http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091214/plc0912141341008-n1.htm
【関西3空港で「竜宮城のような議論」と橋下知事 井戸知事は「負け犬の論理」と応酬】
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/091214/biz0912142126026-n1.htm
伊丹空港に関しては、橋下知事のみが廃港論を唱えていて、国や兵庫県は温度差があるものの、基本的には「存続」という方向性を打ち出しています。何故そこまで橋下知事が廃港を主張しているのかを考えてみると、おそらく以下の4つの要因だと思われます。
1.2011年に九州新幹線の開通
これによって、鹿児島中央駅と新大阪駅が約4時間で結ばれる。
2.2045年に名古屋ー大阪間のリニアが開通
これによって、東京ー大阪間が67分で結ばれる。
3.現在の伊丹空港利用客の約40%が伊丹-羽田路線を利用している。
4.関西国際空港の離発着枠にはまだ空きがある。
現在の伊丹空港の全便を関西国際空港に移しても、まだまだ余裕。
この状況から、伊丹空港の利用者は2011年と2045年に、相応の利用者減が見込まれます。特に2045年には現状で40%の利用客がほぼ0になる事は間違い無いので、確かにその頃に伊丹空港の役割を終えることになるのではないでしょうか。
橋下知事は、将来の伊丹空港の需要減を見込んだ上で、伊丹空港を担保にして、関空とのアクセスを良くするための高速鉄道や高速道路の建設を行いたいようですが、彼の在任期間中にでき得る事なんですかね?今から35年後の伊丹空港を担保にした資金確保なんて、あまり実現性があるとも思えないのですが……。
ちなみに伊丹空港は、国が管理する全国26空港の中で一番稼ぎの良い空港(平成18年度の黒字額は43億円)でもあります。この黒字の事実と、地元自治体も伊丹空港廃止には否定的な事から、国土交通省としても「伊丹空港は将来的に廃止」とは言えないと思いますよ。
個人的な私見ですが、今のところ橋下知事の需要予測はそれなりに正しいとは思いますが、現時点で伊丹空港廃止を決定して、それを担保にインフラ整備するのはかなり行き過ぎのような気がします。関西国際空港のアクセスを何とかしなければならない問題は確かにありますが、そのために2045年の伊丹空港廃止を現段階で決定するのは関係者の納得が得られないでしょうし、そもそも2045年の航空需要がどうなるかは現段階でわかりません。今のところはとりあえず、「2011年九州新幹線開通」と「神戸空港の収支の行方」を見ていくのが無難な戦略ではないのでしょうか?
俺の勝手な予想だと、2011年を過ぎればむしろ神戸空港廃止論の出てくるような気がしないでもありません。(↓の記事通り、今でも赤字になるかならないかのところですので、2011年以降は相当厳しい状況に追い込まれるはず)
【利用者減、収支悪化… 神戸空港「視界不良」】
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090214/lcl0902141234002-n1.htm
【神戸空港黒字額、初のゼロ見通し】
http://sankei.jp.msn.com/politics/local/090219/lcl0902191244002-n1.htm
橋下知事も独断専行型の知事ですので、根回しがあまり上手くないように見受けられます。この件に関して彼の主張するところは、それなりに的を得ているところもあるので、ちゃんと根回ししながら時間をかけて議論すればそれなりに賛同者が出て来てもおかしくはないと思うのですが、そもそも「何で2045年の話を今しなければいけないの?」と言われると苦しいところではありますけどね。
確かに現状を打破するために動くのも悪いことだと思いませんが、2045年まではまだまだ時間がありますし、2011年にも九州新幹線の開通があります。今動いて、後で取り返しのつかなくなる事態を避けるためにも、少しずつ周りの理解を得ながらもう少し静観した方が、橋下知事のためにもよろしいのではないかと。
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