2つの事柄の類似性を数値化したものです。通常、相関係数とは1.0から-1.0の値を取り、1.0に近ければ正の相関が強い(2つの事柄が非常に似ている)、0に近ければ無相関(2つの事柄に関連性が無い)、-1.0に近ければ負の相関が強い(2つの事柄がまったく逆)という事になるのですが、文章だとよくわからないので以下の例で考えて見ましょう。

ある高校で、生徒5名(A,B,C,D,E)に対して国語、英語、数学のテストを行いました。以下は、A〜Eの点数から平均点を引いたもの(平均差点)である。
A(12,-8,7)
B(-20,26,-5)
C(8,10,12)
D(-4,-22,-17)
E(4,-6,3)
この5人の平均差点の分布を見る限り、

@AとEは、総得点こそ違うものの、点数の取り方が似ている。
→つまり、Aの平均差点とEの平均差点には正の相関がある。
AAとBは、総得点こそ違うものの、平均差点の負号が逆になっている。
→つまり、Aの平均差点とEの平均差点には負の相関がある。

と言えそうです。ちなみに↑の5人の平均差点は、一種の3次元ベクトルと見ることができるのだけど、この3次元ベクトルが「似ているか」「似ていないか」をどう数値化できるのでしょうか?実は、高校数学で習った三角関数のcos(コサイン)が、類似度を数値化する一つの尺度になり得るのです。

cos.jpg
↑がコサイン関数です。ここでは0°≦θ<360°の時を考えていますが、この図を見て「ピン」と来る人もいるかもしれませんね。そうです、コサイン関数は0°の時に最大値である1をとって、180°の時に最小値である-1を取ります。
すなわち、何か二つのベクトルのなす角度をθとすると、θが0°に近い(正の相関が非常に強い)ときにcosθが最大値1をとり、θが180°に近い(負の相関が非常に強い)ときにcosθが最小値-1をとり、θが90°や270°に近い(相関が非常に弱い)ときにcosθは0の値をとるために、この2つのベクトルの類似度をコサイン関数で数値化できるわけです。そして、冒頭に出てきた「相関係数」とは、実はまさにこのコサイン関数の事だったりします。


具体的に、上記のA〜Eの平均差点で考えてみましょう。ちなみに、2本のベクトルのなす角度のコサイン値を導出するには以下の計算式が必要になります。具体例として、Aの平均差点ベクトル(12,-8,7)とBの平均差点ベクトル(-20,26,-5)のコサイン値の計算も↓に出しておきましょう。
cos-equation.jpg


ここではとりあえず、Aの平均差点ベクトル(12,-8,7)を1本目ベクトルとします。そして、それぞれ5人の平均差点ベクトルを2本目のベクトルとして、これらの2本のベクトルのコサイン値を出すと以下のようになります。

AとAのコサイン値…1.00
AとBのコサイン値…-0.91
AとCのコサイン値…0.36
AとDのコサイン値…0.02
AとEのコサイン値…0.93

AとAのコサイン値が1.00なのは、同一ベクトルのなす角度が0°になる事から当然ですね。なお、コサイン値は「2本のベクトルの大きさ」に依存せず「2本のベクトルのなす角度(2本のベクトルの向いている方向)」のみに依存します。よって、仮に2本のベクトルが(1,2,3)と(2,4,6)だったとしても、この2本のベクトルは「大きさが違うだけ」で「なす角度が0°」である事から、コサイン値は1.00となるわけです。
そしてAとBのコサイン値が-0.91(負の相関が非常に強い)である事は、A(12,-8,7)、B(-20,26,-5)で二つのベクトルの向き(負号)がほぼ逆向きである事からもわかりますね。
次に、AとDのコサイン値が0.02(ほぼ無相関)なので、A(12,-8,7)、
D(-4,-22,-17)のなす角度が直交(90°か270°)である事がわかります。


cos-image.jpg
という事で、「コサイン値(相関係数)」と「2本のベクトルのなす角度」を整理すると、↑のようなイメージになります。とりあえず、2本のベクトルの類似度をコサイン値(相関係数)で数値化できる事を説明しました。
それでは、次に↓のニュースについて、このコサイン値(相関係数)を応用して数字上の突っ込んだ分析をしていみます。

【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(上)……日本編】
http://www.garbagenews.net/archives/1107428.html

【諸外国の人たちがどんな組織・制度に信頼を寄せているかをグラフ化してみる(下)……諸外国編】
http://www.garbagenews.net/archives/1107433.html

↑のニュースは、いろいろな国の人たちが「裁判所」「新聞・雑誌」等々の15の組織/制度にどの程度信頼を寄せているかというアンケートを取った結果が掲載されています。これらの結果を切り出して、↓の表にまとめてみました。


each-country_di-value.jpg
そうです、↑の表はまさに各国の結果に対する15次元ベクトルとなっているので、ここに先ほどの相関係数を当てはめてみようという事です。さすがに、7カ国15次元ベクトルともなると、表を目で見ただけではわかりにくいので、こういう時に相関係数があると直感的に似ているか似ていないかが把握できるわけです。
という事で、まずは米国を1本目のベクトルとして、それぞれ7カ国のベクトルとの相関係数を出すと、以下のようになります。

米国・日本……0.28
米国・オーストラリア……0.90
米国・米国……1.00
米国・英国……0.88
米国・イタリア……0.89
米国・フランス……0.83
米国・中国……-0.22

ふむ、米国を基準にした場合、やはり欧州系の国とは相関係数が非常に高いので、彼らの価値観の近い事がわかります。一方、日本と中国の相関係数は低いので、欧米系の国とは価値観の違うことがわかります。
ここで注意しなければいけないのは、これはあくまで「米国」との相関係数であるので、この結果だけで「日本」と「中国」の相関係数が高いとは言えません。実際に、日本・中国の相関係数を計算すると、-0.02となるので、米国・中国以上に、日本・中国は無相関というわけです。(やはり、日本と中国は価値観を共有できないという事なのでしょうか?(笑))
このように、多次元ベクトルを扱いだすと

1.AとBの相関係数が低い
2.AとCの相関係数が低い
3.よって、BとCは相関係数が高いはずだ

というような推論が成り立たない事がわかります。


ここでは全ての組み合わせで相関係数を出しませんが、今の場合で全ての組み合わせの相関係数から、価値観の近いグループ分けをすると、

@オーストラリア、米国、英国、イタリア、フランス
A日本
B中国

と3つのグループに分けるのが自然でしょう。このように、相関係数は人間の頭では手に負えなくなる多次元ベクトルを整理するとき、非常に威力を発揮します。しかも、この作業は相関係数だけでグループ分けできるので、自動化処理が可能だったりします。


俺が高校生の当時、「ベクトル」や「三角関数」はそれぞれまったく別個の数学分野として習っていたので、まさか今日の例のように、「統計」で二つがつながるとは思いませんでした。ところが、実はこの手の「まさかこの分野とあの分野がこんなところでつながるとは」みたいな話は、大学の数学においては山ほどあったりします。
また機会があったら、具体例と共にそういう話を書こうかと思います。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:25| Comment(11) | TrackBack(1) | 科学

2009年12月26日

過去の記事一覧を作成しました。

今まで過去20エントリー分のタイトルは、左フレームの「最近の記事」で参照ができていたのですが、それより以前のエントリーがまったくわからなくなっていました。自分としても「そういえば、あのネタはいつ書いていたんだっけかな?」と思うところがしばしばあったので、「最近の記事」の一番下に「☆過去の記事一覧☆ 」を作りました。これをクリックすると今までの全てのエントリーのタイトルを参照できますので、時間のある方は是非ともご覧ください。
その分「最近の記事」では、20エントリー分の表示から10エントリー分の表示に削減しました。

とりあえず、これで少しは昔のエントリーが読みやすくなったでしょうか。今までこの程度の事すらできずに申し訳ありませんでした。



今日のエントリーで、「これは助かる!」と思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2009年12月25日

クリスマスソングとフライドチキン

【山下達郎「クリスマス・イブ」、24年連続100位ランクイン】
http://www.oricon.co.jp/news/rankmusic/71828/full/

【バブルの記憶に重なる 「クリスマス・イブ」】
http://www.asahi.com/shopping/tabibito/TKY200912170243.html

累計売り上げ枚数の182万枚もさることながら、24年連続100位以内にランクインってのも、おそらく今後打ち破られることの無い素晴らしい記録ですよ。一体、何年連続まで伸ばせるんでしょうか。

さて、この「クリスマス・イブ」以降も、いろいろとクリスマスソングがリリースされました。メジャーなところであげると、
1.ラスト・クリスマス by ワム!(1986年)
2.クリスマスキャロルの頃には by 稲垣純一(1992年)
3.恋人達のクリスマス by マライヤキャリー(1994年)
4.弱虫サンタ by 羞恥心(2008年)
と、あるにはあるのですが、やはり「クリスマス・イブ」は別格ですね。
しかし毎年思うのですが、何故クリスマスソングには悲しい歌が多いんですかね?「クリスマス・イブ」もそうだし、上記のうちの3.以外は全て1人のクリスマスを題材にした歌なんだよね。まぁ理由はどうであれ、それだけ「クリスマス」というイベントが日本人にも深く根付いているという事なんでしょう。


ところで話はがらりと変わって、クリスマスと言えば「フライドチキン業界」の忙しくなる時期なのですが、そもそもクリスマスにフライドチキンを食べる習慣ってのは、どこからやってきたんですかね?
俺は小学生時代(1990年〜1992年)に、父親の仕事の関係でアメリカに住んでいた事があるのですが、アメリカの場合はクリスマスには「ローストチキン」や「ローストターキー(七面鳥)」を食べるのが定番で、「フライドチキン」を食べるという習慣はなかったんだよね。おそらく日本の場合は、まるまる1羽のチキンやターキーが一般的には売られていないので、KFC(ケンタッキーフライドチキン)あたりが「クリスマスにはフライドチキン」と言い出したのが始まりだと思うのですが、どうなんですかね?
ただ、KFCが日本上陸したのは1970年。俺の場合、1980年代後半のクリスマスにフライドチキンを食べたいと両親に頼んだ記憶があるので、その頃にはすでに「クリスマスにはフライドチキン」という習慣が広まっていたはずなわけで、おそらくここ30年くらいで根付いた習慣なのではないでしょうか?


という事で今日はかなりの散文になってしまいましたが、とにもかくにも「メリークリスマス!」です。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 05:46| Comment(0) | TrackBack(1) | 時事

2009年12月24日

たった2900億ドルとは言え

@【残り2000億ドル程度……】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32965639.html

今日は、↑のエントリーに続く「米国債の近況シリーズ」です。10月半ばで、そろそろ米国債の発行上限額に達しそうだったのですが、その後どうなったのでしょうか?とりあえず、米国債発行残高と日本&中国の米国債保有額の推移を見ていきましょう。

us-bond_japan-china-holds_200910.jpg

米国債発行残高は、11月末の時点でおよそ12兆2千億ドル程度となって、アメリカの法律で定められている12兆1千億ドルをすでに突破しています。これは何故かと言うと、米国債の発行上限の12兆1千億ドルは普通米国債に対する発行上限額で、特殊な用途に使われる米国債(日本で言うと「交付国債」とか「財投債」みたいなもの)はこの法律の上限額にかかわらず発行ができるみたいです。
このブログでは、結構な回数「すでに米国債が発行できなくなった」という趣旨の事を書いていたのですが、正確に言うとそれは間違いという事になります。申し訳ありません。(謝)

ただ、いずれにしても普通米国債のこれ以上の発行が難しいのは事実で、「一体、いつこの上限額を上げるのだろう」とは思っていたのですが、ついにアメリカの上院議会で可決しました。

A【House approves $290 billion increase in debt limit】
http://apnews.myway.com/article/20091216/D9CKL24O0.html

B【米国債務上限引き上げをめぐる議論】
http://www.gci-klug.jp/tomita/2009/12/21/007755.php

ところが、引き上げた金額はたったの2900億ドル。AやBの記事にも書いてありますが、これだと2月半ばまでの資金繰りに相当する額なので、またすぐに上限額を上げないといけなくなりそうです。

今のアメリカは、ドル安に乗じたドルキャリートレードにより、大量のマネーが海外に流出しているので、何とかしてマネーを国内で循環させたいわけです。ところが、アメリカ国内もバランスシート不況により、民間資金はアメリカ国内の株や債券ではなく安全な預貯金にマネーシフトしているので、アメリカの民間銀行は集めたマネーを何に投資するか迷っているところなのでしょう。
ここで米国債の追加発行を止めると、それこそマネーの行き先が「海外」や「資源」に向かいだすために、アメリカ国内の生産上昇にまったく寄与しないわけです。確かに、アメリカの議会はこれ以上の財政赤字はストップさせたいところでしょうけど、長い目で見たらまだまだ米国債を発行して、政府支出を拡大する方法を続けた方が良いように思えます。
ただし、アメリカの民間銀行が果たして米国債を買い続けてくれるのでしょうか?日本の失われた10年では、量的緩和の効果こそあって円安を維持したのですが「長期的にはまだまだ円安にはならない」という投資家のコンセンサスがあったので、為替損を嫌がる日本国内の銀行は日本国債を大量に購入しました。ところが、現在のアメリカは「長期的にはドル安の流れ」というのが、世界の投資家のコンセンサスになっているので、「米国債なんかよりも、海外の株や債券、あるいは資源の方に投資するほうが儲けられるんじゃないの?」とアメリカ国内の銀行が思えば、たちまち米国債の利回りは高騰して、アメリカ経済にトドメを刺すことになるのでしょう。
とは言え、現時点では米国債は札割れを起こしていませんし、まだまだ大丈夫だとは思います。


C【日米欧のマネタリーベース推移】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/32919107.html

ただし、↑の先日のエントリーでも書きましたが、現在のアメリカのマネタリーベースはリーマンショックの2倍になっているので、アメリカ国内でお金が循環しだすとインフレの始まる可能性が高いわけです。あくまでアメリカは、
1.急に景気を回復させない
2.徐々に景気を回復させつつ
3.マネタリーベースも徐々に元へ戻して
4.急激なインフレをさせずにアメリカ経済を通常状態に戻す
という神業的な軟着陸を狙っているのだと思いますけどね。

そういう意味で、米国債発行上限額は一気にドカンと上げるのではなく、アメリカ国内のインフレ状況を見ながら、状況に応じてこまめに上げていく作戦の方が理に適っているのかもしれません。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:36| Comment(2) | TrackBack(2) | 経済

2009年12月23日

これじゃ通常国会もたないぜ……

【【正論】ジャーナリスト・櫻井よしこ 鳩山首相であり続ける意味なし 】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091222/plc0912220227001-n1.htm

【小沢氏、首相就任の可能性を否定せず】
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/091221/stt0912212230017-n1.htm

鳩山首相が長く持ちそうに無いのはもともとわかっていた事だけど、まさか小沢幹事長本人がポスト鳩山になる意向があるとは……。彼が首相になったら、それこそ誰も逆らえなくなってしまうのではないでしょうか。(笑)というか、小沢首相で失敗すれば民主党解体という事になるので、彼の発言はブラフだと思いますけどね。

ところで自民党の良かったところ(同時に悪かったところでもあるのですが)の一つに、自民党内での権力闘争がありました。自民党はわりと政策ポリシーに一貫性が無く、アメリカ大統領の交代や世界情勢の変化に対してフレキシブルに政策を変えてきたので、いろいろな思想を持つ議員がたくさんいます。そういう中で、首相に登りつめるための権力闘争によって、様々な思想を持つ首相が登場しました。その結果、自民党政権とは言いながら一種の政権交代が起こったような錯覚を我々に与えてきました。
近いところで言うと、財政再建のために消費税を増税して日本の景気回復を遅らせた「橋本元首相」がありました。その後遺症を振り払おうと、財政支出による景気拡大を信念とした「小渕元首相」「森元首相」と続き、財政支出による景気拡大は限界があるとして、財政支出拡大路線を止めて構造改革路線に舵を切った「小泉元首相」が登場します。(こう書くと、世界初のバランスシート不況を何とか払拭しようと日本政府がいろいろと暗中模索していた事がよくわかります。)
このように、信念の異なる首相の登場により国民に一種の政権交代感を演出させる事によって、自民党はこれだけ長く政権を維持してきたのではないでしょうか?

話を元に戻しましょう。今の民主党政権は、時の首相によって政策がガラリと変わるとはとても思えません。それは、小沢幹事長の権力が絶大すぎて「彼の意向=民主党の決定」となるからです。これでは、多種多様な思想を持つ人による権力闘争が起こらないので、仮に鳩山首相が辞任したとしても、国民に新鮮味をアピールできないのではないでしょうか。実際に、実質の小沢政権だった細川元首相辞任後の羽田元首相も超短命内閣でした。小沢幹事長はこういった前回の経験から、今回は同じような手法を取らないとは思うのですが、一体どのように事態を打開して来年の参議院選挙に勝とうとしているのでしょうか。
鳩山首相も内外から追い詰められていますが、小沢幹事長もある意味で民主党の存亡をかけて追い詰められているのかもしれません。できれば小沢幹事長には、これからの「民主党存亡戦略」や「中国外交」について考えるよりも、「日本経済」についていろいろと考えて欲しいものなのですが……。


【子ども手当で地方負担5680億円 政府が方針決定 反発は必至】
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091222/fnc0912222017022-n1.htm

そして、↑の子供手当ての地方負担決定のニュース。特段の解説はしませんが、やっぱり鳩山首相は長く無さそうです。「友愛」を盾にしたところで、米国も地方も「わかった」と言ってくれるわけないのにね。
八方美人のくせに指導力もイマイチなので、一体どうやって収拾つけるつもりなんだか……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治

2009年12月22日

虫歯予防の先進県

【12歳児の虫歯、25年前の3分の1 過去最低1.4本】
http://www.asahi.com/national/update/1218/TKY200912170478.html

ここ四半世紀で、日本の子供の虫歯が非常に減少しているらしい。これは非常に良いことなのだけど、何が原因でこんなに少なくなったんですかね?俺の思いつくところだと、

@はみがき教育
A「はぶらし」や「歯磨き粉」の技術革新
B砂糖の消費減少(その代わり人口甘味料の消費増加)

ってなところだとは思うのだけど、今日はその辺に踏み込むのではなくて、全国の「12歳」と「17歳」の子供の虫歯状況を県別に見てみましょう。すると、非常に面白い事実が見えてきます。


bad-tooth_12age.jpg
bad-tooth_17age.jpg
↑が、12歳と17歳の児童の虫歯状況となります。ここでは、
@「処置完了者」:虫歯があったけどすでに治した人
A「未処置者」:治していない虫歯のある人
B「虫歯の無い者」:今まで虫歯になったことの無い人
の3つにカテゴライズしていて、どの人も@〜Bのどれかに属しています。おそらく、@Aに同時に当てはまる人はAの方に割り振られていると思われます。なお、ここでは「乳歯」は関係なく「永久歯」を対象にしています。

12歳の方のみを見ても特段面白い事実は見えてこないのですが、17歳の方と並べてみると、全県で「虫歯の無い者」の割合が減っています。時間経過と共に、今まで虫歯の無かった人が虫歯になるわけなので、当然といえば当然なのですが、17歳の方では「新潟県」や「岡山県」の検討が目立っています。(ちなみに新潟県は、8年連続で児童1人当たりの虫歯本数が一番少ないそうです。)他県では、17歳での「虫歯の無い者」のパーセンテージが、12歳と比較して軒並み20%以上も減少する中で、両県は10%程度の減少にとどまっている事がわかります。しかも「新潟県」に関しては、17歳で50%が虫歯の無い人なわけで、虫歯予防の先進県と言えそうです。

しかし、何故「新潟県」や「岡山県」が虫歯に強いのでしょうか?いろいろ探してたら、「新潟県」に関してはこんな事実がみつかりました。
○フッ化物洗口の意義について
 新潟県の虫歯予防の取り組みにおいては、1970年度からフッ化物の活用を図り、幼稚園や小中学校において「フッ化物洗口」いわゆる「フッ素うがい」を推進してきた効果が大きいとしています。その効果は、歴然としており、1980年度の5.03本から年々減少していきました。
 ちなみに、フッ化物洗口の実施率を見ますと、新潟県においては2006年度では34.4%、小学校に限ると65%が実施しており、約8万人以上が実施しています。

【中津市議会議員 やまかげニュース】より参照
http://blogs.yahoo.co.jp/tomonakatu/24610222.html

1970年代からの取り組みとはいえ、「フッ素うがい」の推進には予算もかかるだろうし、何でまた当時の新潟県はよくこれをやる気になったのかなぁ。と思っていたら、もう一つ面白い事実を発見しました。
【全国の政令指定都市と中核都市の人口10万人対歯科医師数】
1.新潟市(159.2人)
2.東京区部(144.7人)
3.福岡市(127.1人)
4.岡山市(117.1人)
5.大阪市(112.5人)

【現役歯学生のBlog!】より参照
http://blog.livedoor.jp/udnkui/archives/17768314.html

ここで、新潟市と岡山市の接点が出てきました。なるほど、両市とも人口に対して歯科医師数が多いわけですね。新潟県も岡山県も、県内人口は新潟市と岡山市に集中しているでしょうから、元々虫歯に関して関心の高い地域ではあるわけですね。


それを踏まえてよくよく17歳の虫歯状況のグラフを見てみると、「新潟県」と「岡山県」は「未処置者」の割合が、他県よりも低い事がわかります。やはり、歯科医院の数も多いので歯医者が身近な存在という事もあるんですかね?

しかし、新潟市は東京区部よりも人口10万人対歯科医師数が多いのは異常のようにも思えます。おそらく、新潟市には新潟大学(歯学部)と日本歯科大学の2つの大学が存在している事が、歯科医師数の多い原因だと思われます。
こんな状況で、新潟県が「フッ素うがい」を始めて虫歯予防の先進県になってしまったので、新潟市の歯科医師さんは儲からなくて大変なんじゃないですかね?あるいは、「フッ素うがい」の予算が新潟市の歯科医師に流れるような仕組みになっているのでしょうか?
ひょっとしたら、虫歯予防の先進県の裏には何か大人の事情があるのかもしれません。(笑)



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 09:30| Comment(0) | TrackBack(3) | 時事

2009年12月21日

生活に役立つ(?)「待ち行列理論」

たまには実際の生活に直接応用のできる数学の話をしたいと思って、今日は「待ち行列」の話をします。そもそも数学(情報工学)的な世界での「待ち行列理論」とは、確率を駆使して最適ネットワークを作るための基礎的理論の事ですが、ネットワークの話になるとかなり専門的になるので、ここでは「スーパーのレジ」という日常に密着した例で考えて見ます。

ex_queue.jpg
さて、↑のように二台のレジがあった場合、お客がどう並ぶかは@のように「2列に並ぶ場合」と、Aのように「1列に並ぶ場合」の2通り考えられます。今の例の場合、お客を効率的に処理するという事は「お客の平均待ち時間を最小化する」と言い換える事ができるでしょう。よって、@とAでお客の平均待ち時間がどのように変わるのかを計算してみます。
ちなみに先に正解を言っておくと、Aの方がお客の平均待ち時間は少なかったりします。



さて、まずは今から説明する事が成り立つための前提条件を3つ説明します。
@お客は時刻に依存せずに、完全にランダムにレジに並ぶものとする。
→「特売日の開店直後」や「閉店間際」は、通常時とは違ってお客がレジに殺到するわけですが、どの時刻においても客の到着の仕方はランダムであるという仮定です。
Aお客は他の客の動向に関係なくレジに来るものとする。
→実際は、レジに100人も並んでいれば、お客のうちの大半がレジに並ぶのを諦めてしまいますが、ここではそういう事は関係なくお客が一定の確率でレジに並ぶという仮定です。
B同時にお客が並ぶ事はない。
→複数のお客が同時に並ぼうとする時に、並ぶ順番でけんかしないという仮定です。つまり、「複数のお客は必ず時間差をともなって到着する」という事にします。

上記の@〜Bの条件が成立することが、これから説明する平均待ち時間を計算するための前提条件となります。(ちなみに数学的に言うと、お客の到着が「ポアソン分布」、お客の並びが「指数分布」に従うという事です。)

そして、平均待ち時間を出すためには
「λ:お客の平均到着率」(1分当たりに並ぶお客の数(人/分))
「μ:1台のレジでの平均サービス率」(1分当たりに処理できるお客の数(人/分))
この上記2つが必要です。

今の@のレジの例の場合は、λ=0.2でμ=1.0のわけですが、この時の「t:平均待ち時間」は
t=( λ / μ ) / ( 1 - λ / μ ) = 0.25分 (15.0秒)
となるわけです。ちなみに、λ/μは「単位時間当たりの、"サービスを受ける客の人数"に対する"到着する客の人数"の比(サービス利用率)」を表していて重要な指標になります。

一方でAの場合は、@の場合と比べると列が半減するので、お客の平均到着率が2倍になる事によりλ=0.4でμ=1.0、サービス利用率が( λ / μ ) ^ 2となります。よって、この場合の「平均待ち時間」は
t = ( λ / μ ) ^ 2 / ( 1 - ( λ / μ ) ^ 2 ) = 0.19分 (11.4秒)
となります。

これらの結果から
@での平均待ち時間=15.0秒
Aでの平均待ち時間=11.4秒
となるために、この例の場合は、複数のレジに対して1列に並ぶ方がお客の平均待ち時間は少ない事になります。(結局はλとμの値次第ではあるわけですが)


ちなみにこれ、待ち時間を少なくさせようと努力している銀行のATMなんかでは、実際に複数列で並ばせずに1列で並ばせようとしてますよね。銀行のATMだけではありませんが、こういったように1列で並ばせるのは、それなりに数学的背景があるわけですよ。という事で、今後も機会があればこの手の話をしていくつもりです。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 01:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 科学

2009年12月20日

国家公務員の職制

【総合職・一般職って何? 「職制」は会社によって違う】
http://www.asahi.com/job/2011/nani/OSK200912110086.html

俺は大学院博士課程の進学が決まっていたにもかかわらず、国家公務員試験を受験したら予期に反して合格してしまい、急遽博士課程進学を辞退して国家公務員になったので、一度も民間会社への就職活動を行った事がなかったりする。なので、実際のところ民間会社の「総合職」と「一般職」のイメージがよくわからないのだけど、現在の国家公務員には「T種」「U種」「V種」という区分があります。公務員の場合にはこれからどう制度が変わるのか不確定なところもありますが、今日は現状での実態と思うところを書こうかと思います。

現在の日本の国家公務員制度では、「T種」(キャリア官僚)の枠で入省すると幹部候補生としてのキャリアパスを辿る事になります。「T種」の人は、たくさんの部下の上に立った上で、広い視野で物事を予測したり判断を求められる仕事をする事が求められます。よって、いろいろな部署や組織で経験を積まされる事になるため、全国転勤や頻繁な異動をさせられたり、政策の企画立案等の制度作成やルール作りを担当する事が多いと言えるでしょう。
「U種」の枠で入省すると、「T種」の人ほど上のポストに行く事は稀ですが、その分スペシャリストとして現場で政策を実行することになります。とはいえ同じ「U種」と言えども、地方局や出先の事務所に勤めて現場のプロフェッショナルになる人もいれば、霞ヶ関に勤めて法律改正のプロフェッショナルになる人もいて、窓口は非常に広いといえます。
「V種」は、基本的に地方の出先機関に勤める人で転勤はあまりなく、定型的な業務を行い行政を支える「縁の下の力持ち」という仕事を行うことが多いようです。
ちなみに、俺が入省した年は「T種」が600人程度、「U種」が3500人程度、「V種」が1500人程度の採用があったような記憶があります。(昔に比べると、随分「T種」の人数比が多くなったとの事です。)

自分の職場の職員を見ていて思うのですが、元々「T種」「U種」「V種」の役回りが違うため、同じ土台で仕事を比較するのは難しいのですが、「T種」の人がどんな仕事に対しても「U種」や「V種」の人よりも優秀かと言われると、決してそうでもありません。現場の実情は、「T種」の人よりも「U種」や「V種」の人の方が詳しいし、「T種」の人は異動でまったく未知の仕事をされるケースが多いので、異動したての時期はまったく役に立たない事もしばしばです。実際、俺も法律関係の部署に異動した時は「俺はここの部署で仕事がきちんとできるのだろうか?」と心配になった時期もあって、案の定隣の席の人が法律の専門家だったので、その方に随分苦労をかけさせてしまいました。
なので、現在の制度では「U種」や「V種」のスペシャリストが、「T種」であるゼネラリストを支えているという構図になっているわけです。

もちろん、この制度が100点満点だとは我々も思っていないのですが、それに代わる制度が「人事管理」「業務効率性」等々の諸問題を全てクリアできるかというとそれもまた難しいので、なかなか現在の公務員制度をがらりと変えられない事情もあります。(とりわけ上の年代の人には、現在の公務員制度を変えたくない真の理由もあるのかもしれませんが……)
確かに、どうやっても仕事のできない少数の「T種」の人がいるのも事実ですし、何でこの人を出世させないんだと思う「U種」や「V種」の人もいます。現在の公務員制度では、「適材適所ができない」という意見もあるので、いろんな議論を通して今後は変わっていくものと思います。

ただ、公務員に限らずとも「平社員では優秀なのに、管理職に向いていない」とか「平社員では優秀じゃないのに、管理職に向いている」というようなケースも多々あるわけで、人事管理ってすごい難しいのだろうなと思いますよ。
俺個人について言えば、出世しなくていいから、経済社会研究所でGDP等の統計表を作ったり、産業総合研究所で日々研究三昧の生活が送れればと思っているのですが、「T種」の人の場合「ここに異動したい」とか「こういう仕事がしたい」と身上書に書いたところで、その希望は到底かなえてはもらえないわけですよ……。
中には、衆議院や参議院の選挙に出る人とか、外資系の会社とか大学の教授に転職する人もいるのですが、果たして自分はどうなるんでしょうかね?もう数日で30代に突入するのですが、(もし転職するのであれば)いろいろと今後の進路をどうしようか考える時期でもあるのかもしれません……。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 15:43| Comment(0) | TrackBack(3) | 仕事

2009年12月18日

電子マネーは硬貨にとって代わるのか?

【スキー場で電子マネー ウエアのままお買い物楽々】
http://www.tokyo-np.co.jp/article/gunma/20091216/CK2009121602000115.html

【電子マネー 自宅で入金】
http://www.yomiuri.co.jp/net/column/hyakka/20091212-OYT8T00775.htm

【JR東日本、リアルタイムで在庫確認できる電子マネー自販機システム開発】
http://journal.mycom.co.jp/news/2009/12/09/046/

ここ数年で随分普及した電子マネーですが、今日は電子マネーの普及度をいろいろな指標から考察していきたいと思います。とりあえず、電子マネーとは言ってもいろいろ種類があるのですが、後払い方式の電子マネーの機能はほぼクレジットカードと同等なので、これより後で書く電子マネーとはプリペイド方式の「Edy」「Suica」「ICOCA」「PASMO」「nanaco」「WAON」「SUGOCA」「Kitaca」の8種類とします。


e-money_survey.jpg
まずは、実際に電子マネーの決済件数と決済金額についてですが、↑の通りとなっております。順調に決済件数も決済金額も増加していますが、2009年Q1現在では2200億円が電子マネーで決済されています。名目GDPで言うと、2009年Q1の最終民間消費支出が70兆円程度なので、最終民間消費支出のうちの0.3%が電子マネーで支出されたわけですね。(名目GDP比だと、0.2%程度)
ちなみに、ここに後払い式の「iD」「QuickPay」「クレジットカード」等々を含めたら、現金以外の支出による名目GDP比は1%超えるんじゃないのかな?


今までは、現金で支払われてものが電子マネーで支払われる事になっている事から察するに、俺達のお財布の中の小銭は、以前と比較すると需要が減っているはずです。となれば、日銀は硬貨を回収しているはずなのですが、実際に硬貨の流通量(貨幣流通高)の推移を見ていきましょう。 
japan_currency-in-circulation.jpg
↑が、「500円」「100円」「50円」「10円」「5円」「1円」の貨幣流通残高の推移です。それぞれの貨幣について、2007年Q2の貨幣流通高を100としているのですが、やはり「500円」と「100円」以外は、明らかに流通高が減少している事がわかります。(「100円」をどう見るかは、微妙なところかもしれません)おそらく電子マネーの場合は少額決済がほとんどでしょうから、「500円」の方はあまり影響を受けないという事なのでしょう。
2007年Q2時点から、流通高の減少幅が一番大きいのは、「5円」で3%程度、「10円」や「50円」も2%以上も減少しています。これは、俺達の電子マネー残高の増えている事を示唆するものだと思います。ちなみに、2009年Q1現在の電子マネー発行残高は「912億円」なのですが、M3のマネーストック比で0.01%、銀行券(お札)発行高比で0.12%、貨幣(硬貨)流通高比で2.02%であって、そろそろこの手の統計において現金以外の決済方式を無視できない状況になっているのではないでしょうか。

ここでは、プリペイド方式の電子マネーについていろいろ見ていきましたが、個人的に気になるもう一つは「ポイント」なんですよね。俺も、Gポイントで随分お世話になっているのですが、この手のポイント残高ってかなりの額になるんじゃないですかね?今日は、プリペイド型の電子マネーに関するエントリーでしたが、機会があれば「ポイント」についても調べようとは思っています。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 23:40| Comment(2) | TrackBack(4) | 時事

2009年12月17日

ちぐはぐな議論してるなぁ

@【【菅vs竹中論争】(1)竹中氏「郵政の再国有化は残念」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161726014-n1.htm

A【【菅vs竹中論争】(2)菅氏「小泉・竹中路線は失敗」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161728015-n1.htm

B【【菅vs竹中論争】(3)竹中氏「改革で格差拡大は止まる」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161730016-n1.htm

C【【菅vs竹中論争】(4)菅氏「過去の失敗を検証する」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091216/plc0912161733017-n1.htm

政府は日本の経済成長戦略を作るために、いろいろな有識者からヒアリングをしているようですが、昨日はあの竹中平蔵教授からヒアリングを受けていたとの事。そしてこれらの記事中で、菅副総理と竹中教授の議論の詳細が掲載されているのですが、彼らのやり取りは非常に興味深いです。というのも、菅副総理の経済知識の無さがこれによくあらわれているのですよ。
というところで、気に食わないところを3つあげてみます。


私たちが考えている実は経済政策、あるいは成長戦略もそうですが、先ほど抑圧された需要という、表現は別として、そこはやや共通なんですけども、まず需要をつくることが重要ではないかと。
後に竹中教授が説明しているけど、「成長戦略」とは、GDPで言えば「潜在成長率を伸ばす事」(供給側の伸び率を大きくする事)のための投資だと思うのですが、菅副総理は「需要を埋める事」(需要側の伸び率を大きくする事)と勘違いしている事が、このセリフからわかります。菅副総理は、「供給側を伸ばしても需要も増加しなければ失業者が増えるだけだ」というような事も言及しているのですが、やはり彼には「全体のパイを大きくする」という発想の無い事がわかります。
この分だと菅副総理がこれから取りまとめようとしているのは、「成長戦略」ではなく「景気対策」にしかならなさそうですね……。


同じ費用でも1兆円で1兆円しか効果がないというのが今の経済財政の官僚のみなさんの計算なんですが、おかしいではないかと。1兆円でやっぱり11兆円ぐらい生み出すような知恵があるはずだ。
これは、菅副総理が産業連関表についてまったく知らない事を示唆しています。ちなみに、この産業連関表は経済波及効果を調べるために使われるもので、これを見れば最大の経済波及効果を生み出すためには、自動車産業に需要を与えてあげれば良い事がわかります。とは言え、自動車産業でも1の需要増加に対して2.8の波及効果しかないので、菅副総理が想定している「10倍以上もの経済波及効果のある分野」なんぞは存在しないとは思いますけどね……。(ちなみに、↓のエントリーに産業連関表を扱ったことがあるので、とりあえずご参考まで。)

【産業連関表による各都道府県の経済波及効果分析】
http://kiracchi-serendipity.sblo.jp/article/29862981.html


第一の道はある意味で都市と農村の格差を是正する効果は確かにあったんです。投資効果はないけど是正効果なんです。第二の道は、より自由化することによって、ある種の企業が元気を取り戻して株価が上がったことは事実ですが、やはりそれが格差になると同時に、私はマクロ的にはそれで経済が成長する路線に乗っていたのか、一義的な外需の拡大によって保たれたという見方も結構強いんです。別に水掛け論をしようというんじゃないですよ。
第一の道が公共事業、第二の道が規制緩和、民主党は第三の道を探るという話の流れで出てきたセリフなんだけど、ちょうど第二の道を辿った2000年前半の日本経済をどう捉えているかがわかります。

2009Q3_japan-realGDP.jpg
↑の実質GDPを見てみましょう。2000年〜2005年までについては、「最終民間消費支出」と「民間企業設備」がGDP増加の牽引役であって、「純輸出」はそれほど寄与していなかった事がわかります。確かに菅副総理の言うとおり2006年と2007年については、「純輸出」の増加によるところの成長が大きいとは思うのですが、少なくとも2005年までの成長は明らかに内需主導によるものだと俺は思いますけどねぇ……。


これらの菅副総理の言動から察する限り、民主党は「未来への投資」もあまり考えていないし、「現状の分析」もやり切れていないような節が見えるわけです。つまり、今の民主党だとその場限りの応急処置しかできなさそうなので、なおさら日本の経済成長戦略が描けるのか心配になってきました。
大体、ろくな議論もしないでわずか1週間で成長戦略を決めちゃうのですから、それなりのものしか出てこないんじゃないかなぁ……。まったく、一体誰が菅副総理のブレーンをやってるんだか。



今日のエントリーで、「なるほど」「ふむふむ」「面白い」などと思ってくれた方で、一票を頂ける方は是非ともお願いします。↓
人気ブログランキングへ
posted by きらっち at 21:51| Comment(2) | TrackBack(0) | 政治